いやっほーい!
これで、大漁だ~~~い♪
見てよ、あれ!
残ったのは子供だよ子供!
ガキ肉だよ、ガキ肉!
「ひゅ~♪ こりゃ豪勢だ!」
ダンジョンに滅多に来ない
しかも、育ちがいいのか肉質がツヤツヤで、全員魔法使い!
「そんなん食うに決まってるやん!」
食うで、食うでー!
ガッツガツ食うでー!
なんなら、色々試すぞー! 煮たり焼いたり蒸したりと!
こどもを竈に!
ガキ肉で焼肉!
生徒を蒸籠に!
ひゅー、楽っしみ〜♪
「なので、そろそろいっただっきまーす♪」
さーて、本日で何匹目か忘れたけど、
またまたチビっ子を踊り食いしよ~っと。
「「「「ぎゃぁぁぁあああああ!」」」」
あはは!
逃げてる逃げてる。
怯えてる怯えてるぅ!
「ほれほれー。どうしたの、どうしたのー? さっきの魔法とか使わないのー?」
まー。
使っても変わらんし、そんなしょぼいもんにあたる気もしないけどねー。
「詠唱だの、構えた瞬間、脳天貫いてくれるけどねー!」
ぎゃははは!
そして、
みよ! この餌の群れを!
護衛なし、
前衛なし、
経験なし、
まさに大漁! まさに全員、ガキの魔法使いばっか!
「いやー! こんな大漁一生あじわえないかもねー♪」
あはははは!
さーて、どいつから仕留めようかなー…………お?
「くっ! 先生が死んだ今──ここの指揮は俺が執る!」
「お、お兄様?!」
おぉー!
勇敢な少年が一人、杖を手にして前に出てくるではないか。そして、その少年の腕を控えめに隣でつかんでいるのは、同じ顔をした少女だ。
ふーむ。
双子の兄弟かなー。
……これは味比べが楽しみだぞー。
男と女で味が違うのか試せそうだ。肉の固さとかも知りたいな~。
ジュルリ♪
「よーし! 決めた。君は踊り食いに決定~!」
「か、かかってこい!」
や。
君じゃなくて────そっちー!
「え? きゃぁぁああああああああ!」
「ハ、ハバナぁぁあ?!」
叫ぶお兄ちゃんを尻目に、
ヒョイっと、舌で掬い上げたのは勇敢な少年のほうではなく、その隣の少女だ。
別にお兄ちゃんにイヤがらせをしたかったわけじゃなく、ちょっと彼より背が低いので、喉越しがよさそうだと思っただけ──……って、
「な、なにしやがる?!」
「舐めるな!」
「お兄様!」
刹那、空中で投げ出された少女──ハバナちゃんをお姫様抱っこで救出した少年。
いや、やるなー。
びっくりだわー。
「……おー、いってぇ!」
一瞬、何が起こったかわからなかったが、どうやらこの少年──なかなかに
魔法使いかと思いきや、杖だけでなく
それで舌を切り裂くと、すばやく少女を救出しやがった。
「……へー。僕ちゃんイイもん持ってんじゃーん」
話す間にも、シュルシュルと切られた舌があっという間に直っていく。
絶賛、満腹の回復ボーナス中だから、これくらいどうってことはない。
「だ、黙れ!……貴様が喋る魔物か。俗に聞くユニークモンスターだな」
ん、またそれぇ?
多分、そーなんちゃう?
……知らんけど。
「僕の名は、グラハム! この国の王子──えぶっ」
ブシュ……。
首元を貫くボルト弾。
「や、名乗ってる暇あるなら追撃くらいしたらー。……もう無理だろうけど」
アホなん?
や、こいつ等全員、アホの子だったわ。
「お、兄様……?」
「あー死んでる死んでる」
生きてても、あと数秒だよー。
つーか、こっちが剣使うとでも思ったー?
「ばーか」
あっと言う間に血の海に沈んでいくグラハム君を尻目に、
キリキリ……! といつものボウガンを巻き上げつつ、なんでもないように答える。
つーか、近接が厄介な相手にまとに戦うわけないじゃん。
バカかな?
しかし、それすら理解できなのか、茫然自失とした顔で、妹のハバナちゃんが少年を抱き留めた。
もっとも、彼女のきゃしゃな体で、双子とはいえ力の抜けた男の体を支えることもできずにそのまま、倒れてしまうのだが……。
「ん。君はそのまま、潰れときー」
コイツはとりあえずほっとこう、
茫然としてるのは逃げる気もおきまいて。
そして、その光景は生徒たちにとっては、
一瞬の希望にして、それと同じくらい儚い希望であったらしい。
────ならば、あとは
やっほーい!
「なので、踊り食い再開しまーす♪」
がおー!
食ーべちゃうぞー。
「──さーて、まずは食べごろサイズのチビっ子からいこっか」
えーっと、
どーれーにーしよーおーかーな、っと♪
「ひやぁっぁああああああ!」
「もう駄目だー!!」
そして、戦える人間が死に絶え、オマケに入口が開かないとみるや、今度こそ部屋中を逃げ惑う生徒たち!
しまいには、何人かが入口を諦め「隠し通路」のほうに駆け込むでいくではないか。
「おーおー。行った行ったー」
それに気づいたのか、残りの生徒も我先にと、そこ駆け込んでいく。
「ま、行ったところで行き止まりだし、当然何もないなんだけどねー」
──あ、いや、罠があったわ。
カチッ
「うわ!」「ぎゃっぁあ!」
「ひっ、何かが噴き出して──けへぇぇ!」
「ガ、ガス?! ば、ばかな──」
あーあーあーあー。
こんな見事に
「ひぃぃ! こ、こっちはダメだ!」
「に、逃げろぉぉぉ!」
運のいい数名が、隠し部屋のガスから逃れたらしいが、だからどうしたというのか。
こっちにはミミックがいるんだぞー。がおー!
「あ、でも判断は間違ってないねー」
前にも進めず、後にも進めず進退窮まった少年少女たち。
幾人かは失禁しているが、それでもチャンスがないわけじゃない。
「例えば──」
ほら。
ガラガラガラガラガラ──……ガシャンッ!!
「あ。みろッ! て、天井の槍罠が」
「い、入口があいたわ!」
うんうん。
そうそう。
ダンジョンの罠だって、作動しっぱなしじゃないからね。ある程度時間がたったら、そりゃ元に戻るよ──。
「い、今だわ!」
「逃げろぉぉぉお!」
それに気をよくしたのか、腰が抜けたままなんとか入口に殺到する少年少女たち。
そのまま行けば、きっと逃げ延びられるだろう……。
「──ま、もちろん逃がすわけないけどねぇぇええー!」
当然、
完全に巻きあがった天井の槍罠であったが、戻るや否や、すかさずそこに向かって死体を投げてスイッチを起動させる。
「──あらよっと!!」
カチッ♪
ガシャーーーンッ!
「あ゛う゛う゛────ぶひゅ」
「あ」
し、しまった。
死体っつーか、まだピクピクしてるリーンちゃん投げちゃったわ。
めんごめんごー。
「……ま、あとで食べるから許してプリーズ」
穴だらけになっても味は変わんないしね。
そして、リーンちゃんが命中し再び作動する天井の槍罠。
もちろん、入口は再び封鎖されてしまったし、なんなら先頭にいた哀れな少年を一人串刺しにしてしまう。
「っぎゃぁぁぁああああ!!」
どうやら、槍罠がまともに直撃したのか、全身を刺し貫かれてボタボタを血を流し、致命傷を負う少年。
おー。
いたそー。
「……つーか、あれで即死しないとかあるんだー」
「「ひぃぃぃいいいいい!」」
そして、それを見て完全に腰を抜かした残りの生徒たち。
──あらら?
どったの、もう諦めたの?
「つーか、どうどう? さっきの見た見たー?」
リーンちゃんショット!
ナイス・スイングでしょー。
「あ。あとこんな感じで、槍が上がったと同時に素早く再起動するからね! 逃げても無駄ー」
まー、こんな感じで、天井のトラップも使いようってわけー。
ただ、見ての通り突き出した槍が戻るのも遅いし、クールタイムもあるし、なんなら見た目バレバレだけどね。
「でも、槍が戻るたびにこうして
なので、諦めてー。
あ~っはっは!
そして、
蓋を閉ざされた獲物の運命は──。
「食~べちゃうぞー♪」
がおー。
「「「ぎゃぁぁああああああああ!!」」」
あっはっはー!
マジで食べますよー。
──そうして、こうして逃げ惑う生徒を楽しく舌で追い回していく。
ま、入口も無理、隠し通路も無理とくればどこにもいけないけどね。
5×5程度の空間は狭いし、隠れる場所もない。
そして、「私」は全然動けないけど、伸びる舌はこの部屋内くらいなら自由自在。
んー、でも、反撃もしないガキを追い回すのも飽きてきたな。
なんつーか趣味が悪いってやつ?
「まー、生け簀の魚を追いかけても楽しくないもんね」
……生け簀が何か知らんけどー。
というか、そろそろ食べたくなってきた。
一日一匹……一人とはいいつつも、
やー。
こいつらマジで美味しそうなんだよねー。
「……ってなわけでいただっきまーす♪」
「いやっぁあああああああああ──!」
──そぃ!!
他の生徒と一緒に逃げ回っていた一番最年少らしき少女──彼ら風にいうと第一学年か二学年の生徒の脚を舌で掴むと、いつもの逆さづりにして下から見上げる。
「ひょー、うっまそー♪」
「やだやだやだやだー!」
ジタバタ、ジタバタ。
「大丈夫大丈夫ー。痛くない、いたくなーいよ!……多分?」
知らんけど。
……というわけで、いっただっきま~~~す!!
「や、やだぁぁああ! やだー!!
マ、ママー!! ママー!! マ──……ピキュ」
パクッ♪
「お。お。お。…………うん」
もにゅもにゅもにゅ……。
ごくんっ。
「…………………………おー」
暴れてる暴れてる。
喉で、ジタバタ暴れてるー。
ゲ~~~ップ♪
「……ふぅ。さいこー」
ぺろり。
「んむ。絶品なり」
46話目です
毎日12時ちょっと前に更新予定!
次回、
おっと、これはいったい……。
お読みいただきありがとうございます。
是非とも『ポイント』『お気に入り』感想をよろしくお願いします!