ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第45話「うめーうめー♪」

 いやっほーい!

 これで、大漁だ~~~い♪

 

 見てよ、あれ!

 

 残ったのは子供だよ子供!

 ガキ肉だよ、ガキ肉!

 

「ひゅ~♪ こりゃ豪勢だ!」

 

 ダンジョンに滅多に来ないガキ(子供)がいっぱいですよー!

 しかも、育ちがいいのか肉質がツヤツヤで、全員魔法使い!

 

「そんなん食うに決まってるやん!」

 

 食うで、食うでー!

 ガッツガツ食うでー!

 

 なんなら、色々試すぞー! 煮たり焼いたり蒸したりと!

 

 こどもを竈に!

 ガキ肉で焼肉!

 生徒を蒸籠に!

 

 ひゅー、楽っしみ〜♪

 

「なので、そろそろいっただっきまーす♪」

 

 さーて、本日で何匹目か忘れたけど、

 またまたチビっ子を踊り食いしよ~っと。

 

「「「「ぎゃぁぁぁあああああ!」」」」

 

 あはは!

 

 逃げてる逃げてる。

 怯えてる怯えてるぅ!

 

「ほれほれー。どうしたの、どうしたのー? さっきの魔法とか使わないのー?」

 

 まー。

 使っても変わらんし、そんなしょぼいもんにあたる気もしないけどねー。

 

「詠唱だの、構えた瞬間、脳天貫いてくれるけどねー!」

 

 ぎゃははは!

 

 そして、

 みよ! この餌の群れを!

 

 護衛なし、

 前衛なし、

 経験なし、

 

 まさに大漁! まさに全員、ガキの魔法使いばっか!

 

「いやー! こんな大漁一生あじわえないかもねー♪」

 

 あはははは!

 さーて、どいつから仕留めようかなー…………お?

 

「くっ! 先生が死んだ今──ここの指揮は俺が執る!」

「お、お兄様?!」

 

 おぉー!

 

 勇敢な少年が一人、杖を手にして前に出てくるではないか。そして、その少年の腕を控えめに隣でつかんでいるのは、同じ顔をした少女だ。

 

 ふーむ。

 双子の兄弟かなー。

 

 ……これは味比べが楽しみだぞー。

 男と女で味が違うのか試せそうだ。肉の固さとかも知りたいな~。

 

 ジュルリ♪

 

「よーし! 決めた。君は踊り食いに決定~!」

「か、かかってこい!」

 

 や。

 

 君じゃなくて────そっちー!

 

「え? きゃぁぁああああああああ!」

「ハ、ハバナぁぁあ?!」

 

 叫ぶお兄ちゃんを尻目に、

 ヒョイっと、舌で掬い上げたのは勇敢な少年のほうではなく、その隣の少女だ。

 

 別にお兄ちゃんにイヤがらせをしたかったわけじゃなく、ちょっと彼より背が低いので、喉越しがよさそうだと思っただけ──……って、いった()ぁぁあ!

 

「な、なにしやがる?!」

 

「舐めるな!」

「お兄様!」

 

 刹那、空中で投げ出された少女──ハバナちゃんをお姫様抱っこで救出した少年。

 

 いや、やるなー。

 びっくりだわー。

 

「……おー、いってぇ!」

 

 一瞬、何が起こったかわからなかったが、どうやらこの少年──なかなかに上等な装備(・・・・・)をしているようだ。

 

 魔法使いかと思いきや、杖だけでなく細剣(レイピア)のようなものを隠し持っていたらしい。

 それで舌を切り裂くと、すばやく少女を救出しやがった。

 

「……へー。僕ちゃんイイもん持ってんじゃーん」

 

 話す間にも、シュルシュルと切られた舌があっという間に直っていく。

 絶賛、満腹の回復ボーナス中だから、これくらいどうってことはない。

 

「だ、黙れ!……貴様が喋る魔物か。俗に聞くユニークモンスターだな」

 

 ん、またそれぇ?

 多分、そーなんちゃう?

 

 ……知らんけど。

 

「僕の名は、グラハム! この国の王子──えぶっ」

 ブシュ……。

 首元を貫くボルト弾。

「や、名乗ってる暇あるなら追撃くらいしたらー。……もう無理だろうけど」

 

 アホなん?

 や、こいつ等全員、アホの子だったわ。

 

「お、兄様……?」

「あー死んでる死んでる」

 

 生きてても、あと数秒だよー。

 つーか、こっちが剣使うとでも思ったー?

 

「ばーか」

 

 あっと言う間に血の海に沈んでいくグラハム君を尻目に、

 キリキリ……! といつものボウガンを巻き上げつつ、なんでもないように答える。

 つーか、近接が厄介な相手にまとに戦うわけないじゃん。

 バカかな?

 

 しかし、それすら理解できなのか、茫然自失とした顔で、妹のハバナちゃんが少年を抱き留めた。

 もっとも、彼女のきゃしゃな体で、双子とはいえ力の抜けた男の体を支えることもできずにそのまま、倒れてしまうのだが……。

 

「ん。君はそのまま、潰れときー」

 

 コイツはとりあえずほっとこう、

 茫然としてるのは逃げる気もおきまいて。

 

 そして、その光景は生徒たちにとっては、

 一瞬の希望にして、それと同じくらい儚い希望であったらしい。

 

 

 ────ならば、あとは絶望(歓喜)の時間だー。

 

 

 やっほーい!

 

「なので、踊り食い再開しまーす♪」

 

 がおー!

 食ーべちゃうぞー。

 

「──さーて、まずは食べごろサイズのチビっ子からいこっか」

 

 えーっと、

 どーれーにーしよーおーかーな、っと♪

 

「ひやぁっぁああああああ!」

「もう駄目だー!!」

 

 そして、戦える人間が死に絶え、オマケに入口が開かないとみるや、今度こそ部屋中を逃げ惑う生徒たち!

 しまいには、何人かが入口を諦め「隠し通路」のほうに駆け込むでいくではないか。

 

「おーおー。行った行ったー」

 

 それに気づいたのか、残りの生徒も我先にと、そこ駆け込んでいく。

 

「ま、行ったところで行き止まりだし、当然何もないなんだけどねー」

 

 ──あ、いや、罠があったわ。

 

 

 

   カチッ

 

 

 

「うわ!」「ぎゃっぁあ!」

「ひっ、何かが噴き出して──けへぇぇ!」

「ガ、ガス?! ば、ばかな──」

 

 あーあーあーあー。

 こんな見事に(はま)るー?

 

「ひぃぃ! こ、こっちはダメだ!」

「に、逃げろぉぉぉ!」

 

 運のいい数名が、隠し部屋のガスから逃れたらしいが、だからどうしたというのか。

 こっちにはミミックがいるんだぞー。がおー!

 

「あ、でも判断は間違ってないねー」

 

 前にも進めず、後にも進めず進退窮まった少年少女たち。

 幾人かは失禁しているが、それでもチャンスがないわけじゃない。

 

「例えば──」

 

 ほら。

 ガラガラガラガラガラ──……ガシャンッ!!

 

「あ。みろッ! て、天井の槍罠が」

「い、入口があいたわ!」

 

 うんうん。

 そうそう。

 

 ダンジョンの罠だって、作動しっぱなしじゃないからね。ある程度時間がたったら、そりゃ元に戻るよ──。

 

「い、今だわ!」

「逃げろぉぉぉお!」

 

 それに気をよくしたのか、腰が抜けたままなんとか入口に殺到する少年少女たち。

 そのまま行けば、きっと逃げ延びられるだろう……。

 

「──ま、もちろん逃がすわけないけどねぇぇええー!」

 

 当然、それ(槍罠のクールタイム)も織り込み済みなので、対策済みです。

 完全に巻きあがった天井の槍罠であったが、戻るや否や、すかさずそこに向かって死体を投げてスイッチを起動させる。

 

「──あらよっと!!」

 

  カチッ♪

   ガシャーーーンッ!

 

 

 「あ゛う゛う゛────ぶひゅ」

 

 

「あ」

 

 し、しまった。

 死体っつーか、まだピクピクしてるリーンちゃん投げちゃったわ。

 

 めんごめんごー。

 

「……ま、あとで食べるから許してプリーズ」

 

 穴だらけになっても味は変わんないしね。

 そして、リーンちゃんが命中し再び作動する天井の槍罠。

 

 もちろん、入口は再び封鎖されてしまったし、なんなら先頭にいた哀れな少年を一人串刺しにしてしまう。

 

「っぎゃぁぁぁああああ!!」

 

 どうやら、槍罠がまともに直撃したのか、全身を刺し貫かれてボタボタを血を流し、致命傷を負う少年。

 

 おー。

 いたそー。

 

「……つーか、あれで即死しないとかあるんだー」

 

「「ひぃぃぃいいいいい!」」

 

 そして、それを見て完全に腰を抜かした残りの生徒たち。

 

 ──あらら? 

 どったの、もう諦めたの?

 

「つーか、どうどう? さっきの見た見たー?」

 

 リーンちゃんショット!

 ナイス・スイングでしょー。

 

「あ。あとこんな感じで、槍が上がったと同時に素早く再起動するからね! 逃げても無駄ー」

 

 まー、こんな感じで、天井のトラップも使いようってわけー。

 ただ、見ての通り突き出した槍が戻るのも遅いし、クールタイムもあるし、なんなら見た目バレバレだけどね。

 

「でも、槍が戻るたびにこうして何か(・・)ぶつけて、こっちで再起動させれば──あら不思議!! 獲物を捕らえて逃がさない、蓋になるって寸法だよ」

 

 なので、諦めてー。

 あ~っはっは!

 

 そして、

 蓋を閉ざされた獲物の運命は──。

 

「食~べちゃうぞー♪」

 

 がおー。

 

「「「ぎゃぁぁああああああああ!!」」」

 

 あっはっはー!

 マジで食べますよー。

 

 

 ──そうして、こうして逃げ惑う生徒を楽しく舌で追い回していく。

 

 

 ま、入口も無理、隠し通路も無理とくればどこにもいけないけどね。

 5×5程度の空間は狭いし、隠れる場所もない。

 

 そして、「私」は全然動けないけど、伸びる舌はこの部屋内くらいなら自由自在。

 んー、でも、反撃もしないガキを追い回すのも飽きてきたな。

 

 なんつーか趣味が悪いってやつ?

 

「まー、生け簀の魚を追いかけても楽しくないもんね」

 

 ……生け簀が何か知らんけどー。

 というか、そろそろ食べたくなってきた。

 

 一日一匹……一人とはいいつつも、

 

 やー。

 こいつらマジで美味しそうなんだよねー。

 

「……ってなわけでいただっきまーす♪」

「いやっぁあああああああああ──!」

 

 ──そぃ!!

 

 他の生徒と一緒に逃げ回っていた一番最年少らしき少女──彼ら風にいうと第一学年か二学年の生徒の脚を舌で掴むと、いつもの逆さづりにして下から見上げる。

 

「ひょー、うっまそー♪」

「やだやだやだやだー!」

 

 ジタバタ、ジタバタ。

 

「大丈夫大丈夫ー。痛くない、いたくなーいよ!……多分?」

 

 知らんけど。

 ……というわけで、いっただっきま~~~す!!

 

「や、やだぁぁああ! やだー!!

マ、ママー!! ママー!! マ──……ピキュ」

 

 パクッ♪

 

「お。お。お。…………うん」

 

 もにゅもにゅもにゅ……。

  ごくんっ。

 

「…………………………おー」

 

 暴れてる暴れてる。

 喉で、ジタバタ暴れてるー。

 

 

  ゲ~~~ップ♪

 

 

「……ふぅ。さいこー」

 

 ぺろり。

 

 

 

 

「んむ。絶品なり」

 




46話目です
毎日12時ちょっと前に更新予定!

次回、
おっと、これはいったい……。

お読みいただきありがとうございます。
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