「うぉぉ……腹減ったー」
『いや、さっき食べたばっかりじゃん!』
うっせー。
減るもんは減るんだよ!!
ミユちゃんの鋭い突っ込みを受けながら「私」は宝箱からデローンと舌を出して、目の前の生徒肉を食べるかどうかで悩んでいた。
ここ数日は、アシが早い
なので、貴重な生徒のお肉をちょ~っとだけ齧ったのだが、あまりの美味さで脳天が痺れた。
そのせいか満腹中枢が壊れて、たちまち腹がなる。
……どうも、美食が過ぎて雑魚冒険者では物足りなくなっているらしい。
「むー。このグルメな舌をどうしたものか──」
『このまえ作ったアレは?』
「アレ?……あー干物? あれは保存食だよ、もっとじっくりと干せばうま味が凝縮する気がする」
なので絶賛キングハム君以下は、乾燥行程継続中。
『旨味とか言うなし。あと、あんた絶対に
「失敬な! どっかの十何番さんに何が分かるってのー!」
『誰が十何番よ! さっきだって、半分腐ってる冒険者丸飲みしてたくせに』
「や、それはほらストレージパンパンだからさー」
なので隠し部屋に押し込んでおいた、ストレージから漏れたザコ冒険者も無駄にせず、さっききっちりと消費したのだ。
…………あ、もしかしてそのこと言ってるの?!
「た、確かにちょっとまずい気がしたよ? うん、ちょっとだけ……」
『絶対嘘よ。「げーっぷ」って満足そうにしてたじゃん』
……ゴメン、そのとおりウソです。
腐りかけてたのは事実だけど、本当はほぼ味変わんなかったわ。
「ま、満足そうにはしてないよー」
これはホントホント。
雑魚冒険者一匹で満足なんかできねーもん。
「実はさー。ミユちゃんにだけ教えるけど、この前食べ過ぎたせいか、なんか胃の要領が増えちゃってねー」
えへへ。
恥ずかしいね。
『ちょーどうでもいい!』
「そんな事、言うなし」
多分、魔物でも成長はするのだろう。
実際に舌撃とかの威力も上がってるし、多少は耐久力も上がっている。
当然、ストレージもアップしているし、胃の要領も増えるというものだ。
『だいたい、一日ひとりはどうしたのよ!』
「やー。今は一日2~3人いける。確信してる!」
ちびっ子なら、3人はぺろりと丸飲みできる自信があるぞー。
『そんな確信いらないから!……って、さ、3人も?! な、なんで増えてんのよ!』
「え? そりゃー大食いしたら胃の容量も増えるっしょ?」
フードファイターとまではいわなくても、食えば食うほど、量は拡張されるのだー。
なんせ、先日は初撃でリーデルちゃんを食って、次にリーンちゃんを丸飲み。
そんでモブっ子の女の子を口に放り込んだくらいには、ガッツガツと食べたのだ。
そのあとも、ちょいちょい生徒をつまみ食いしたり、野武士を丸かじりしたしね。
(うむ! あの体験をした以上、簡単には満足できないね!)
まぁ、途中で吐いたのはノーカンとしてー。
「そんでこう……手元にまだ30匹以上のお肉があるんだし、ちょ~っとくらいなら、いいかなーって」
『やめて! そして、何度も言うけど──親元に返してあげて! みんな、まだ子供なのよ!』
また、それー?
「返すわけないじゃん。馬鹿なのー?」
せっかく捕まえたご馳走だよ?
だいたいどうやって返せっちゅうねん。
「さーせん!
オタクの息子さん、スルメにしましたけどいりますかー」
ってか?
……サイコパスか!
『馬鹿でもなんでもいい! 冒険者は自己都合だし、覚悟もあるからしょうがないわよ!……でも、あの子たちは違────って、食ってるしー!』
バキッ!
ボリッ♪
「んー? あ、ごめん、半分聞いてなかった」
やーうまくて。
やっぱ魔力たっぷりの生徒を頭から齧ると堪らんなー。
ゴリゴリ、ゴキッ……!
ボキンッ!
「げーっぷ♪」
ふー♡ サイコー。
やっぱり子供肉は美味いねー。
『あぁー! し、しかも、二人もいっぺんに食べてるし……。あ、アンタねぇ』
「いやー、やっぱりほら──さっきも言ったけど、お腹の容量が増えてるみたいでさ。全然、入る入る」
そして、うまいうまい。
こりゃー、一日1人のスローガン替えないとな。
2人か3人くらいななら余裕でいけるわー。
「──それにさ、今はちょ〜っと多めに食べといたほうがいい気がしてねー」
『なんでよ!』
やー。
そりゃーさー。
「…………まーた、ガキ肉の気配がするんだよねー」
ニヤ〜リ。
「へへ」
腹が鳴る鳴る。
喉も鳴る。
腕は…………ないから、鳴らないか。
しかし、まさかまさかの再びの幸運とはねー。
それも、ここまで伝わるほどのかなりの
『け、気配って……しかも子供?! ま、まさか! そ、そんなのありえない。いえ、なんでよ?!』
それを聞いたミユちゃんは顔面を真っ青(?)にしてわなないている。
どうやら、またあの惨劇が起こるのかと驚愕しているのだろう──だが、起こるのかではない。
起こすのだよ!
この「私」が♪
(……とはいえ、この一糸乱れぬ気配って、もしかして──)
地面に接した部分から響く足音は遠くからでもわかるほど大規模だ。
それだけに、足音が統率されたものだとわかる。
つまり──コイツはただのガキでも餌でもない。
……れっきとした狩人だ。
「というわけでさ。ちょ〜っと、どっかいっててくれると助かるなー。なにせ大漁の予感だから食い溜めもして、ストレージもあけとかないといけないしねー」
なので、
今日はもう一、二匹~、いっただっきま~す♪
「あ~ん♪」
今度は足から食ーべよっと。
「ガブガブガブガ~ブッ♪ ん~! うまぃっ!」
柔らかくってジューシーで、
……
ま、それがなくても、やっぱりガキ肉は、お〜いCー!!
「おかわりーー!!!」
こうして、追加で3人の生徒をペロリと腹に収めるとさすがに小慣れてきたのでこの辺で止めておく。
はー。お腹ポンポン。
ちゃーわせー♪
何君か何ちゃんか知らんけど、お腹ほ中で元気に生きるんだよー。
そして皆と再開できて良かった良かったね。……ふひひ。
「ま、その気になればあと、一、二匹はいけそうだけどねー」
ぎゃはははは!
「……しかし、あれだな。マジで今ならストレージにもっと入りそうな気がする」
これって、あれかな?
魔物もレベルアップするってことなのかなー?
「まー、あんだけガキとはいえたくさんの魔法使いを倒して、あまつさえAランクを倒してりゃ強くもなるか」
実際、
地味に新スキルも増えそうな気がする。
なにせ、すでに見た目的には分からないけど、ストレージはアップしているし、鑑定能力の凝視なんかも少しレベルアップしてるんだよねー。
「ま、それはそれとして──作った部屋の試運転には良さそうだな」
スキル確認はいつでもできるし、まずは目の前の獲物からだ。
かなりの数だし、全部仕留めれば当分メシには困らないだろう。
「欲を言うなら、まーた魔法学校の生徒がいいんだけど……」
それはさすがに甘いかなー?
……って、あれ?
「なんか静かだとおもったら──ミユちゃんってば、まーた無駄なことしにいったなー」
さっそく姿を消したミユちゃん。
ここにいないということは、侵入しようとしている集団に警告を発しにいったんだろうな。
「ほんと、無駄なことだね」
ま、いっか。
どーせあの子にできることなんてないしね。
「よし、邪魔なミユちゃんがいなくなったことだし、念のため仕込みの再チェックしーとこー」
現状、手を入れた部屋は10にも満たないけど、そのすべてにトラップを設置済みだ。
おかげでだいぶポイントを使ったけど、それを使っても余りあるほどの収穫があったのでよしとする。
ちなみに今あるのは、
ガキ肉の乾燥室をはじめ、
錬金部屋、休憩スペース、粗野な酒場、魔法学校風の教室、武器庫にその他の場所って感じー。
そして、乾燥室以外には、それぞれの部屋にだいたい2~3つのトラップ付き、大部屋はそれ以上で、あとはどこも隠しスペースなかんも充実している。
また、部屋を増やしたおかげか、感知範囲と精度が向上したっぽい。
おかげで、侵入者がくるであろう場所に配置で先回りすることができるようになった。
ただ、問題は──……。
「んむむ。今回はちょ~~~っと数が多いかも?」
入ってきた気配だけですでに10人近い。
しかも、動きが統制されているのか、かなり手練れの気配──多分、軍隊だろう。
大してこっちは「私」のみ。
一応、このダンジョンには他のモンスターもいるみたいだけど、そいつらはまったくあてにはできないし、してない。
「ま、でも勝てる勝てる。こっちはAランクすら倒したことがあるんだぞー」
そして、グラハム君ソードもゲットしたし、その他ドロップ品も多数ゲット済み!
ふっふっふ。
「いやー。負~ける気がしないねー!」
なので、相変わらずの懸念は、取り逃がさないように、いかにうまく型にはめるか、だけ。
「よーし。今回も張り切って捕まえるぞー!」
えいえいえいおー!
こうしてダンジョンの奥に張り巡らされた罠で、ミミックは一人牙を研ぐ──。
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次回、騎士団視点!
精鋭たちの戦いを乞うご期待!!
感想も返してないけど、みてます!
ありがとうございまーす