ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第61話「爆撃ッ!(※)」

 ドーン!!

  ズドーン!!

 

 

「うぉぉぉおおい!?」

 

 な、なにやってんの?!

 なななな、なーにやっての?!

 

「なーーーーにやってんのぉぉおお?!」

 

 いくつかある狩り場の一つで待ち伏せをしていた「私」の耳に響くのはあのいやーな音。

 それは、いつぞやの忍者軍団にやられたあの爆薬の音だった。

 

「くっそー。ア、アイツらマジかー?!」

 

 常識とか、

 人の心とかないんか?!

 

「ありえねーぞ。せっかくこっちが丹精込めて作ったのにー……」

 

 

 ドドーン!!

 

 

「うわ、近いっ! この音からして、錬金工房がふっとばされたかー」

 

 あーくそ。

 やってくれたなー。

 

「これじゃトラップも、アイテムも、ぶっ潰れるじゃん! 結構な数配置しておいたのに、なんの意味もないじゃーん」

 

 部屋をいくつも作り、支配領域を増やしたおかげで感覚が鋭敏になったのか、ある程度遠方の様子がつかめるのは幸いなのだが、

 これじゃあ生殺しもいいとこだ。

 

 なにせ、せっかくの作品を、手も届かない場所でドッカンドッカン爆破されているようなもんだからね!

 

 ……っつーか、まさに今がそれだわ。

 

 

  チュドーン!

 

 

「あぁー! 今度は、野性味あふれる酒場をぉ!」

 

 自信作だったのに……しくしく。

 

「せ、せめて一回は中に入ってくれよー」

 

 そして、驚愕して、

 ボケーっとした間抜け面を晒してくれよー。

 

 ……しかし、連中ときたら、中に何があろうがお構いなしらしい。

 どうやら、

 完全にこっちの意図を無視して、ダンジョンを攻略する気でいるようだ。

 

 囮に置いておいた宝箱も、中身すら確認することなしで爆破している様子がうかがえる。

 

「ぬー……。こいつらただの冒険者じゃねーな」

 

 なんとなくわかっていたが、

 これだけ思い切りのいい攻撃だ。

 

 おまけにアイテムには目もくれないときた。

 冒険者だとしたら有り得ない仕草──。

 

「わかっちゃいたけど、コイツら、捜索隊か討伐隊だなー」

 

 しかも、相当に手練れで、装備も覚悟も練度も桁違いの奴等だ。

 

「……ちっ。面倒くせー。こ〜りゃ、下手なAランクよりも始末に悪いぞ」

 

 一糸乱れぬ足音からも、おそらくは軍隊……。

 それもその辺の領主軍とかではないのは明白だ。

 

 最低でも国軍の陸軍師団所属クラス。

 下手すりゃそれ以上の手練れだ。

 

「なるほどね。これがミユちゃんの言ってた連中かー」

『──んっふっふー。見た見た、聞いたぁ?』

 

 

 ……でたな40番台。

 

 

「なぁに? まだいたの? はやくバグってよ」

『バグってって……。別に好きでバグってんじゃないわよ!』

 

 知ってる、知ってる。

 YOUは生きてる人間に干渉できないんだもんねー。

 

「それより、君がいるってことはまだ近くにはいないね」

『そりゃーねー。彼ら、かなり慎重よ。しかも、アンタが嫌いな爆弾たっぷり』

 

 ちっ。

 言われなくてもわかってるよ。

 

「あっそー。……ちなみにだけど、アイツ等何者ぉ?」

『おっしえなーい』

 

 あっそーー!

 

「じゃ、さっさと消えてよ」

 

 邪魔。

 

『あ、でも前に言ったあれ(・・)関係だと思うわよ』

 

「あーん? あれ(・・)ってことは、……あー、王国に喧嘩を売ったとかなんとか?」

『そーそれ。……まー、アタシも実情は知らないけどね』

 

 そりゃそうだ。

 しかし、やっぱり討伐隊か何かかー……それも、国の上層部案件っぽいね。

 

 つまり、生半可な戦力ではないだろう。

 

「ふーむ、なら、連中の目的は生徒たちの捜索かな?……あるいは、」

『あるいは?』

 

 ん?

 そりゃ決まってるでしょ。

 

「遺体や遺品の回収じゃねーのぉ?」

『あぁー』

 

 あぁー、って君ね。

 YOUが、しょっちゅう言ってたあれやで? 親元に死体を返せとかなんとかいう奴。

 

「まぁ、黙って返してやる義理はないけどねー」

 

 せっかくの御馳走だ。

 黙って返してなるものか。

 

(……それよりも連中の目的がわかったなら、やりようはいくらでもあるな)

 

 ヘヘっ。

 

「よしっ! そんじゃ、まだ少し猶予あるから、いっちょ仕込みと行きますかー!」

『は? 仕込みってなによ? だいたい、あんたってば動けs$&%$&』

 

 お、バグった。

 ってことはそろそろ来るな──……ならば、まずは様子見、

 

 

   ゴンッ!

    ごとん……!

 

 

「……って、うぉぉおおおい?!」

 

 鈍い音ともに、部屋に投げ込まれる何か。

 そして、ジジジッと火花を散らす音──それは言わずと知れたあの炸裂弾で…………って、ジーザス!!

 

「様子見してる場──

 

 

 

  チュバーーーーーーン!!

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 ゴゴゴゴ……!

 

 

「やったか?」

「えぇ、内部は地獄ですよ」

 

 爆炎の吹き出す入口の壁に張り付き、そっと内部の様子を窺う偵察員にゲーツは静かに話しかけた。

 

 なるほど。

 内部は酷いあり様で、生きている生物などいないと思われる。

 

「ただ、もう一発くらい必要かもしれません。……ご覧ください。奥に隠し通路があります」

 

 爆炎の中、目を凝らす偵察員はそう言った。

 

「ほう!」

 ──隠し通路とな!

 

 偵察員の報告にゲーツ隊長は目を輝かせる。

 隠し通路。

 なんともまぁ、男心がくすぐられるワードだろうか。

 

「どれ……」

「あ、まだ危険です」

 

 腰を上げるゲーツに偵察員が焦るも、笑止。

 あれほどの爆撃で生きているものなどいるものかよ。

 

 そう言って中を覗き込めば、なるほど──5×5ほどのスペースに、爆撃で破壊されてはいるが、竈やら棚やら焦げたタペストリーやらが色々と……。

 

「……ふむ。ベンウッド、これをどうみる?」

「えー、僕ですかぁ? うーん、装飾なんかを見る限り、安っぽいですね。……隠し通路を気取ってますが、これ……、隠す気もなさそうです」

 

 やはりな。

 

 ゲーツ自身もそう思っていたが、ベンウッド卿までもが言うなら間違いなさそうだ。

 

「ふンっ。見え透いた罠だな」

「えぇ、素人は引っかかるでしょうね」

 

 あからさまな隠し通路。

 どうせ、奥には罠があるに決まっている。

 

「──で、どう思う? あの先に生徒達がいると思うか?」

「どうでしょうねー。少なくとも、見える範囲にはいませんよ」

 

 まーそうだな。

 

 たしかに、入口から見渡しても生徒の姿はおろか、その痕跡もない。

 少々のアイテムがあるにはあるが、めぼしいものはないし。当然、国宝キャルトールもない。

 

「……よし、ならばまずは一帯の安全確保を優先する! 第二派、用ー意ッ!」

「「はっ!」」

 

 言うが早いか、素早く二撃目の爆薬を準備する精鋭騎士たち。

 あとは、何も言わずとも投擲姿勢だ。

 

 目標は、部屋の隅に空いた狭い通路。

 すでに最初の爆撃でタペストリーは焼け焦げ通路はむき出しになっているそこだ!

 

「よーし、やれぃ!」

「了解──3秒後に投擲!」

 

 3、2、1────ってっぇええ!

 

 

  ズズーンッ!!

 

 

 聞きなれた振動と火薬の香り。

 

 いつも通り、手早く爆破を済ませると、内部を再度確認。

 すると、一部トラップが誘発し突き出しているほかは、二度の爆撃で惨憺たる有様で、隠し通路の内部も黒く煤けて焦げていた──……ジャキーン!!

 

「おっとぉー。……入口に槍罠か。セオリー通りだな」

「ひぇー、こりゃ初見なら気づけませんねー」

 

 爆発のあとを確かめようと一歩踏み出そうとして、目の前に槍罠が降ってくる。

 なるほど……。

 入口は一番の死角だ。罠を仕掛けるに適した場所といえよう。

 

「まったくだな。だからこその爆撃だ」

「隊長の好みでもありますよねー」

 

 それはそう。

 

「ふンっ、爆撃は男のロマンよ」

「そーいうの暑苦しんですよー」

 

 やかましいわ、

 それに、こっちはダンジョン探索は素人なんだから、こういうときは力技に限る。

 

 実際、危ない所だった。

 

 一歩踏み出そうとして、目の前に飛び出してきた槍罠を見て一同肝を冷やしていた。

 わかってはいても、ゲーツだって内心、心臓バクバクだ。

 

 どうやら爆圧でトラップは誘発したらしいが……この先、これがいくつもあると思うとゾッとする。

 

「……で、どうします? 奥まで調査しますか?」

「いや、止めておこう。見た感じ奥にはめぼしいものはないし、我らの任務は行方不明者の捜索と国宝の回収だ」

 

 ──ダンジョンの攻略など二の次、三の次なので、まずは安全化を優先する。

 

「なるほどー。しかし、爆破でトラップも誘発させたあとなので、爆圧圏内はほぼ安全なのでは?」

「あぁ、槍罠もブチ折れば問題はない……ただ、隠し通路の先まで見通せないし、奥に何が潜んでいるかは確認できン」。

 

 ベンウッド卿の進言には一理あるが、無理をする場面ではない。

 槍罠はともかく、毒ガストラップの兆候もあるし、あれは生半可な装備では防げない。

 

「たしかにですねー。ま、一応、奥の壁に武器らしいものはありますけど……。キャルトールはなさそうですね」

「うむ」

 

 まぁ、遠目に見てわかるようなものではないがな。

 それを知りつつもゲーツは、無駄な調査を良しとしなかった。

 

「我らは騎士。こンな狭い場所での戦闘行動には向かンし、のこのこと敵地に踏み入れば恰好の餌食よ」

「直線の先で狙撃兵が隠れてたらお笑いにもなりませんしねー」

 

 ベンウッド卿の言う通りだ。

 

 とはいえ、調査をしないわけではない。

 見た感じ異常がないため、ここは後回しにするというだけ、他に調査個所があるなら、まずはそっちだ。

 

「ここはもういい! 引き続きダンジョン内の捜索を開始する!──分隊、前へ!」

「「「おおうっ!」」」

 

 

 

 こうして、残るダンジョンの部屋を次々に騎士団は攻略爆破していくのであった──……。

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