ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第69話「天国の蓋」

 ボーーーーーーーーーーーン!!

 

 

「ぶはー!!」

 

 ぐぉぁああ、あっちー!

 

 ──ガランガランガラーン♪ と派手な音を立てて転がっていく盥。

 

 そして、そこから凄まじい爆風と熱が盥の隙間(・・・・)から吹き出し、身体をメラメラと焼いていく!

 

 だが、

 だが……、

 

「だがぁっぁあ、「私」は耐えたぞー!!」

 

 おっしゃー!!

 

 やったー!

 勝ったー!

 あっちー!!

 

「そして、あっぶねー……」

 

 やー。

 まじ、死ぬかと思ったわ。

 

 一瞬走馬灯が見えたでー。

 

 ミユちゃんの味とか、

 ちびっ子の味とか、

 忍者の味とか、

 リーデルちゃんの味とか……えへへ。 

 

「って、味ばっかじゃねーか!」

 

 なんなんだ、この人生!

 ……いや、箱生は!

 

「まー。美味しいからいいんだけどさー」

 

 女の子もっと食べたいし。

 ……あ、性的にとちゃうで! 物理的にやで!!

 

 (※注: それはそれでどうなんだ)

 

「しっかし、ギリギリのところで、趣味で仕掛けた『盥のトラップ』に気付かなかったら、ヤバかったわ!」

 

 え?

 そも、どうやって助かったのかって?

 そりゃーあれよ。

 

「こう、とっさに爆弾を引きちぎって、隊長ごと、盥を(かぶ)せたに決まってんでしょ」

 

 そしたら、ぼんっ! だよ、ボンッ!!

 あとは、そのへんの死体とかリーデルちゃんとか、とにかく重しをのっけて、最後に舌で押さえて、ボーーーーーーン! ですよ。

 

「いやー……、とっさとはいえ、上手くいってよかったー」

 

 そして、漏れなく爆風を食らったゲーツ隊長は黒焦げだ。

 ざまぁ!

 

 まぁ、こっちも無事ではないけどね!

 とりま、直撃しなかったし、爆風の大半は密閉空間に拡散したから被害は最小限で済んだ……。

 

「だけど、もう二度とゴメンだぜー」

 

 今度から、瀕死の奴には気をつけよう。

 

 はー。

 生きててよかったー。

 

 ……あーん?

 

 なに? そんなんでうまくいくわけねーだろって?

 

 ばーか。

 

「知ってる? これで助かった奴、結構いるんだよ?」

 

 第二次大戦中とか

 ベトナム戦争とか

 

 手りゅう弾に鞄と鉄兜を押し付けたりして、あとは自分の体で爆弾を抑え込むって方法ね。

 

 …………ん?

 第二次大戦ってなんだよ? まいっか。

 

「しっかしまー、まいどまいど部屋をめちゃくちゃにしてくれやがってー」

 

 クソ騎士がぁ。

 絶対許さんぞ。

 

「今度、騎士を見つけたらただじゃおかねー」

 

 ボカぁ、こういうことする奴が、大ッ嫌いなんだよね。

 とくに苦労した部屋をめちゃくちゃにするやつ! あと、安全地帯から攻撃する奴!!

 

 コイツは死んだから、しゃーないとして、

 

「次ぃ、騎士をみつけたら、ぎったんぎったんにしてやるー」

 

 足先からじっっっくり齧るだけじゃ我慢ならねー。

 皮を剥いで、塩につけて、辛子を塗って、

 

「あ! 背中からナイフで肉を削ぎながら、じっくり焼いてやるとかどうだろうー」

『って、怖いからやめーい!』

 

 あいだー。

 ……って、痛くないや。

 

「なんだミユちゃんか」

『なんだじゃないわよ。関係ない人に八つ当たりの計画しない、のッ』

 

 いや。

 関係なくはない。今「私」の中で騎士の評判は最低にまで落ちたのだー。

 

 ……あと、チョップすんな。

 

「っていうか、君が出て来たってことはみんな死んだのかな?」

 

 槍罠で瀕死の奴もいたはずだけど、爆撃で燃えちゃったかー。

 

『そーね』

 

 そーだね。

 

『っていうか、王国の騎士も全滅かー……。あんた強すぎない?』

「はーん? 今頃知ったのー?」

 

 ボカぁ、最強だよ!

 ムンッ! と、いつもの舌で力こぶー。

 

「ま、最強とまではいかないにしても、時間とタイミングと策が決まれば負ける気はしないね」

 

 ──人はそれを最強というー!!

 

 とくに軍隊は(ぎょ)しやすいわ。

 まー……騎士は、ちょっと厄介だと今日知ったけどー。

 

『マジかー……こりゃ、ますます手が付けられなくなるわね』

「まーねー。今日なんかほとんどポイントと肉の補給に来てくれたようなもんだしね」

 

 あと、ドロップ品もザックザク!

 騎士の正規装備なんてそうお目にかかれるもんじゃない。

 

 今までは冒険者装備とか生徒の杖とか、いまいちエレガントさに欠けたけど、この装備一式があればなんかこう……煌びやかな? そんな感じに部屋が飾れそうだぜぃ。

 

 いつぞや、リーデルちゃんも壁に飾っておいた装備をみて、安っぽいとか失礼な感想を抱いてたしね。

 あれ、地味にグサッときたわー。

 

 だけど、近衛騎士の装備のなんと豪華なことよ!

 

「これがあれば、きっとリーデルちゃんクラスの子も喜んでくれるに違いないねー」

『二度と来るわけないでしょ!』

 

 そんなことわかんないじゃ~ん!

 ボカぁ、もう一度リーデルちゃんクラスの肉が食いたいんだよ!

 

「ま、その前に装備一式片づけて、お部屋の清掃しときますかねー」

『え? もう片付けるの? いつもならもっと熟考してなかった?』

 

 いつもって、いつだよ。

 

「やー。今日はまだまだ来るからさ」

『は?』

 

 ん?

 なに、まさか気づいてないの?

 

「こいつ等先遣隊(・・・)だよ」

『は? え、うそ……』

 

 や、ほんとほんと。

 

「ボカぁ、嘘はつかないよ? こう見えて、地味にパワーアップしてるからねー。このとおり部屋も増えたし、スキルも磨かれてるっしょ? なにより、ガキを食い殺しまくったおかげで、前より感覚がするどいんだー」

 

 それによると、あと100匹は来そうな気がするー。

 まぁ、全部が全部かどうかわからないけどね。

 

『せ、先遣隊って、ことはまさか──』

「うん。本隊がいるね。そんで、多分……コイツ等より、雑ぁ魚♡」

 

 通常、

 先遣隊というものは精鋭だ。それか捨て駒のどっちか。

 

 そして、コイツはどうみても精鋭のほうだろう。

 

『ち、ちょっと……冗談でしょ? た、ただでさえ手が付けられないのに、これ以上犠牲を増やすなんて何考えてるのよ!』

「いや、「私」に言われてもなー」

 

 ボカぁ、来るもの拒まずだよ?

 たとえクソ不味そうなEランク冒険者でも食うでー。

 

「まー。大丈夫大丈夫、安心して。サク~ッと仕留めて、ジャーキーに加工すっからさ」

 

 さすがに100匹もストレージには入らないしね。

 干して加工して、キングハム君の隣に並べるのだー。

 

 わはははー!

 

『くそっ! な、なんとかしなきゃ』

「ん? なんとかって」

 

 君ごときになんともできなくなーい?

 ま、いつもどおりに無駄なあがきでもしてりゃいいんじゃないかなー。

 

 

「っと、もういないし──相変わらず行動力はあるんだよねーミユちゃん」

 

 

 ほんと、ゴーストのくせに無駄に前向きなんだ。

 

「そう言うところは見習わないとねー」

 

 よーし、そんじゃ「私」も負けずに準備に取り掛かろうかな。

 え~っと、まずは部屋を整えて──……あ! そうだ。空き時間みつけて、どっかに100匹の干し肉を加工する部屋も確保しないとなー。

 

「いくつかの大部屋をつなげれば行けるかな? 一匹あたり1×1として……最低でも、10×10の部屋か」

 

 ズラッと並んだガキが100匹ぶら下がっているところを想像して思わず喉が鳴る。

 

 うん!

 よーしやるかぁ。

 

 せっかくもらったポイントだし、騎士のポイントは騎士に還元しよう!

 乾燥部屋の作り方は頭(?)にすでに入ってるし、ログの『乾燥室』を組み合わせればあっという間だろう。

 

「あ、その前に、死体を片づけてドロップ品もどっかに保管しとかないとね!!」

 

 あー。

 急に忙しくなってきたぞー。

 

 ま、これが心地のよい疲労って奴だね!

 さ~て、どうぞ来ませい、100匹のお肉。

 

 

 

「ちゃ~んと、一匹残らず食べてあげるからねー♪」

 

 

 

 えへへ。

 楽しみだなー。

 

 ガキだったらなお、よしっ!

 

 

 

 

「ま、そう何度もガキ肉とはいかないよなー」

 

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