ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第70話「本隊投入!(※)」

「レイラ副長! 宿営準備が整いました! 次の指示を!」

「うむ! 宿営地の当直小隊以外は集合」

 

「はっ!」

 

 バシンッ!

 綺麗に綺麗をきめた見習いの少年兵に答礼したレイラは、再びダンジョン入口に向き直った。

 

「まったく、隊長もベンウッドも伝令くらいだせばいいものを……」

 

 かれこれ数時間だ。

 大したことのないダンジョンでなにをどうしたらこんなに時間をかけられるんだか……。

 

「第二小隊集合終わり!」

「第三、および第四も集合完了!」

 

 お、はやいな。

 

「ご苦労」

 

 全員の敬礼を受けて、綺麗に答礼するレイラ。

 さて、

 

「──諸君らも知っての通り、ゲーツ隊長以下12名が現在内部の安全化のため、ダンジョンを調査中だ」

 

 ちなみにそれが昼前。

 

「しかしながら、期待予定時刻を大幅に超えてもなお、未だに連絡が未着である」

 

 当初の調査予定は一刻程度。

 それを越えることはないとされていたが──……まぁ、現実はこんなものだ。

 

「よって、これより我が部隊は、伝令小隊を派遣する! おそらく内部でなんらかのトラブルがあったと思われる」

「「「は!」」」

 

 まぁ、トラブルとは言っても、大したことはないだろう。

 ここ新月のダンジョンは、暗闇のダンジョン。

 可能性としては道誤り、あるいは照明機材の不具合などが考えられる。

 

 ……もっとも、あのゲーツ隊長がそんなミスをするとは思えないが、ダンジョンとは常に状況が流動する化外(けがい)の地だ。

 

「まずは第二小隊が先行! ゲーツ隊長以下を捜索し、物資の補充、ならびに所要な伝令を担当せよ!」

「了解です!」

 

 うむ。

 第二小隊は、技量がNo2の精鋭だ。

 

 もっとも、見習いの中では──だが。

 

「次に第3小隊は、物資を準備、いつでも出撃できるように待機!」

「はっ!」

 

「最後に第4小隊!」

「はい!」

 

 第四小隊は、技量が一番不足している。

 それでも、近衛の見習いなのでそこらの騎士団に比べれば有料とは言える、

 

 装備も優秀だし、なにより、女児が多く、主に後方支援を担当するから、どうしても戦闘技量はおろそかになりがちだ。

 

「諸君らは総合予備だ! 第一小隊との当直交代を当面の任務とし、帰還隊員の受け入れ態勢を整えよ!……油断するな、内部で事故があったなら、怪我人を想定する必要があるぞ!」

「は、はい!」

 

 少し不満げな顔も若気の至りだ。

 彼女らは自分たちが予備に置かれがちな状況を良しとはしていない。だから、最後のけが人の想定ということで常に緊張感を持たせるのだ。

 

 まぁ、怪我もなにも、こんな低ランクダンジョンでする怪我などポーション一つで直るんだけどね。

 

 しかし、万が一ということもある。

 なにより、行方不明の生徒達が最後に目撃されたのがここだ──……あり得ないと思うが、遭難していた場合は、大怪我をしているかもしれない。

 またはモンスターによる食害か……さいあくゴブリンどもの慰み者にされている可能性も否定できない。

 

 まぁ、ダンジョン産のゴブリンはどちらかというと好戦的なほうなので捕虜をとるという事例は聞いたことがないので、そのあたりは心配しなくていいと思うけどね。

 

「よし、それでは各自準備を整えて、半刻後に集合!……質問は?」

 

「「「なし!」」」

 

「よし、解散! わかれ!」

 

 そういって、各小隊長が敬礼し、それぞれの小隊に散り次の指示を達していく。

 

 うむ。

 このあたりの部隊行動は完璧だな。

 

 見習いとはいえ、一度実戦を経験すればそのまま使えそうだ。

 

「……まぁ、その実戦というのが、ここ『新月のダンジョン』での実習だったんだがな──」

 

 何の因果か、やはりここに戻ってきた。

 ただし、今回は王国上層部から明確な任務を与えられて──……。

 

「生徒達の捜索、かー」

 

 まったく……。

 見習いにさせる仕事か、これが。

 

「まぁいい。隊長らが遅れているのが気になるが、こんな仕事はさっさと終わらせるに限る」

 

 彼ら近衛の見習いとて、便利使いされていい存在ではない。

 いずれは近衛騎士団の中核を担う幹部候補たち。

 

 それを雑な任務で消耗させるわけにはいかないのだ。完熟訓練も最終段階なのだから──。

 

「レイラ副長! 第二小隊は、準備よしです!」

「うむ、はやいな。……いけるか!」

 

 すでに出撃準備を整えていた第二小隊は、他小隊と違っていつでも行けるらしい。

 ならば、待つ意味もない。

 

「もちろんです!」

「よしッ、地図と携行食を確認したら、貴様の指揮で突入せよ!」

「はっ!」

 

 バシンッ!

 了解の敬礼をした第二小隊長は、そのまま隊列を組んでダンジョンに進んでいく。

 

 時刻は夕方。

 じきに夜が来るが──……なーに、この先は『新月のダンジョン』。新月の夜がごとき闇の覆われた低ランクダンジョンよ。中も外も変わりなし。

 

「いけぇ!」

「了解、突入ぅぅうう!」

 

 

 ──ザッザッザッザッザ!!

 

 

 

 こうして、レイラ副長の独断により、伝令小隊が派遣されることになった。

 

 しかして、彼らはいずれも戻らない。

 予定時刻を大幅に回っても戻らない。

 夜が更ける時刻になっても戻らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………こうしてまずは、一個小隊25名が────消えた。

 




お読みいただきありがとうございます!
是非とも高評価、お気に入り登録よろしくお願いします

次回、
苦戦を制したミミックのオヤツたーいむ♪
ガキ肉山程食いますが、本隊編というのはないのですぐに次なるステージへ……。
しかし、その前にお仕置きがですねぇ。
騎士の身体に聞いてやらねばなりませんなぁ!


感想も返してないけど、みてます!
ありがとうございます

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