ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第71話「進化」

 うめぇ!!

  うめぇぇええ!!

 

「ぎゃはははははは!」

 

 うめぇっぇぞぉぉぉお!

 

「いやー、たまんねぇねな、ガキ肉は」

 

 積み上げた25体の死体の腹をガツガツと食い漁る。

 その鮮血が飛び散り周囲に凄まじい血の匂いが立ち込める。

 

 やー。いい匂い!

 

 しかも、これを好きに食い散らかしていいなんて、最高だね!

 

「こりゃ、ビュッフェスタイルにしてもいいかもなー」

 

 学生肉をケチケチ食ってたのがバカみたいな量だぜ、ゲーップ。

 目の前に山と積みあがったガキ肉の群れをみて、満足気におくびを漏らす。

 

「ふいー……! お腹ポンポン」

 

 いやー。

 も、もう食えない……。

 

「喰った食った。食いすぎたー」

 

 満足満足ぅ。

 

『いや、マジでどんだけ食ってんのよ!』

「やー。ミユちゃん。おつかれ、おつかれー。警告はどーだったー」

 

 奴等の槍をつまようじ代わりにしながらシーハーしつつ、

 そんで、プッ! と少年兵のどっかの部位を吐き出してから、バカなミユちゃんをせせら笑う。

 

『くそっ、知っててその言い草。つーか、うげぇ……これ、全部食べたんだ』

「んー。まーね」

 

 さすがにこの量はビックリしたけどねー。

 

 先遣隊を退けた後、多分追加が来るだろうとは思ったけど、まさかまさかの100人前だ。

 正確には、たぶん、75人かなー?

 

「3個小隊で、どいつもこいつマ~ジでアホしかいねーから、こっちも腹パンパンだよ!」

 

 食いも食ったり、75人!

 やー。こりゃ、新記録だぜ。

 

 まあ、喰ったのは全部内臓だけだけどねー。保存食の「ひらき」を作るためには、内臓とか邪魔だしー。

 

『い、一日一人はどうなったのよ!』

「何日前の話だっつーの」

 

 こちとらミミックやでー。

 人間くったらパワーアップするに決まってんじゃん!

 

「今なら。まるっと十人は食える!」

 

 ガキなら詰めれば20人かな?

 

『じゅ、十人んん?!』

 

 うむ。

 試してないけど、そんくらいは余裕余裕。

 

「あとストレージも増えて、「私」超強くなってるよー!!」

 

 むんっ! と舌で力こぶー。

 ……まぁ、まだまだ75人も入らないけどねー。

 

「あ、そうそう。あとさっきガキ食ってる途中で気づいたんだけど、新スキルゲットしたかも!」

『…………は?』

 

 いや、『は?』って君ぃ。

 

「なに? もっと食いついてよ? あ、喰いつくのは「私」か!」

 

 ぎゃははははー!

 

『……ミミックジョークはつまんないから! って、なによ新スキルって!』

「や、新スキルは新スキルだよ? なんかこう……口から出す息にパワーが乗る的な?」

 

 うまく説明できないけど、そんな感じ。

 

『え? それっていつものゲロじゃん?』

「ゲロいうなし」

 

 あれは嘔吐!

 立派なスキルだっつーの!

 

 

 ……あ、そうかスキル!!

 

 

「ステータスで確認すればいいんだったわ」

 

 

 え~っと、久しぶりだからどうやるんだっけ、たしかこうステータスでろー……みたいな?

 

 

  ブンン!!

 

「お、でた」

 

 

 

 『凝視』 熟練度5(UP!)

 『舌撃』 熟練度6(UP!)

 『食いつき』 熟練度7(UP!)

 『嘔吐』 熟練度4(UP!)

 『ブレス』熟練度1(NEW!)

 

 

「おぉー! これこれ!」

『いや、見えないって前に言ったじゃん』

 

 あ、そうだっけ。

 もう、しょうがないなー。

 

「ステータスに追加されてたわ。なんっていうか、『ブレス』ってやつ!」

『ブレス……え? なに、息のこと?』

 

 多分?

 知らんけど──……あ、試せばいいのか。

 

「ちょっと、ミユちゃんこっち向いてー」

『ん? って、グロっ!』

 

 あ、まだお腹に少年兵の内臓詰まってたっけ。

 まぁそれはいいとして──。

 

「え~っと、こうかな」

 

 ハー。

 

「どう?」

『うん、不快』

 

 不快いうなや。

 君が知りたそうやから試したんやんけ。

 

『って、まさかアタシにブレス使った?!』

「うん」

 

 使った使った。

 それくらいしか存在意義のないゴーストに使ったー。

 

『むっかつくー! 使う時は言いなさいよ』

「言ったら怒るじゃん」

『言わんでも怒るわ!』

 

 それはそう。

 

『で、なによ? アタシにブレスがごとき効くとでもー』

「まぁ、ゴーストだしね。効かないかー」

 

 つーか、なにそのドヤ顔?

 

 ほんっと存在意義ないくせにムッカつくわー。

 死ねよ。

 

『もう死んでるわよ!!』

「あ、そうだったー。……って、なんも言ってないけど」

『雰囲気で分かるの!』

「えー」

 

 めんどくせーなー。

 

『で、なにしたのよ?』

「や。「安息香」ってやつー。眠るんだって」

『は? 眠りの息?! アンタの前で寝ろっての?!』

 

 うん。

 寝てくれ。できれば永遠に。

 

『さ、最悪のスキルじゃん!』

「でしょー。超ためしたい!!」

 

 ほかにも色々あるのよねー。

 

 スキルの説明をみるに、ブレスとは「私」の体内に溜まった腐敗ガス由来のモノらしい。

 なので、今は熟練度が足りないけど、『痺れガス』とか視界を奪う『白い霧』とかもあるっぽい。

 

 さらには、『毒の息』ほかにも酸性を高めた『腐食ガス』とか、引火性の強い息とかも!

 

『試すな試すな!』

「やーだよ。せっかくの新スキル。ぜひともお披露目したいねー」

 

 この分だと、ゆくゆくは火とかも吐けそうだ!

 

『げー。絶対食らいたくない奴ー』

「君はもう無理だけどね」

 

 残念だね。

 ゴーストみゆちゃん。

 

『アタシ、ゴーストでよかったー』

「前向きだなー」

 

 なんだろね。

 ゴーストになる条件って、この前向きさかね?

 

 つーか、なんだよ前向きなゴーストって、いらねーわそんなの。

 

「まぁ、存在意義のないミユちゃんはほっといて、次に来たのに、試してみよう」

『えー。まだ食べるのぉ?』

 

 食べる食べる!

 食べるよー。

 

「ほら、さっきの新スキル! あれって多分だけど、ちょうど100人目でゲットしたと思うのよ!」

 

 なんせ、今日だけで75人以上も食ったからね!

 今までの累計で考えると、それしか思いつかないじゃ~ん!

 

『うっそ。……そ、そんな最悪な条件なの?!』

「サイコーじゃん。目標ができるっていいことじゃね?」

 

 次が200人かどうかは知らないけど、知らないスキルを覚えるのはわっくわくするよ。

 そして、できることなら次は『魔法』がいい!

 

「ミミック言うたら即死魔法とかでしょ!」

 

 もとが即死攻撃が主体っだから、絶対相性いいと思うんだよね!

 

「つーか、魔法とかないと詰むわ! 遠距離攻撃がないとかクソゲー仕様にもほどがあるぜー」

 

 クソゲーが何か知らんけどぉ。

 

『ゲー……。これ以上手が付けられなくなってどうなる気よ』

「いや、どうもしないよ? 冒険者が来たら食う、ただそれだけなり──」

 

 うむ、

 真理だね。

 

『──なりって、かっこつけて言うことがそれかい! アンタが生きてる意味ってなんなのよ』

「意味を問うー? 人間だって、食べ物加工してウ〇コ作ってるだけじゃん」

『違いますー! 子孫繁栄してますー』

 

 あー。

 大事だね。

 

 子供はいいよねー(※ 意味深)

 

『やな顔で遠くを見ないの……』

「じゅるり」

 

 あ、涎。

 

「なんか子供の話してたらお腹空いてきちゃったー」

『子供の話で食欲沸く奴は、世界広しと言えどアンタだけよ』

 

 えへへ。

 

『褒めてねーよ』

「ツッコミきびしーなー」

 

 まぁ、ミユちゃんは子供が二度と作れないけどねー!

 

『むっかつくなー。なにその顔。アタシだって、いい男の一人や二人くらいみつけられるわよ!』

 はいはい。

 ほざけほざけ。

「冥婚でいいなら、いいの紹介したげるよ?」

 

 ベンウッド君とかどうかな?

 細目だけど男前でお金持ってそう──……あ、ダメっぽい。

 お腹の中でスケルトンになってるような気配がするわ。

 

『やかましわ! お腹のなかで人の婚約者探しとかすんなしし……って、出すな出すな! 溶けてる溶けてる! いらないわよ、アンタの紹介なんて!』

「まぁまぁ、今度いい男いたら紹介するからさ」

 

 そして、できればそいつと成仏してくれー。

 

『けっこーです!!』

「そういわずにさー。物は試しだよ──会ってみたら、案がい気があうかもよ! あ、ほら。ちょうど、いいのがそろそろ来そうだし」

 

 物は試し。

 ミユちゃんの彼氏を捜しつつ、「私」のブレスも早速試したいねー。

 

『だーれがアンタのしょうかい’T’&え?、うそ──……まだくる&’&(&%’』

 

 うんうん。

 まだまだ来るよー。

 

「なにせ軍隊だもんねー」

 

 なんの成果も出せずに撤退はできないよねー。

 ぷぷっ。マジ軍隊ってざーこ。

 

「……さーて、そんじゃ、ミユちゃんの彼氏でも見繕いつつ、念入りに歓迎してあげよう」

 

 多分、本日最後の客っぽいしね。

 しかし、全部で100名超えの肉の山か。

 

「まったく、嬉しい悲鳴とはこのことだね。ブレスも試せて、100人の軍隊で保存食まで作れるなんて!!」

 

 

 ──まさに軍隊めし!

 

 

「あぁ、嬉しい! 今日はなんていい日なんでしょーーーか!」

 

 いえぇぇええええい♪

 サイコー!!

 

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