ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第74話「捕虜虐待」

「おーい、起きろー」

 

 ペチペチペチ♪

 

「早く起きたほうがいいぞー」

 

 ぺ~チペチペチッ。

 

『ちょ、ちょちょ! あ、あんた、なにしてんの! 女性の顔を舌で顔を叩かないの!』

「いや、叩かんと起きんやん?」

 

 水ぶかっけてもいいけど、めんどい。

 

『なんで起こす必要があるのよ!! もう、そのまま──』

 

 ばーか。

 寝たままなんて、つまらんでしょうに──。

 

 こう、起きてるところに、うひひひっ!

 

『だから、そういうところが趣味がわ%&&%)&(?!?!?!』

 

 はい、バグったー。

 つまり、お目覚めだね~♪

 

「ぅ……?」

「おっはよー♪」

 

 死体の山から引きずり出した女騎士──レイラちゃんとやらが、ぼんやりとした目で覚醒する。

 まだ事態がつかめていないのか、舌で両手を抱えて引きずり上げている「私」を、焦点の定まらない目でぼーっと見ているのがその証拠だ。

 

「えっと……こ、ここは?」

「やーやーやー! おはようおはよう」

 

 そして、おはよう。

 

「ここ〜? ここはダンジョンだよー♪」

「は? ダン……? は? は? え、ええ?」

 

 うん。

 そろそろ、しゃんとしてねー。

 

 スパーン!!

 

「ひぐぅ!」

「おーい、見えてるー? やっほー」

「は、はぁぁああ?! なんあなななあああ、」

 

 おーおーおーおー。

 パニくってる、パニくってる!

 

 ようやく、自分が装備をはぎ取られた状態で腕を掴まれ吊り下げられていることに気付いたらしい。

 

 それも、この「私」にだ。

 

「ひぃぃぃいいい! な、なんだこれは! なんだお前はぁぁぁああ!」

 

 おほっ♪

 その顔その顔ー!

 

 このままバクンッ!! と喰らいつきたいのをグッっと抑えると、ニコリと優し気に笑う。

 

 だってここで食うとこれからの楽しみがなくなるもんねー!

 ……とはいえ、今のこの瞬間も間抜け面してるときに食うのも絶対美味しいのは分かってるけど、

 

(ここは、ぐっっとがまーん!)

 

 そのほうがもっと美味しくなる気がするしー。

 

「──やはははー。見ての通りのただの宝箱でーす!」

 

 人食う宝箱だけどねー。

 

「なぁぁ!? た、宝箱だと?! 貴様のような箱が──……」

 

 

   ぐぱぁ。

    もわぁぁぁ……!

 

 

「──ぎ、ぎぃゃぁぁぁああああああああああ!」

「おっと失礼」

 

 ちょっと、あまりにも旨そうだから、ついつい本能で喉が開いてしまったよ──てへへ。

 中に詰まってるガキどもの内臓みたー?

 

「ひ、ひぃぃいいいいいいいいい!」

「いや、ちょっとうるさい……」

 

 挨拶しただけで、悲鳴を上げられるとか、さすがにショックーだわー。傷つくわー……あ!

 

「……ごめ、もしかして、匂った??」

 

 そんで、内臓だけになった皆と再会したぁぁ?

 

「なぁぁぁあああ! ななんななあああああああああ!!」

 

 あはは!

 おぉ、この分だと、グッチャグチャにミンチになった皆を見ちゃったかな?

 

 そら、口臭も酷くなるわなー。

 

 たしかに、ベンウッド君とかゲーツ君はこの中だよー。

 君の可愛い少年兵たちもね~。

 

「ほーら、皆も内臓(もつ)だよー」

 

  ぐばぁ……!

 

 ひーふーみー。

 しめて、数十人分はあるよー。

 

「ぎゃ、ぎゃあああああああああああ!!」

 

 あはははは!

 あははははは!

 

 ビビってやんのー。

 

 ただの、内臓処理しただけの残滓なのにねー。

 開きにするには邪魔だから食った。

 

「なぁぁあ! なんてことを!! 貴様、映えある騎士を食ったというのか!! ゆ、ゆるさん! ゆるさんぞー!」

 

 いや、別に許して欲しいとか言ってないけど?

 そも、映えあるもなにも、ハエがたかるだけだよ。ほっといたら。だから、美味しく食べる「私」に感謝してほしいくらいだ。

 

「しかも、貴様ミミックだな?! は、箱の分際で貴様ぁぁぁあ!! たかがミミックがしゃべるなぁぁあ!」

 

「はい、はい」

 

 箱で悪かったねー。

 そして、正解。吾輩はミミックでーす! 名前はまだない。

 

「つーか、今さらおっそーい! いや、マジで遅いよ。その辺の冒険者でももうちょい理解早かったで??」

 

 部隊が全滅して、

 とっつかまってからようやく気付くとか──あ、もしかして、君って無能?!

 

「あ、それなら納得」

「な、な、な──……」

 

 うんうん、

 この致命的な察しの悪さ────決まりだね。

 

「超~~~~無能ーーーーーー」

 

 ぎゃはははははははっは!

 

「ぎゃーはははははははは!」

「んなぁっぁああああ!……わ、笑うな!」

 

 ──笑うなぁぁあ!

 

「いやいや、笑うって! ぜったい笑うって!」

 

 もう爆笑よ爆笑!

 

「最後の最後でようやく、『貴様ミミックか〜ん!』って、ぶぷぷぅー!」

 

 「私」が人間だったら、

 顎を突き出しながらミユちゃんばりに野次るとこだけど、口真似だけでごめーんね。

 

「ぬがぁぁ! は、放せぇ! 放せぇぇええ!」

 ギッシギッシ!

「いや、放すわけないやん」

 

 まぁ、放してもなんもできんやろけどさ。

 

「クソがぁぁあ! 舐めるなよ! わ、私を誰だと思っている! こ、近衛の私に掛かればなぁぁ!」

「はいはい。捕まってて、何を偉そうに」

「くっ! 偉そうではない!……え、偉いのだ!! 私は指揮官だぞ! ぶ、部下がすぐに来るぞ! 貴様なんぞ、隊長や精鋭にかかればぁぁ!」

 

「ぶふッッ……!」

 

 いかん。

 思わず吹き出してしまった──あ、ごめん、ちょっと内臓がついちゃったね、舌で拭き拭きしつつ。

 

「いや、君ぃ。まだ理解してないの? 無能ですかぁ?」

 

 あ、無能だったわー。

 

「んな! だ、誰が無能だ! 誰がぁっぁああ!」

「いや、だから君やて。……つーか、隊長に部下って……あ、まだ、そこ?? って、かーんじ」

 

「は? り、理解だと──……?」

 

 うん。

 あと、無能ー。

 

「くっ! 馬鹿にしおってー……! は、箱に答える舌など持たんわ! 部下どもがすぐにだなー」

「いやいやいや。マジで言ってるー?」

 

 突入してきた君らの目の前でも、何匹仕留めたと思ってんねん?

 

「あ。もしかして、あれか? なんだっけ……外傷性健忘とかいうやつ?」

 

 ほら、あれ。

 殴ったら、記憶を失いましたーってやつ。

 

「うーん。それだと困るなー。いたぶる楽しみが……げふんっ。尋問できなくなるし──」

「ふ、ふん! 何が尋問だ──そうだ! 今に来るぞ、我が精鋭が! そうとも、1000人からなる王国陸軍がだなー」

 

「いやいや、千人って」

 

 ぶぷー。

 この子、すっごい嘘つくやん?

 

 しかも君ら近衛やろ? 知ってるでー。

 

「はいはい。1000人は、ワロスワロスゥ。……つーか、君らはせいぜい100人規模やろ? 隊長らをいれても、120はいない感じでしょー」

 

 正確には、この子いれて113とか114かな?

 あの雑魚冒険者を頭数にいれていいかは、分からんとこやね。

 

「な──なぜそれを!」

「いや、なせって……」

 

 食うたもん。

 仕留めたもん。

 

 ……しかも、その言い方じゃ認めてるのと同じやで?

 

 この子、もしかして、馬鹿?……あ、つかまってる時点で馬鹿やったわ。つーかコイツ等全員雑魚のクソ馬鹿だったわ。

 

「くっ! おい、お前たちどこにいる! 出会え、出会えーーー!」

 

 いやいやいやいや!

 出会え出会えーって、君ぃ。そんなん時代劇でしかきいたことないで?! リアルで聞いたの初めてやで!

 

 ……時代劇が何か知らんけど。

 

「くっ! な、なぜ誰も来ない?! き、貴様ぁぁ、私の部下に一体何を──」

「なにをって……。あー、見る?」

「は?」

 

 ……うん。見たほうが早いかな。

 ちょうどさっき完成したばっかりだしね────さん、はいッ!!

 

 

「じゃ、じゃーん!! ガキ100匹の生首タワーーーーーーー!」

 

 

 いえーい♪

 パチパチパチー。

 

 どんどんぱふぱふー!!

 

 

「上手に並べましたーーーーーーー♪」

 

 うんうん。

 イメージ的には、紙吹雪がちってスポットライトが当たってる感じー。

 

「……あ、もちろん、ちゃんと食べるよ? 食べ物で遊ぶの「私」の趣味じゃないし!!」

 

 そこだけは、きちんと言っとくよー!

 

「………………は? え? は?」

 

 ん?

 あれ?……まだわかんない?

 

「いや、これは──え?……な、生首タワーって……え? は? え?」

「いやいやいや、「え、は?」じゃなくてさー。君が会いたがってた部下の少年少女たちだよ。あ、タワーじゃなくてピラミッドだっけ? ま、なんでもいいや」

 

 ほら。

 

「……えーっと確かこの子は、」

 

 ぬちゃぁ……と、

 ピラミッドのてっぺんに置いといた、血の涙を流したままの第4小隊長ちゃんを持ち上げて──ほいっと掲げると、

 

「どうどう? この子がお気に入りでしょ? たしか、『たいちょー……いたいですぅ、たいちょー』──って最後、言ってたよー」

 

  ぷぷー!

 

 そう言って、持ち上げた生首の口をパクパクさせて口真似してみたー。

 似てるかは知らん。

 

 あと、死後硬直で顎が固まってたので、バキバキと嫌な音がしてるけど、それも知らーん。

 

「……ひ、ひっぃぃいいいいいいいいいいいい! な、ななな、なんてことをぉぉぉおお!!」

「おぉー!!」

 

 その顔その顔!

 

「ば、馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿なぁっぁああ!!」

「いやいや、馬鹿はそっちー」

 

 ここまでやって、ようやくわかったー?

 

「そ、そんなっぁああああああああ!!」

 

 ──い、い、い

 

「いやぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!」

「あはは! そうそう、その顔が見たかったんだよー」

 

 あははははははは!

 あははははははは!

 あははははははは!

 

「あははははははははははははははは──ほーら、みてみてッ♪ これも全部だよー」

 

 ドーーーーーーーン。

 

「『たいちょー、たいちょー』『レイラたいちょー、痛いいいいい』……ってみんな言ってたよー♪」

 

 知らんけどー。

 ぶぷー。

 

「はい、そんじゃこれ。第1~3の小隊長の生首も詰め合わせもー!」

 

 あーげるー。

  ぽーいっと。

 

 

 どさっ、ゴロゴロ…………。

 

 

「ひ、ひぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 

  いいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

   いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

    いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

 

「あはははははは! あはははははは! はははははははははははははははははは!」

 

 いやー!

 いい!

 

 実にいい!!

 

「いいいいいいいいいよぉぉぉおおおおおおおおおお!」

 

 君ぃ!

 いいよーーーーー!!!

 

 その顔ー!

 その顔ぉぉおお!

 

「そして、漏らしてるぅぅぅうう!」

 

 うひゃはははははははー!!

 

「……いやー。これだけのために生け捕りにしたかいあったわー」

 

 あーやべぇ、興奮してきたー。

 

 あ。

 うそうそ、もちろんこれだけのためじゃないよ!!

 

「……でも、ひーっひっひっひっひ!」

 

 あーダメ。

 

 お腹痛いわー。

 笑いすぎたわー。

 笑いで殺されるわー。

 

「いやーん、殺されちゃうぅぅううん♪」

 

「そ、そんな、そんな! そんなぁぁぁぁああ! まさか、全滅だなんてぇっぇええ!!」

 

 ──そんなぁぁぁあああああああああああ!

 

「あははは! そりゃそうでしょ。ガキをいくら送り込んでも、ガキはガキだよー」

 

 つーか、舐めんのー?!

 

 あ、私は舐めてるよ。

 君たちを丹念に味わって舐めてるよー!

 

「そして、ガキ肉をありがとうねー。あとで美味しくいただくから安心して──」

 

 うふふ。

 皆を食べて、お腹のなかで行進してもらうんだー。

 

 おいっちにー、おいっちに~♪

 お・な・かで行進、おいっちに~おいっちに~♪

 

「────……というわけで、そろそろ本題にいこうかー」

 すん。

「ひ、ひ、ひぃ……!」

 

 うん。

 それはもういいから。

 

「はい、それより、切り替えていこうか!」

 

 ぱーーーんっ! と、舌でおもくそひっぱたいてやる。

 いつまでも呆けられてちゃ面倒なんでね。

 

「ひぎぃ!」

「──で。どう?……君は身体のほうは大丈夫? クッッッソ手加減したし、一応鍛えてるっぽいから、丈夫だよねー?」

 

 まぁ、喋れてるだけで上等上等。

 

「ぐぅぅっ……き、貴様ぁ……」

「はいはい、睨まない。睨まない。まぁ、そんだけ睨めれば元気かな?」

「な、なにが元気なものか! 私だけを生かしてなんのつもりだ──…………はっ。ま、まさか貴様!」

「ん?」

 

 ……なに?

 

「ま、ままっまま、まさか──!! わ、わわわわわ、私を手籠めにする気か! さ、させん! そんなことにはさせんぞぉぉお!!」

 

「は?」

 

 …………は?

 …………はぁ?

 

「…………はーーーーーーーーーーーーーー????」

 

 え?

 いや。な、何言ってんの、この子?

 

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