ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第79話「ダンジョンマスター(※)」

 というわけで──。

 

「かんせー!!」

 

 いえー。

 どんどん、パフパフパフ~♪

 

「みてよこれ!」

『みてるみてるー』

 

 いいね♪

 そして、このとおり、ついにほぼ全地域を網羅したのだー!

 

『まるでアリの巣ねー……』

「言いえて妙だね! じっさい隠し通路で全部屋繋がってるからねー」

 

 ダンジョンは思った以上に広大だった。

 

 それに、ミユちゃんやレイラたん情報にもあった通り、

 奥の方はギルドでも把握していないほど広く、判然としなかった。──ただ、「私」も無駄に奥まで制覇するつもりはないので、今のところは放置することにした。正直、先に行ってもねー。

 

 だが、

 それを抜きにすると、一般的にダンジョンとして探索できるエリアはほぼ網羅したと言えるだろう。

 

『んー……? 奥の未探査エリアはともかくとして、近場の端っこ(・・・・・・)の方とかはいいの?』

「あーそのあたりね。やー、さすがにそんな重箱の隅をつつくようにはしたくないなー」

 

 なにせ、このダンジョンに生息しているのは「私」だけではない。

 ゴブリンやスライムなんかの魔物も生息しているのだ。

 

 そして、基本的に「私」と彼らは獲物の競合関係にあるらしく、そいつらは決して「私」のテリトリーに近づくことはなかった。

 

 まぁ、そら、どっちも主食(?)は人間だしね。

 それを取り合うなら、絶対的に「私」が優位なのだ。なにせ、こっちのが強いし、色々スキルも持ってるからねー。

 

「──なので、そのあたりは彼らの領分ってことで」

『へー。やっさしー』

 

 うん。

 優しいでしょー。

 

『っていうのは建前でしょ?』

「まーね。……ほら、「私」ってば、強すぎるからさー。冒険者が戦う相手としては、役不足なわけじゃん?」

 

 ソロならほぼ一瞬。

 軍隊でも罠に()めればラクショーときた。

 

「だから、ふっつーの雑魚でクソ味噌アホ冒険者の相手はゴブリンとかに任せた方がいいかなーって」

 

 それに、そういった雑魚とかもいないとダンジョンらしくないしね。

 なんだっけ、え~っと、彼ら(・・)も山の賑わい……だっけ? あ、枯葉だっけ? ま、なんでもいいや。

 

『相変わらず、地味に口が悪いんだから……。でも、なるほどねー。たしかにゴブリンも何もいないダンジョンって、なんかびみょー』

 

 だよねー。

 そして、なかにはR18展開を期待する人もいるかもだし。

 

『それはない』

「なんもいってねーよ」

 

 ったく、相変わらず人が口に出してないことこを──。

 

「──……で、なんだっけ?」

『ほぼ、かんせ~♪ ってとこね』

「あーそれそれ。ま、見ての通り、ダンジョン中を支配下においたのだー!」

 

 みてみて!

 いつもの部屋に、追加のお部屋!

 

「たくさん作って超満足ぅ!」

『もう、案内は結構よー』

 

 えー。

 聞いてよー。

 

『どうせ、トラップたっぷりの泉の部屋とか、本家ほんものを真似たセーフポイントとかじゃん。……知ってる知ってる』

「そりゃ、君とかレイラちゃんか聞き取りしたからね」

 

 その中でも、疑似セーフポイントは最高傑作だ。

 まぁ、ふたりとも実物は見たことがないので伝聞程度だけどね。

 

『あとはなんだっけ──『無人市場』『冒険者ギルド』だっけ?』

「そうそう。皆に馴染みのある場所もつくったほうがいいかなーって」

 

 無人市場は、ほら田舎にある無料販売所とかのイメージ。

 まぁ、払って貰うのはお肉になるわけだけどね! へへ。

 

 あと、冒険者ギルドのほうも中々の傑作だ。

 馴染みある空間だと、ついつい気が緩む(とか限らない)からね!!

 

「あとは、大型食肉センターかなー」

『そこはマジで勘弁して……』

 

 えー? なんでー?

 レイラちゃんの尋問もそこでしたのにー。

 

『いくらアタシが一回死んででも、あそこはもうやだ……』

「いい匂いなのにー」

 

 まぁ、名前の通り、ガキ肉やら騎士見習いどもを加工した部屋だ。

 内臓を取って、身体を開いて──骨は叩いて砕いて、適当にポーションとか岩塩とかをぶかっけて味付けしたのを干しただけ!

 

 なんでポーションって?

 そんなん味変に決まってんじゃーん。

 

 岩塩も気持ち程度しかないしね。

 ……ここに入る冒険者は所持品に食い物関係がイマイチなんだよなー。

 

『あそこ精神的にくるのよ! つーか、子供が干されてる部屋は普通事故物件っていうの! それかサイコパスの部屋よ!』

「しっつれいなー」

 

 人の食料になんてことを!

 

「あと、みんなちょと前まで生きてたんだよ! そんな毛嫌いしなーいの!!」

『おめぇが言うなし! 皆、お前にだけは言われたくないって思ってるわよ!』

 

 そ、そんなことないし……。

 皆慕ってくれてるしー……。舌なだけに!

 

『バーカ! どこの世界に干し肉希望の生徒がいるのよ! ったく──……無駄なことにばっかポイント使いやがって。それもみんなの命でしょ!』

「だからちゃんと有意義に使ってるじゃん!」

 

 空き部屋にもトラップしかけたもーん!

 ったく。

 

「……それより、ミユちゃんさー。時々フラフラしてるけど、ダンジョンで変なの見なかった?」

『変なの……? ここにいるけど』

「あー、お前な」

『おめぇだよ』

 

 お前だっつーの!!

 

「って、そうじゃなくてさー。なんか最近、変な気配がたまーにするんだよね」

『だから、変はあんただって!』

 

 やーもう!

 冗談でなくて、

 

「なんか、こう……ウ〇コとかあったし」

『ウン〇?』

 

「うん、ウン〇」

 

 ……や、ジョークじゃなくてね。

 

『ふーん』

「だから、ジョークじゃないって!」

『いや、その糞じゃないわよ。別にかけてないから!』

 

 ほんとにぃ~。

 

「っていうか、ミユちゃんのじゃないの?」

『し、してるか!! アタシがウ〇コしてるように見えるのかっつうううううううの!』

 

 いや、知らんし。

 そんな怒るなよ。

 

 つーか、ウ〇コしないとかアイドルかお前は!!

 ……アイドルが何か知ら以下略。

 

『あるいは、そうねー。……あ、誰か住んでるんじゃないのー』

「まっさかー」

 

 あはははー。

 

 こんなとこに住むなんでよっぽど変人だよ、それに、人がいたら感知にひっかかるもん。

 まぁ、よほどの高レベルか、ランク上の冒険者ならいざ知らず──雑魚の冒険者を見落とす「私」ではない。

 

「そんなのがいたらとっくに見つけてるよ。ダンジョンをほぼ網羅した私に死角はないのだー!」

 

 …………うん。

 ない、よね?

 

『──でも、ゴブリンとかは全然みかけないじゃん』

「う。……だ、だから、アイツ等、隠れるのうまいんだよ!」

 

 感知だって万能ちゃうわーい!

 

『はいはい』

「くっそー。適当に返事しやがってー。全然信じてないでしょ!」

『いや、アンタのなにをどう信じるのよ。だいたい、見落とすもなにも、最近、ずっと部屋造りしてただけじゃん』

 

 うぐ……。

 それを言われると弱いな。

 

「しゃ、しゃーないじゃん! 最近は全ッ然獲物が来ないんだもんよ!」

 

 ガキ肉と騎士肉で食料は大丈夫だけど、新鮮味にはかける。

 

『そりゃそうでしょ! アンタ何人食い殺したと思ってんの?! さすがに、あんだけ仕留めたら、そうなるでしょ──レイラさんも言ってたじゃん!』

 

 言ってたけどぉ。

 

「うーん、まーね。……ちなみに今は外はどうなん?」

『けっ。これ以上、アンタになんか教えるわけないでしょー』

「どけちー」

 

 ちっ。

 使えねぇ

 

『舌打ちすんな。友達じゃねーから!』

「こっちのセリフだなー」

 

 まぁいいや。

 今日はお肉のお世話しよーっと。

 

 最近はレイラちゃんにかまけてておざなりだったからねー。

 

「たまに水分とか温度の管理しないとカビるんだよね」

『生徒達をサボテンみたいにいうなし……!』

 

 似たようなもんだよ。

 なにせ、まだまだ水分も抜けきってないし──っと、

 

 

 

「…………あん?」

 

 

 

 なんか来たな……それにしては気配が妙な──。

 

 

 

 

「むー?」

 

 なんだろう?

 入口付近に妙な気配が集まってるぞ?

 

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 同時刻……。

 

 ──新月のダンジョン入口にて。

 

 

 

「よーし、集まったな?」

「へい! 腕利きを14、5名ほど!」

 

 上等上等!

 

「しかし、旦那ぁ。なんだってこんな夜に? 準備も手間がかかっていけやせんぜ?」

「バーカ。俺はお尋ね者だっつーの! のこのこ昼間に村に顔をだしたらあっという間に衛兵に取っ捕まるぜ」

 

「あー。それで」

 

 呆れた顔の出っ歯のシーフ。

 

 まぁ、昼だろうが夜だろうが、今このダンジョン付近に人はいないんだけどね。

 かつてはダンジョンの出入りを確認する管理人がいたのだが、冒険者ギルドが機能していないので、絶賛管理は放棄──ようは無人だ。

 

 その証拠に、

 こうして、仮説拠点にしている管理人小屋もこの通り無人である。

 

「つーか、てめぇらこそ、お尋ね者だろうが! 『暗殺ギルド』に『盗賊ギルド』の腕利きといやぁ、賞金額も高いんだろ?」

「へっへっへ」

 

 そりゃもうー。と言わんばかりに意味深に笑う腕利きという触れ込みの男たち……一部女含む。

 ほとんど全員が覆面をしているのでわからないけどね。

 

「まぁいい。それより──さて、最終確認だ。全員、(ブツ)は持ったな?」

「もっちろんでさぁ、呪符に爆弾──火炎放射器もガスもありやす……おい、しっかり持ってろ」

 

「……ぅ!」

 

 ジャラリと鎖で引きずられたのは裸足の少女。

 髪はムシられ。顔面はあざだらけ──オマケに身体中に縄や鎖の後はもとより、注射痕やら、傷口に薬を染み込ませた後がびっしりと残っている。なんか汚い液体のこびりついた後はあるし、匂いもちょっと……。

 

 ……おかげで目は完全に焦点を失っていた。

 

「おいおい、そんな細い体のガキに荷物が持てんのかー?」

「構うこたぁねぇ。これでも高貴な出なもんでレベルは高いんだよ。──細いが頑丈だぜー、夜の使用で確認済みだからなッ」

 

 

  ──ぎゃははははは!

 

 

 下卑た笑いを浮かべる男たち。

 わずかな女盗賊に女暗殺者どもは首をすくめるだけ。

 

 まぁ、誰も少女のことなど気にしないのは明白だ。

 

「そんじゃ。問題ないってことで──いくぞ!」

「「「おうよ!」」」

 

「報酬は期待してるぜー!」

「俺はそのガキを貰うからな」

 

 ──わっはっはっはっは!

 

 こうして、月も登らぬ新月の夜。

 後ろ暗い男たちが、完全武装でダンジョンに突入していく。

 

 

 

 

 ──鎖でつながれた少女を引きずりながら…………。

 

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