わんわんわん!
ぐぉぉおおおおん!
「おほっ♪」
次に何が来るかと思えば、犬っころかよ!
「ひゅー! 使役した獣を放って「私」を追い詰める気かー」
ふっふーい!!
いいね、いいね~!
今回の侵入者は期待できそうだー!
「……そして、甘いわぁぁあ!」
獣ごときが「私」に勝てると思うなよ!
──そぉい!!
「トラップベース発動!!」
いつもの部屋。
初期配置である5×5の部屋に鎮座していた「私」は、配置でなるべく奥の──3×3の隠し部屋に逃げ込んだ!
もちろん、相手は獣だ。
しかも、血の匂いをプンプンさせている私なんぞ、どこに隠れても特定するだろう!
その辺は人間のローグなんかよりもよっぽど優秀で──……。
「──そして、よっぼど御しやすいねぇえ!」
『『『グッォオオオオオン!!』』』
はーい、来たねぇ!!
「──そして、死ね!」
ジャキンッ!!
装填音も頼もしくボウガンを携える「私」ぃ!
そこに、
さらに後方にも気配を連ねてることから最低でも5、6匹以上はいるが、これで十分だ!!
「あはは! 狙い放題、撃ち放題!」
何のための一本道だと思っていーーーる!
横にも上にも躱せず死ねッ!
「ていっ!!」
『ギャイーーーーーーーーーン?!』
まずは一匹の脳天にボルト弾をぶちこんで即死させる。
いくら地の速度が速かろうと、なんだろうとこの狭い通路なら狙うは一直線のみ──外すわけもない。
さらに!
そこに、すかさずブレース!
「くらえ、毒の息──!!」
ハー……!
どぅ、と倒れた犬ッコロを無視して、私は思いっきりブレスを発射!
『『ギャワーーーーーン?!』』
刹那。
残る二匹も、まともにこの空間の中でブレスを吸うと、思わず怯んで足を止めた。
さすがに大型の獣なだけあって即死とはいかないが、それで充分!
なにより、犬ッコロは臭いに敏感!
ならば、ブレスはよーく効くことだろう。
あとは簡単。
「あははっ、足を止めたら負けだよ!」
ま、所詮は犬ッコロか。
「私」に勝てる要素なんて速度だけぇぇえ!
「しゃおらっ!」
気合一閃。
ブンッ! と、地面に転がる犬ッコロの死体を近くの罠に向けて投げると、毒ガストラップにぶつけてを起動させる!
──ブシュゥゥウウ!!
『『キャインキャイン!』』
途端に通路に吹き出すそれ!
「わーっはっは!」
みーたかー。
これぞ、毒のコンボであーる。
おかげで通路に侵入していた数匹がまともに食らってのたうち回るのを見てほくそ笑む余裕すらある。
うーん、我ながらこの鮮やかなる連携に我ながら惚れ惚れするねぇ!
「しかし、さすがに後続の犬っころは無事だわな」
どうやら、あからさまなその毒の香りに、手前の部屋で足踏みをしているらしい。
……もちろん、そんなことは百も予想済みだ。
「さーて、膠着したら、あとは仕上げかな」
『キャインキャイン』『キャウーーン……!』
通路内の犬ッコロが鼻を抑えて蹲り、次第に動きを鈍らせていく。
人間よりは毒の周りが早いが──……いかんせん、毒ってのはまわりくどい。
「だから、ビビって近づかなくなるのは想定済みー」
バルサ◯を炊いた中に突っ込める害虫はいまーい。
それは犬とて同じこと。
「なので、ここは一気に勝負をつけさせてもらおうかなー」
ここで奥の手、ガキの手、騎士の手だ。
レッツ嘔吐ぉぉ!
──おろろろろろ~!!
「おえーっぷ。……さーて、手早く片づけちゃってねー」
嘔吐で腹の中にしまっておいた騎士団の骨を吐きだすと、予想通り起きだし動き出す。
その数体。
『おぉぉおお……!』
『ウギギギギギ……!』
『コカカカカカカ──!』
ゾンビ1
スケルトン2
十分十分。
その数のアンデッドが、いれば十分さ!
「いけーい、私の騎士団よー!」
ガキと違って大柄で中々迫力のある骨が、生前の装備のまま動き出す。
大盾に金属鎧にランスに長剣!
──あとは本能のままに!
「ゆけぇええい! 突進!」
そして、大盾で通路に溜まった毒ガスを押し出す形で進めぇぇえ!
ザッザッザッザッザッ!
ウギギギギギギギギ……!
『『『ギャィーーーーーーーン?!』』』
「はっはっはー! どうだい? どうだーい!」
ガスが滞留するならさー。
押し出してやればいいのさー!
まずは通路内の犬っコロが絶命。
さらには、それすら足蹴に進んでいくアンデッドがドンドンとガスを押して進む進。
狭い通路を、その手に大盾を構えて鎧の面積を前にして、本能のままに骨の関節を不気味に軋ませながら進んでいく。
『ぎゃん?!』
『きゃんきゃんきゃん?!』
お、効いてる効いてるぅ。
悲鳴が響いたかと思えば、向こうは大惨事だろうな。
通路に入れず二の足を踏んでいる連中のことだ、まさか毒が押し寄せてくるとは予想もしていまい。
もちろん、こっちのアンデッドは毒なんかにビクともしない。
なので、あっという間にガスとともに突っ込んでいくアンデッドたちー。
よし、あとは詰めだね。
「やっぱ、大軍にはガスが効くぅー」
隠し通路の先では、まとまったガスを浴びた犬ッコロが昏倒していく様子がまざまざと見えた!
あれ?
大軍? 大群?
ま、どっちでもいいけど、数に頼む連中の対策はバッチリだぜー。
「そして、まだ終わりではないぞー!」
このアンデッドはただの木偶にあらず!
凶暴な騎士の骨ー!
「やれーい、「私」の騎士団よ!」
『『『ぎゃわーーーーーーん?!』』』
こうして、ガスで怯んでいたところを、アンデッドに強襲された犬ッコロが一瞬にして全滅。
骸骨やゾンビどもの手によってズタズタに斬り裂かれていった。
はーっはっはっは!
「私」最強!
敗北が知りたいわー。
「しかし、犬かぁー……」
ゴクリ。
まともに抵抗もできず、絶命した犬をみて喉が鳴る。
「──……よし、喰おう!」
たまには人肉以外も賞味してみてぇぞ!
なので、
「いっただっきまーす!!」
あーん。
舌を伸ばして、通路に転がっている一体をつまみ上げると、パクリと口に放り込み──咀嚼!
バリ、バキィ!
ゴリゴキキキ……!
「んんー……!」
うまい!
野性味たっぷり!
人間と違う風味がまた、じつにいい!!
ちょっと小骨が多いけど、これはこれでいいかもー!
「うん!」
犬うまー!
『それオオカミ!!』
あ、ミユちゃん。
「はに?(なに?) いひの?(いたの?)」
ボリ、ゴキッ。
『いるわよ! ずっといるわよ! つーか、食いながらしゃべるな──……よく犬なんて食べれるわね。おぇー』
犬ゆーてるやんけ。
オオカミとちゃうんかーい。
『そ、そうよ。犬じゃなくてオオカミ! ダイアーウルフよ!」
「ダイアー?」
あー、『恐ろしい』オオカミ、かな?
意味的には。
「つまり、ただの犬じゃん」
恐ろしいかろうが、面白かろうが、使役されてる狼なんて、犬以外に何物でもない。
そして、いまやただのドッグミートだ。
「つーか、どうしたん? 戦闘中に珍しい」
『だから、いっつも近くにいるから!』
「えー……」
マジぃ?
いやさ、急にそんなストーカーの告白いらんのやけど。
怖いんですけどぉ。
「つーか……。あー、そっか! 犬は人間判定じゃないから、バグらないのね」
『バグるのがデフォみたいに言わないでよ……。つーか、犬とか猫は結構私のこと見えてるわよ』
えー、まじぃ?
そういや、猫とかたまに壁の方とかじっと見てるとか言うけど、やっぱりアレって霊がみえてんのかなー?
……まぁいいや。
「それで思わずツッコんだと?」
『犬とオオカミを間違えてたらツッコミもするわよ』
そうー?
「ま、なんでもいいや。そろそろ移動すっから、あとよろしくねー」
『は?! 移動って、ここで戦うんじゃないの?』
何言ってんの。
おそらく偵察──もしくは囮だ。
「向こうがこっちの居場所を把握するために放った獣だよ? そんなことにいつまでもいるわけないじゃーん」
ミミックは待ち伏せが基本だよ。
向こうにバレてるなら、そらぁ、対策くらいするがな──なので、バイバーイ!
『あ、ちょっと──』
はいはい。
待たない待たない。
犬ッコロは数匹を残して、あとは回収。
おいしくいただくとして──……あ、そうだ。
「ミユちゃん、どいて」
『わ、まだいた!』
いや、そらね?
配置からの移動って、そんなすぐじゃないし──……っと、体内ストレージからアイテムを取り出して~っと、
「──ん! これでよしっと」
ゴソゴソと、犬の死体に色々細工ー。
『あー!
「そりゃねー。置き土産くらいするさー」
連中ならそう簡単にはひっかからないだろうけどね。
それはそれとして、やっておくことに意味があるのだー。
……っと、
「そんじゃ今度こそ、まったねー」
ステータスオープンからの、
建築モード!
「そして、配置ー!」
狙う移動先は、もちろん、
──ジュワ~~~ッチ!!