ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第85話「鹵獲品取り扱い」

 同時刻──……。

 

 

 

  チュバーーーーーーーーン!!

 

 

 

「ぎゃはーー♪」

 

 思った通り、連中、爆破しにかかりやがった。

 インドア戦の基本だし、やると思ったぜー。

 

『あー……。それでオオカミの死体の下に爆弾をしかけてたのね。それもたくさん』

 

 爆音のほうを振り返るミユちゃんがいつものジト目。

 「私」が何をしていたのか、ようやく気付いたらしい。

 

「そーいうことー」

 

 爆弾には爆弾だよ。

 

 それも想定より多めの爆弾をマシマシで~!

 もちろん、爆弾の出どころはゲーツ隊長たちからドロップした奴でーす。

 

「しっかし、大判振る舞いしちまったなー」

 

 爆音の余韻にひたりながら、舌で頭をポリポリ。

 

 なにせ、これで残る爆弾の在庫はほぼゼロだ。

 「私」は建築モードで家具とかは作れるけど、さすがに爆弾は無理ー。

 

 つまり、ドロップで手に入れた分だけに限られるってわけ──。

 

『じゃー、次は同じ手で来られたらもう対処できないってわけね』

「そうなるねー」

 

 ……いや、なに笑てんねん。

 そして、そうなると困るかちゃんと考えてるわい。

 

「なのでね。こうして新たに入手(・・・・・)しようと画策しているわけですよ」

 

 建築モードで掘削、掘削。

 

 あ、そーれ。

 ポイント100使用して、1×1をえっさらほいさっさ~。

 

『はー? 掘ってどうすんの? まさか、壁の中に爆弾でもあるとか?』

「あはは、半分正解で半分外れー」

 

 ただ闇雲に掘ってるとでも思ったか、バーカめ。

 

「前にも言ったけどさー。「私」はダンジョンの大半を支配地域に収めているのよね」

『そーね』

 

 もっとも、あくまで大半であって全部ではない。

 

「──なので、こうして(・・・・)支配地域の外には空き部屋なんかがあるわけだけど……お、この先だね」

『そりゃあるでしょ』

 

 うん。

 あるんですよ。

 

 なので、よっと。

 

  ガラガラガラ~……!

 

 

「おー、開いた空いた、開通したー」

『は? ん、んなぁ! こ、ここは──』

 

 えへへー。

 見事、大当たりー。

 

「じゃ、じゃーん♪ たいした手品じゃないけど、補給物資の御登場で~~す!」

 

 いぇーい。

 ドロップ品が大量~。

 

『うっそ……。これって連中の物資?!』

 

 そそ。

 

「なんかダンジョンに入ってゴソゴソしてるから、あたり(・・・)はつけてたんだよね」

 

 騎士団の時もそうだったけど、

 大人数で動く連中は中継地点を設けたがるらしい。それがこれ(・・)だ。

 

『だ、だからってピンポイントで──』

「いやいや、当てずっぽうじゃないよ? こっちはある程度探知ができるんだって」

 

 なにせ、こちとら探知範囲はガッツリ増えてるしね。

 

 侵入者が来た時点で何となくわかるし、

 その連中が空き部屋でゴソゴソしてたらなんかあると思うでしょ? オマケに、荷物運びっぽい素人臭い足取りが右往左往してたら、そりゃもう物資の集積所以外にありえないってわけ。

 

 あとは、配置で近くの支配地域に飛んで、

 そこからこうして一直線に掘って開通させれば、なんということでしょう~♪

 

『な、なんてことよ……』

 

 えへへー。

 

「どうどう? 見事、連中の保管場所に到達したってわけさー」

 

 ──えっへん。

 

 えばる「私」に

 額を抑えて、いつもの悩む人ポーズのミユちゃ〜ん。

 

 ダメだよー。

 あんな連中に「私」が苦戦するなんて淡い夢を抱いちゃあね。

 

『だ、だからって力技で開通するなんて……』

 

 いやいや、

 だからこその新規開拓だよ。

 

「そもそも、そのためにこーいうふうに空き部屋残しといたんだしねー」

 

 へっへっへ。

 罠がないのも、また罠なのだよ!!

 

「どうどう? なかなかのアイデアでしょう」

『ホント、なんでそんな悪知恵働くのよー』

 

「……いや、常識常識」

 

 そもそも、連中だって馬鹿じゃないだろうし、保管場所に使うなら、ふつーや隠し通路や罠なんかない場所選ぶだろう。

 腕利きのローグがいれば、「私」が唾をつけた部屋なんてすぐ看破するだろうから、下手に手をつけるとかえって怪しくなる。

 

 なので、ある程度は補給に容易な場所あたりをつけて、こうしてわざと空き部屋を残しておいたってわけ。

 

『な、なるほど……。これもある意味、罠ってことかー』

 

 そーいうことー。

 

「ま、ここ以外にもいくつかね。こういった部屋を使うだろうなーと予想したけど、それが大当たりしただけのことさ」

『くっそー。じゃあ、おちおち保管もできないってことじゃん?!』

 

 いや、そも、ダンジョンに物資を保管するなよ。

 

「とはいえ、これって結構リスキーだけどね。それにポイントをクッソ程使うし……」

 保管場所が外れればアウトだし。

 入口とか通路に保管されてもアウト。

『そうだったわね……』

 

「いやー。それもこれもみんな子供たちのおかげだね」

 

 お肉も美味しいし、ポイントもうまうま!

 騎士団見習いの少年少女たちに感謝だね!

 

「ありがとう。ありがとう。そしてありがとう、皆~!」

 

 君たちの血肉のおかげで今日も私は元気に勝利しまーす!

 

 

  キラ~ン♪

 

 

 騎士団見習いの少年少女たちが、笑顔で敬礼してくれるのがダンジョンの天井の闇に見えたので、舌で敬礼して見送っておく。

 

 サンキュー、ボーイ&ガール♪ 

 

「………つーわけで、喰うか」

『なんでよ!!』

 

 や。

 なんかお空(?)に浮かぶ顔を見たら食欲がね……。

 

 あと、次が決戦になるだろうし、満腹ボーナス満腹ボーナス。

 

「え~っと、女の子女の子──あ、この子でいいや」

 

 ズル~リと、適当に少女兵士の死体を腹のストレージから引っ張り出して、片手間にバリボリ齧る。

 

『せめて、片手間に食うな! ナッツとちゃうぞ』

「似たようなもんだよー」

 

 子供肉は手軽に食えるからいいのだー。

 

 あー美味しい!

 小さいし、柔らかいしサイコー!

 

 そんで、開いた手(?)で連中の補給品を物色開始ーっと。

 

「へー。コイツらいいもん使ってやがるぜ」

『……しかも、手癖悪いしー。泥棒よ、それ!』

 

 手じゃないって。

 舌だって。……だから、舌癖??

 

「つーか、ダンジョン入った時点でももう、「私」の物さー」

 

 「私」の物は「私」の物。

 ダンジョンの物は「私」のものだよ!

 

「肉もポイントも、ぜーんぶねー! ぎゃははー、補給物資サンキュー♪」

 

 いやー、ほんと色々入ってるなー。

 

 武器弾薬だけでなく、ポーションなどの医療品もたっくさん!

 他にも防具の予備に飲料水。

 

 それらが木箱の梱包されて野積みされている様をみて、思わず感歎の息が漏れる。

 これまでにもドロップ品をいくつか入手してきたけど、この量は初めてだね!!

 

 ──ボカぁ、ワクワクすっぞ!

 

 いつぞや攻めて来た騎士団の物資は入口付近に集積されたせいで入手できなかったんだよねー。

 あれってやっぱゴブリンとかが持ってっちゃったのかなー?

 

「ま、その代わり、こうして無事に「私」の支配下になってしまえば、部屋の中の物は全てこっちのものって寸法さ!」

 

 なので、その証拠にここは一気に──!

 

 

  ふんっ。

  コマンド──回収!!

 

 

 ドドンッ!!

 

 ほーら、回収できた。

 つまり、「私」もの判定ってことー。

 

「しかも、おっほー! こりゃー豪勢だね〜♪」

 

 回収と同時にストレージには回収したアイテムが一気にステータス画面に反映されたんだけど。

 

 それによると、

 

 爆弾にボウガンにと飛び道具多数!

 それにポーションに包帯なんかの医療物資が山ほどだーい!!

 

「ひゅ~♪ 過去一の成果ぁ!」

 

 みてよこれ~。

 まるで一夜で大金持ちですよ! そして、物資に溺れる「私」だよ~♪

 

  儲かりまくり~

   勝ちまくり~~

 

 思わず舌を出して、美少……女(ミユちゃん)を侍らしてゲラゲラ笑う「私」の姿を幻視する──。

 

 ……あれなんだろう。

 一瞬、なんか札束風呂で舌を出して美女を侍らせている変な映像がよぎったけど──うん、気のせい気のせい。

 

『うーわ、過去一汚い絵面だわ』

「……うるせーよ」

 

 なんかしたくなったんだよ!

 

「それよりも、ほらぁ! 連中よほど資金が有り余っていると見えるね」

『あー、たしかにお金かかってるわねー』

 

 取り出したる品は、どれもこれも新品だし質も悪くない。

 しかも、飛び道具や爆弾が多数なんて、

「……こーりゃ連中ってば、「私」をやる気満々で来てますなー」

 

 うーん。

 だけど、なんでこんなに対策してきてるんだろ?

 

 今までは、情報が漏れないように全部皆殺しにしてきたはずだけど──……ちらっ。

 

「ミユちゃん、なんか知ってるー」

『………………』

 

 ──あ、これはなんか知ってる顔だ。

 

 まぁいいか。

 聞いて素直に答えるとは思えないし──……皆殺しにしてから考えよう。

 

「とりあえず、爆弾を補充して、ボウガンの矢と……お、こっちは油かな? それと、これは……なんだろ?」

 

 ふいご(・・・)に、

 …………噴霧器だろうか?

 

「ふむむー? なんか、用途の分からない器材も山ほどあるね」

『……なに? 全部もってくの』

 

 まっさかー。

 

「ストレージも無限じゃないし、いらんもんは戻しておくよ。……お、塩発見~♪」

 

 他にも装備品とか医療用品があるけど、人間用の鎧とか包帯があってもしゃーないしね。

 

 あとは──………おぉぉお!

 

「見てみて、ミユちゃ~ん!!」

『なになになになに?』

 

 えへへ、これこれ♪

 なんと、いくつかの糧秣をゲット~!

 

「小麦に塩やハーブがあるやーん!」

 

 こーれは地味に嬉しいね。

 いや、一番うれしいかもー。

 

『……えぇー? あんたこういうの食べたかったの?」

 

 そりゃそうでしょ!

 お肉好きでも、たまには野菜も食いたなるやん?

 

「それに肉ばっかだと栄養偏るしー」

『アンタって栄養偏ることあんの?」

 

 知らんわ。

 医者に聞いてくれー。

 

『あ!……ってことは、もう、人間は食べ──』

「いや食うけど?」

『食うんかーい!』

「いや、そりゃそうでしょ」

 

 何言ってんの?

 

 こちとら、ミミックやで?

 人食い箱やで?

 

「小麦でパンしか食わんかったら、それただの『パン食い箱』やで」

 

 なにそれ?

 すっげー弱そう……。

 

『平和でいいじゃん』

「それなら戦争を望むねー」

 

 なにが悲しくてパンしか食われへんねん。

 こっちは人間食いたくて生きてるんやからね。特にガキ!!

 

『やーな奴ー』

「やな奴で結構」

 

 人食うから人食い箱いうんやで?

 そんなんで、イヤ言われてもね。──いい人食い箱(・・・・・・)がいたら見てみたいわ。

 

「それより、聖水はないのかー」

『聖水? なんに使うの?』

 

 お前に掛ける。

 

『ちょ! ぶ、物騒な目でみないでよ! それはただのポーションよ!』

「わーってるよ」

 

 ちっ。

 

 ガチャガチャと漁るけど、量こそ多いけど、めぼしい物はさほどない。

 補給物資と聞いてちょっと期待してたけど、残念。

 

 ──聖水もないしね。

 

『あるわけないでしょ! ここ『新月のダンジョン』よ。……ゴブリンとかくらいしかないっての』

 

 ゴーストがおるやんけ。

 とびきり質の悪いのがさー!

 

「あ、でも塩があるし、効くかも──!」

 幽霊には清めの塩だね!!

 

 …………あれ? 清めの塩ってなんだっけ??

 

『やめいッ! その思いついたー、みたいな顔やめろ』

 

 どんな顔だよ。

 まぁいいや。

 

「どのみちもったいないから、掛けないよー」

 

 ミユちゃんがごときに塩は、もったいない。

 食う時だけでええわい。

 

『もったい無くなかったら掛けるんかーい!』

 

 当ったり前でしょー。

 塩振って食うぞー。

 

 効くかは知らんけどー。

 

「……ま、それはさておき。とりあえず、使えそうなのはこの程度かな」

 

 爆弾にボウガンに、ポーショ~~ン!

 その他諸々ー。

 

『ふーん。結構置いていくのね?……全部売ったら一財産よ?』

「いや、売れるかい」

 

 どこで売るいうねん。

 こちとら、ミミックや言うとるやろが。

 

 なんやねん。

 道具屋にミミックが買い取り願いに行くってか?

 

 

   「さーせーん、冒険者からドロップした剣に、

    盗んだポーション、爆弾。

    あと騎士団から剝いだ鎧の買い取りお願いしまーす。

 

    ……あ、人肉とかー、

    生の骨の買い取りってやってますかー?

    頭蓋骨が100個ほど、あり余っててー」

 

 

 ってかぁ?!

 

 

 ……シュールか!

 

 

「ボカぁ、ミミックだよ? お肉以外に興味ねーの」

 

 なので、余ったものは全部吐き出し、再配置。

 そのためなら、どんな手でも使うよ?

 

「例えば、こう。……このあたりの物資はぜ~んぶ入れ替え(・・・・)たりね」

 

 にひっ。

 

 こうして、こう。

 自前のポーション瓶(・・・・・・・・・)の中身をアレして、

 最後に、木箱をひとつ空にする(・・・・・・・・・・)っと。

 

「こんなもんかなー」

 

 ──テキパキテキパキ。

 この辺はストレージを活用すればあっと言う間にできるので、実に便利だ。

 

『は?! はぁぁ?! いま入れ替えた?! そ、それ、入れ替えて何のつもりよ……!」

「何してると思う~」

 

 ニヤリ。

 

『な! なななな──あ、あんた、まさかぁ!』

「ふふーん。今頃、気づいたぁ? だけど、シーだよ」

 

 しー……。

 

 舌で口止めのポーズ。

 ま、ゆーて、誰にも伝わらんだろうけどね、けけけ。

 

「仕上げに、こうして、野積みの痕跡を元に戻してっと──……」

 

 あとは、壁際に積みなおして、侵入した入口を隠すっと。

 はい、完成~♪

 

「ジャジャ~ン♪ 名付けて、裏取り作戦ー!」

 

 ふーはははは!

 まさか、自分たちで設定した後方地域に潜入されているとは夢にも思うまい!

 

 そして、野積みした木箱の一つ(・・・・・・・・・・)に潜み、「私」は声を上げずにゲラゲラと笑うのだー!!

 

『せ、性格わるー』

「あはっ。誉め言葉として受け取って置こうかー!」

 

 そもそも、向こうが先に仕掛けてきたのだ。

 性格うんぬんは向こうに言ってくれたまえよ!

 

「──なので、あとは待つだけだね」

 

 唯一の懸念があるとすれば、通路をぶち抜いたので、新しく道が開通していることだけかなー。

 ミミックの特性として、密室にはできないから、残す必要があるんだけど──まぁ、意外と気づかないもんです。

 

「念のため、多少は通路を低くしてっと──あとは、野となれ山となれ……」

 

 

 大丈夫、

 いけるいける!

 

 

 なるべく物資に隠れるように少し弄る。

 これでよしっ、と!

 

「さぁ、来い! 侵入者ども!! 奇襲と強襲の違いを教えてくれるわーーーー!」

 

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