失礼しました!
「おぉ。マジでしゃべってやがる」
「ユニークモンスターってのはマジでげすね」
ああーん?
またそれかよ──って、あいだぁぁああ!
ガキ肉に見とれてたら、なになになに?!
「な、なんだぁあ……?!」
ゴリリリ……!
「あいだー!」
いてぇと思えば、
手下の出っ歯のシーフがよりにもよって蝶番にナイフを押し込みやがった!
こ、これじゃ口が閉じられねぇだろうが!
「あががー!」
「へへっ。ミミックの弱点はここでゲスよー。ユニークモンスターとは言っても所詮はミミック」
や、やかましわ!!
なんとしてでも食ってやるー!!
「あげ?」
あが。
あがー!
あ、あれ?
なんか口が……。あがー?!
「あががが!?」
「はっはっは! 無駄無駄ぁ。構造上絶対閉じられんようになってるのさ──ビックリ箱野郎。そして、そんなユニークなテメェのおかげで俺の人生お先真っ暗よー」
そう言うなり、ゆらーりと立ちふさがったのはさっきの禿げ。
っつーか、お先真っ暗だぁ?
「あがががー。な、何の話だー」
なんでお前の人生に「私」が関係すんねん。
意味わからんわ!
「は! そうさな。テメェには関係ネー話だろうがよー」
そう言いつつも怒りと殺意をにじませた指揮官の禿げがぐぐぐっと小さく構える。
そして、出したままの死体付きの「私」の舌をガッシリと掴み上げると、
「あがががが」
「けっ! きたねー口だぜ」
うるせーよ!
なら触んな!
「はっ。……てめぇが好き放題に食いやがるから、俺にはその責任がなぁぁああああ!」
みしみしみしっ!
筋肉が盛り上がり、舌を握る手とは逆の手にしたダンビラの持ち手から不気味な軋み音がす──────がはぁぁぁああああああああ!
ドーーーーーーーーーン!!
「うぎゃーーーーーーーーーーーーーー!」
凄まじい一撃っ!
まともの口中に食らって、そのまま勢い余ってガランガランガラ~ンと転がっていき、目まぐるしく視界が入れ替わる!
「……い、い、ってぇぇ」
身体がバラバラになるかと思ったぞ。
つーか、これ、やべぇ……意識が飛ぶわー。
「って、しかも、げげぇぇえ……!」
ボタボタボタ。
何かの汁が滴るかと思えば……。
「ひぇぇぇえ! し、舌がブチ切れたー?!」
ここに来て最悪の事態。
口が閉じられないばかりか、攻撃手段が失われてしまった。
「ぐぅぅ……。い、いずれ回復するにしても、これ以上ダメージをうけるとやばーい!」
「はっはー。汚ねぇ舌だぜー」
ぽいっと投げ捨てられた「私」の舌。
どうやら、奴が力任せにダンビラを叩きつけたせいで、無理くり引きちぎられたらしい。
「……いってー」
くっそ。
ハゲのくせにつぇー。
「オマケにこれは、まずい……!」
回復が遅いと思えば、どうやらついに満腹ボーナスが尽きたらしい。
これ以降は回復が遅々として進まなくなるっぽい!
(まぁ、あれだけ火炎放射で炙られればそうなるわな)
さらには、蝶番が固定されて口が閉じられん!
「な、なんとか反撃の糸口を──」
ずかずかずかっ!
ガーンッ!!
「あだー!」
「あーん? 何が反撃だ。ミミック風情が生意気な口きいてんじゃねーよ」
ミシミシミシッ!
「あだだだだー! 割れる割れるー!」
転がる「私」に不躾い近づくと、あのハゲがゴッツい足で踏みつぶさんばかりに足蹴にしてきやがったー。
その凄まじい筋肉と体重で、身体がついに軋み音を立てていくる。
刺突や火あぶり程度ならまだしも、こうした破壊にめっぽう弱い「私」の身体!
「いっでー!」
「はっはー! しょせんはミミックよ。動けもしない化け物なんざ、俺の相手じゃねーな」
……くっ。
この禿げぇー!!
「げっへっへー。さすがは旦那。腐っても元Aランクなだけありやすねー」
あーん?
「……おま、元Aランクだぁ?」
なんだそりゃ?
だけど、どーりで強いわけだ。
「……つーか、なんでそんな奴がアウトローな連中引き連れて攻撃してきてんだよ!」
そも、そんな奴が何で「私」の攻略法を知ってる?
知り合いにハゲはいねーぞ……って、
「はっ! 箱が舌もなしによくしゃべる!」
「そりゃね!!」
喋ってなんぼでしょ。
ボカぁ人食い箱だぜ!
「
文字通りな!
ギャハハハハハハ!
そして、時間稼ぎは十分!!
「バーカめぇ! 「私」の攻撃手段が、舌と噛みつきだけだと思ったかー」
ちっちっち。
甘い甘い! 甘すぎてベロンベロンと舐めてくれるわー!
舌はないし、禿げマッチョを舐めるのは抵抗あるけどねー!!
「ギャハッ! もう、そろそろ、効いてきたはず!」
喋ってるふりして、ばら撒いておいたんだよ。
「私」のブレスをなぁ!
はー……。
「うぐ、だ、旦那ぁ?!」
「がはっ!」
雑魚二匹が膝をつく。
よしよし、効いてきた効いてきた。即効性はないのがアレだけど。トラップと違って、こうしてこっそり散布できる強みもあるんだよ、バーーーーーカ!
「そして、お前もそろそろ効いてきたはず!」
「ぐ……?!」
ほーら、きたぁ!
「ギャハ! 苦戦させやがって、ただじゃ済まさねーぞ!」
正直、ちょっとヤバかったわ!
なので、お返しにやられたこと全部やり返してや────……って、あれれ?
「ぐぐ……。ぐわーーーっはっはっはっは!」
「……は?」
わ、笑った?
「げへ、げへへへへ!」
「はははははははは!」
あ、あれ?
つーか、なんで雑魚二人も笑ってんの?
毒は?
麻痺は?
眠気はぁぁ?!
「私」のブレスはぁぁぁあ?!
「バーカ、効くわけねーだろ」
「んなぁー?!」
突然笑いだして何事かと思えば、なんとぉ!
ハゲを始め、出っ歯のシーフやその仲間までも懐から空瓶を取り出し、これ見よがしに振ってきやがった。
「そ、
た、た、た。
「対毒戦用のポーションじゃねーか!」
たしか、ゲーツ隊長とかが使ってた奴じゃん!
なんかこう、毒ガスとかを無効化する奴ー!
「げげー。なんでそれを持ってんだよ?!」
しかも、すでに飲んでるしー?!
「そんなもん、全ての事態を想定してるからに決まってんだろうが」
んなー!
そ、そういうことか……!
(コイツ等、事前に情報を強いれていたんだから、毒ガストラップの存在も知ってるわな!)
だから、あらかじめ飲んでいたと──……。
「ちっくしょー! ずりーぞ!」
こっちの奥の手をよくもー。
「はっはー! これで終わりだぁぁぁああああ!」
言うなり、猛烈な勢いでダンビラを振り上げ、
振り下ろす──。
ぎ、
「──ぎゃぁぁぁあああああああああああああああ!」
し、死ぬ!
今度ばかりは死ぬ──……!!
目の前にせまりくる、ブッとい刃に今回ばかりはさすがに────……。