放課後
「先輩、こってり絞られましたけど色々新事実が発覚しましたよ!」
「本当か!本庄!」
私は新聞部の部室に来ている。鹿野先輩に体験したこと、そして見てきた事実を伝える。
「にわかには信じ難いが…しかし、やはりこの学校の陰謀があったということは事実!よし、早速記事にするぞ!」
「あ、その中に一つ記事を入れていいですか?」
「うん?なんだ?」
「えっと、この学校に祀られてる祠についてです」
「そんな祠があるのか、知らなかった」
「はい、失せ物と…あとは良縁の神様です!」
自分が見てきたもの、そして体験をどれだけの人が信じるかはわからない。でも、真実を明るみに出すことが私にできることだと思う。ついでにお世話になった氏神様の宣伝をしておこう。信仰が力になるって言ってたし。様々な思いを筆に乗せて、私は記事を書き上げるのだった。
「なるほど…そんなことが…」
「ああ」
「この学校は、宗教施設の跡地に建てられたという噂があります。もしかしたら地下で見たものはそれの名残なのかもしれません」
「そうなのか」
俺は斑鳩先輩と2人だけの部室で事の顛末を語った。
「きっと、皆さんの無念も晴れたでしょう」
そういって、先輩は席を立つと俺に紅茶を入れてくれる。
「ありがとう」
「いえいえ、もう少しだけ詳しく教えてくれませんか?」
「もちろんいいぞ」
外では部活の音が聞こえる。改めて日常に帰ってきたと感じる。興味津々な先輩に俺は一つ一つ体験したことを語る。
きっと俺はこの体験を忘れない。これからもずっと覚えてるだろう。それに、友達が2人もできた。たくさん怒られたが、それでもお釣りが来る。
俺は紅茶に口をつけながら今まで見たことを最初から詳しく話し始めた。
放課後のチャイムが鳴り、部活動や帰宅など各々が活動を始める。僕はそれを眺めたあとゆっくりと立ち上がり花村の席に飾られてる花を見る。イキイキと咲き誇っているのは、きっと今まで花村が面倒を見ていたからだろう。これからは僕が花を育てていく必要がある、そう約束したからだ。僕は花を持って帰る許可を新山先生からもらっている。僕の部屋で世話をした方が休みなく世話ができる。学校にあると、土日世話できないしね。
植木鉢を大事に抱え、僕は教室を出る。
「日向」
「新山先生、どうかしましたか?」
「いや、大した話じゃねえんだけどな。うーん…直接ストレートで聞かせてもらうぜ。お前は吹っ切れたのか?」
「…いえ、まだです」
「そうか、俺もだ」
新山先生の左手の薬指にはきらりと光る指輪が見える。きっと、金森先生との婚約指輪だろう。
「先生、知ってますか?」
「何をだ?」
「誰かが故人を偲んだり、思ったりすると、天国の故人のもとに花が降るんですって」
「なんだそれ」
「僕も本で読んだだけなんで詳しくは知りません。でも…」
「僕達が思い出すことで、故人は寂しくないんじゃないかなと思います」
「ま、頻繁に花が降ってきたら退屈はしねえな」
前に進むというのは、亡くなった人を忘れて次に進むということじゃないと思う。亡くなった人の思い出を抱えて強く生きることだと思う。だから、僕達は大切な人との思い出を忘れない。思い出して辛くなったとしても、それを抱えて生きていくんだ。
「花、枯らすなよ」
「頑張ります」
「気をつけて帰れよ」
「はい、先生。さようなら」
僕達はそれぞれの目的地に向かって歩き出す。花村、安心してて、立ち止まることはしないから。
ふわりと花の甘い匂いが香る。イキイキと咲き誇る花が、咲った(わらった)ような気がした。
とある暗い部屋
「うわ、すご。夜の学校に忍び込んでまさかここまでする?」
「これはぜひともお近づきになりたいですね!」
とある暗い部屋には少女が机に座っている。少女は手に持ったっ今回の事件の報告書を机に置くと、ベッドに横になる。
「それじゃ、明日にでも声をかけに行こうかなー」
少女は満足そうに布団をかぶると、瞼を閉じる。
彼らの平穏な日常は、まだまだ訪れないのかもしれない。