大園高校不思議調査隊   作:かんおみ

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林墨(リン・ウー)
中国人留学生。武芸全般の達人である。日本語は話せるがまだどこかおかしいところがある。
中国にいたときから不思議な話や伝承に興味があった。高校で斑鳩先輩と出会い、オカルト研究会に入部したが、学校的には運動系部活に入ってほしかった。
先輩へ恋心を抱いているが、ばれていないと思っている。正直、気づいていないのは斑鳩先輩だけである。


悪夢を見る理由

 

放課後、放送室

どうやら最後は僕だったみたいだ。大園さんや本庄さん、林君はすでに席に座っている。

 

「全員揃ったので情報共有をしましょう」

 

「とりあえず夢を見る噂は広まってるみたい」

 

「方法は色々あるみたい。でも基本的に共通して方法を間違えると悪夢を見るって噂も広がってたね」

 

「うーん…多分ですけど噂に尾ひれがついてしまったんでしょう。おもしろおかしく盛られて広がったみたいですね」

 

「悪夢の種類は様々だ」

 

「でも、どうやら同じ夢や夢の続きを見るみたい」

 

「それは…確かに同じ悪夢や続きを見るのはしんどいですね…でもそうすると…」

 

「どうかしたの?大園さん」

 

「…斑鳩先輩が見ている夢、ちょっとまずいかもしれません」

 

「どういうことだ?」

 

「皆さん、猿夢って都市伝説知ってます?」

 

僕は首を振った。あいにく読む小説は推理小説ばかりなので都市伝説には疎いのだ。反応から見るに本庄さんも知らないみたいだ。

 

「…まさか」

 

林君は青ざめた顔をしている。どうやら大園さんの言う猿夢を知っているみたいだ。

 

「…猿夢、簡単に言うと電車に乗った人が様々な方法で殺されていく都市伝説です」

 

大園さんは持っていたタブレットの画面を見せる。そこには一昔前にありそうなオカルト掲示板の記事が載っていた。

 

 

猿夢とは

電車内のアナウンスの度に乗客が殺されていく悪夢で、そのあまりにもおぞましい内容から、検索してはいけない言葉の一つとして挙げられている。

 

遊園地にある様なお猿さん電車の中で、「活けづくり」「えぐり出し」「ひき肉」と言ったアナウンスが流れ、その通りの方法で乗客が殺されていく、という内容。

 

ここから派生し、残虐な内容を含む夢を総称して猿夢と呼ぶこともある。

 

 

「猿夢を見た人は夢の中で殺されます。それも…とんでもない方法で…」

 

「で、でも…所詮は夢なんでしょ?嫌な夢を毎日見るくらいで…」

 

「猿夢に限ってはどうなるかわからない。それほど危険な夢だ。それに斑鳩先輩は体が弱い。体力的にも不安だ」

 

「…もう少し情報がいります。私は夢について調べます。本庄先輩と林先輩は他の子からも夢の内容や方法を聞いてくれませんか?日向先輩は先生をあたってどれくらい休みがいるのかを調べてください」

 

僕達は頷き、それぞれ行動に移る。林君達は各学年のフロアに、大園さんもどこかに行ってしまった。僕も行動しなければ、とりあえず新山先生にでも聞いてみよう。

 

 

職員室

僕は職員室の扉をノックして新山先生を呼ぶ。新山先生はなんだかんだ言って担任だし一緒に七不思議を解決した仲だ。クラスメイトよりも断然声をかけやすい。

 

「ん?なんだ?どうかしたか?」

 

「えっと、先生。どれくらい今日休みがいるのか気になって…」

 

「なんでそんなことが気になるんだ?」

 

しまった、理由を何も考えてなかった。

 

「余計なことに首を突っ込んでんじゃねえだろうな?」

 

「そんなことないですよ!その、学年閉鎖とかならないかなって思って!」

 

僕は口から出まかせを言った。少し良心が痛んだ気がした。

 

「…まあ、いい。欠席は2年が圧倒的に多い。3年と1年は同じくらいだ」

 

確かに、2年生から噂を広めたから必然的にそうなる。きっとそこから3年生や1年生に噂が広まったのだろう。

 

「全校生徒でみて40人くらいか?その大半は2年だ。学級閉鎖学年閉鎖はまだ先だな」

 

「そうなんですね、わかりました。ありがとうございます」

 

「日向」

 

「は、はい」

 

「危ないことはすんなよ」

 

「…はい」

 

どうやら僕の嘘は、先生にはお見通しだったようだ。

 

 

 

僕は職員室を後にして、次の行動を考えた。林君や本庄さんと合流して情報を集めるべきか?いや、多分僕が行っても何も役に立たない。それならば、夢に関する情報を大園さんと集めた方がいい。どこでやってるんだろう。そういう資料が集まってそうなのは図書室だろう。僕もそこそこ使うが蔵書が多いのだ。もしかしたら都市伝説や夢に関する文献もあるのかもしれない。

 

僕は図書室へと向かった。

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