番外編 ボードゲームで遊ぼう!
ある日の調査部の放課後、集まった4人はそれぞれ自分のことをしていた。
「先輩!トランプで遊びましょう!」
「どこから出したの、それ…」
僕は読んでいた小説を閉じて大園さんの方を見る。
「家にありました!」
「うーん、トランプねえ…私こういうの弱いんだよね…」
「俺はいいぞ、面白そうだ」
三者三様、さまざまな反応をしている。
「えー、やりましょうよー」
大園さんがトランプを箱から取り出して前に置く。
「あ、そうだ。勝った人は負けた人に対してなんでも命令していいというのはどうでしょうか?」
「うーん、僕は…「やろう」
僕の声を遮って、本庄さんが答える。何かがかかっていると燃えるタイプなのだろうか。
これで僕以外は乗り気になってしまった。
「わかったよ…」
若干乗り気では無いが、多数決の原則的には僕もやらなければならない。
僕は本をカバンに直し、席についた。
結果は…
ダウトでも
「10!」
「大園さん、それダウト」
「うわー!バレた!」
インディアンポーカーでも
「俺は日向のカードを変えるべきだと思う」
「…いや、変えずにこれで勝負するよ。うん、僕が12で一番数字が高いね」
「…負けた」
大富豪でも
「8切り、革命、3。上がりだね」
「え、この革命ちょっとしんどいんだけど!?」
7並べでも
「わかってるんですよ、先輩…!先輩が9を止めてるって…!」
「さあ、どうだろうね?」
「パス…」
「俺もパスだ…」
「私もパス…」
「じゃあ僕もパス」
「うー!私の負けです!」「同じく」「私も…」
全てのカードゲームで僕が勝利した。
「先輩トランプ強いんですね」
「まさか一個も勝てないとは」
「ゲームが得意とか?」
「うーん…そんなことはないんだけどね…多分だけど、この3人だから勝てたというかなんというか…」
「大園さんは嘘をつくときに目を伏せがちだし」
「うえっ!」
「林君は逆に嘘つくときにまっすぐ見つめてくるし」
「うっ…」
「本庄さんはなんだかこうして欲しいなってことがある時はそわそわしだす」
「それわかるもんなの?」
「なんとなく、みんなを見てたらわかるよ」
「うーん、屈辱です…でも、約束通り命令権は日向先輩にあるので命令をどうぞ」
命令、と言われても何を言えばいいんだろう…?
「もちろんエッチなことはダメですよ」
「そんなことしないよ!」
そんなことは期待していない、本当だ。本当に本当なのだ。
しかし、そう言われると難しい。何がいいだろうか…
「あ、そうだ。みんなにお願いしたいことがあって」
「うー!おもー!」
「ありがとうね、みんな。花壇の花の植え替えを手伝ってもらって」
「構わないが、花壇からわざわざプランターに植え替える必要はあるのか?」
「うん、これから先ここって日当たり悪くなるんだ。だから、プランターに植え替えて屋上に移したいなって思って」
「これ、全部屋上に持っていくの…?」
「代車も借りたしエレベーターも使っていいって言われてるから」
今僕の姿を見て花村はどう思うだろうか。少しは成長したと思ってくれるだろうか。僕にも後輩や友達と呼べる人ができたよ。
「満足そうに微笑んでないで先輩も早く手伝ってくださいよー!」
「はいはい、いまやるよー」
プランターの花が笑うように揺れた気がした。
おまけ
「林君はどんな命令をするつもりだったの?」
「ああ、また俺に日本語を教えて欲しいと思ったんだ」
「そんなの、いつでも言ってくれたら付き合うよ」
「そうか、ありがとう日向」
「大園さんは?」
「先輩に一週間ハニーって呼んでもらおうと思いました」
「お願いってそんな長い期間でもいいの!?」
「長さは指定してませんからね」
「勝ってよかった…」
「本庄さんは?」
「えっと…怜って、下の名前で呼んで欲しいなって」
「確かにちょっと照れくさいね」
「あのさ、ふと思ったんだけど…」
「なんでみんな僕に対する命令なの?」
「そりゃー…」
「まあ…」
「うん」
「「「日向(君)(先輩)にだけは勝てると思ったから」」」
「…」