大園高校不思議調査隊   作:かんおみ

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番外編 林君と特訓の日々

ある日の放課後のことだった。僕はいつも通り植木鉢の花に水を上げて栄養剤を刺す。僕も最近は手馴れてきたのではないだろうか、なんてことを思っていると

 

「日向、いるか」

 

「ん?あれ、林君?どうかしたの?トレーニングは夜のはずじゃ?」

 

後ろから声をかけられた。

 

「頼みがあってきた」

 

「頼み?」

 

「俺に敬語を教えてほしい」

 

「敬語?」

 

「ああ、俺は日本語は話すことができる。だが、敬語は苦手だ。失礼をするかもしれない。だから学びたいんだ」

 

「そういうことなら、できる限りは手伝うよ」

 

「感謝する」

 

「じゃあ、敬語の理論を教えてほしい」

 

「り、理論…?」

 

「基本的に、ですますを付けたら敬語になるというのはあっているな?」

 

「う、うん…」

 

「どのような場合にですを使い、どのような場合はますを使うのかを説明してほしい」

 

「…」

 

これは困った…こんなことを考えて敬語を使ったことはない。なんとなくいつのまにか使えるようになっているものだと思う。なんと説明すべきか、せっかく僕を頼ってきてくれているのだ、なんとかしてあげたいが…

 

「基本的に、ですは断定するときや、もの、現象に使います」

 

「大園さん、なぜここに?」

 

「いえ、たまたま通りかかったんです。それで、先輩を驚かそうとしていたら何かを話しているので聞き耳を立てていました」

 

大園はクラスに勝手に入り込み、適当な机に座った。

 

「断定?」

 

「たとえばー、今日は、雨ですという文があったとします。雨という現象についていますよね?。他にも、私は大園ですという断定、つまりはっきり言うときに使います。一方で、ますはものや現象にはくっつきません」

 

「なるほど、では、今日は晴れですという文と、今日は晴れますという両方の文が成立するのはなぜだ?」

 

「これは、晴れを現象ととらえるか、現象じゃないものととらえるかによって変わるからです。晴れを断定したいのであればですを、そうでないならばますを使います。もしもっと詳しく学びたいのならば、文法の体言、そして用言について学ぶといいと思います」

 

「なるほど、上につながるもので変わるのか、分かった。勉強してみる。大園、日向、ありがとう。それじゃ、俺は先にオカ研の教室と図書室に行って文法の本を探してから行く。また後で」

 

「はーい。ってあれ?日向先輩、どうかしました?」

 

「い、いや、なんでも…」

 

完全に後輩に学力面で負けてしまった…もう少し勉強しよう…

 

 

「ぜえ…ぜえ…」

 

「日向、深く吸ってはけ、呼吸が浅いとしんどいぞ」

 

今僕は、林君とランニングを行っている。

 

ことの始まりは今日の朝のことだった。

 

「ここ最近、色々なことがあるから体を鍛えないとなって思ってるんだけど、いいトレーニングない?」

 

僕と林君は寮生なので、出るタイミングが基本的に同じなのだ。普段はここに本庄さんもいるのだが、今日は寝坊して先に行っててとのことだ。

 

「いい心がけだ。体を鍛えるのは悪いことではない」

 

「林君はなにかやってたの?」

 

「ああ、家の近くに武道場があって空手と合気道を習っていた」

 

確かにそれならば腕っ節に自信がありそうだ。

 

「よかったら夜トレーニングをしよう」

 

「いいの?ありがとう!」

 

なんて軽い返事を返したのだが…

 

僕は馬鹿でかい学校の外周を5周(大体外周2km)走っている。ゴールに着いた瞬間僕は地面にぶっ倒れた。

 

「よく頑張った、10分休憩」

 

林君は涼しそうな顔をしている。きっと僕に合わせてペースを落としてくれていたからだろう。ほんのり汗ばんでいる程度だ。

 

カバンから水を取り出し、飲み干しそうな勢いで水を飲む。

 

「さて、この次だが…その前に日向。日向は戦えるようになりたいのか?」

 

「うーん、そんな大層なことじゃないけど、せめて自分の身は自分で守れるようにならないと」

 

八島に襲われたり、猿に襲われたり…色々なことがあったが、やはりどれも僕はあまり役立っていない。せめて足を引っ張らないようにはしたいのだ。

 

「いい心がけだ。だがそれぞれに役割がある。事実、お前の閃きや機転がなければ死んでいた。戦う力だけが必要なわけじゃない」

 

「そうかな?」

 

「ああ、そうだ。俺がお前たちを守る。日向が解決の糸口を見つける、そうして成り立っている」

 

「ありがとう、林君」

 

なんとなく、すっきりした。役割分担か、得意なところで勝負した方がいいに決まっている。僕は僕のできることをしよう。

 

「だが、体を鍛えることはいいことだ。休憩終わり。次は階段ダッシュ50本だ」

 

「う…うん…」

 

この状態で50本もしたら本当に死ぬかもしれない…ただ、運動に付き合ってくれている手前、辞めたいとか無理とかは言いたくない。僕は吐きそうになりながら階段に向かった。

 

次の日、信じられないくらいの筋肉痛に襲われたのはまた別の話だ。

 

 

 

 

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