日向君と膝枕
「うう…眠い…」
最近、林君と一緒に朝ランニングをしているのだ。もちろん体を鍛えるためなのだが、やはり朝も早いので本当に眠いのだ。お昼を食べた後なら尚更だ。このままでは午後の授業に支障が出てしまいそうだ。少しどこかで仮眠を取ろう、どこか使えないかな…あ、そうだ。放送室開いてないかな。開いてるなら使わせてもらおう。僕は放送室へと向かった。
思惑通り、放送室は開いていた。中に大園さんがいたのだ。
「あれ?先輩どうしました?」
「ちょっと眠たくて、仮眠を…」
僕は席に座って放送室にある長机に突っ伏すように眠ろうとする。
「そんな寝方したら体に良くないですよー?」
「すぐ起きるから大丈夫だよ」
「うーん…あ、そうだ」
そういって、大園さんはいくつかあるパイプ椅子を横一列に並べ始めた。5つほど並べ、大園さんはその一番右端に座る。
「はいどうぞ、これなら横になれますよー!」
「…そこに大園さんが座ってたら僕の身長じゃギリギリはみ出ちゃうよ」
「ええ、わかってますよ?だから…ほら」
ぽんぽんと大園さんは自分の腿を叩く。
「膝枕してあげますよ」
「流石に恥ずかしいよ、それに大園さんも作業中だったんじゃないの?」
ここに入ってきた時、大園さんはノートパソコンを開いていた。何かしていたのだろう。それを邪魔するのも悪い。
「いいんですよ、ほら、早くしないと寝る時間が無くなっちゃいますよ?」
「…」
僕は言われた通り、大園さんが座っている方を頭にしてパイプ椅子に横になった。こうなった大園さんはテコでも動かない。言うことを聞いた方がいいのだ。
フニュンとした柔らかい感触が後頭部に広がり、ふわっと甘い匂いに包まれる。
「…」
「ちょっと恥ずかしいですね…膝枕って」
「う、うん…そうだね」
「…子守唄でも歌ってあげましょうか?」
「そこまでしてくれなくていいよ」
「それじゃあ…」
そういって、大園さんは僕のお腹に手を伸ばし、ポン、ポンと軽く叩いてきた。一定のリズムで優しく叩かれ、瞼が重くなる。
空いている左手は、僕の頭を優しく撫でている。
「昔お母さんがしてくれたんですよ、どうですか?」
「…」
「おやすみ、先輩」
さて、先輩が眠ってしまった。イタズラをするなら今しかない。眠っている人にやる定番のイタズラといえば顔に落書きだけど…あいにく油性ペンがない。おでこに何か書きたかったのに…
先輩の寝息だけが静かな放送室で聞こえてくる。せっかくだから先輩の顔を観察しちゃおっと。
どことなく幼い顔立ちで、私と並んで歩いていたら先輩と後輩ってわからないかもしれない。
先輩と同学年だったら、もしくは幼馴染だったらどういう感じだったんだろ…楽しかっただろうな。
「先輩…」
ぼそっと呟く。先輩は相変わらず寝息を立てている。
「せーんぱい」
反応はない。
「イタズラしちゃいますよー?」
それでも反応は無しだ。イタズラすると宣言しているのに起きない。これはイタズラされても文句は言えないはずだ。
「…」
私はゆっくり顔を先輩の顔に近づける。先輩の唇にゆっくりと、ゆっくりと…
チュッ
急な方向転換、私の唇は先輩の唇ではなく、おでこに着地した。
ヘタれたわけではない、単に先輩の寝込みを襲うのは卑怯だと思ってしまったからだ。眠ってる相手の唇を狙うのは、フェアじゃない。うん、そうだ。
「ほんと、私の気持ちをかき乱すんだから…」
私はぼそっと呟いた。意外に先輩は小悪魔なのかもしれない。
「…」
先輩がいつに起きるかわからないが、せっかくだしもう少しこの時間を堪能しようかな。
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が遠くで聞こえ、僕の意識が覚醒する。
「あ、起きました?おはよーございます先輩」
「おはよう、大園さん…」
ゆっくりと僕は体を起こす。
パイプ椅子から降りて、背中を伸ばす。予鈴の音が聞こえたということはあと5分で授業が始まってしまう、早く教室に戻らないと。
「僕は教室に戻るよ」
「戻るって、今からですか?」
「今からって、今から5時間目なんだから戻らないと」
「…?何言ってるんですか?今から放課後ですよ?」
「」
僕は慌てて壁の時計を見る。時刻は15時45分、終学活が終わり今から放課後の時間になっている。僕はどうやら、3時間くらい眠っていたらしい。
「な、なんで起こしてくれなかったの!?」
「頼まれてないですし…」
それもそうだ、僕は何も頼んでない。
「あ、確かに鞄くらいは取りに行った方がいいですね」
僕は慌てて放送室を飛び出し、教室に向かう。教室で新山先生に叱られたのはいうまでもない…
おまけ
if 大園の膝枕中にハプニングが起きたら
先輩が私の太ももの上で眠っている…これはチャーンス!どんなイタズラをしよっかなー?
「ううん…」
おっと、まだ眠りが浅いのかな?もう少し深く眠ってから…
「ううん…!」
先輩が寝返りをうつ。寝心地が悪いのかな?ちょうど先輩は今私の方を向いている状態だ。
「うーん…」
「ちょっ!」
先輩が頭の下にある私のスカートを掴んで引っこ抜いた。今は素肌の上に頭がある状態だ。先輩の髪の毛が触れて少しくすぐったい。
「うーん…」
「まって、先輩…!」
今度は先輩が引っこ抜いたスカートを自分の顔の上に乗せた。今はちょうどスカートの中に先輩の顔がある状態だ。本当に眠ってるの!?
先輩はしかも、私の体側を向いてる。先輩の吐息が、その…私のショーツにかかってなんとも言えない気持ちになる。
「うっ…!」
先輩を起こさないと、大変なことになる…!私は先輩を起こそうと手を伸ばした、その時だった。
先輩の体が動き、鼻先が私のショーツにくっつく状態となった。今まで微かに感じていた吐息をさらに強く感じる。
「あん…!」
思わず嬌声が漏れてしまい、慌てて口を押さえる。今までに体験したことのない感覚に思わず声が漏れてしまったのだ。
先輩と…その…私のショーツ、いうならば私の秘部まで距離はもう無い。先輩の吐息と、先輩の微かな揺れが起きるたびにゾクゾクする。
声を漏らさないようにするのが精一杯だ。手を伸ばし、先輩を一刻も早く起こさなければならない。先輩の肩を揺さぶろうとして…私は伸ばした手を引っ込めた。
あと少しだけ、あと少しだけこの快感を味わいたい、そう思ってしまったのだ。
先輩の吐息を受け、今までに無い快感を味わうこと数分。
「じれったい…!」
そうだ、あまりに微弱な振動と吐息に今まで酔いしれていたが、それだけでは物足りなくなってしまった。もっと強く先輩の吐息を感じたい。私の頭の中に悪い考えがよぎる。
先ほど引っ込めた手を今度は先輩の頭に伸ばし、少し押す。
先輩の鼻先がさらにショーツに食い込む。
「あっ!!!!」
再び嬌声が漏れる。先ほどより強い快感に体がぴくりと跳ねる。今の声で先輩が起きてしまったのではないか?
「…すう…すう」
よかった、まだ起きてないみたいだ…私はほっと胸を撫で下ろし、再び快感に酔いしれる。気持ちいい…もう少しだけ、強く押し当ててもいいだろうか。そっと先輩の頭に手を伸ばす。
「うーん」
私が先輩の頭を押す前に、先輩の顔が動き今までより深く押し当てられた。突然の強い快感に体が跳ねる。
「あっ!だめ…!イッちゃ…う…!」
グリグリと押し当てられる顔、鼻先が動くたびに快感が押し寄せてくる。もう抑えきれない…!
「んんんんんん!!!!!」
体が一際大きく跳ねる。その衝撃で先輩が太ももから転げ落ちた。
「あいたっ!」
突然の衝撃に目が覚める。どうやら膝枕から転がり落ちてしまったらしい。
「いたた…」
でも、ちょっとは眠れたみたいだ。少し頭がスッキリしてる。
「元気になったよ、ありがとう大園…さん?」
大園さんの様子がおかしい。顔を真っ赤にし肩で息をしている。
「どうかしたの?大園さん」
「うー!先輩のバカー!」
大園さんがポカポカと僕を叩いてくる。
「いたた、一体何があったの?」
「うるさいです!先輩が何もかも悪いんです!」
しばらく涙目で潤んだ大園さんから怒られるのだった。