これは、大園さんと僕がジュースを買いに外の自販機に行った時のこと。
ガシャン、オオアタリー!
「おわ、初めて当たった」
「えー、いいですねー」
「大園さん、どれが飲みたい?あげるよ」
「いいんですか?お言葉に甘えてカフェオレで!」
僕はカフェオレのボタンを押す。こういうのは、幸運のおすそ分けとして誰かにあげた方がいいのだ。
「ありがとうございまーす!」
僕は炭酸飲料を、大園さんはカフェオレをこつんと合わせる。
「いやー、おいしいですねー!」
「あはは、そうだね」
ジュースを口にしながら僕はそう返す。
「ん?先輩、靴紐ほどけてますよ?」
「あ、本当だ、ごめん、ちょっと持ってて」
僕は大園さんにジュースの缶を渡す。しゃがみ込んで靴ひもを結びなおそうとしたその時だった。
ビュー!
「きゃっ!」
強い風が吹き、大園さんのスカートがめくれ上がる。
「ちょ、ちょっと!いや!」
大園さんは手でスカートを抑えようとする。が、両手が缶でふさがっているため抑えることができないのだ。
僕はその光景をまじまじと見つめることしかできなかった。風に吹かれめくれ上がるスカート、赤面する大園さん、そしてあらわになる健康的な白い太ももと薄水色の…
「何見てんの!!!」
「うぐう!!!」
大園さんの鋭い蹴りが顎に突き刺さる。これに関しては、僕が悪い、100%悪い。本能に従ってしまったのだ…そのまま僕は後ろに転がる。
「この変態!最低!!目をそらしてくれてもよかったじゃないですか!なんで今日に限ってこんな地味なやつのときに!!」
「ずみまぜん…」
鼻をぶつけた時のようなツーンとする感覚に陥りながら大園さんに頭を下げる。
「いや、許しません!!私が満足するまで!!」
「ど、どうしたら…」
「こっち来てください!」
僕は学校の裏側に連れていかれる。僕は今からシメられるのだろうか…大園さんは、手に持っていた缶を二つ僕に渡してくる。先ほどまでとは逆の状況だ。
「…まず、感想。私の…その…見てみてどうでしたか?」
「へ…?」
「いいから感想!答えて!」
「あ、はい!その…かわいかったです…」
僕は人もいない校舎裏で何を言わされているのだろう…
「そうですか、かわいい…他には?もっと詳しく教えてください!」
「へ、もっと?えーと…その…あの…白い足と…その…」
「はっきり言って!」
「白い足ととてもマッチしていました!」
本当に僕は何を言っているのだろう…
「ふ、ふふ、マッチしてたと…!じゃ、じゃあ先輩!私のを見て、興奮しましたか?」
「え、えっと…はい…」
これはセクハラではないだろうか。僕から大園さんに対してではなく、大園さんから僕に対しての。
「ふふふ…!そっかそっか、先輩は私の下着を見て興奮する変態さんだったんですねー?」
なぜか満足そうに頷いている大園さん、どうやら、機嫌は戻ったらしい。
「先輩は、シンプルなのと、可愛い系と、大人っぽいものならどれがお好みですか?」
まだ質問は続くのか…てっきりもう終わったものかと…
「えっと、その人によるかと…」
「じゃあ質問を変えます、私に一番似合うのはどういうのですか?」
これは、質問ではなく拷問ではないだろうか。年下の女子から詰め寄られ、僕は何を答えさせられているのだろうか。
「えっと…」
何と答えても犯罪っぽいが…消去法で考えよう。僕は大園さんを見つめる。大園さんは、どちらかというと幼い顔立ちをしている。そんな顔立ちで大人っぽいものは…ギャップでいいな…次、可愛い顔立ちで可愛い系というのは、ベストマッチだろう、これもいいな。正直、どれも似合いそうな気がする。そんな僕が導き出した答えは…
「シンプルなのが、一番だと思います…」
百聞は一見に如かず、僕がどれだけ考えようとさっき直接見た光景を超えることはできないのだ。
「ふふふ、そっかそっか、今日みたいなのが先輩好きなんだー?」
上機嫌になった大園さんは、にやにや笑いながら近寄ってくる。
「あの、もうご勘弁を…」
「もう質問は終わりました、質問は、ね…?」
「ちょっと…大園さん?」
嗜虐的な笑みを浮かべた大園さんがじりじりとこちらによって来る。僕の後ろは校舎の壁だ、もう下がることはできない。
「私のを見たんですから、私も先輩の見る権利がありますよね?」
「それとこれは話が別ではないだろうか!?」
僕の両手をふさぐためにジュースを持たせたのか。なかなかの策士だ。
そして、相手は女の子だ、突き飛ばすこともできない。
「すこしだけ、ガ・マ・ン、してくださいね?」
大園さんの顔が眼前に迫る、そしてゆっくりとその白い手が僕のベルトに伸び…
「何をしておるんじゃ、お前ら…」
「…」「…」
そこには、小さなスコップを持った氏神様が立っていた。
「う、氏神様、ここで何を…」
恐る恐る僕が尋ねる。
「わしの祠周りの雑草を処理して花でも植えようかと思ってな。がーでにんぐというやつじゃ」
「いつから見てました?」
今度は大園さんが尋ねる。
「そうじゃな、白い足とまっちしていたとか言っていたところからかの」
結構最初から聞いていたみたいだ。じゃあ僕の性癖暴露も聞いていたということになる。控えめに言って死にたい。
「違うんです、氏神様、これは…!」
「逢瀬をするのは勝手じゃが、さすがにもう少し人目を忍べ」
「誤解なんです!!!!!!」
あれからは、氏神様になぜこうなったのかを説明し(氏神様は残念なものを見る目をしていた)なんとか誤解を解いた僕たちは、疲れた顔で学校を後にした。
結局うやむやになってしまったが、許してくれたんだろうか…
今日は色々疲れた、早く眠ってさっさと忘れてしまおう…
ブーブー
ん?こんな時間に連絡?誰だろ?
大園:今日の件、まだ先輩の反省が足りないと思うんですよね。
大園:だから、今度、私の下着を先輩が選んでくださいね?先輩好みのものを
大園:返事は、はいかイエスしか聞きませんので!
大園:好きなの、考えといてくださいね!
「………」
その晩、僕はいろいろな煩悩が渦巻きなかなか眠ることができなかった。