大園高校不思議調査隊   作:かんおみ

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二つの甘い果実(狂)

少し休んでから行くと大園さんに伝えたら、大園さんは先に戻ってしまった。なんでも、話を寮監さんにしにいってくれているらしい。

 

「…ふう」

 

やっと心拍数も戻り、気持ちの落ち着きを感じる。

 

「あ、いたいた。日向君!」

 

「本庄さん?なんでここに」

 

「大園さんがここにいるって教えてくれたの」

 

「あ、そうなんだ…もう戻るよ」

 

空き教室とはいえ勝手に使っていると何か先生に言われるかもしれない。

 

「あ…」

 

「?どうかした?」

 

「いや、あのね…日向君に失礼なこと言っちゃったかなと思って…」

 

「失礼なこと?」

 

「日向君が…その、恵さんと同じ家で一緒にいるのはよくないって日向君のこと信じられてないようなこと言っちゃってごめんなさい…」

 

「ああ、なんだそんなこと。周りから見たらそう思われるのは当然だし気にしてないよ」

 

「そっか、よかった。あのね、その他に昨日のことなんだけど…」

 

「うん、どうかした?」

 

「その…日向君と昨日のお昼に目があってそれで目を逸らされたような気がして…」

 

「えっと…それは…」

 

気のせいだよとか、気にしすぎじゃない?と誤魔化すことはできる。しかし、それをいうのは誠実に謝ってきてくれた本庄さんに失礼な気がした。

 

「…本庄さんが他の友達と仲良くしてるのをみてちょっと気まずくなって…」

 

「ごめんね、ちょっと話してて…」

 

「本庄さんが謝ることじゃないよ!僕が勝手に気まずくなって逃げちゃっただけだから…」

 

人間にはそれぞれ人間関係がある。僕みたいに人間関係が希薄ならまだしも、本庄さんは友達が多いタイプなのだ。

 

「あのね、日向君。私にとって日向君は大切な…と、とも…だちだよ!」

 

友達という時に急に言葉を濁した本庄さんをみて少し不安になる。本当に友達と思ってくれているのだろうか。

 

「本当はもっとその先の…」

 

「…?何か言った?」

 

「…なんでもない。ともかく、私は日向君のこと大切な友達って思ってるから!」

 

「そっか、それならいいんだけど…」

 

若干無理やり言わせた感じがあるが今更友達であることなどを疑うことはしない。それだけ大きな出来事を乗り越えてきたのだから。

 

「これで、言いたいことは全部言えたんだけど…その…」

 

なんとなくだが、本庄さんの歯切れがいつにも増して悪い気がする。何か言いにくいことでもあるのだろうか。

 

「私も膝に乗せてもらえたらなって…」

 

「え…?」

 

なんだろう、膝に人を乗せるのがブームなのだろうか。しかし、流石に異性をそう易々と乗せるのは…

 

「ごめん!変なこと言っちゃって。でもね…」

 

「この前目を逸らされた時なんて言うんだろ気持ちがざわついたというか苦しいというか正直すごいショックでその日の放課後話を聞こうかなって思ってたんだけど日向君体調崩しちゃってたしあもちろん日向君を責めてるわけじゃないよ!日向君が私に気を遣ってくれてたっていうのもわかるし私の考えすぎだったって思うんだけどそれでもやっぱり友達に目を逸らされるのはショックだったっていうかぶっちゃけ日向君に目を逸らされたっていうのが正直一番傷ついたっていうか日向君って誰にでも優しいから私が誰かと話してたから気を遣ってくれたんだよね?ごめんね私も咄嗟に声をかければ良かったよねそれにしても私の知らないところで危険な目に遭ってたんだね一人で解決しちゃうなんて本当にすごいよ!でも私としてはあまり無理なんかしてほしくないっていうか今回も化け物と戦ったんだよね本当に帰って来れて良かったよそれに恵さんも助けられたみたいだしでもそれにしてもちょっと距離が近いのが気になるなってナチュラルに膝に乗せてたよねあんまりそんな節操なしにやっちゃうと女の子勘違いしちゃって大変なことになるよちゃんと節度を持たないとなんならあの子日向君のこと京介さんって呼んでたよね私ですらまだ苗字に君付けなのにいきなり下の名前で呼ぶのって距離近くない?恵さんも苦労してきたってわかるけどそれとこれとは話が別!私も日向君のこと下の名前で呼びたいしなんなら同じ部屋に住みたいけどとりあえず今回最低限日向君の膝に乗るってところで妥協しようかなって!」

 

「」

 

「あ、ごめんね捲し立てて…」

 

「」

 

「日向君?」

 

「はっ!ごめんごめん、一瞬意識が飛んでた」

 

まさか本庄さんが目のハイライトが消えた女の子のように僕に感情をぶつけるなんてありえないことだ。きっと疲れからくる空耳だろう

 

「で、なんの話だっけ?」

 

「日向君の膝に乗りたいなって」

 

「」

 

どうやら空耳ではなかったらしい。本庄さんの話の中になんだか聞き捨てならない話がいくつか紛れ込んでいた気がするがもう気にしないことにしよう。

 

「だめ…?」

 

「うっ…」

 

上目遣いで僕を見る本庄さんに気持ちが揺らぐ。本当に僕って上目遣いに弱い…

 

「わかった…」

 

「ありがとう!」

 

僕が上目遣いに弱いってみんな知っているのだろうか。なんだか、とことん女子に弱くなっている気がする…

 

僕が椅子に座ると、おずおずと本庄さんが近寄ってくる。

 

「それじゃ、いくね…!」

 

ゆっくりと本庄さんが膝の上に乗る。正確に言うと、膝ではなく太ももだが。

 

むにょん

 

女子を比べるなんて失礼だとは思うが、大園さんとは違う柔らかさに僕はドキドキしてしまう。

 

「お、重くてごめんね」

 

「いや、そんなことないよ!こちらこそごめんなさい(?)」

 

なんで僕謝ったんだろ。もはや自分の行動に説明がつかない。

 

「あの、少しもたれていい?」

 

これも比べるなんて失礼なのかもしれないが大園さんとは違う反応に新鮮さ感じてしまう。

 

「うん、大丈夫」

 

「それじゃ、遠慮なく」

 

本庄さんの体がよりかかってくる。とりあえず、行き場をなくしたこの手をどうしたらいいのだろうか。とりあえず垂らしておくか。

 

「きゃっ!」

 

「あぶな!」

 

バランスを崩した本庄さんを咄嗟に支える。よかった、すぐに支えられる位置にあって。

 

「あ、ありがとう…」

 

「うん、どういたしまして」

 

本庄さんのお腹あたりに手を回してしまっている。これは良くない、すぐに手を離そうとして

 

「よかったら…このままで…」

 

きゅっと本庄さんの手が僕の手に重ねられた。はたから見たら後ろから抱きしめているように見える、ちょっと古い言い方をすればあすなろだきだろうか。

 

女の子の体って、なぜこんなにも柔らかいのだろうか。いや、男子を抱きしめたことがないのでわからないが…でも少なくとも林君は筋骨隆々なので硬そうだ。なんて余計なことを考えてなければ邪な考えが浮かんできそうだ。

 

「あったかくて…すごい…すごい幸せな気持ちになる…」

 

とろんととろけたような声が聞こえてくる。これまた大園さんとは違うタイプで本庄さんは人の理性を削ってくるな…

 

「日向君とならね、私どんなことでもできそうな気がするの。もちろん、大園さんとか林君もいると安心できるけど」

 

「本庄さん…」

 

「私、もっと頑張るね。日向君に頼られるくらいに」

 

「もう頼ってるよ?」

 

「じゃあ、目を逸らされないくらいになるように」

 

「うっ…ごめん」

 

「こちらこそごめんね、ウジウジぐちぐちと…でもそれくらい気になっちゃって」

 

よっぽど本庄さんを傷つけたらしい。どうしたら許してくれるのだろうか。

 

「僕にできることなら、なんでもするよ」

 

「な、なんでも!?」

 

「うわ、びっくりした」

 

突然の大声に僕の体が跳ねる。

 

「ご、ごめん…でもほんと!?本当になんでもしてくれるの!?」

 

「う、うん…僕にできることなら…」

 

「言ったからね!?取り消しなしだからね!?」

 

「う、うん…」

 

予想以上の反応にびっくりしてしまう。

 

「な、何がいいかな…!また考えさせて!」

 

「うん、わかった…」

 

下手なことを言ってしまっただろうか。だが、本庄さんのことだ、そんな無理は言って来ないだろう。

 

「よーし!元気出た!ありがとう日向君!」

 

どうやら満足してくれたらしい本庄さんは僕の膝から降りた。

 

「そろそろ行こう日向君、みんなのところ戻らないと」

 

「うん、わかったけどちょっと待ってね。なんなら先に行ってもいいよ」

 

「?」

 

僕は女子を膝に乗っけて何も思わない男子高校生などではない。不思議そうな顔をする本庄さんに僕は情けない返答をするしかできなかった。

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