初期環境というか、初期環境風
⠀新月新年。
⠀一足先に拝んだ干月はお年玉を、そして月初めに10パック分のお小遣いを頂いている。
⠀今日のカードショップには特に子供達が集まり、パックを剥いでいる。
⠀そこに一抹の煌めきが場の注目を集める。
「やった!『カオス・エンペラー』だ!」
⠀帽子を被った少年は、年始早々に運気を引いたとURの輝きのように目を光らせる。
⠀場を一掃し、絶大なダメージを与える事ができる効果を持つ最強のカードだ。
⠀だがあまりにも強力過ぎた故に…決闘での使用を禁止されてしまった。彼はまだそれを知らない。
⠀干月が開封したパックから出たレアカードは『毒牙の鼠』のみだった。
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【毒牙の鼠】闇⠀★1
攻300守300
①表側表示のこのカードを破壊したモンスターは、次のターン終了後に破壊される
②①発動後、次に相手が召喚したモンスターは、次のターン終了後に破壊される
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⠀多少のアドバンテージを得る効果。
⠀『カオス・エンペラー』のような派手さはないが、干月の戦略的には性に合ったものだった。
⠀まだDMに対して気持ちは揺らいでいるが、流れるように普段通りの場所に来てしまった。
⠀そしてフリー対戦を申し込まれ、広場でデュエルディスクをセットしている。
「安心していい。普通の決闘だ」
⠀正面に立つのは六巳流。
⠀彼は賭け決闘を行い、多くの相手とトラブルを起こしていたらしい。
⠀曰く、賭けに敗北しカードを渡さず逃げた者を延々と殴り続けたようだ。
⠀単なるカツアゲはしないのかもしれないが、それでも少し気は重い。
⠀決闘を申し込まれると、殆ど条件反射で了承してしまうのだった。
「でも、何で俺なんかに?」
「謙遜するなよ……君はその歳で先日の地域予選の3回戦まで進んだ。将来有望じゃないか」
⠀地域予選といえど、それ以前のショップ予選を勝ち抜いた上で出場が叶うものであるし、何より年齢の制限がない。
⠀彼の年齢を鑑みれば、地域3回戦敗退でも大健闘したと言える。
⠀だが有望と言える程有望でもなく、その事実を干月は喜ばしく思わない。
「まあいいですけど……それじゃあお願いします」
「君には手加減しないよ」
「「決闘!!」」
「俺は『毒牙の鼠』を召喚!」
「僕は『昆虫合唱団』を召喚!
⠀このカードを生贄にする場合、もう1度召喚を行うことができる──よって★6モンスター召喚!
⠀『草陰に潜む者』!」
⠀空かさずバトル。
⠀その攻撃力は2400。よって干月は2000の戦闘ダメージを受ける。
「……『毒牙の鼠』の効果、知ってますよね?」
「ああ。だが君はジワジワ攻める戦い方をする。早々に叩いた方が良いと思ってね。
⠀それに『草陰に潜む者』は効果で破壊される時、手札を一枚捨てて同名カードをデッキから特殊召喚できる」
⠀無論それも効果で破壊されるが、更に3体目を呼び出すことができる。
「ならこのカード──『単眼の幻龍』を召喚!こいつは攻撃前にそのモンスターを9
ターン後まで除外する!」
⠀一時的に除外された事により『毒牙の鼠』の破壊効果は失われるが、9ターン後まで場から消える。
⠀そして次の召喚モンスターへの破壊効果は有効打となる。
「……僕は『土蛇』を召喚。バトルだ」
⠀単眼の幻龍は破壊され、干月は1500の戦闘ダメージを受ける。
⠀既に半分のLPを失ったが、干月は焦らず盤面を整える。
「俺は『砂城の巨兵』を召喚しターンエンド」
⠀何もせずとも『土蛇』は破壊される。
⠀六巳は更に『土蛇』を出すが、表側守備表示で出せる『砂上の巨兵』の2100の守備力には太刀打ち出来ない。
⠀そして次のターン、干月の手札のピースが揃う。
「俺は永続魔法『余剰召喚』を発動!
⠀レベル4になるまでモンスターを召喚できる!
⠀来い!俺のモンスター達!」
⠀『暴龍の雛』
⠀『ステップ・ハット』
⠀『ジャンク・マシーン』
⠀『ジャンク・マシーン』
⠀4体のモンスターを一斉召喚。
⠀更にステップ・ハットは一ターンに一度、他のモンスターが召喚された時、カードを一枚引く効果を持つ。
⠀そして『砂城の巨兵』は自身に攻撃しなかったモンスターを共に破壊する。
「更に『二人三脚』を発動!同名カードが二体あるモンスターの三体目を特殊召喚する!」
⠀よって『ジャンク・マシーン』を特殊召喚。
⠀そして『ジャンク・マシーン』は同名カードがある時、一枚カードを引く。
⠀計4枚のカードをドロー。
⠀そして5体のモンスターの総攻撃。六巳に3300のダメージを与える。
⠀更に『暴龍の雛』はこのカード以下の攻撃力のモンスターが戦闘ダメージを与えた場合、その数値分攻撃力を上げる。
⠀よって3800まで上昇。
「更にカードをセットし──ターンエンド」
⠀『暴龍の雛』もだが、他のモンスターも早々に破壊したい。
⠀だが伏せカード……当然易々と破壊させてはくれないだろう。
「僕のターン……」
⠀六巳の腕はやや重い。だが引いたカードに、眼の色を変える。
「僕は『解禁』を発動!禁止カードを一枚デッキに加える事ができる!」
⠀六巳は胸ポケットから一枚のカードをデッキに加え、シャッフルする。
⠀そのカードは裏側の状態でさえ、絶大な力を感じさせた。
⠀あのカードを引かせてはならない。
⠀あのカードを引く前に、勝負を終わらせなければ……
「僕は『屍蟲』を召喚。このカードと自分の墓地のモンスター二体を除外し、★6を召喚できる──来い!『ポイズン・スネーク』!」
⠀『ポイズン・スネーク』は場に出たターン、他のモンスターの攻撃力を0にする。
⠀『暴龍の雛』が攻撃され、干月は2400のダメージを受ける。
⠀伏せカードは攻撃されたモンスターの攻撃力を2000上昇させる『反撃』だったが、0にされては太刀打ちできない。
⠀そして攻めにいきたいが、もうLPに余裕もなくなっていた。
⠀干月は『ジャンク・マシーン』の効果で3枚ドローし、全てのモンスターを守備表示にしてターンを終了した。
「僕のターン、『レディースネーク』を召喚。このカードは★6が場にある時生贄なしで召喚できる」
⠀二体の攻撃により、二体の『ジャンク・マシーン』が破壊。
「俺のターン……『余剰召喚』により新たなモンスターを3体召喚」
⠀『ジャンク・スコッパー』
⠀『単眼の幻龍』
⠀『ものマネ幻想師』
『ジャンク・スコッパー』はターンに一度、墓地の★1を特殊召喚できる。
⠀『暴龍の雛』を蘇生。
『ポイズン・スネーク』は『ものマネ幻想師』で攻撃力をコピーした後『単眼の幻龍』で除外。
⠀そして『ものマネ幻想師』で『レディースネーク』を戦闘破壊。
⠀残る3体で直接攻撃。
⠀六巳に2500のダメージを与える。
⠀こちらのLPもあまり余裕がなくなってきた──だが、彼が次のドローで引いたのは恐れていたカードだった。
「僕は『禁獣神-ウロボロス-』を召喚!!」