TS巻き込まれ召喚勇者    作:ななば

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うう、文字数毎回2000文字程度でへばっちゃうよ〜


5.勇者達

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を()()だと理解したのは、いつのことだったか。身体に当たる北風が、いつもより数段と寒かったのを覚えている。

私と三月くんは幼馴染で、ずっと一緒にいた。幼稚園も、小学校も中学校もずっとずっと友達でいた。

好きな物、嫌いな物、得意な教科、なんでも知ってたし向こうも知っていた、と思う。

 

友達を作るのが得意でない私にとってそんな三月くんは唯一無二の親友だった。二人で観た映画、二人の宝物、あと、二人きりのお泊まり会。

 

一緒にいてこれ以上ないほど楽しかったし、幸せだった。

言葉には出せなかったけど、きっと私は、私は────()()()()()()()()()()

 

 

高校に入って、全てが変わった。

三月くんはいじめの標的になった。

彼の何が悪かったかと言えば、何も悪くなかった。しいて言うならただ運がなかったのだ。

"目つきが気に入らない"、"顔が気に入らない"……なんて、くだらない理由で彼はいじめられた。

 

何度も傷付いて、何度も汚れて。

見るたびに彼の身体はボロボロになっていった。その惨めさに、彼の心は引き裂かれていった。

 

でも一番、彼の───三月くんの心を引き裂いたのは、()だ。

 

 

三月くんが殴られた。

私は何もしなかった。

三月くんが蹴られた。

私は何もしなかった。

三月くんが不登校になった。

私は何も、しなかった。

 

できなかったのではなく、しなかったのだ。

三月くんをいたぶる奴らが怖かった、恐ろしかった。傷だらけの三月くんを見て、たった一度でも、たった一瞬でも()()()()()()()()()と思ってしまった。

 

そう思ってしまった醜悪な自分に酷く失望した。

 

 

 

もう分かっている。あの場で一番醜悪だったのは。

 

加担したクラスメイト達でもなくて。

 

いじめられてた三月くんでもなくて。

 

黙認する担任でもなくて。

 

 

 

 

私だったということは。

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

フリード王国、城内にて、()()()()が召喚された。

 

 

「いやぁ、今代の()()たちは皆素晴らしいな!」

 

ハハハ、と豪快に笑うのは王国騎士団の団長、レーナ・ロレンス。

年若い女性でありながら、数多の戦士たちを押し除けフリード王国の団長という地位を勝ち取った女傑。

彼女の目に映るのは、これまた年若い、異世界より召喚されし勇者たちである。

 

「すっげえぇぇッ!!」

「マジの異世界じゃん、やば!」

「勇者だってよ、マジでカッケー!?」

「なぁ…俺ら本当に戦うのかよ…」

 

国王からの説明を受けてまだ間もないからだろうか。

召喚されし勇者たちの言動は、混沌を極めている。

混乱する者。

血気盛んな者。

この世界に感動する者。

いずれ来たる戦いに恐怖する者────そして。

 

「皆んな!!どうやら俺たちは異世界で魔王なるヤツを倒さなければ帰れないらしい!…俺は、できれば戦いたいと思う!皆んなはどうだ?勿論、無理強いはしない」

 

仲間たちをまとめ上げようとする者。

レーナはそんな勇者──『神木 相馬(かみき そうま)』を見て笑みを浮かべる。彼のように自ら進んでリーダーとなる者は良い。召喚されたばかりの勇者たちの()()を、多少強引にでも変えてくれる。

 

「あ…そ、相馬が言うなら、俺やるよ!」

「ああ…やってやるぜ!魔王がなんだ!」

 

その証拠に、もう既にポツリポツリと相馬に賛同する者が現れた。勇者たちの流れが混乱から、魔王討伐へと一気に傾いた。

 

 

レーナが今代の勇者たちは皆優秀だと言った理由、それはなにも相馬のような勇者がいたから───だけではない。今代が優秀である理由。それは、召喚した勇者全員が初めからスキルを有していたからだ。

 

通常初めからスキルを有している者は多くない。スキルとは本来、特別な素質や遺伝的な異能が魂に刻まれ、魔法とはまた違う特殊能力として表れる物なのだ。世界を救う為に召喚される勇者とはいえ、それは例外ではない。召喚された勇者たちの中でも、二、三人持っていれば良い方なのだ。

 

それが───()()()()()()()

全員が、初めからスキルを持っている。召喚されたばかりの勇者たちのステータスを確認して、その度に驚愕した。

 

(その中でも、ソウマは頭抜けて強い)

 

 

 

────────────────────────

 

 

【神木 相馬】

 

 性別 男性

 

 LV1

 

 HP:102/102

 MP:134/134

 攻撃:120

 防御:100

 器用 : 103

 速さ:119

 魔力 : 150

 

【称号】

 

【勇者】

 

スキル

 

極光の纏い手(アポストロ)

 

 

 

────────────────────────

 

 

(召喚されたばかりで全ステータス、百越え…!?)

 

レーナは一目、ステータスを見た時に戦慄し、そして確信したのだ。

彼だ、彼こそが数多の勇者たちの中心となる者。英雄たりえる存在なのだと。

 

(それに、優秀なのはソウマだけではない)

 

勇者アトリ、勇者ニシザキなどの勇者たちも、ソウマには敵わないながらも皆ステータスが高く優秀なのだ。

 

ああ、これならば、これであれば、魔王も直ぐに倒せるであろう。祖国も世界も、何もかもを守り通せるであろう。

 

安泰だ、彼らが順当に強くなれば何もかもが上手く行く。レーナはそう信じ、魔王討伐後の平和な世界を夢想した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






◾︎勇者たち
三月ちゃんと同じクラスである1-Bが転移、全員がスキル持ちであり、クラスの中心人物であった神木は全ステータス100越えの強キャラ。他のクラスメイト達も相当に強い。
ぶっちゃけステータスだけなら三月ちゃんが1-Bの中で一番弱い。クソザコナメクジ。

◾︎???
TS前、まだ男であった頃ずっと一緒にいた幼馴染。
双方とも好きであったが、三月くんがいじめられていたのを恐怖で何もできず、見捨てるような形になってしまった。そのことを今でも深く後悔している。
ずっと一緒だって、言ったのにね。





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