僕は振り上げた拳をそっと下ろし、代わりに必殺技を全力で相手へ叩き込んだ   作:つけちゃん

1 / 2
僕は振り上げた拳をそっと下ろし、代わりに必殺技を全力で相手へ叩き込んだ

 

『さあ、(おど)ってください』

()して参る』

 

 

 墓杜のやや前方に、一匹の獣が姿を現した。四本足と(するど)い牙の他に、長い舌と複数の触手を持ったティンダロスの猟犬(すけさん&かくさん)──犬好き墓杜芽々の愛犬だ。

 黒と灰、アスファルトとコンクリートの世界に相まみえるは、エンベデッドエンジニア墓杜芽々と、忍者家元虎之介。

 開始の声を置き去りに、両者が動いた。

 

 さて、この初手召喚で、(ねら)い通りの展開に持ち込めるかどうか。

 それでも。

 ──()()は、こちらがもらう。

 

 

 

 長い舌がしなり、激しく家元を打ち付ける。勢い良く吹っ飛んだ家元は、後方の柱にぶつかる直前、宙返りをして足から着地した。それなりに傷は負った様子だが、ダウンとまではいかなかったようだ。

 追撃、強襲(きょうしゅう)

 複数の触手と舌が家元の身体を突き破らんと追い打ちをかけようとする。だがティンダロスの猟犬(すけさん&かくさん)の身体は、墓杜の肉体ではない。墓杜はその行動内容やタイミングを支配していない。(ゆえ)に、ほんの刹那(せつな)の時間生まれた空白が、家元の反撃を許してしまった。

 不規則に動く触手や舌を()(くぐ)り、正確に鼻頭へ連撃。

 ミス、ミス、ミス、ミス──ヒット!

 犬が(ひる)んだ(すき)に身を(ひるがえ)した家元は、即座に墓杜を追ってきた。墓杜が必死に逃げ回って(かせ)いだ距離が、あっという間に(ちぢ)まる。

 苦無(くない)が飛ぶ──避けずに(かす)るが、墓杜は足を止めない。

 と、家元が大きく下がった。

 その手が印を結んでいる。

『忍法、瞬間移動』

『ぅぐっ!』

 振動が手元に届く。

 墓杜の背後に出現した家元の攻撃により、大幅に体力を持っていかれてしまった。

 口元の煙草を家元へ向かって突き出したのは、ほぼ反射だ。

 火の付いた凶器に、家元は攻撃をキャンセルし、(あわ)てて墓杜から離れる。

 そこを見逃す墓杜ではない。

 蹴りを放つ。逃げると見せかけ、背中を向けた状態から振り返りざまに、弁慶の泣き所へ一撃。怯んだ隙に腹へ(ひざ)を入れ、首に(ひじ)を食い込ませる。

 四撃目へと(つな)がる前に、逃げられた。

 

 

 とはいえ時間は稼げた。

 家元の瞬間移動により場所が入れ替わったが、賢い犬は、そんなことで標的を見(あやま)ったりはしない。

「……根性焼きは止めろや」

「女の子を背後から襲う変態に、正気を取り戻させてあげようかと」

 墓杜の背後から追いついてきたティンダロスの猟犬(すけさん&かくさん)が、頭上を飛び越え、再び家元へと襲いかかる。選手交代だ。

 家元から距離をとりつつ、墓杜も、先程から仕込んでいたプログラムを解き放つ。

『tp`h`rl0s`4c`《風邪薬をどうぞ》』

 風邪薬を飲む──薬を処方されたのだから、不調でなければならない。

 キックも体術も召喚術も、ただの付属物(ふぞくぶつ)

 墓杜の本命は因果(いんが)への干渉(かんしょう)だ。

 放つだけ放って結果も確かめず、一目散にその場を去る。大技まで、あと少し。あと少し、足りない。

 猟犬が家元へ(せま)る。

 がくん。

 家元が猟犬に突っ込んだ。

 (むち)(ごと)き筋肉が、家元を殴りつけ、刺し貫く。

「なんやこれ、勝手悪い……」

 不平とは裏腹に、ほぼ全ての触手を杖で(はじ)き、忍術で燃やし、家元は蹂躙(じゅうりん)されることなく、犬と渡り合ってみせた。

 順応が早い。

 派手(はで)に暴れてくれているおかげで、大技の使用条件は満たせたが、プログラムのインストール(詠唱時間)が足りるだろうか。

 焦りを覚えたのとほぼ同時、とある物の出現の報せが目の端に映りこむ。

 犬との戦闘に集中している相手は、ほぼ確実に、それに気づいていない。

 

 

 この時点で、立てていた戦術をすべて破棄(はき)した。

 

 

 走っていた向きを、明確に方向転換する。

 初手で犬を喚んだのは正解だったのか。だがあの速さと火力をこの身一つで(しの)ぐのは、運任せがすぎた。

 階段を()け上がる。空中から現れた巨大な(たき)が犬を押し流す。(へい)を乗り越える。土色の(くさり)がその巨躯(きょく)を地面に(ふう)じている。

 ……ティンダロスの猟犬(すけさん&かくさん)は強い。

 振り返らない。

 すけさん&かくさんは墓杜のイマジナリーフレンド(ずっ友)だ。リキャストタイムは長いが、消えても、いなくならない。

 ああ、それでもなんと、この(あし)の遅いことか。

 次第に金属が打ち合う音が近づきつつある。足どめされても、方向を混乱の只中(ただなか)に置かれても、忍の足は(おとろ)えない。その速度は(わず)かも弱まらない。

 いや、違う。

 

 

(――――詠唱完了(間に合った)

 

 

 墓杜芽々専用秘奥義。

 

 

2#y2”.(ファンブル)

 

 

『忍法、風遁(ふうとん)の術』

 墓杜がプログラムを発動するのと、家元が苦無(くない)を犬の眼に突き立てて逃れ、次のひと呼吸で術を放ってきたのはほぼ同時。

 墓杜のプログラムにより、家元の放った術の効果は墓杜から()れ、何もない空間に強風をひき起こす。

 ついでに、犬から解放され墓杜へ追撃すべく移動中だった家元が、その向かい風に最大速度で突っ込んで変顔になった。(ほほ)が風に(あお)られてぶるんぶるんしておる。歯茎(はぐき)まで見えておる。

 家元の背後でティンダロスの猟犬(すけさん&かくさん)が限界をむかえ、その身を虚空(こくう)へ同化していっている最中に、笑ったらまずいだろうか。

「このタイミングでそれやるとか、相変わらずえげつないわ」

「どうとでも」

 消えてしまった犬と同じくらい、家元もダメージを受けているはずなのだが、それで(ようや)く今の墓杜と同じ程度の体力なのだから、そのタフネスさ加減といったら、紙装甲(そうこう)の墓杜には(うらや)ましい限りだ。

「けどこれで、そっちは奥の手使ってしもうてん。

さて、どうするつもりや?」

「そっちこそ」

 墓杜に負ける気がないという余裕(よゆう)なのか、はたまたファンブルの効果切れを(ねら)う時間稼ぎのためか、悠々(ゆうゆう)と歩いて、真正面から墓杜へ近づく家元。

 その余裕が命取り。

 墓杜は、辿(たど)り着いたそこにあった【物】を引っ(つか)み腰に装着すると、高らかに叫んだ。

 

 

『変・身!』

 

 

 光が墓杜を包み込んでゆく。全身に(みなぎ)る全能感。動けることを、闘えることを、体は既に()()()()()

「まさか、ここに出現しとったんか!?」

「今頃気付いても遅い!」

 先程までただのパンプスを()いていた足先が、固く頑丈(がんじょう)な装甲に(おお)われる。スーツの中の細いだけの(からだ)が、はち切れんばかりのパワーを秘めた筋肉へ変貌(へんぼう)し、(こぶし)(にぎ)るだけで肉が盛り上がるのが、戦闘スーツの上からでもはっきりと分かる。顔面まで黒と金を基調としたマスクに(おお)われるが、墓杜の視界は(いささ)かも(くも)らない。

「さて、ここからが本番。覚悟は出来てるか?」

 自ら相手に近づいて。

 パンチを繰り出すための拳を、握りこんだ。

 

 

 

 

 

 

 さあ反撃の時だディーフォー(D4)。三人抜きしてきた家元虎之介とかいうキャラクターを、地べたに()わせてやろうぜ。

 まずはこれみよがしの正拳突きの姿勢から、(くや)しがっているその顔面に一撃……と見せかけてフェイントありのハイキック。

 (とら)えた側頭部!速度も威力も、これまでの墓杜芽々と同じだと思うなよ。今オレが操作してるのは、直接の攻撃手段を得たデバフの女王だ。忍者程度にクイーンがやられるわけがないんだよなあ!!

 ──ははっ、()()()()()()()

 犬にすらも(ひる)まなかった忍者がみせた、回避らしい回避行動。上体を反らし、杖でこちらのつま先を()らせようとの狙いかな。……が、残念。ディーフォーのショックで忘れていたようだな、ファンブル中だよ。

 がららん。重い金属音を立てて、家元の手から武器の杖が落ちた。

 杖を拾うほどの大きな隙を作るわけにはいかないと判断したか、画面の中でしゃがみ込むことなく、ディーフォーと向かい合ったまま、半歩、後ろへ下がる家元。

「ほな」、実際のiemonさんの声が、横から聞こえる。

「今度は、こっちが時間稼いで逃げる番やな」

 そのまま家元が垂直に()び、鎖分銅と片腕だけの力で、通常のジャンプでは届かない位置まで逃げおおせる。

 厄介(やっかい)な。

 ああそうだよ、ディーフォーに変身して、墓杜の速度が上がり、力が増したからといって、家元虎之介というキャラクターの身体能力が(おとろ)えたわけじゃない。やっても大失敗するだけで、行動は起こせる。

 移動は()ける判定にはならない。ファンブルの効果時間終了まで移動し続けるというのは、なるほどそのとおりだ。

 

 

 こっちがディーフォーにトランスフォームしていなければ、な。

 

 

 ディーフォードライブ。

 それは墓杜のような遠距離術師を、制限時間ありとはいえ強力な戦士に変えてくれる、チート級アイテムだ。

 どこにあるかも、いつ見つかるかも、誰にも分からない。だが、もし、見つかった場合には、ほんの(わず)かな間だけ、それは目印を出す。

 オレはそれを見逃さなかった。

「今はこっちも、そこまで跳べる!」

 道具も何も必要としない。(ひざ)屈伸(くっしん)運動だけで、あっという間に家元へ(せま)り、すぐ下の壁の凹凸(おうとつ)に、片手の指の力だけで(とど)まる。

 距離にして前腕(ぜんわん)一本分。

 オレはこれからこの中身アングラ系美人、外見虫系ヒーロー全身タイツのキャラクターを操作し、片腕のみで人間一人分の体重を持ち上げる。さらにもう片方の腕で、他者を掴んで壁から引き()がし、そのまま一緒に飛び降りる。

「掴んだ足首と胴体が、(つか)代わりだ。即席忍者ハンマー、頭で地面に蜘蛛の巣作ってやんよお!!」

 重力による落下速度も加算だ、祭りの銅鑼(どら)は盛大に鳴らそうぜぇ!頭蓋(ずがい)のコンクリ割りだがな!!

 力強く押し込んだ方向キーと決定ボタンに従い、ディーフォーの右腕が相手へ伸び。

 

 

 すか、と空気を(つか)む。

 

 

「まあ、掴まれるまで素直に、同じとこ留まっとる阿呆(あほう)は、おらんわな」

 ディーフォーがぐーぱーと何もない手を開閉(かいへい)する(ころ)には、完全に壁を登りきり、屋上を水平方向へ進んで次のビルへ飛び移ろうとしている身軽の権化(ごんげ)

 あっ……はい。

「ティンダロスの猟犬は消えた。ファンブルは残り数秒。家元より鈍重(どんじゅう)なディーフォーへは──」

 視線は互いに画面から外れない。しかし視界の範囲でそれを認識できる。iemonさんの口の()が、ニヤリ、という表現にぴったりなほどに、上へ吊り上がったのを。

「追いつかれん位置で、的当てゲームしとけばええな」

 液晶画面の中で、家元虎之介が、武器を杖から苦無(くない)へと持ち替えるモーションが、見えた。

 

 

 

 十秒。

 この間に、圧倒的な速度を(ほこ)る男の(ふところ)へ飛び込み、確実に残りの命を(けず)りきらねばならない。

 だがいける。特殊アイテム自体は他にもあるが、ディーフォーが出たのは今回が初。

 ということは、だ。

 iemonさんは、こちらの動きの限界を、さっきのジャンプを基準にして測っている。

 

 墓杜芽々も家元虎之介も、(すで)に残り体力は三分の一以下。

 この戦況、圧倒的に不利なのは、墓杜芽々を操作キャラクターとして使っている、オレだ。諸々(もろもろ)の勝ちルートを、全部(つぶ)して()けた特殊アイテムすら、速度が追いつけずにパワー空回りして自滅……だと、思ったか?

 キャラクターがどれほどの可能性を秘めていても、それを引き出せなければ勝利は掴めない。

 そしてキャラクターを使いこなすには、ゲームを理解できるまで遊び尽くすか、もしくは、とある物を活用するしかない。

 

 それは、オレがしっかり目を通した、取扱説明書内のキャラクター紹介欄!

 ……どうでもいいけど最近は、紙製のやつはソフトに同梱されなくなったよな。

 

 

『Travelers 〜Ruthless Players Game〜』略してTRPG。

 オレ達が今プレイ中のこのソフトは、キャラクターが一対一で戦う、格闘ゲームだ。

 キャラクターは、同じ姿形や名前、全く別の容姿と名を持った、様々な時空や世界線を旅行する、同一的でありながらも異なる存在……ということらしく、一人(ごと)のスキルや能力に一貫性(いっかんせい)がありそうでまるでない。

 家元虎之介というキャラクターが使う忍術とやらも、説明書によると、忍術と呼称しているだけの魔術なのだそうだ。しかも使いすぎると正気度が(けず)られて発狂する。

 それらの魔法の知識を、忍者は忍者として得たわけではなく、別の旅行者たる自分が、捨てても捨てても勝手に手元に戻ってくる呪われた本から学んだ、ということらしいのだから、だいぶ無茶苦茶だ。

 そういった荒唐無稽(こうとうむけい)な設定において、全旅行者のうち、墓杜芽々のみに書かれていた基本能力がある。

 

 ──社畜である彼女は、出勤命令に従う(元々狂っている)

 心身の健康を犠牲にし、ゾンビのような生活が日常と化した彼女の特性として、倒されても一度だけ、体力値一で(よみがえ)る──。

 

「悪いな、勝負を急がせてもらうぜ」

 コントローラーの左スティックを進行方向へ(かたむ)ける。

 L2ボタンとの同時押しによるダッシュ。家元虎之介を追い越す勢いで、くらいやがれ、ジャンプキックだ!!

「うおおおお、連打連打連打あ!ファンブル中に削りきれええ!」

「耐えろ、耐えるんや家元虎之介!逃げ回れ!ミリでも体力が残れば、こちらの勝ちや!」

「うはははは、やっぱこのディーフォースーツ強え!墓杜芽々との相性最高だろ!」

 

 

 ───ぱきっ!

 

 

「れいまり、お前それは一回戦勝利者の余裕か、おぉん?」

「いやいや、正当な権利だから」

 お菓子を()(くだ)く軽快な音と、醤油(しょうゆ)(こう)ばしい匂い。

 高級煎餅(せんべい)を一人で味わうSレイマリと、手出しの許されないご褒美(ほうび)を、(うら)めしく(にら)むウパパロン。

 ここは、とある宿の一室。

 オレ達はユーチューバー、名を『めめ村』。

 『ゆっくり』と呼ばれるイラストと、機械音声を使用し、動画投稿配信媒体(ばいたい)の一つであるYouTube上へ、プレイしたゲームの様子の動画投稿を行っている。

 村長めめんともりを筆頭(ひっとう)に、どいつもこいつも一筋縄(ひとすじなわ)じゃいかない、個性的な面々なんだが、ありがたいことに、視聴者の皆様方や事務所に支えられ、各所でイベントを開催(かいさい)していただけるようにもなってきた。

 今日は、グループメンバーのうち数人で、某所(ぼうしょ)で開催中のイベント会場へ出向いていたんだが、ふと立ち寄った中古ゲーム屋で、この、オフラインでしか遊べない、昔々のコンシューマーゲームソフトを見つけたんだ。

 無論(むろん)今回の勝負も、撮影だ。

 けどそれはそれ、これはこれ、勝負は勝負。

 撮れ高は大切だが、勝つことはもっと重要。村民全十三名、本気でコントローラーを握る。

 この活動者ネーム『ひなにい』、いつも応援してくれる視聴者のみんなに楽しんでもらうため、生半可な妥協(だきょう)はしないぜ。

 今はオレが墓杜芽々!

「さくさく、さくさくさくさく」

「メテヲさんじゃがりこ分けて。あとはいお茶」

「さく」

「わ、じゃがりこの音が返答になってる」

 順番待ちしながら観戦しているのが、メテヲと茶子。オレとiemonさんの対戦に決着が着いたら、次はこの二名が勝負する予定だ。

 とはいえ単にゲームするだけなら、張り合いってものがない。

 

 

 そこでオレ達は考えて、そして勝ち取った。

 商店街の福引で──高級煎餅(せんべい)缶をな!

 

 

 あ、くじが外れたら全員百円ずつ出して、美味(うま)いもん買うつもりだった。

 勝ち残った者だけが、至福の香と歯応えとにありつける。

 シンプルかつ、実にやり応えのある勝負だ。

 

「そういえばLatteさん。咀嚼(そしゃく)音苦手だって言ってなかったっけ」

「マイク繋げたまま、別の人に音が聞こえる状態での飲食が行儀悪いって感じるだけで、この場にいて食ってるものが煎餅なら、聞こえるのは普通だから。

あと今回は音も立派な場外戦術。

許す。大いにやれ。俺の順番以外の時にだけ」

「あ、じゃあオレの操作するヒナポ星人の技、バナナスムージーは、思いっきりLatteさんの操作キャラクターにぶちまけることにする」

「ふっ、お料理チャンネルの飯がいつも美味そうだからって、勝負は別物。こっちこそ目にもの見せてやる」

 ぜんこぱすとLatteも、今から闘志むき出しだな。観戦するのが楽しみだぜ。

 なお、現在この場にいない奴らは、先にひと勝負終わらせて、今は各自シャワータイムだ。

 わりと何にでも対応してくるめめんともりを下したぐさおさんが、次の相手になるからな。オレもここでiemonさんに負けてはいられない。

 うおおおお、ディーフォーのトランスフォーム有効時間も、残り四、三、二、一……。

 家元虎之介の通常時攻撃が、墓杜芽々に襲い()かる。

 やばい、攻撃が当たれば負け……いや、一撃なら当たっても構わない、墓杜は二度死ねる!

 押し込め、いける、あと一発!

『お茶の子さいさい』

「あれ、何や新技が出たわ。今俺、何ボタンをどう押したかな」

「え」

 ──OVER KILL OVER KILL OVER KILL OVER KILL──。

 響く家元虎之介の秘奥義名。

 墓杜芽々に、容赦(ようしゃ)なく貼り付けられる完敗の文字。

 死んだ……。連撃全部クリティカル……。

 打ち上げられたオレの操作キャラクターは、錐揉(きりも)み状に回転しながら宙を舞い──そのままべしょりと地面に落ちた。

 

 

 

『家元虎之介──WIN!』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。