基本火のない灰は逃亡騎士か、バベルか、ロスリック騎士の防具になりがち〜♪
───灰が火を継いだ。
あまりに情けなく、燻ることしか出来ない種火を、そっと、握りしめた。
種火が、ゆっくりと時間をかけて灰の体に灯る。
剣、鎧、身体。
まるで今までの苦労を労わるように、それとも灰の全てを1つづつ燃やしていくように、ゆっくりと。
数多もの苦痛があった、数多もの別れがあった、数多もの死もあった。
しかしどうだろう、この灰の手の中に残ったのは、この種火だけだ。
歪み、荒み、色褪せたこの世界を、続かせるための種火だけ。
灰はヘルムの隙間から、細くため息を吐いた。
長く苦しい火継ぎの使命から解放された故のため息か、全てを失った結果に絶望した故のため息か。
それは、この灰にも分からない。
ここにはただ、火を継いだという結果だけが残った。
どさりと、ようやく腰を下ろした。
灰が見上げた先には、ぽっかりと空に空いたダークリング。
(…俺は、これでよかったのか?)
それは、灰が胸の奥底に沈ませていた本音だった。
何がしたかった?何をやるべきだった?何を望んでいた?
そんなの、分かりはしなかった。
目覚めた、使命があった、過去は忘れた。
その使命だけが灰の原動力だった。
(…あぁ、俺は本当にどうしようもない…な)
霞んでいく視界の中、灰は懐から何かを取り出した。
それは、白いサインろう石。
火のない灰が、お互いの使命を助けるための唯一の手段。
それさえも、この種火によりどろりと溶けかけている。
灰は溶けた蝋で、サインを描く。
何度も助け、何度も助けられてきた。
そんな消え行く思い出を懐古するような手つきで、サインの輪郭を指でなぞった。
火を継いだとはいえ、もう誰かが呼ぶなんてことありはしないと理解していた。
無駄だと、わかっていた。
だらりと、手の力が抜ける。
最後に灰は、小さく、まるでため息のようにボソリと呟いた。
「…俺は、誰かを助けられたんだろうか…」
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呪術高専東京、敷地内の森。
姉妹校である京都校との交流会での出来事だった。
突如として現れた未登録の特級呪霊、花御。
呪術高専の敷地内に特級呪霊が現れるという未曾有の事件。
相対するは東京高専1年、宿儺の器、虎杖悠仁。
そして京都高専2年、虎杖悠仁の
虎杖悠仁の呪力が黒く光り、東堂葵の術式、不義遊戯が花御を逃さない。
花御も2人の駆け上がるボルテージに食らいつくが如く、己の封じていた左腕を解放する。
だが、次の瞬間、2人の呪術師と1匹の呪霊は即座に止まった。
目の前で揺らぐ、謎の呪力。
体験したことのない、あまりにも異質な呪力。
三者はその呪力の発生源を察知した。
そこには、くすんで鈍く銀色の光を反射する鎧を隠すように、ボロ雑巾のような外套に身を包ませた、この現代には不似合いな騎士姿の人物が立っていた。
警戒する三者を他所に、騎士姿の者はボソリと呟く。
「…ここは…?」
───火のない灰が召喚されました────