名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜   作:秋葉ばっこ

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アイス食べてる女の子が可愛すぎて、性懲りも無く戻ってきてしまいました。
前作(凍結)を知っている方も、前々作(凍結)と前々々作(凍結)を知っている方もごきげんよう。どうもRADWIMPSです。

何気にクロスオーバーじゃない作品は初めてかもしれない。
後先考えてない見切り発車でゴー。過去捏造あり。


Profiling:工藤新二という男

 

 

 

 

 往来の真ん中で、小林みくるは頭を抱えていた。

 う〜んと唸りながら、持っている紙切れ――まことみらい市の地図に目を落とす。

 

「う〜ん、見つからないなぁ……この辺にはもういないのかも」

 

 独り呟きながら、みくるはポケットからペンを取り出して、現在地に該当する地点にバツ印を付けた。

 どうやら捜しモノをしているらしい。彼女の持つ地図には、同じようなバツ印が転々と描かれていて、どれだけの時間と労力を割いてきたのかが読み取れる。

 

「うう、見つからなかったらどうしよう……って、ダメダメ! こんな事で落ち込んでたら、立派な名探偵になるなんて、夢のまた夢だよね」

 

 しらみ潰しに調べていてはダメだ。

 まずは基本に立ち返ろう。そう思い直し、みくるは周囲の人間に聞き込みをするべく、いつも持ち歩いている手帳を取り出す。

 すぐ近くを歩いていた少年――自分より少し歳上であろうその人物に、彼女は声をかけた。

 

「あの〜、すみません。ひとつお尋ねしたいのですが」

「……ん? あ、小林少女じゃん。おいっすおいっすー、奇遇だなァ」

「……っ!? シ、シンジさん……!?」

 

 ――工藤(クドウ)新二(シンジ)

 みくるの通う『私立まことみらい学園』に同じく在籍しているらしい、歳上の先輩。

 彼女が中等部に転校してきてすぐの頃だった。不慣れな街中で道に迷っていたところ、彼に出会って道案内をしてもらったのが知り合ったきっかけだ。

 それから何かと鉢合わせることが多くなり、その度に苦汁を飲まされてきた。

 今までの出来事が脳裏をよぎり、みくるは無意識に顔をしかめてしまう。

 

「……」

「おい、露骨に嫌そうな顔するんじゃない。流石の俺でも傷つくぞ」

 

 嫌がっているわけではないのだが。

 まあ、このタイミングで会いたくなかったのは事実だ。

 彼の特徴的な白髪(はくはつ)を見れば、一目で気づきそうなものなのに。聞き込み調査することに前のめりになりすぎて、他の意識が散漫になっていたらしい。

 新二が腰に手を当て、気さくに尋ねてくる。

 

「で、聞きたいことって? また探偵テストに向けて、人助けしてるんだろ?」

「そうですけど……あなたの力は借りませんっ! また手柄を横取りされたら、たまったものじゃないですからっ!」

 

 みくるが唇を尖らせて突っぱねると、新二がムキになって。

 

「なっ、人聞きの悪いこと言うな! 俺にそのつもりはないぞ!」

「そんなこと言って、この前だって……!」

「あの子の親と俺が、たまたま知り合いだったから、すぐに会わせてやることができたんだ。迷子になっていた子供を見つけたのは、小林少女だっただろ」

「……わたしは何もしてません。泣いていたあの子をあやしたのも、結局はシンジさんでしたし……」

 

 わかっている。

 彼についキツく当たってしまうのも、もどかしい思いをしているのも、自分の力が及ばないからだと。

 

「小林少女……?」

 

 認めざるを得ない。

 悔しいことに、探偵としての素質は、目の前で困った顔をしている少年の方がずっとある。実績も、人脈も、器の大きさも、今の自分では到底敵わない。

 肝心の本人には探偵になる気がないらしいので、余計に歯がゆく思ってしまうのだ。

 無力さのあまり、みくるが項垂れていると。

 

「あのさ、ひとりで事件を解決することに拘るなよ」

「――え?」

 

 その言葉に彼女は目を丸くし、顔を上げた。

 新二は両腕を広げて、あけっぴろげに続ける。

 

「優秀な名探偵には、相棒や助手がいるって相場が決まってんだろ? あの時は、俺が偶然そうだった。それでいいじゃん。俺と小林少女……二人のお手柄だよ、やっぱり」

「わたしとシンジさん、二人の……」

 

 目からウロコが落ちた気分だ。

 言われたままのセリフを反芻すると、なんだか胸の奥が暖かくなっていくような。

 今までは、彼に出し抜かれた、出し抜かれないようにしなければ、などと。対抗心を燃やすばかりで、そんなことは微塵も考えもしなかった。

 頬をほんのりと赤く染め、もじもじとした様子のみくるが、新二へと問いかける。

 

「……あの、シンジさん。また力を貸してくれますか? わたしの、その……相棒(パートナー)として」

「ああ、いいよ。相談料は無料(タダ)だけど、依頼の内容によっては高くつくぜ」

「なっ……!? この流れで、お金を取るんですか……!?」

「当たり前だろ。清掃・荷物の運搬・雑用から家電の修理まで、なんでもござれ! 便利屋『工藤駆動(クドクド)』をご贔屓に!」

 

 ……この男は、本当に。

 せっかく良い感じの雰囲気だったのに、台無しだ。

 どこからか取り出した算盤を、得意げな表情で弾く新二に、怒りを通り越して呆れ返ってしまう。

 

「……はぁ、もういいです。今回はわたしひとりで頑張ってみますから」

「それは残念。ま、気が変わったら言ってくれよ」

「べ〜っ! 絶対に変わりませんからっ!」

 

 いたずらっぽく舌を出してから、みくるは踵を返す。

 口調とは裏腹に、どこか楽しそうな様子だ。先程までの物憂げな表情がウソのように、年齢相応のあどけなさが伝わってくる。

 軽い足取りで闊歩していたせいか、彼女の懐から一枚の紙切れがこぼれ落ちた。

 

「おい、なんか落としたぞ。……猫の写真?」

「あ、返してください! 見ちゃダメですっ!」

 

 みくるはすぐに引き返すと、新二の手から写真をひったくる。

 彼女が捜しているモノとやらは、どうやら迷い猫だったらしい。定番といえば定番かもしれない。しかし、どこか引っかかりを覚えてしまう。

 

「――」

「……? どうしたんですか?」

 

 思い当たる節でもあるのだろうか。

 新二は顎に手を当て、すっかり考え込んでいる。

 しばしの沈黙の後、彼がゆっくりと口を開いた。

 

「この猫、見たことあるぞ」

「えっ、本当ですか!? いつ、どこで!?」

「待ってろ。今、()()()()。……小林少女、地図を持ち歩いてたよな。ペンと一緒に貸してくれ」

 

 みくるは言われるがままに、頼まれた物を手渡した。

 地図に目を落としながら、新二がポツリと呟き始める。

 

「昨日の正午、すぐそこの交差点で。三日前は公園のベンチの下に。五日前には、パティスリーチュチュの軒下で寝転んでいた。それ以前だと――」

 

 相変わらず、目を見張るほどの記憶力だ。

 みくるが新二に嫉妬している理由のひとつでもある。

 一点、また一点と、地図上に丸が書き込まれていく。これらの地点を結んでいけば、猫がいるであろう範囲を大方絞れるだろう。

 

「……ふう、こんなところかな。ほれ」

「わっ……!」

 

 新二は深く息を吐き出すと、地図とペンをみくるに突き返してきた。

 ふてぶてしい笑い顔からは「後はお前の仕事だ」とでも聞こえてくるかのよう。

 それらを受け取ると、みくるは再び不貞腐れて。

 

「……結局、いつも美味しいところばっかり持っていっちゃうんですから」

「聞き込みを進めていけば、どっちみち猫がいる場所には見当ついただろうさ。小林少女は、俺なんかよりずっと賢いんだから」

「もうっ! おべっか使っても何も出ませんからね!」

 

 みくるは強気な態度は崩していないものの、頭頂部から生えたアホ毛が、ピコピコと激しく揺れ動いている。褒められて満更でもないらしい。

 あまりのわかりやすさに、頬がほころびそうになる。

 笑いをこらえるべく、新二が軽く咳払いをして。

 

「ン゛ン゛ッ……じゃあ、俺はそろそろ失礼させてもらう。この後は予定があるんでな」

「またバイトですか? せっかくの春休みなのに、働き詰めですね」

「いや、今日は休み。バイトなんかより、もっと大事な用事さ」

「そんなに大事な用事があるのに、わざわざ時間を割いてくれてたんですね。すみません……」

 

 いたたまれなくなり、頭を下げる。

 工藤新二という少年は、基本的にはぶっきらぼうだが、決して悪い人間ではない。それだけはハッキリと断言できる。

 初めて出会った時も、嫌な顔ひとつせずに道案内してくれていたし。なんだかんだで面倒見のいい性格をしているのだろう。

 この少年に対する態度を改めようと、みくるは思い直すのであった。

 

「気にすんな。困った時はお互い様だろ」

「ですが……」

「もういいって。……それじゃあな、小林少女。俺はガールハントに行ってくるから! そっちも迷い猫探し、頑張りたまえ! はっはっは!」

 

 ……前言撤回だ。

 この人は一度、ちゃんと痛い目に遭った方がいい。

 かんらかんらと笑い、手を振ってその場を後にする新二の背中を見送りながら、みくるはそう思った。

 

「待ってろ、まだ見ぬ素敵なレディ達! 未来のお嫁さん候補達よ! 今世紀最後の美少年、工藤新二くんが今行くからな〜!」

 

 というか、ガールハントって。

 1999年となった今では、誰も使っているのを聞いたことがない。

 彼は日常会話でよく死語を使うというか、感性が昭和に傾いている。その癖、短期で子供っぽい性質(タチ)もあり余計に掴みどころがない。

 もし再会することがあれば、またあの調子の彼に振り回されてしまうのが目に浮かぶ。

 

「……くすっ」

 

 そんな未来を想像していると、何故か自身の口元が緩んでいることに、みくるはハッとした。

 

「わたし、立派な名探偵になれるように頑張りますから。だから、その時は――」

 

 改めて、自分の気持ちを上手く言語化できるようになりたい。

 依頼などではなく、小林みくる個人の願いとして。

 気のせいか、ほんのりと温もりが残る地図を片手に、彼女は夢に向かって一歩を踏み出すのだった。

 

 

 

 

 世の中高生は、予定がない日をどう過ごしているものなのか。

 最近は特にバイトに打ち込んでいたのもあって、却って手持ち無沙汰だ。

 俺はみくると別れたあと、特に当てがあるわけでもなく、ブラブラと街中を練り歩いている。

 すると、見知った顔が向こうから歩いてくるのが見えた。

 

「るるか……?」

 

 ――森亜るるか。

 家が近いからという理由で、なにかと昔から交流のある同級生だ。幼馴染と言えば聞こえはいいのだが、一方的に俺がウザ絡みをしていることが多い。

 彼女も俺の存在に気づいたらしく、数歩先で立ち止まった。

 

「シンジ」

「よっす。えらい久しぶりな気分だな。最後に会ったのは――終業式があった日だから、ちょうど五日前か」

「……そうだっけ? よく覚えてない」

 

 相変わらず口数の少ない奴だ。

 それに加えて、リアクションも希薄だし、たまに意味深なことを言い出したかと思えば、すぐ黙りこくってしまう。

 基本的に何を考えているのかわからないが、一緒にいて苦じゃないのは確かだ。

 

「なんだっけ、金払いの良いバイトを見つけたとかなんとか言ってたよな。どんな仕事してるんだよ」

「別に。普通だと思う」

「ふーん……なあ、今日もバイトか?」

 

 るるかが静かに首を振る。違うらしい。

 彼女の腕の中には、紫色を基調とした狐のような姿をしたぬいぐるみが収まっている。毛並みの具合がやけにリアルだ。

 女の子の間で流行っているのだろうか。そんな事を考えていると、るるかの方から珍しく。

 

「あなたの方こそ、毎日忙しそう」

「将来の嫁さんと子供を養うためだからな。ふっふっふ……今年中に三桁万円は稼ぐつもりだぜ。そのうちお前にも、本物の札束ってヤツを見せてやるよ」

 

 これでもかと言わんばかりに大きな顔をして、語ってみせるが。

 るるかからは「そう」と、いつもの如く淡白な反応が返ってくるだけだった。

 

「――」

 

 言葉とは裏腹に、二本のアホ毛がどことなく揺れているように思えるが、恐らく俺の思い過ごしだろう。さっきも似たような光景を見たな。

 それにしても、こいつはどうして働いているんだろう。性格からして、自主的にバイトするようには思えないが。

 

「そっちこそ、目標額でもあるのか? 欲しいものがあるとか?」

「……そんな感じ。でも、お金のためじゃない。私には、やらないといけない事があるの」

「へえ。やらないといけない事って?」

「秘密」

 

 るるかが口元に人差し指を当て、すっぱりと答える。

 そう言われると、ますます気になってしまうのが人間の(さが)だ。

 しかし、彼女が話をはぐらかす時は、決まって聞かれたくない事情がある時だ。興味本位かつ土足で踏み込むのは、やめた方がいいだろう。

 

 道端ですっかり話し込んでしまった。

 これ以上時間を取らせるのも悪いし、そろそろ行くとするか。

 

「じゃあまた、新学期が始まったら学校でな」

「うん。シンジはこれからバイト?」

「いや、俺も休みだよ。やる事もないし、暇だからガールハントにでも行こうかなって」

「……」

 

 ――その瞬間。

 ピタリと、るるかが凍りついたように固まってしまった。

 もともと無表情だった彼女の顔つきが、どことなく仏頂面に近づいたような。

 ゴゴゴゴ……と、重苦しい擬音が聞こえてきそうだ。

 思わず後ずさりそうになる。

 

「あの……る、るるかさん……?」

 

 とても足早に立ち去れる空気じゃない。

 恐る恐る、様子を伺っていると。

 

「私も行く」

「……はぁ!?」

 

 今の数秒で何を思ったのか、るるかがすました顔で、とんでもない事を言い出した。

 付き合いは長いが、こればかりは要領を得ない。

 俺は呆れて肩をすくめる。

 

「何故そうなる。お前には関係ないだろうが」

「いいえ。私にとって、大いに関係ある。むしろ関係しかない」

「意味わからん……」

 

 至極当然といった顔つき(のように見える)で、るるかが言い返してきた。

 こうなった彼女はテコでも動かないだろう。観念した俺は、何故か幼馴染を引き連れて、ガールハント――もとい、街の散策に繰り出すことになった。

 隣を歩くるるかが、ポツリと呟く。

 

「それに、あなたの両親に『シンジをよろしくね』って、そう言われたから。私には、あなたの面倒を見る義務がある」

「俺の記憶が確かなら、お前に世話を焼かれた覚えが一切ないんだが? むしろ、俺がお前の面倒を見ていたが?」

「ああ言えばこう言う。シンジ、みっともない」

「どっちがだ!」

 

 ……まあ、いいか。

 貴重な休日と呼べるほど大それた予定も無かったわけだし。顔は広い方だと自負しているが、一緒に遊ぶほど親しい友人もいないしな。

 さておき、しっかりと釘を刺しておかねば。

 

「言っておくが、今日は何も奢らないからな。お前と会う度に出費がかさむんだ。ちょっとは遠慮しろ」

「お腹空いた。アイス食べたい」

「人の話聞いてんのか? お前」

「こっち。……行きましょう」

 

 案内されるがままに歩いていると、アイスを売っているキッチンカーが見えてきた。移動販売というやつか。

 るるか御用達の店らしく、時間帯によって変わる営業場所まで把握しているらしい。昔ながら、彼女のアイスに対する執念は凄まじい。

 

「へえ。虹ケ浜の近くに、こんな店があったんだな。夏場は忙しそうだ」

「注文してくるから待ってて。……ん」

「その手はなんだ」

「奢って」

 

 言い返す気力もなく、しぶしぶ財布を渡すと、るるかは軽い足取りでカウンターに向かって行った。

 

「はぁ……結局こうなったか」

 

 すぐ近くのベンチに座り、黙ってその様子を見守る。

 しばらくして、異なるフレーバーが嫌がらせのように積まれたアイスを持ったるるかが、俺の元に戻ってきた。

 一、二、三――十段。それをふたつも。

 

「はい、シンジの分」

「あ、俺の分か……ひとりで全部食っちまうのかと思った」

 

 だとしても、この量で一人前とは思いたくない。よしんば空きっ腹であっても、食い切れる自信は皆無だ。

 自分の金で買った分、溶かしたら勿体ないので、アイスを受け取ってすぐにがっつき始める。

 

「うっ……!?」

 

 当然というべきか、冷たいものを急に食べたことにより三叉神経が刺激され、一時的に頭痛が起きる。アイスクリーム頭痛と呼ばれているものだ。

 隣にいる少女に目をやると、涼しい顔をしてアイスを口に運んでいる。それどころか、俺が頭の痛みに悶えている間に、あっという間に平らげてしまった。

 

「……美味しかった」

「食うの早すぎるだろ。せっかくの奢りなんだから、もっと味わって食ってくれよな」

「おかわり買ってくる」

「まだ食うのかよ!?」

 

 ことアイスに関して、あいつの胃袋は底なしだ。

 よく甘いものは別腹と聞くが、彼女の場合は行き過ぎている。

 新たに五段アイスを購入したるるかが、俺の隣に腰かける。

 ちびちびとアイスを食べていると、ふと。

 

「それ、まだ持ってるんだね」

 

 彼女の視線を追うと、俺の胸元――首から下げているモノに目がいった。

 空いた手で、シャツの中にあるそれを取り出す。

 白い装飾が施され、中央には同じく真っ白なジュエルが埋め込まれている、幼い頃から愛用しているペンダント。とある人物から譲り受けた、俺の大切な宝物だ。

 

お気に入り(オキニ)だからな」

「……そう。これからも大事にした方がいいと思う」

「……? 言われなくても、そのつもりだよ」

 

 俺がそう言うと、るるかはすくりと立ち上がった。

 今の会話の間に食い終わったらしい。

 こちらも負けじと、慌ててアイスを口に運ぼうとするが、るるかがいつになく真剣なトーンで。

 

「――あなたは、こちら側に来ちゃダメ」

「え? それって、どういう――」

 

 突然、虹ケ浜の方から潮風が吹き込んできた。

 るるかの亜麻色の髪が、風に揺られて大きくなびく。

 

「おわっ……!?」

 

 海の匂いを感じるのと同時に、思いがけず流れてきた髪が顔を覆い、くすぐったさから目を細めてしまう。

 るるかは一瞬、物憂げな表情を浮かべていたが、再び瞼を開けた時には何事もなかったかのように、いつものつらっとした顔に戻っていた。

 

 俺の見間違いだろうか……。

 真意を問うべきか迷いあぐねていると、るるかの方が先に口を開く。

 

「ごちそうさま。アイス、ありがとう」

「ああ、うん。新学期が始まったら、また学校でな」

「……うん。またね、シンジ」

 

 ひらひらと小さく手を振って、るるかはその場を後にする。

 結局、どうしてあいつが俺に着いてきたのか、最後に何が言いたかったのか、理由はわからず終いだった。

 まあ、ひとまず元気そうだったし良しとしよう。

 彼女の小さくなった背中を見つめながら、独りごちる。

 

「あーあ……明日からまた働かないとなァ」

 

 少しばかり軽くなった財布を片手で振りつつ、反対の手でふやけたコーンを口の中へと放り込んだ。

 みくるだけでなく、るるかにまで出くわすとは。なんとなくだが、近いうちに二人のどちらかと、またすぐに会えるような予感がする。

 

「……あれ、なんでだろう。悪寒までしてきた」

 

 きっと、アイスを食いすぎたせいだろう。

 俺は自分の腹をさすりながら、帰路に着くべく立ち上がった。

 




るるか「怪盗団ファントムで活動してるのがバレたら、学生生活終わるナリ……」
シンジ「バイト忙しいンゴw」
るるか「せや! ワイもバイトしてるって事にしたろ!」
多分、こんなノリ。

キャラ紹介のつもりだったのに、みくるとるるかの矢印が、最初からそこそこ大きくなってしまった……。
るるか、ちゃんと学校に通ってるんですかね?
矛盾が出たらそのうち修正します。気が向いたら。

以下、現在公開可能な情報。

主人公、工藤(クドウ)新二(シンジ)
私立まことみらい学園に通う少年。
実家が便利屋『工藤駆動(クドクド)』を営んでいる。本人はバイトに明け暮れている模様。
探偵志望ではない。死語をよく使う。ノリが古い。

名前の由来は言わずもがな。
当初は『江戸川新一』という名前で執筆していましたが、あまりにも雑すぎると思って変更。今も雑なことには変わらんけど。
結果的に、よそ様のたんプリ作品の主人公と音の響きが被ってしまいました。ごめんね。

アニメで言うところの1話までのお話を同時更新してます。
よかったら読んでね。

たんプリで好きなキャラは? 参考程度に教えてちょ

  • 明智あんな(キュアアンサー)
  • 小林みくる(キュアミスティック)
  • 森亜るるか(キュアアルカナ・シャドウ)
  • ???(キュアエクレール)
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