名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜 作:秋葉ばっこ
るるか登場させた途端に感想わらわら来て草。やっぱ好きなんすねぇ!
評価・お気に入り・感想、ありがとうございますやでほんま。評価バー赤くなってて、はなまるウレシイ……ウレシイ……。
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総合42位 二次創作24位
ハーメルンの仕様をいまいち理解してないんですけど、ランクインしてたみたいです。いやなんで?????
◆
あんなの――二回目の中学二年生としての生活は、なかなか幸先の良いスタートを切れたのではないだろうか。
学園側の配慮もあって、彼女はこの時期では珍しい転入生として、みくると同じクラスに配属されることに。
慣れない環境に戸惑いつつも、みくるの献身的なサポートもあって、何事なく初日を乗り切ることが出来たのだった。
そして、
「……」
集団生活の終わりを告げるチャイムが鳴ってから、まだ間もない。
周囲のクラスメイトたちは、場に残り談笑に興ずる者。部活動に向かうべく教室を後にする者。そのまま直帰する者の三手に別れ、着々と喧騒が静寂に変わりつつある。
その中で、帰り支度を始める素振りも見せず、浮かない顔のまま席に着いている少女がいた。あんなだ。
「どうしたの、あんな。初めての学校で疲れちゃった?」
「みくる……」
そんな彼女を覗き込むようにして、鞄を持った前傾姿勢のみくるが、横からひょっこりと顔を出してきていた。
あんなは静かに首を振ってから。
「ううん。みんな良くしてくれたから、そんなことないよ。けど――」
「あんなが今考えてること、当ててあげようか? シンジさんのことでしょ」
「……あはは、やっぱりわかっちゃう? でも、そう言うみくるもでしょ。朝からずっとそわそわしてたもんね」
「うっ、そわそわだなんて……し、してたかも……」
どうやら同じことを考えていたらしい。
二人は顔を見合せて、どこかぎこちない様子で微笑んだ。
彼女たちの脳裏に浮かぶのは、新二が落とした言葉の数々。
『俺はただ、良い思い出を作ろうと必死になってるだけだ。誰かの為なんかじゃない』
『みくる、あんなみたいには無理かもしれないけど……せめて身近にいる人たちには、笑っていて欲しいんだ。俺自身が嫌な思いをしない為にも』
初めての出会いから
誰よりも『繋がり』に固執しているからこそ、自分が傷つくのすら厭わない。時には悪どい
――それが酷く
矛盾を孕んだ情感を抱きつつも、感銘を受けてしまう。幸福にしがみつこうとする姿が、どうしても目に焼きついて離れない。
「わたし、二人と喧嘩して思ったんだ。思いやるだけじゃダメなんだって。言わなきゃ伝わらない事もあるんだって」
「あんな……うん、そうだね。わたしも同じ気持ちだよ」
だからこそ、あんなとみくるは新二を放っておけなかった。
一方的に守り守られるのではなく、お互いを支えたいと願う。その手を取って、陽だまりに満ちた
使命感にも似た想いが、心の奥底に募っていく。
そうでもしなければ、いつか彼が道に迷ってしまう日が来る。手の届かないどこか遠くに行ってしまう。そう思わずにいられなかったから。
――シンジさんのことを、もっと知りたい。
あんなとみくるの心の声が重なる。
二枚目を気取った三枚目とでも評するべきか。
彼はあえてお調子者を演じているというか。どこか一歩引いた場所から世界を俯瞰しているような、そんな印象を覚えた。
『なあなあー、みくるってば。俺が悪かったからさあ。そろそろ口利いてくれよー。相手してくれないと寂しいだろォー』
『俺を仲間外れにするんじゃない』
『寂しいんだよ』
今わかるのは、新二が嘘つきで、寂しがり屋で、そして臆病ということだけ。こちらから踏み込まなければ、きっといつまでも関係性は変わらない。
あんなは決心したように席を立つと、鞄を持ってみくるへと帰りを促す。
「帰ろう、みくる。わたしたちの気持ちを、改めてシンジさんに伝えてあげないと。……わたし、ウソつきたくないから!」
「ええ。首根っこを掴んででも、離してあげないんだから!」
安定しているだけの
それこそが、彼女たちの導き出した
「……遅い! いくらなんでも遅すぎる。首が長くなりすきて、このままだとキリンになっちまうぜ」
そんな二人の様子を、窓越しに監視している者がいた。
ファントムの幹部のひとり、ゴウエモンである。
桜の木の枝で胡座をかき、首を鳴らしている彼の元へ、少女と妖精が姿を現す。
「おっ、ようやく来たか新人! ちっこいのも! 待ちくたびれたぞ!」
「マシュタンよ。いい加減、アタシの名前も覚えてちょうだい」
るるかとマシュタンの元へ、俊敏な動きで飛び降りるゴウエモン。
「二人とも随分と遅かったじゃねェか。何かあったのか?」
「……別に。少し寝不足なだけ」
そう言って、るるかは眠たげな目を擦る。
彼女の言い分を特に気にすることなく、ゴウエモンが。
「まあいいけどよ。早いとこマコトジュエルを手に入れて、ここからおさらばしよう」
「待って。違う時代から来たプリキュア……気にならない?」
「この前ニジーが負けた時といい、あの妖精に何か秘密がありそうね。クドウシンジも気になるけど、ウソノワール様はどちらかというと、時空の妖精を煩わしく思っているみたいだし」
棒つきのソーダアイスを割りながら、マシュタンが補足した。
小さなアイスを受け取るるるかを横目に、ゴウエモンが喉を唸らせ意気込む。
「フム……ならば考えがある。プリキュアのピンチに、あの妖精がどんな反応を見せるのか……確かめてやろう。オレのとびっきりの技でな! なあ、新人!」
「……」
「おい、新人。聞いてるのか?」
「すぅ……」
こっくり、こっくり――。
ゴウエモンが振り返った先には、船を漕いでいる新人の姿があった。
ただ寝ているだけではない。るるかは首の上下運動を繰り返しながら、器用にもアイスの摂食・嚥下をこなしている。
相変わらず好物に対する執着が凄まじいと、呆れにも似た関心を覚えるマシュタン。
「流石はアタシのるるか。寝ている姿もとっても可愛いわ。寝ながら食べるのは、どうかと思うけど……」
「一種の首振り人形だな、こりゃあ……まあいい。おとも妖精の秘密とやら、このゴウエモンが直々に見極めてやろうじゃあねェか!」
ゴウエモンはエネルギーのこもった扇を振りかぶると、地面に向けて勢いよく投げ放った。
たちまち禍々しい波動が広がっていき、まことみらい学園全体を包み込んでいく。
彼の手によって作り出された異空間の名は『からくり迷路』。
帰路につこうとしていたあんな、みくるの二人を、足元に開いた穴が飲み込んだ。謎にひしめく空間へと誘うべく、突然に。
「ようこそ、からくり迷路へ――!」
かくして、謎解きの時間が始まった。
時は同じく、キュアット探偵事務所の一室にて。
「――ハッ! 金髪美少女にキスされるゥ!?」
「寝言は寝て言うもんだぞ、シンジ」
ガバッと飛び起きた新二を、すぐさまジェットが窘める。
向かいのソファに座っている、彼の金色の髪をまじまじと見つめたあと、新二は露骨に肩を落とした。
「なんだ、パイセンか……いくら顔が可愛くても、男はちょっと……ごめんな。俺が格好良すぎるばかりに、キミを傷つけてしまって」
「なんでボクが振られたみたいになってるんだ!?」
「どうしても俺を手篭めにしたいんだったら、夜這いが効果的だぜ。夢見は悪いが眠りは深いからな」
「知りたくなかったよ、そんな情報」
……起きて早々これか。
ハアア、と深い溜息を零しながらも、新二の容態を確認するジェット。
空元気ではなさそうだ。顔色も血色も健康的かつ、頭痛に悩まされている様子もない。
これが演技なら役者になれると太鼓判を押せるほど、至って普通に見える。
「……で、もう起きても大丈夫なのか?」
「モーマンタイ。なんかすっげえ頭の中がスッキリしてるんだよな。そう、これはまるで……まるで、ほうれん草をたらふく食った後みたいだ!」
「いや、その例えはよくわからない」
「うおおお――っ! なんてこったい、
根拠のない全能感に支配されているところを見るに、今度は頭の病気を疑いそうになるが、とにかく身体の方は快復したらしい。
あんなとみくるが帰ってきたら、この調子の彼が大袈裟に出迎えるんだろう。喜ぶというより、苦笑いを浮かべている二人の光景が目に浮かぶ。
それはそれとして、釘を刺しておかねばならない。
「シンジ。この前はああ言ったけど、これ以上
「へっ――? なんでだよ。頭痛で済むなら安いもんだろ。戦える手段が手に入って、むしろ儲けもんというか」
「腕をバキバキに折っといてよく言うよ。昨日だって、その傷を治して倒れたばかりだろ。……ボクは真面目に言ってるんだぞ」
おどけている空気ではないと察したのか、新二が押し黙る。
「ただの頭痛で済んでる内はいい。お前のその力は、なんていうか……
「言い得て妙だな。記憶を思い起こすっつーより、叩き起こす感覚に近いし。絵面は見ての通り地味だけど、解釈を広げたら色々と便利そうだ」
「他人事みたいに言うなよ。お前を心配してる奴がいるってことを忘れるな」
「あー、うん……わかってる。つーか、忘れたくても忘れられねェよ、俺には」
新二はそう答えると、きまり悪そうに頬を掻いた。
腕を組み、ジェットが再三と注意を繰り返す。
「使うなとは言わない。でも、無茶だけはするなよ」
「ああ、肝に銘じておく。確約はできないけどな」
言葉尻に頭の後ろで手を組み、新二は起こしていた上体から力を抜いて、仰向けになるようにしてソファに倒れ込んだ。
ボフッと、枕代わりにしているクッションから空気の抜ける音が、二人の耳朶を打つ。
これ以上言っても聞かないと理解したようで、ジェットがやれやれと肩を竦めて。
「そう言うと思ったよ。まったく……」
「守れない約束はしない主義なんだよ、俺は」
「約束したところで、あんなとみくるの為なら平気で破るだろ? お前はそういう奴だ。この狼少年め」
「はは、耳が痛いっすわ。ジェット先輩もようやく俺のことがわかってきたじゃん。これが工藤新二の味ってやつさ」
否定しきれないのがなんとも。
典型的な悪い男に引っかかっているプリキュア――あんなとみくるが、ジェットは気の毒に思えてならない。色々な意味で、これから先も苦労しそうだ。
かくいう彼も、着実に絆されていっているのは間違いないのだが。
「……ん、シンジ。その額……」
研究室にこもって新しい探偵道具の開発でもしようと、ジェットが立ち上がった時だった。
新二の額に『おとも妖精』の証である、ハート型の石が浮かんでいたのに気づく。
「学校にハンニンダーが出たんだろうな。んで、二人がプリキュアに変身したんだと思う」
「そうじゃなくて、上を見ろ! なんだよアレ――!?」
新二に起きた異変はひとつだけではない。
彼の頭上に、異空間に繋がるゲートのようなものが開いていたのだ。
「前もこんなことあったっけなー。多分、ポチタンからの招集だ。ちょっくら行ってくるわ」
「随分と軽いな……そんなコンビニ行ってくるみたいなノリで……」
やおらに立ち上がると、新二がジェットに向けて。
「電池が切れかけた時計と、ヒーローと説きます」
「その心は?」
食い気味な返答に、彼は得意げに。
「フッ、どちらも――あっ、やべ。時間みたいだ。ごめんパイセン、また後で」
「ま、待ってくれ、肝心なところがまだ……!! シンジ、続きを教えてくれ!! シンジィ――っ!!」
ジェットの叫びも虚しく、新二は亜空間の中に吸い込まれて行った。
物語の場面は、再びまことみらい学園へと移り変わる。
からくり迷路を抜けた先、学園の校庭に出ることが出来たあんなとみくるを待ち構えていたのは、ゴウエモンであった。
彼は学園を代々守り続けてきた、桜の木に宿るマコトジュエルをハンニンダーへと変え、今まさに戦いの火蓋が切られようとしている。
「どんな謎でもはなまる解決! 名探偵キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ! 名探偵キュアミスティック!」
「「名探偵プリキュア!」」
「わたしの答え、見せてあげ「ちょ、タンマ! 頭から落とすのやめ――グエッ――!?」ます……?」
既視感のある光景だった。
プリキュアに変身した二人の元に、新二が上空から落ちてきたのは。
「ポチ〜!」
地面に突き刺さっている彼の元へと、ポチタンが上機嫌に飛んでいった。
どうやら新二が喚ばれたのは、ポチタンの力によるものらしい。頭上に開かれていたゲートが、次第に小さくなり消えていく。
「ぶへっ……! うぇ〜土の味がするゥ〜……ぺっぺっ……あ、忘れてた。どちらも遅れて
いったい誰に向けて話しているのやら。
奇妙な文言と共に、顔面を土まみれにした新二がピースサインを決める。
「「――」」
意外な参入者に対する驚きで、アンサーとミスティックは立ち尽くすばかりであった。
長くなりそうだったので、前編・後編に分割。
サラッと終わらせるつもりだったのに〜。
アニメ本編と違ってわざわざ放課後に時間をズラしたのは、るるかがおねむで寝坊してしまったのと、やりたい展開があるからです。むにゃむにゃ。
以下、いつもの余談。
オリ主を考える際、明確なモデルがいたわけではないですけど、既存のキャラクターで近いのはFateの衛宮士郎でしょうか。書いててそう思った。
性格とかではなく、人間として大切なネジが諸々ぶっ飛んでる感じ。うちの子も技を真似っ子したり、目的の為なら躊躇なく体をぶっ壊したりしてるしね。
シンジ「地頭はバカですが、完全記憶能力を持ってます。良い思い出だけ作りたいです。寂しいのやだ。常に誰かと絡んでたい」←うちの子はずっとこんな感じ。
普段おちゃらけてるのに、ふとした拍子に影のある表情を見せたり、ここぞという時に真剣になるキャラが大好きなんですよ。ギャップ萌えとはまた違うのかな? 刺さる人に刺さってくれたら嬉しい。
後編は3日以内に更新できると思います。
確約はしません。守れないかもしれない約束はしないので(キリッ)。
次回もはなまるっ!