名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜 作:秋葉ばっこ
シリアスから開放された私は不滅だァ!!
ヴェーハッハッハ!!
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いつも本当にありがとうございます。m(_ _)m
◇
我に返り、ミスティックとアンサーが駆け寄ってきた。
二人は心配そうにこちらの様子を窺っている。
そんな憂慮を拭い去るべく、彼女たちの頭をポンポンと優しく叩く。
「ミスティック、アンサー。知ってるか? ロブスターは老衰では死なないんだぜ」
「……えっ、だから何なんですか?」
「つまりそういう事だ」
「「どういう事!?」」
俺の頭の上で、ポチタンが「ポチポチ」鳴いて頷いている。
どういう事だろう。適当に喋っただけで特に意味はないのだが、俺たちの中で唯一ポチタンだけは理解しているようだ。
「現れたな、江戸川ドイル! また会えるのを楽しみにしていたぜ!」
再会の余韻に浸る間もなく、ゴウエモンがはち切れんばかりの声量でそう言った。
江戸川ドイル……?
……ああ、俺か。一瞬、誰のことを言っているのかわからなかった。
「ここで会ったが百年目。時空の妖精についてはよくわからなかったが、ニジーを下したっていうお前さんの力を見せてもらおうか!」
「え、なんで俺!? 下したって……たまたま意表を突いただけで、別に実力じゃねえし……倒しきったわけでもないぞ?」
ニジーといいゴウエモンといい、ファントムの幹部からやけに目をつけられているのは何故だろう。
こいつに偽名を名乗ったのも、変に注目されないようにと思っての行動だったのだが。
「火のないところに煙は立たないってな。一度ならず二度までも、ハンニンダーを相手取ったそうじゃねぇか。プリキュアでもねえってのによ。大したタマだぜ」
「なんだろう。褒められてるのに全っ然嬉しくない」
「いざ勝負! 行け、ハンニンダー!」
「話聞けよ!?」
有無を言わさず、桜の木のハンニンダーが腕を振り上げた。
「――シンジさんには!」
「指一本触れさせないっ!」
俺が身構えるよりも早く、ミスティックとアンサーが動いた。
二人は目の前に躍り出ると、差し迫る拳を見事に受け止め、お返しの蹴りをハンニンダーの胴体にお見舞いする。
「ハンニン……ダアアッ!!」
ハンニンダーは後退しながらも、両腕を交差させ力を溜め、一気にエネルギーを解き放つ。
吹き荒れる桜吹雪。花弁のひとつひとつが斬撃となり、俺たちを切り刻まんと来襲する。
めまぐるしい戦況に遅れることなく、ミスティックがジュエルキュアウォッチを構えた。
「――ミスティックリフレクションッ!!」
光の障壁が展開され、攻撃を防ぐ。
だが、敵の猛攻はまだ終わっていない。
「小賢しい! 桜吹雪に溺れちまいなぁ!」
ゴウエモン振るった扇子から、なんと光線が吹き出てきた。
刃の嵐と光の波動が合わさり、技と技のぶつかり合いのような形になる。
俺を庇うように手を広げているアンサーが、ミスティックの名を呼ぶ。
「ミスティック……!」
「大丈夫! はああ――っ!!」
彼女は怯むどころか、悠然とした態度でそう言い放ち、発射したミスティックリフレクションをハンニンダーへとぶち当てた。
直前で防がれてしまったので、大したダメージにはなっていない。
ミスティックとアンサーが次なる攻撃を仕掛けるべく、その場から弾かれたように走り出す。
「――」
気のせいか、以前よりも彼女たちの動き、同じくハンニンダーの動きをハッキリと捉えられるようになった。
「ポチタン。ついにマサイ族を超えたぞ、俺は」
「ポチ〜」
頭の上から「またなんか言ってるよ」とでも言いたげな鳴き声が聞こえてきた。
まあ、どれだけ動体視力が優れていようが、俺の身体能力は一般人とそう変わらない。
思考ばかり追いついても、動きが追いつかなければ意味がないわけで。とどのつまり、肉弾戦では役立たずのままだ。
「ゴウエモンの妨害が厄介だな……あの扇子をなんとかするには……」
生憎と、俺が使える手札は限られている。
奴のように遠距離から攻撃できれば、話は変わってくるのだが。
「遠距離攻撃……遠距離攻撃か……う〜ん……」
出来の悪い
先程のミスティックリフレクションのような使い方をすれば、可能といえば可能だろうが、いかんせん発動してから発射するまでの隙が大きい。恐らく、ゴウエモンに気取られてしまう可能性が高い。
即座に放つことさえ出来れば、或いは――。
『アルカナスターレイン』
脳裏を過ぎったのは、虹ヶ浜の戦い。
すんでのところで俺の命を救った、一筋の光。
「
思いついてからの行動は早かった。
即座に詠唱を始め、揺蕩う記憶を叩き起こす。
「……って、なんて技名かわからん!」
あの時は精も根も尽き果てていた上に、意識も朦朧としていた。微かに声が聞こえてきたのは覚えているのだが……。
そうこう考えているうちにも、戦いは続いている。
「ああ、もうっ! なるようになれ……!」
とにかく迷っている時間はないと、右手を前に突き出す。
ええい、ままよ――!
「なんとかビームッ!!」
ズォビッ――なんて、魔を貫きそうな仰々しい擬音は、残念ながら聞こえず。
代わりに、賞状筒を開けた時のような小気味よい音と共に、かぼそいビームが俺の指先から飛び出した。
「で、出たけど……遅っ!?」
ウスノロにも程がある。なんだったら歩いた方が早いのではないか。それくらい、記憶の中にある光との乖離が凄まじい。
ひょろひょろとした情けない光線は、あらぬ軌道を描いてゴウエモン――ではなく、ハンニンダーへと向かっていき、そのまま着弾してしまう。それ自体は構わないのだが。
「ハンニンダー……?」
さもありなん、ハンニンダーはケロッとしていた。
頭上にクエスチョンマークを浮かべ、羽虫にでも刺されたのかのように、攻撃を食らった箇所をポリポリと搔いている。
多少の間を置いて、巨体が動き出す。
どうやら怒りを買ってしまったみたいだ。
「ハンニンダーッ!!」
「うわ、こっち来んじゃねえ!
ミスティックとアンサーとは、大分距離が離れている。
独力でこの場を切り抜けなければと、再び詠唱を始める。
「――出でよ、ミスティックリフレク
慌てて発動したせいか、盛大に噛んでしまった。
くつくつと笑うわけでもなく、ミスティックが舌を吐くように。
「格好悪い……」
「う、うるせえなァ! そもそも言いづらいんだよ、お前のミシュッ、ミスティッキュキュ……ミスティックリフレクション……って! ぐおおっ……! 長ったらしい横文字にしやがってェ〜!」
ミスティックリフレクション、ミスティックリフレクション、ミスティックリフレクション……。
何度も口にしていると、いよいよもってゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。
「ぷっ、また噛みましたね。今度は二回も」
「黙らっしゃい! 俺の舌をこれ以上傷つけたくなかったら、今すぐコバヤシールドに改名しろ! ミスフレ反対!」
「自分の舌を人質にしてきた!? なんですか、そのコバヤシールドって! ミシュティッキュリフレクチョンですっ!」
「偉そうな顔しといて噛んでんじゃねえよ! それともイジってんのか、てめえ!?」
「ちがっ……! 今のはシンジさんにつられただけで、噛んでないですもん!」
例のごとく、またミスティックと言い争いになってしまった。
出でよ、なんて格好つけたのもあって余計に恥ずかしい。
「坊主……まあ気にするな。誰にでも失敗の一つや二つはある。オレもまだ尻の青いガキだった頃は、よくやらかして周りに迷惑かけたもんだぜ」
「やめろ、やめてくれ。これ以上は俺が惨めになるだけだ」
ゴウエモンって、それほど悪い奴じゃないのでは……?
両腕を組み「うんうん」と頷きながら理解を示してくるアイツを見ていると、なんだか敵意が削がれてしまう。
恥ずかしさのあまり立ち尽くしていると、ワンテンポ遅れて現れた光の障壁が、ハンニンダー(空気を読んで大人しくしていた)を弾き飛ばす。
「ダアア……ッ!?」
パリン――。
その直後、ミスティックリフレク
……おかしい。遅れて出現したのもそうだが、あれくらいで割れるような強度じゃないはずなのに。
「もしかして……」
原因があるとするなら、ふたつほど。
なんとかビーム、そしてミスティックリフレクチョン。前者に関しては、そもそも技の発動プロセスと名前を
技を放つまでの過程が抜けていたせい。ないしは、ふざけた名前で放ったせいで、どちらも不完全に再現されてしまったんだろう。十分な威力に届かなかったのはその為だ。
とはいえ、発動自体は問題なく出来るらしい。
「ん、待てよ……だったら他の技もいけるんじゃね?」
あんな風に言うなら、ピンと来た。
試しにやってみようと、戦いの渦中にいることすら放念して、たちどころにシャドーボクシングを始める。
「アンサー
――五割。
空を切ったそれは、全力全開で放つアンサーアタックの威力から、体感ではあるが随分かけ離れている。
もう一度、趣向を変えてやってみよう。
「
――三割。
なるほど、
力加減が効かないのであれば、確かな模倣を不確かなモノにすればいいのだ。
なだらかに流れる水面に石を投じて、並々ならぬ波紋を起こすように。
「あんなパンチ、略して
「パンチですらなくなっちゃった……」
「
「穴あけパンチ!? パンチはパンチでも、意味が全然違う! コバヤシールドより酷いよっ!」
アンサーの茶々は放っておくとして。
「
「この時代にもあったんだ、それ……じゃなくて! もっと悪化してるってば〜! 『ン』と小さい『ツ』しか合ってないし!」
「
「……言い切られるのも恥ずかしいけど、止められちゃうとそれはそれで複雑かも……」
あんパンや穴あけパンチも含めて、これらでようやく一割くらいか。
原型すら留めていない状態でも、やはり発動自体は可能みたいだ。
「めちゃくちゃ気になって仕方ないが、まあこんなもんだろ」
「〜〜〜っ!? き、ききき、気になるって……もしかして、パ……!? シンジさん、そんなに洗濯当番したかったの……?」
「なんだよ、アンサー。さっきからうるさいぞ」
アンサーは蚊の鳴くような声で「あぅ……」と呟くと、火が出そうなくらいに顔を真っ赤にして、アホ毛を忙しなく揺らし始めた。
ジトっとした視線がミスティックから飛んでくるが、俺は至って真剣だ。
もちろん下着の色……ではなく、能力についての特色を明らかにするために。
「よ〜し、コツは掴んだぞォ」
これなら状況に応じて、出力を細かく調整することができる。
身体への負担も考えると、実戦では三割ぐらいの威力が望ましいだろう。調子に乗ってまた粉砕骨折なんてしたらシャレにならない。
「ハンニンダー……!」
なんて考えていると、巨大なシルエットが日陰となり、俺を飲み込んだ。
体勢を立て直したハンニンダーが、すぐ目の前に立ち塞がっている。
「物は試しだ。コバヤシュッ……コバヤシールド!」
「結局噛んでるじゃないですか!」
違う意味でミスティックが噛みついてくるが、今はそれどころじゃない。
展開したバリアを足場にして、ハンニンダーを飛び越える。
すぐに背後から俺を追いかけて来ているであろう、鈍い足音が何度も轟き、その度に地面を揺らすが、振り返ることなく走り続けた。
「どうした、坊主。逃げてるだけじゃオレのハンニンダーには勝てんぞ?」
「そいつはどうかな。俺が通った場所をよく見てみろ」
なにも闇雲に逃げ惑っていたわけではない。
戦場には、幾つものコバヤシールドが点在していた。
「位置、角度、何から何まで完璧だぜ。これなら何処からでもお前を狙える」
「なっ……! まさか……あの盾の反射を利用して、さっきの『なんとかビーム』ってのを、オレに当てようってのか!?」
「フッ――」
不敵な笑みを浮かべ。
振り向きざまに、右手を構えて。
そのまま、ゴウエモンに飛びかかった。
「うっそぴょ〜ん! 俺がそんな器用な真似できるわけねえだろ! 男は黙ってステゴロで勝負! 喰らえゴウエモン、アケチパンチッ!」
「――な、なんて野郎だァ!?」
扇子に防がれてしまうものの、これでゴウエモンは俺にかかりきり。
こいつの助力さえなければ、ミスティックとアンサーなら問題なくハンニンダーを倒せるだろう。
「ゼロ距離なんとかビーム!」
「お前さん、ステゴロで勝負するって言ってなかったか!?」
躱されてしまった。
残念。
「いつまでも昔のことに縛られてんなよ。過去は引きずるもんじゃねえ、背負っていくもんだぜ」
「クッ、ニジーとアゲセーヌが敵視してるわけだ……とんだ食わせ者だな、坊主! オレの目に狂いはなかったな……!」
そんなやり取りを繰り広げていると、俺の頭の上からポチタンが飛び立って行った。
ゴウエモンと取っ組み合いつつ、ミラールーペを構える二人へと目をやる。
「「これがわたしたちの、アンサーだあっ!!」」
「「プリキュア!! フライング・スペクトル――!!」」
ミラールーペから放たれた浄化の光が、羽を散らしながらハンニンダーを貫いた。
「「キュアット解決っ!」」
闇に包まれていたマコトジュエルが、元の輝きを取り戻す。
淀んだ空気も次第に澄み渡り、まことみらい学園を覆っていた空間は、役目を終えたかのように消えていく。
防球フェンス。陸上トラックのレーン。広々としたグラウンド。そして、学園を代々守り続けてきたと言われている、立派な桜花を携えた樹木。
見慣れた校庭だけが、今や俺たちの前に広がっていた。
「いやあ、中々に楽しませてもらった。今回は勝ちを譲ってやるぜ。プリキュア、江戸川ドイル……また会おう! よっと――!」
「あべし!」
そう言って俺を投げ飛ばすと、ゴウエモンは扇子を一振りし、桜吹雪と共に姿を消す。
狙ってやったのか、たまたまなのか。最初に落ちてきた時に出来た穴に、また頭から突っ込んでしまった。
盛大に土を被った俺の元へ、ミスティックとアンサー、ポチタンがやってくる。
「なんて酷い顔……もう動いて平気なんですか? 体調は?」
「シンジさん、頭は大丈夫? どこも痛かったりしない?」
「言い方に気をつけろ。場合によっては誹謗中傷で訴えるぞ。見ての通りピンピンしとるわ。……でも言われてみりゃあ、頭がムズムズするような……」
そう言って立ち上がると、アンサーとミスティックが途端に固まってしまった。
二人は鳩が豆鉄砲を食らったように呆然とし、俺に釘付けになっている。なんだか既視感のある光景だ。
彼女たちの視線を追って、手を額に……この感じだともっと上か?
頭をまさぐるよりも早く、妙な違和感に気づいた。
「うわ、なんだこれ!? 耳がでっかくなっちゃった!?」
というか、増えていた。
頭頂部と側頭部の間――ハチと呼ばれている辺りから、それぞれ白い三角形の耳がふたつ。
静寂を貫いていたアンサーが、黄色い声を上げて小躍りする。
「はなまる可愛い〜っ!! わんちゃんのお耳みたい!! ねえ、シンジさん、触ってみてもいい!?」
「や、優しくしてね……」
「言ってる場合ですか!? ……でも本当に不思議。そんな耳、前はありませんでしたよね? もしかして……」
対照的に、ブツブツと考え込んでいるミスティック。
最後に言いかけた言葉は、なんとなく察しがつく。
――以前よりも妖精に
そういったニュアンスを含んだ発言をしようとして、躊躇ったんだろう。
「気にすんなよ、ミスティック。初めて自分が人間じゃないってのがわかった時は、流石に驚いたけどさ。俺は別に、人間である事に拘ってるわけじゃないし」
「思い切りが良すぎますって。ちょっとくらい悩むとかしてくださいよ」
「これはこれで――あっ。悪くないかも――あっ、あっ――そこそこ、アンサー撫でるの上手! もっと触って! ワンワンッ!」
「ダメだ、この
言いながら、彼女はアンサーに倣って俺の頭を撫で始めた。
ぎこちないけれど、どこか安心するような優しい手つき。頭一つ分離れたその距離を埋めるべく、懸命に背伸びをして。
「無茶しないでください。わたしは――わたしたちは、あなたが傍に居てくれれば、それだけで頑張れるから。……だから、無理に戦おうとしないで」
「――」
絞り出したような声。
以前のミスティック――みくるは、俺の手を借りないように必死だった。立派な名探偵になる為だと自身を鼓舞して、たったひとりで努力を重ねていた。
そんな彼女が、今や相棒とも呼べる存在と肩を並べて戦っている。
かてて加えて、探偵業でも戦闘面でも役立たずなこの俺を、目の前の少女は求めてくれている。小さな手を伸ばして、ひたむきに。
くすり、とミスティックが笑って。
「なんて、言っても無駄なのはわかりきってますけどね。シンジさんが自分勝手なのは、今に始まった事じゃないですし」
「そうそう。それに、すっごく嘘つきだもん!」
便乗したアンサーが「でも」と付け加えて。
「シンジさんのウソは、誰かを傷つける為じゃなくて、大切な人を思いやろうとする――そんな気持ちから来てるんだよね」
「アンサー……」
「時々すっごく意地悪だけど、でもやっぱり優しくて、胸が暖かくなって……ずっと一緒にいたいなって、そう思っちゃうんだ」
心に直接投げかけてくるような、実直すぎる言葉。
そうだ。いつだって、あんなは真っ直ぐだった。
年相応の少女らしく選択を間違えることはあっても、決してウソをつかない。その眩しさに当てられ、どれだけ奮起を促されてきたことか。
慈愛に満ちた眼差し。まるで聖母のような笑みを湛えて、アンサーが続ける。
「ねぇ、シンジさん。あなたがわたし達を大切にしてくれるみたいに、わたし達もシンジさんのことが大切なんだよ――?」
二人の柔らかな手のひらが、俺の頬を包み込む。
そうして確かな『熱』を通じて、体の芯まで火照っていくような感覚。温かさと同時に、同じくらいの切なさが胸中に広がった。
満たされれば満たされるほど、喪うのが怖くなってしまう。
今が楽しければ良いと、それ以外はどうでもいいと。先日の戦いでそう豪語したばかりだというのに、これ以上を求めてしまうのは、俺の我儘なんだろうか。
いくら星に手を伸ばそうと、掴めないと知っているのに……。
「大丈夫。わたし達なら“ここ″にいます」
子供をあやすかのような声音。
一瞬、ミスティックに心を読まれでもしたのかと思い、ドキリとしてしまった。
「だから、もう寂しそうな顔しないでください」
「わたし達じゃ頼りないかもしれないけど、シンジさんの傍にいてあげる。あなたが、わたし達にしてくれたみたいに」
不安が顔に出ていたから、彼女たちは俺を慮ったのではない。
損得勘定を抜きにして。けれど、一時の感情でもなく。
なんてことのない、それでいて芯の通った力強い言葉が、胸にストンと落ちた。
「――」
ドクン、ドクン、ドクン。
鼓動が高鳴っているのがわかる。アンサーとミスティックに聞こえてしまうのではないかと、心配してしまうほどに。
この離れ難い心地良さに負けてしまい、彼女たちの手を振り払う事ができない。
どこまでも沈んでいってしまいそうな温もりに、抗えるはずもなく。
「……あれ、もしかして照れてます? ふふ、可愛いところもあるじゃないですか。普段はあんなにキザっぽいのに」
「あははっ! シンジさん、顔が真っ赤だよ?」
「ワ、ワンダフル……」
そんな俺の様子がおかしいらしく、アンサーとミスティックはいたずらっぽく笑った。
「ね、みくる、シンジさん。今日は手を繋いで帰りたいな。初めての登校はみくるとだったけど、帰りは三人一緒がいいの」
元の姿に戻ったアンサー――あんなが、そう言って俺とミスティック――みくるの手を取る。
「……そうだな。入学祝いも結局してやれなかったし、いいぞ。ただし、真ん中は譲ってもらおうか。いや〜、こんな風に可愛い女の子たちに挟まれて帰ってみたかったんだよなァ〜」
「か、かわっ――!? も、もう、仕方のない人ですね。ほんと子供なんだから……人の気も知らないで……」
「ポチ〜!」
「もちろん、ポチタンも一緒だよ! えへへ!」
参ったとしか言いようがない。
自分で思っている以上に、俺は彼女たちに入れ込んでしまっているらしい。
「ふぅ、良かった。デコの石も犬みてえな耳も、二人が戻ったら消えてくれて」
「えーっ、もったいない! せっかく可愛いのに。普段からあの姿じゃダメなの?」
「やだよ。耳が四つもあるせいで、音が何重にも聞こえて気持ち悪いんだよ、アレ」
「「そういう理由!?」」
帰路につく足取りは、いつも以上に軽やかだった。
両手を包み込む温もりに思いを馳せる。星に手は届かずとも、こうして手の届く距離に二人がいてくれるだけで、心の渇きが潤っていくようだ。
二人に聞こえないように、俺は小さな声で。
「――ありがとな。みくる、あんな」
西日が俺たちを照らし、横並びになった三人の影法師が伸びていく。
こうして目に映るすべてが美しいと感じられるように、ありふれた景色であろうと、心の持ちようでいくらでも見え方が変わる。
何ものにも代えがたい、何よりも尊いこの瞬間を、握りしめていたいと思った。
もう二度と手放さないように。
いつまでも、ずっと――。
るるか「すやすや……」
るるかさん、ヒロインレースはしばらくお休みかもね。
あんな、みくるが着実に刻みに行ってる。
新技(?)習得。
アンサーアタック→アケチパンチ(3割)
ミスティックリフレクション→コバヤシールド(3割)
アルカナスターレイン→なんとかビーム(クソザコナメクジ)
わざわざ【コバヤシールド】をやりたくて、こういう能力にしたんじゃないからね。
同じ技名だとややこしいと思って、プリキュアとの差別化がしたかったの。本当だよ。おじさんウソつかないから。いやマジで。先っちょだけ! 先っちょだけだから!
主人公が骨折したままだと動かしづらいなぁ……。
↓
治したろ! ついでに苦しめ!
るるかを攻撃表示で召喚!
滅びのアルカナスターレイン!
使い勝手の悪い能力だなぁ……。
↓
アプローチ次第で調整できるようにしたろ!
ライブ感で書いてるのは間違いない。
オリ主の妖精としてのモチーフは犬にしました。
何かの伏線というわけでもないので、そういう物かと思って頂ければ嬉しいです。適当に選びました。狼少年だからね。
ポチタンのモチーフって結局なんなんだろう。熊……? ポーチになるからポチタンって名前なんだろうけど。
マシュタン(狐)とシュシュタン(狸)が対になってるから、ジェット先輩(猫)と対になるとしたら、やっぱり犬だったりするのかな?
被ってても修正するほどじゃないので、このまま続行ってことで。
アニメ8〜10話までの展開をまったく考えてないので、しばらく更新止まるかもしれん。またオリジナル回でお茶を濁すのも視野。
次回もはなまるっ!