名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜   作:秋葉ばっこ

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遊び呆けてました!!!!!!ごめんね!!!!!!
アギト見返したけど、やっぱおもろいね〜。
サボってる間もジワジワお気に入り増えててウレシイ。

しばらく動きのない回になりそう。
プリティホリック回です。はい、よーいスタート(棒読み)。


FILE20:濡れ衣を着せられませんでした

 

 

 

 

 新学期が始まってから、初めての休日がやってきた。

 みくるとあんなに見守られている中、俺はというと、数枚の紙切れと睨めっこしている。

 

「むむむ……!」

 

 両手の指先を合わせて、じっくりと長考する。知る人ぞ知る、シャーロック・ホームズハンド。

 どうしてまたこんな事をしているのかというと、先日、ゴウエモンの作り出した異空間――からくり迷路とやらで出されたであろう謎を、彼女たちから出題されたからだ。それも何の前触れもなく、出し抜けに。

 

「閃いたァ〜!」

 

 パチン、と大袈裟にフィンガースナップを鳴らした。

 

「理科室は()()()()――つまり、()()()()。大量の現ナマでゴウエモンを買収して、部屋の鍵を開けさせる! どうだ、俺の推理は!?」

「ブブー、不正解。次の問題を解いてみましょうか」

()()()()――つまり、()()()()。音楽室で将棋をすれば、自然と鍵が開く! チェックメイトゥ!」

「なぞなぞじゃないんですよ? ここまで来ると、発想の飛躍の仕方が逆に天才的ですね」

 

 みくるが、もはや呆れを通り越して感心している。

 それに、チェックメイトは将棋ではなくチェスだと訂正されてしまった。

 こちとら大真面目に考えているのに、酷い言われようである。

 俺が唇を尖らせていると、一連の様子を楽しそうに眺めていたあんなが、勢いよく手を挙げた。

 

「はいは〜い! 今度はわたしが出題する! シンジさん、この謎ならどうかな? むふふ」

「フムフム……」

 

 自信たっぷりな彼女の鼻をへし折ってやろうと、俺もまた得意げに。

 

「わかったぞ、あんな。答えは、葬式でまた会えると思ったから!」

「サイコパス診断じゃないからね?」

「じゃあ、自殺した男が過去に飲んでいたのは、本物のウミガメのスープじゃなくて、人肉スープだったから!」

「水平思考クイズでもないよ!?」

 

 よくわからないが、どちらも未来で流行ってるんだろうか。

 交差された腕と連動するように、あんなのアホ毛が奇妙に枝分かれ、バツの形に……って、どうなってるんだそれは。

 

「答えは、肩の後ろの二本のツノの真ん中のトサカの下の鱗の右だよっ」

「まるで意味がわからん。俺がバカだからか?」

「あ、間違えちゃった。ラクダのコブの間だったかも!」

「う〜ん……未来人っ子の言ってることが、何ひとつ理解できない。これがジェネレーションギャップってやつか……」

 

 1983年生まれと2013年生まれ。30年も間が空いていれば、仕方ないとも言える。

 兎にも角にも、先程からこの調子で一問も正解できていない。

 わかったことと言えば、やはり自分に探偵業は向いてないのだということだけ。悲しきかな、俺の(オツム)で二人をサポートするのは難しそうだ。

 

「クッソォ〜! パチットモンスター全151匹の名前なら、スラスラ答えられるってのに!」

「「完全記憶能力の無駄遣いがすぎる……!」」

「ちぇっ……俺も二人みたいに、たまにはバシッと格好よく謎を解いてみたかったぜ」

 

 ソファに背中を預け不貞腐れていると、何故かみくるとあんなが揃って胸を撫で下ろす。

 

「ふぅ……安心しました。その様子だと、もう体調は大丈夫そうですね」

「うんうん。いつものシンジさんに戻って良かった! はなまる元気が一番!」

「どういう確認の仕方だよ。依頼がなくて暇だからって、俺で遊んでるんじゃないだろうな」

「「……」」

 

 露骨に目を逸らされてしまった。

 やっぱり遊ばれてたんかい。

 

「ポチ〜!」

 

 その後ものんべんだらりと寛いでいると、ジェット先輩がポチタン――キュアアンサーの衣装を着ている――を連れて部屋に入ってきた。

 

「ポチポーチ! ポチポーチ!」

 

 アンサーの名乗り口上とポーズを真似しているのだろう。

 あんなとみくるの反応は上々。みくるに至っては感極まり、口元を抑えて『100てん』と書かれた看板まで掲げている始末。

 いつにも増してテンションの高い二人を横目に、ジェット先輩に尋ねる。

 

「あの服どしたん? まさか市販じゃあるまいし」

「ボクが作ったに決まってるだろ。ポチタンもプリキュアなりたそうだったから、デザインを考えて作ってやったんだ。……お前の分もあるけど、着てみるか?」

「うーん、すね毛が気になるから今回はパスかな。またの機会にしておこう」

「冗談だよ。なんでちょっとノリ気なんだ」

 

 こちらに軽く突っ込みを入れてから、彼は小難しい内容が書かれた本に目を落とした。

 俺たちの会話を聞いていたらしく、みくるとあんなが小さく口を開け呆けている。かと思えば、机から身を乗り出してジェット先輩に詰め寄っていた。

 

「前から謎だなって思ってたんだけど、ジェット先輩が作る物って、すっごく可愛いよね〜!」

「どうしてこんなに可愛いもの作れるの!?」

「天才だから! ……まあでも、最初からこうだったわけじゃない。可愛いについてかなり研究したからなぁ」

 

 そう言って、ゴーグルを通して過去を懐かしむような表情を浮かべるジェット先輩。

 プリキットライトを片手に、あんながうんうんと唸っている。

 

「プリキット、すっごく可愛いもんね。わたしたちだけの物にしておくの勿体ないよ〜……そうだ! ジェット先輩、お店やらない!?」

「お店ぇ?」

「うん! プリキットを何か可愛いグッズにして、お店をやったら良いと思うんだ!」

「う〜ん……」

 

 プリキット等の発明品は探偵業務の為に作っているからと、最初は渋っていたジェット先輩であったが。探偵事務所の宣伝も兼ねているという、みくるとあんなの説得により、最終的に開業を受け入れた。

 

「はいは〜い! あのグロスを商品にするのはどう?」

「いいね、あんな! わたし、メイクってちょっと憧れてて……」

「じゃあ、コスメショップで! 良い香りがするもの欲しいなぁ〜……!」

「……お前たち、自分が欲しいだけじゃないのか?」

 

 そんなこんなで、女子(とポチタン)はコスメショップを開く為、二階の空いているスペースの清掃に取り掛かった。

 その間、ジェット先輩は研究室にこもって試作品の開発に勤しんでいる。俺は手伝いという名目で、彼の作業を眺めていたのだが。

 

「――」

 

 ハンマーでショックドライバーを叩き、はんだごてで金属を溶かし継ぎ合わせ、火花をパラパラ飛び散らせていると、あら不思議。

 あっという間に、香水の空き容器のようなものが完成した。それもふたつ。

 

「何がどうしてこうなった!?」

 

 と、突っ込みたくて仕方がなかったが、なんだか指摘したら負けな気がして、グッと堪えた。

 ドライバーをそれぞれの手に持ち、満足気な表情を浮かべ「よし、仕上げだ」と、ジェット先輩が黄色い煙と共に妖精の姿に変身する。

 ゴーグルを装着したかと思えば、尻を左右に振り、足をくねらせハートのポーズを取り始める。

 

「プリプリ、プリティスマ〜イル!」

 

 そこはかとなく形容しがたい文言と共に、ジェット先輩の両手からハートが飛び出し、容器の中身が満たされていく。

 俺が呆然としていると、彼はもうひとつの空き容器を顎で指して。

 

「次はシンジの番だぞ」

「……え、俺も!?」

「当たり前だ。何の為に研究室に呼んだと思ってる? さあ、やってみせろ。お前も一応妖精だし、きっと出来るはず……多分!」

「どっちだよ!? せめて確約してくれ! これで完成しなかったら、俺がただの馬鹿みたいじゃねえか!」

「つべこべ言ってないで、いいから早くやれ! ボクだけ恥ずかしい思いをするのはフェアじゃないだろっ!」

「何でキレられてんの、俺!?」

 

 勢いに飲まれるまま、俺も仕上げをやる羽目になってしまった。

 とりあえず、見よう見まねでやってみるしかない。ええと、尻を突き出して、リズムに合わせて三回振って……こんな感じか。

 頭の中で組み上げた段取りを、実行に移すべく。

 

「プリプリ――」

「シンジさん、ジェット先輩。お掃除終わったよ――あっ、ごめん」

「――あああああっ!! ギルティスマッシュ!!」

 

 ドンガラガッシャン。

 溢れんばかりの情動に身を任せ、そのまま空き容器を地面に叩きつけた。が、なんと傷ひとつ付いていない。ジェット先輩が作っただけあって無駄に頑丈だ。

 その代わりに、俺のガラスのハートが粉微塵に砕け散った。

 

「……えっと、今の何?」

「ふ、二人きりで何してるんですか……? ハッ、まさか、いかがわしい事を……!? あわわ……!」

「ポチ〜」

 

 半開きになった扉から、あんな、みくる、ポチタンが奇異の目でこちらを見ている。謝るくらいなら場をあとにして欲しかった。

 両手で顔を覆い隠し、およよ、と大袈裟に崩れ落ちてみせる。

 

「ジェット先輩に傷物にされちゃった……! うっ、うっ……恥ずかしいっ……! もうお婿に行けない……!」

「ご、誤解を招くような言い方するな! あれくらいなんだよ。普段の言動の方がよっぽど恥ずかしいだろ」

「それもそうだな」

「「「立ち直り早っ!?」」」

 

 すくりと立ち上がり、結局アレは何だったのかとジェット先輩に聞いてみると。

 

「……仕上げだよ。プリキットを小さくする時にやるみたいな。妖精の特別なチカラを、ギュッと詰め込む」

「ゴーグルを付けたのは?」

「おまじないみたいなものだ。昔、妖精の仲間たちと発明品を作ってて――」

 

 ジェット先輩はゴーグルを擦りながら、工房で腕を磨いていた頃の話を、ポツポツと語り始めた。

 かつての彼は、最も重要なのは機能だと信じて疑わなかった。が、その思想に反して、いつも人気があったのは彼らの先生――シニアンと呼ばれる妖精の発明品だったらしい。

 発明品は暮らしや仕事を便利にする。だが、それだけでは心を豊かにすることはできない。笑顔を作るドキドキワクワクも大事だと、師から諭された。

 それから発明品に『可愛さ』を加えるようになったと、ジェット先輩は誇らしげに語る。

 

「――これはシニアンが作ってたゴーグルで、工房を卒業する時に譲り受けたんだ」

 

 普段から大事そうにしているとは思ったが、そういう経緯があったとは知らなんだ。

 首から下げているブランクジュエルを、そっと握りしめる。俺にとっての宝物がこのペンダントであるように、彼にとっての宝物があのゴーグルなんだろう。

 

「よし、と……」

 

 話を切り上げた後、ジェット先輩はコスメ商品の量産をすべく新たなマシーンを制作した。

 コンベアから絶えず流れてくるそれに、彼は次々にプリスマ(略称)を浴びせていく。

 

「プリプリ、プリティスマ〜イル!」

「「プリプリ、プリティスマ〜イル!」」

 

 みくるとあんなが、ジェット先輩に倣ってプリスマをしている。当然、何か出てきたりはしていないものの、中々絵になる光景だ。

 俺の視線に気づいたあんなが、振り返って。

 

「どうしたの? シンジさん、さっきからボーッとしてるけど」

「いや、大したことじゃないんだけどさァ」

「そういう時って、大抵は大したことのある話ですよね? 勿体ぶられると余計に気になるじゃないですか。話してみてください」

「じゃあ遠慮なく。前から気になってたんだが、あんなとみくる……スカート短すぎないか? 足出しすぎだろ」

「「本当に大したことなかった……」」

 

 最初からそう言ってるのに。

 

「うーん……今どきの女の子なら、別にこれくらい普通じゃないかな? ……あ、この時代でもね!」

「そうそう、あんなの言う通り。シンジさん、目の付け所がおじん臭いですよ」

「なんじゃとォ!? ワシゃあ、お前たちを心配してだな……! 悪い男に引っかかっても知らんぞい! カーッ、ペッ!」

「おじさん通り越して、じじ臭い……心配してくれるのは嬉しいですけど、もう手遅れかもしれませんね」

 

 みくるはそっけない素振りをしながらも、こちらに視線を向けたまま。

 

「悪い男になら、もう引っかかってますから」

「確かに」

「即答っ!? そこはもっとドキドキするとか、気づかないフリをするものじゃないんですか!?」

「俺は難聴系主人公じゃないからな。一字一句違わず、脳内に記憶させてもらったぜ。楽しい思い出がまたひとつ増えました〜ってね」

「この男は……! ほんっとデリカシー無いんですから!」

 

 みくるはリンゴみたいに顔を真っ赤にして、わなわなと震えている。

 

「本当に聞こえてなかったんなら仕方ないとして、意図的に無視するとかマジチョベリバ〜。普通に失礼だろ、相手に。せっかく勇気を出してくれたかもしれないのにさァ」

「ぐうの音も出ない正論だな。シンジみたいな男が言うと説得力が違う」

「だろォ〜? いやぁ、パイセンも話がわかるじゃない」

「皮肉だよ、バカ」

 

 ジェット先輩は悪態をついてから、プリスマに戻る。

 俺も手伝おうと、一心不乱に尻を突き出してみたが、結果だけ述べるとすべて不発に終わった。妖精としてまだ未熟ということか。

 

 チリン。

 一通りの作業が終わり、休憩もかねて一階で寛いでいると、入口の呼び鈴が鳴った。

 カメリアインテリアから、注文した収納ケースを持ってきてくれた前田ちほさんが。フラワーショップから花森もりおさんが、鉢植えや切り花などが入った箱を持って現れた。

 事務所を訪ねてきたのは二人だけでなく、中には意外な人物もいた。

 

「こんにちは」

「「あ、パティスリーの!」」

「帆羽くれあです。よろしくね」

 

 こうして顔を合わせるのは誕生日ぶりだ。

 ちほさんともりおさんの対応をみんなに任せて、俺は帆羽の持っている小箱のひとつを受け取る。ジェット先輩が頼んだスイーツが入っているらしい。相変わらず凄い量だ……。

 

「にしても驚いたな。てっきり浅井さんが来るとばかり」

「私の方から店長に言って代わってもらったの。工藤くんの顔も見ておきたかったし」

「俺ェ?」

「ええ。めっきり会う機会が減ったから、何してるのかなって。ほら、連絡先も結局交換できてなかったし」

「ああ……」

 

 冷蔵庫へと案内するついでに、なんてことのない会話を交わす。

 言われてみれば、新学期が始まってから一度もパティスリーに行っていない。ぶっ倒れたり、腕を折ったりと、それどころではなかったし。

 

「まあ、最近じゃバイト自体してないな」

「時間さえあれば働いてたのに、随分と急よね。なにか心変わりでもあったの?」

「んな大層なもんじゃない。元々、金に困ってたわけでもないし。先を見据えるよか、目先のもんを大事にしたいと思っただけだっつーか……」

 

 言ってて、みくるとあんなの顔が脳裏に浮かぶ。

 そのせいで段々と気恥ずかしくなり、ごにょごにょと口ごもっていると、帆羽が優しく微笑んで。

 

「工藤くん、変わったわね」

「そうかな」

「そうよ。少し前までのあなたって、どこか生き急いでたっていうか――心に余裕が無さそうだったから。なんだか、無理して笑ってる感じがして」

「――」

 

 ……見透かされていたのか。

 正鵠を射た指摘に、思わず息を呑んだ。

 接客業をしているからか、生まれ持ったものなのか、彼女の観察眼は群を抜いている。時々、心を読まれているのではないかと思うことがあるくらい。

 

「……そんなにわかりやすいか、俺?」

「ふふっ、とってもね。今も『びっくりしてます〜』って、顔に出てるもの」

 

 聞き上手なのも相まって、すらすらと会話のキャッチボールが進むし、なにより一緒にいて苦にならない。

 相手からどう思われてるかまでは分からないが、少なくとも俺は、帆羽のことを親しい友人のひとりだと考えている。

 

「びっくりしてます〜」

 

 ぷにっ、ぷにっ。

 俺がおどけてみせると、彼女はくすりと笑い、しなやかな指先でこちらの頬を突いてきた。

 

「ぶぇ。あにすんあ、ほあ」

「……うん、やっぱり表情が柔らかい。あの子たちのお陰かしら? ちょっとだけ妬いちゃうわね。私の方が付き合いが長いだけに」

「お、なんだなんだ。やっぱり俺に気があるのか? 帆羽ちゃ〜ん?」

 

 冗談で言ったつもりだったのだが。

 

「そうかもって言ったら、どうする?」

「にょぼ――!?」

 

 思わぬカウンターパンチを喰らい、変な声が漏れてしまった。

 わざとらしく舌を出して、いたずらっぽく笑う帆羽。どうやら、からかわれているだけらしい。

 

「工藤くん」

「こ、今度はなんだよ」

 

 打って変わって、神妙な面持ちをした帆羽が。

 

「これからも大事にしてあげてね。あなたの中にある、心のきらめきを」

 

 それと、と彼女は付け加えて。

 

「あなたはもう少し、周りの人間を頼ること!」

「……おう」

「あの子たちだけじゃなくて、もちろん私にもね。してあげられる事は少ないかもしれないけれど、私で良ければ出来るだけ力になるから」

「わーった、わーったよ。お前は俺のオカンかっての!」

 

 やられてばかりは性に合わないので、お返しだ。

 

「ありがとな、くれあ」

「そうそう。わかってくれればいいの、って――!?」

 

 突然、下の名前で呼ばれたことに動揺したのか、くれあが目を丸くした。

 彼女はその拍子に運んでいたスイーツを落としかけ、慌てて体勢を整えている。

 

「ど、どうしたの、急にそんな呼び方して……!」

「いつまでも苗字呼びじゃ、よそよそしいと思ってな。お前が嫌ならやめるけど」

「別に、嫌ではないけれど……」

「じゃあ今後ともよろしく。ほらほら〜さっきから手が止まってるぞ、くれあ〜。キビキビ働けよなァ〜」

「〜〜〜っ!!」

 

 俺がそう促すと、くれあは赤くなった顔を背け、ポツリと呟く。

 

「……ズルい。そういう所だけは、変わらないんだから」

「まあね。気になる女の子にちょっかいかけるのが、俺の生き甲斐ですから」

「そうじゃなくて……もうっ、シンジくんのおたんこなす! いつか他の女の子に刺されても知りませんからねっ!」

「いてて、痛い、痛い。ポカポカすんのやめて」

 

 俺たちがじゃれついていると、突然、ジェット先輩の絶叫が事務所中に響き渡った。

 何事かと部屋に戻ると、ゴーグルを紛失したと喚いているジェット先輩の姿が。元々いたみくるとあんなは勿論、騒ぎを聞きつけてちほさんと花森さんまで集まっている。

 

「確かにテーブルの上に置いておいたのに……!」

「わたしたちに任せて!」

 

 ジェット先輩を宥めたみくる、あんながプリキットミラールーペを取り出した。

 二人はカバーを取り外し、ルーペモードを起動すると、手がかりを探すべくレンズを覗く。残っていた痕跡といえば、事務所のメンバーを除いた三人分の足跡のみ。必然的に犯人が絞られたわけだが……。

 

「くれあはずっと俺と一緒にいたし、会話の内容と言動からして、ファントムじゃないぞ」

「そうなると、怪しいのは……ちほさんと花森さんの二人になりますね」

「……えっ!? みくるが俺を疑わない……だと……!? だ、大丈夫か!?」

「人をなんだと思って――え、ちょっと――」

 

 風邪でも引いているのか?

 熱を測るべく、みくるの前髪をかき上げて、額と額をくっつけてみる。

 

「なっ、な、ななな――っ!? シンジしゃんっ!?」

「う〜ん……少しだけ熱い、かも……? ぶっちゃけ全然わからん。ジェット先輩、体温計持ってきてくんない?」

「だ、大丈夫ですから! は、早く離れてくだしゃいっ……! う、ううっ……!」

 

 空気が抜けていくように、みくるの溌剌とした勢いが鳴りを潜めていく。

 そんな俺たちの様子を見てか、何故かくれあが嘆息を零していた。

 

「はぁ……」

「……いいなぁ、みくる」

 

 あんなはというと、物欲しそうな眼差しを向けてきているように見えるが、恐らく気のせいだろう。

 閑話休題(それはさておき)、この部屋から離れている間の話を聞き出してみたものの、容疑者である二人の行動と証言に不審なところはなかった。

 どうしたものかと、俺たちが頭を抱えていると――。

 

「ポチ〜」

 

 くうう。

 お腹を空かせてしまったのか、ポチタンの腹の虫が鳴った。

 

「えっ!? 今、ポチ〜って……」

「……」

「あはは、元気なお腹の虫ですね!」

 

 彼らの反応は三者三様だった。

 ちほさんはお手本のように驚き。くれあはほんの一瞬だけ瞠目したものの、特に目立ったリアクションは見せず。花森さんだけが、和やかに微笑を浮かべている。

 

「「――」」

 

 引っ掛かりを覚えたのは、俺だけではなかったようだ。

 みくるとあんなが顔を見合わせて。

 

「「見えた! これが答えだ!」」

 

 どうやら犯人がわかったらしい。

 これを見るのも、なんだか久しぶりな気がする。

 




今回の要約。描写したかったところ
・主人公、やはりアホ
・主人公、まだギリ人間
・主人公、くれあとイチャつく
・主人公、濡れ衣着せられず

本編が始まる前から関わりのあるみくるを「小林少女」と呼んでいた上、本人から下の名前で呼べと言われるまでそのままだったので、新二くんは主体性が無かったのかもしれん。前回のお話の経験を踏まえて、ヒロイン達に対して積極的になっております。
アニメ最新話を見て、くれあさんの出番を無理やりねじ込みました。頼む、君こそエクレールであってくれ。←決めつけちゃダメ!!!!!

てか待って。ガチで名探偵コナンとコラボするなんて思わんやん。
書くのは楽しみではあるけど、コナンに関しては超が付くほどのにわかなんですよね。どういう絡みさせたらええねん……。

一週間以内に更新できるように頑張ります。
次回もはなまるっ!

主人公をプリキュアにするべきかどうか

  • このままでいい。花京院の魂も賭けよう
  • 好きにしろ。フィニッシュを決めるのは俺だ
  • 自認・栗花落カナヲだから決められないの
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