名探偵プリキュア! 〜A Memoir White〜   作:秋葉ばっこ

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神秘と秘密で包み込む←わかる
どんな謎でもはなまる解決!←わかる
重ねた推理で笑顔にジャンプ←?????

とか思ってたら、好物のミルフィーユを模しているのではないかという有無のツイートが流れてきて、思わず膝を打ちました。
いや、どんだけ好きやねんミルフィーユ。


FILE21:ライラックの香り

 

 

 

 

 足早に立ち去った花森さんを追いかけるべく、みくるとあんなもまた、探偵事務所を飛び出して行った。

 ちなみに、くれあとちほさんには先に帰るように伝えておいてある。

 ポチタンにミルクを与えながら、ジェット先輩と一緒に二人の後に続く。

 

「待って……!」

「ゴーグルを奪った犯人は――」

「「あなたですっ!」」

 

 息の揃った動き。確信を持ったみくるとあんなが、花森さんへと向けて指をさし、きっぱりと言い切った。

 

「――え、犯人? 僕が? なんのことです?」

 

 ゆっくりと振り返る花森さん――いや、ジェット先輩のゴーグルを盗んだ犯人は、あくまでもシラを切るべく振舞っているものの、薄ら笑いを隠せていない。

 その怪しく歪んだ口元から、先の言葉を待ち望んでいるようにすら感じる。

 

「とぼけても無駄だよ!」

「『ポーチが喋った!』ってみんなが驚いてたのに、あなただけが驚かなかった。わたしたち以外でポチタンのことを知っているのは――」

「怪盗団ファントムだけ!」

 

 あんな、みくるが交互に推理を披露しているのを横目に、そうだったのか、なんて他人事のようなことを思った。

 正直なところ、彼女たちの話を聞くまで花森さんが犯人だと、俺は気づいていなかった。

 引っ掛かりを覚えたのは、どちらかといえばくれあの反応。旧知の仲だからこそ目がいったのもあるが、そもそも俺が探偵事務所に居候していることを、何故彼女が知っていたのか。

 不思議に思い頭を捻っていると、隣にいるジェット先輩から、こっそり肘で小突かれた。

 

「どうした、シンジ。こんな時に考え事か?」

「……えっ、ああ、わかるわかる。リコリス菓子ってクソ不味いよな。蚊取り線香みたいな形してるし」

「人の話聞いてないだろ、お前」

 

 まあ、俺の誕生日ケーキを用意してくれた時に、みくるやあんなから色々聞いたのかもしれない。

 俺がそう結論づけるのと同時に、花森さんが拍手を打ち鳴らした。

 

「素晴らしい! 美しい花のように完璧な変装のまま、この場を去ろうとしたのだがね――!」

 

 言いながら、花森さん――変装を解いたニジーの姿が露わになる。

 左手には、見覚えのあるゴーグルが握られていた。

 

「よく見抜いたね、ベイビー」

「ゴーグルを返せ!」

「残念だけど、それは出来ないね」

 

 ゴーグルのストラップをあやとりのように持ち広げ、どこからか薔薇を取り出すニジー。

 

「――ウソよ覆え! 出でよ、ハンニンダー!」

 

 ここにいると危ない。興奮しているジェット先輩と腕の中のポチタンを連れて、俺は木陰に隠れる。

 ゴーグルの内に眠るマコトジュエルが、禍々しいエネルギーによって汚染されていき、間もなくハンニンダーが誕生した。

 丸いフォルムの胴体から手足が生え、いつものシルクハットとマントに加えて、これみよがしにゴーグルを装着している。

 

「シニアンのゴーグルが……!」

「ジェット先輩、大丈夫だよ!」

「わたしたちが絶対――」

「「ゴーグルを取り戻すっ!」」

 

 そんな悲痛な叫びを宥めるように、みくるとあんながジュエルキュアウォッチを構えた。

 

「どんな謎でもはなまる解決! 名探偵キュアアンサー!」

「重ねた推理で笑顔にジャンプ! 名探偵キュアミスティック!」

「「名探偵プリキュア――!」」

「わたしの答え、見せてあげる!」

 

 プリキュアへと変身した二人が、すぐさまハンニンダーの前へと躍り出た。

 敵もただ黙って見ているわけではない。ハンニンダーの左目――ゴーグルの上にあるモノクルの部分が妖しく輝くと、闇色のエネルギーが放たれる。

 

「「――っ!」」

 

 アンサーとミスティックは、上手いこと跳躍して攻撃を躱す。

 事務所の屋根を経由した後、ミスティックが反撃に転じようと、拳を振り上げてハンニンダーに迫るが。

 

「ハンニンダ――ッ!!」

「……っ!?」

 

 突然、ゴーグルから現れた照準のようなものが彼女を捉え、流れるような動作で光線を発射した。

 空中で無防備になっていたミスティックは、避けることも出来ずに被弾してしまう。咄嗟に腕を交差させ防御の姿勢を取ったものの、ダメージを殺し切れていない。

 ハンニンダーの背後を取ろうと、戦場を駆け抜けていたアンサーが、安否を案じて叫ぶ。

 

「ミスティック!」

 

 再び照準が現れると、ハンニンダーは背後を警戒するように飛び上がり、そのままアンサーを狙撃する。

 後ろに飛び退き直撃は免れたものの、これでは迂闊に近づくことができない。もどかしさから、隣に降り立ったミスティックと共にアンサーが歯噛みした。

 

「前後左右、どこから近づいてもロックオンされる。キミたちに勝ち目はないよ」

 

 ニジーが得意げに指鉄砲を披露すると、ハンニンダーの周りに出現したいくつもの照準が彼女たちを捉えて、一斉にエネルギーを解き放つ。一度だけならず、何度も何度も。

 なんとか避けるので精一杯らしく、アンサーとミスティックの表情にみるみる焦燥が滲んでいった。

 

「あのゴーグルが厄介だな……なんとかしねえと……!」

 

 膠着状態が続いている。しかも、防戦一方という最悪の展開。このままでは、反撃をするどころか二人の体力が先に尽きてしまう。

 俺が木陰から顔を出そうとすると、すぐ足元をエネルギー波が掠めた。

 

「――うおっ!? あ、危ねェ〜!?」

「キミに動かれると厄介なんでね。そこでジッとしていてもらおうか、ビッグベイビー」

 

 身を隠しているのでニジーの表情を窺うことはできない。が、先程よりも声のトーンが低い。気色ばんだ声音から、明らかな忌避を感じ取れる。

 奴らの注意を引きつけようと、俺はわざとらしく手を出して、ひらひらと振りながら。

 

「……おいおい。どうしたよ、ニジー。そんなに俺が怖いのか? そうだよな。プリキュアですらないパンピーに高を括って、結果的に大敗を喫したわけだもんなァ? ありゃあ傑作だったぜ」

「フン……その手には乗らないよ。キミのペースに持ち込まれるとろくな事にならないっていうのは、前回の戦いでよくわかった。もう油断も慢心もしない。プリキュアを――キミたちを倒して、マコトジュエルを頂いてみせる!」

「ありゃま。もしかして俺のこと嫌い?」

「ああ、大嫌いだとも」

 

 即答かよ。

 どんだけ俺のこと嫌いなんだ。

 

「う〜ん……そこまではっきり言われちゃうと、ゼロ周回って傷つくもんだ。あ〜あ、俺は別にお前のこと嫌いじゃないんだけどな〜」

「……チッ。キミのそういう所が嫌いなんだ」

「うえええ〜ん! ジェトえも〜ん、ニジーが相手してくれないよ〜!」

 

 同じく木陰に隠れていたジェット先輩に泣きつく。

 彼は「やれやれ」と言った様子で、俺の背中を擦りながら。

 

「お前は実に馬鹿だな。話し相手ならボクがなってやるから、その代わり大人しくしておけよ」

「ジェッティ……」

「シンジ……」

「ボクを放って見つめ合うのはやめたまえ」

 

 折角いい感じ(?)の雰囲気だったのに、ニジーから水を差されてしまった。

 放置されたらされたで、やっぱり寂しいんじゃないか。素直じゃない奴め。

 

「まっ、お陰様で時間が稼げたぜ。まんまと乗せられてくれてありがとよ。追想顕現(リコール・プレイバック)――!」

「――っ!? ハンニンダー!!」

 

 俺の動きを警戒し、すぐさまハンニンダーへと呼びかけるニジー。

 アンサーとミスティックを捕捉していた照準の数々が、一斉にこちらを向いた。

 

「ハンニンダーッ!!」

「なんちゃって」

 

 残念ながら、時間差で攻撃する手段など持ち合わせていない。ニジーの警戒心を利用した、ただの(ブラフ)だ。

 どれだけ動きを察知しロックオンしようと、発射口はゴーグルのレンズに固定されている。つまり、ハンニンダーが攻撃を放つには、必ず標的の方へと振り向かなければならない。

 

「ジェット先輩、ポチタンを頼む!」

「わ、わかった!」

「ヘイヘイ、俺はこっちだぜ、木偶の坊! 鬼さんこちら〜手の鳴る方へ〜!」

 

 ポチタンをジェット先輩に預けて、無防備にも身体を晒す。

 そして、ハンニンダーの背中越しにいるであろう、ミスティックへと呼びかける。

 

「ミスティック、俺に合わせてあの技を! 挟み撃ちだ!」

「えっ――!? 挟み撃ちって……」

「いいから! 俺が蜂の巣にされたくなかったら早くしろっ! 早くしてください、お願いします!」

「わ、わかりましたっ!」

 

 ミスティックがジュエルキュアウォッチを構えるのと同時に、その動作をそっくりそのままなぞるように、俺もまた右手の人差し指で長方形を描く。

 少しでも手を抜いたら、敵の攻撃で身体に風穴が空きかねないので、出力は言うまでもなく最大限。多少の頭痛は致し方ない。

 

「「ミスティックリフレクション――!!」」

「ハンニン、ダアアア――ッ!!」

 

 俺たちが宝石型のバリアを展開するのと、敵の攻撃が繰り出されたのは、ほぼ同じタイミングだった。

 バン、バン、バン――。

 光の線が何度も障壁を叩く。梅雨の日、雨が窓を叩くような、そんな趣のある光景とは雲泥の差がある。下手を打てば命を落としかねないのが恐ろしい。

 

「ぐっ……! ミスティック、頼むッ!」

 

 俺のミスティックリフレクションが破られるまで時間の問題だろう。だが、少しの間でも凌げれば構わない。

 俺が合図を飛ばすと、ミスティックが力強く頷いた。

 

「はあああ――っ!!」

 

 以前、ゴウエモンとの戦いで見せた戦法。

 ハンニンダーの後方から、ミスティックリフレクションが差し迫る。それに合わせて、俺もひびの入った障壁を真っ直ぐに飛ばす。

 

「ハンニンッ……!?」

 

 前と後ろ、両方からミスティックリフレクションに挟まれて、ハンニンダーは身動きが取れずにいる。文字通り、挟み撃ちの形になった。

 拘束を解くには、自傷ダメージを覚悟の上で、あの光線を放つしかないというわけだ。

 お返しと言わんばかりにニジーへと指鉄砲を向けて、勝ち誇ったように言い放つ。

 

「……いかに強力な駒と言えど、クイーンは迂闊に動かすな。チェスの定石だぜ。チェックメイトだな、ニジー!」

「言ってみたかっただけですよね、それ」

「う、うるさいぞ、ミスティック! 上手くいったんだから良いんだよ!」

 

 ニジーの反応はどうかというと、特に大きく取り乱すことなく、ゆっくりとした手つきでシルクハットを深く被る。

 

「……してやられたという訳か。たかが古いゴーグルひとつに大袈裟だな。世の中には物が溢れてる。代わりのゴーグルを買えばいいだろう?」

「くっ……!」

「――代わりなんて無いっ!!」

 

 ジェット先輩の憤りを代弁するかのように、アンサーが叫んだ。

 

「それはただのゴーグルじゃない! ジェット先輩にとって、世界にひとつしかない大切なモノだよ!」

「みんなの笑顔を生み出す、宝物なんだから!」

「そうだそうだ! 喰らえ、全力全開・アンサーアタック!」

「「この流れで!?」」

 

 二枚のミスティックリフレクションの間から、紫のエネルギーを纏った拳を振り抜き、ハンニンダーを殴り飛ばす。あ、やっぱり本気でリプレイすると頭痛が凄い……。

 驚きつつミラールーペをオープンさせている辺り、アンサーとミスティックもちゃっかりしている。ポチタンも満を持して飛び込んできた。

 

「「プリキュア!! フライングスペクトル――!!」」

 

 飛翔のごとく放たれた二つのエネルギーが収束していくと、鳥のシルエットと化してハンニンダーを貫く。

 

「「キュアット解決っ!」」

 

 アンサーとミスティックがポーズを決めると、一気に光の柱が立ち上り、マコトジュエルが浄化されていく。周囲に広がっていた亜空間と共に、ハンニンダーは役目を終えて消滅した。

 

「……華麗にやられてしまった」

 

 吐き捨てるように言うと、ニジーは煙幕を起こして姿を消してしまう。

 変身を解いたみくる、あんなが駆け寄ってくる。取り返したゴーグルを身につけながら、ジェット先輩が照れくさそうに。

 

「お前たち、本当に……」

「お礼なんて……ねっ、あんな、シンジさん」

「うん! みくるの言う通りだよ。わたしたち仲間でしょ?」

「そーそー。もう盗まれないように気をつけるこった」

 

 そんなやり取りをしていると、探偵事務所のすぐ前に一台の車が停まった。

 運転席から出てきたのは、本物の花森さんだった。

 話を聞いてみると、車が突然動かなくなり配達に遅れてしまったのだという。恐らくニジーの仕業だろうと、俺たちは納得する。

 花を運ぶのを手伝おうと花森さんの元へ向かうあんな、みくるの背中を見送りながら、ジェット先輩が。

 

「なあ、シンジ。今日はニジーの変装を見抜けてなかったみたいだけど、どうしたんだ?」

「いやあ〜、女装だったら一目でわかるんだけどな。男に興味無さすぎて、まったくわからんかったわ。あっはっは!」

「お前なぁ……」

 

 ――そんなこんなで。

 ハプニングはあったものの、無事に探偵事務所の二階でプリティホリック――あんな曰く「夢中になれる可愛いものがいっぱい!」という意味らしい――を開くことができた。

 すっかり女性客で賑わっている店内を見て、感慨深そうな表情を浮かべるジェット先輩。

 

「――」

 

 シニアンの言葉を思い出しているのか、彼はゴーグルを大事そうに摩っている。

 俺も負けじと締まりのない顔を浮かべていると、あんなが朗らかに話しかけてきた。

 

「シンジさん、なんだか嬉しそうだね」

「うん、可愛い女の子がいっぱいだもん。コスメショップなんて、縁のない場所だとばかり思ってたけど……顧客層を女性に絞ったのは英断だったな! でかしたぞ、あんな!」

「……むぅ」

 

 褒めたつもりだったのに、何故かあんなが頬を膨らませてしまう。

 そして、ズカズカと歩いてきたかと思うと、彼女はそっと真後ろを向き、背中をこちらに預けてきた。

 

「――ちょ、お、おい。あんな?」

 

 ふわり、とラベンダーの香りが鼻をくすぐる。

 ジェット先輩が開発した、プリティアップフレグランスのひとつ。華やかさと爽やかさを併せ持つ、すっきりとした上品な香り。

 最初に見た時、紫を基調とした宝石型のボトルが、あんなによく似合っていると思った。

 

「なんだよ。女子がされたら恥ずかしいけど、一度されてみたい抱きしめ方ランキング第一位と噂の『あすなろ抱き』をして欲しいのか? でへへ、ギュってしちゃうぞ〜」

 

 後ろから回した手をワキワキさせ、わざとらしい説明口調かつ、冗談めかして言ってみると、あんなは振り返らずに。

 

「……してくれるの?」

「へっ、いや、その……しないけどさ」

「そっか……」

 

 ……あんなは嘘をつかない。

 だからだろうか。言いたくないことがあると、今みたいにだんまりを決め込む事がある。初めて会った頃に比べたら心を開いてくれてるし、随分マシになった方だが。

 行き場を失った手を、そっと彼女の頭に置く。

 

「寂しいなら寂しいって言えよ。調子狂うだろ」

「……うん、ごめんね」

 

 あんなは俺の手を取って、自分の顔へと引き寄せると、その温もりを確かめるように頬を擦り寄せる。

 

「ありがとう、シンジさん。えへへ……」

「……うん?」

 

 ふと視線を感じて横に目をやると、信じられないものを見るような顔を浮かべたジェット先輩が、その場に立ち尽くしていた。

 

「お、おい。お前たち、人前だぞ……ちょっとは考えろよ……」

「〜〜〜っ、ご、ごめんっ!」

「おっと。別に気にすることないのに」

 

 ジェット先輩の言葉に弾かれたように、あんなが俺の元を離れる。女性客に混じって、商品を見て回っているみくるの元に向かったらしい。

 俺が頭を搔いていると、また違う視線を向けられていることに気づく。

 

「――香水を探してるんですけど、何かオススメとかありますか?」

 

 レジ越しに立っていたのは、俺と同じくらいの年齢の女の子だった。

 下から白いスニーカー、ベージュのパンツ、ピンクのスウェットを着ていて、首元に小豆色のスカーフを巻いている。眼鏡とお団子ヘアが特徴の、良く言えば安心感のある、悪く言ってしまえばどこにでも居そうな雰囲気の少女。

 垢抜けたらもっと可愛くなるだろうなぁ、といった印象。

 

「――」

 

 紫色の瞳が、じっとこちらを見つめている。

 不思議と知り合いの姿が頭に浮かんで、しばし沈黙してしまった。

 

「……あの?」

「あ、ごめん。香水ね、ちょいとお待ちを――これなんかどう? ジャジャーン、お客さんに似合うと思うんだけど!」

 

 俺が手渡したのは、あんなが使っていたものとは違う種類のフレグランス。

 少女は受け取ったボトルに目を落とし、まじまじと眺めて言う。

 

「ライラックの香り……」

「ん、お気に召さなかった? 他にも色々あるけど――」

「いいえ、気に入ったわ。これください」

「はいよー。お勘定ぴったしね、ありがとうございました!」

 

 袋に入った商品を手渡し、頭を下げる。

 少女も軽く会釈をしてから店を出ようとするが、ふと立ち止まって。

 

「……店員さん、知ってる? ライラックの花言葉」

「いいや、知らないけど」

「有名なところで言うと『思い出』と『初恋』。……ねぇ、シンジ。あなたと私にピッタリだと思わない?」

「えっ――?」

 

 それだけ言い残して、俺が返事をするよりも早く、彼女はプリティホリックを後にしてしまう。

 

「思い出と初恋……」

 

 わざわざライラックの花言葉を引き合いに出した上に、あの子は俺の名前まで知っていた。

 もしかして、今のは――。

 

「うおおお――っ、ジェット先輩、今の見てた!? ついに俺にも春が来たぞ! 今の子なんて名前だろ!? 連絡先交換しておけば良かった〜! また会えるかなァ〜!?」

「うるさい。黙って働けないのか、お前は」

 

 怒られてしまった。

 てっきり、追っかけファンか何かだと思ったのだが。

 店の外から、何故かため息が聞こえてきたような気がした。

 俺に春が訪れるのは、まだまだ先のようだ。

 




るるか「気づけや」
アニメでは子供向けの描写になっているだけで、るるかの変装は服装だけでなく顔立ち等も変わっているのではないかと解釈してます。じゃないとバレバレだもんね。
ライラックの香り、実際にプリティホリックで売ってるフレグランスらしいっすね。
『思い出』なんて打って付けのワードあったら、つい使っちゃうじゃんね! 意図してたわけじゃないけど、やけに花言葉を意識してるスイーツ脳になってるな、うちのるるかさん。浮かれポンチ……。

あまり重要じゃない回の戦闘描写はこんな感じです。ガチガチのバトルが見たいって人もいるんかな? たまにシリアスに片足突っ込むくらいがちょうどいい気がする。
作者としては、普段はアホだけど戦いになると頭の回る主人公を描いているつもりなんですが、いかがでしょうか。悪知恵だけは働くのよ、うちの子。

一週間以内に更新できるように頑張ります。
次回もはなまるっ!

主人公をプリキュアにするべきかどうか

  • このままでいい。花京院の魂も賭けよう
  • 好きにしろ。フィニッシュを決めるのは俺だ
  • 自認・栗花落カナヲだから決められないの
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