あっけなく死ぬ男子生徒の話   作:とーふめんたる

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ゲヘナ編
爆発ってそん気軽なもんじゃないよね


 

ゲヘナ学園、給食部。

 

「火、見て!それ以上強めないで!」

愛清フウカの声が響く。

 

「はい」

◻️◻️が即座に動く。

 

「え、えっと……これ、混ぜたほうがいいですか……?」

おずおずと聞くのは、牛牧ジュリ。

 

「ジュリ、それ触らないで」

「は、はいっ……すみません……!」

 

「それ運んで」

「はい……!任せてください……!」

 

――裏口の扉が開く。

 

「……来たわね」

 

「こんにちは」

現れたのは、黒館ハルナと美食研究会。

 

「は、ハルナさん……またですか……?」

「ええ。少し時間をいただきます」

 

「断る!!」

「そうですか。では、強制的にお借りします」

 

「はい、確保」

 

いつも通り、二人は取り押さえられる。縄で縛られ、丸められ――簀巻き。

 

「だからこれやめなさいって言ってるでしょ!!」

「そのほうが運搬効率がいいので」

 

「え、えっと……フウカ先輩……!」

「ジュリ!火止めときなさい!」

「は、はいっ!!」

 

そのまま車へ。荷台に放り込まれ、扉が閉まる。暗闇、エンジン音。

 

「……ジュリ、大丈夫かしら」

「火は止めるって言ってたし、大丈夫だろ」

「問題はそこじゃないのよ……」

 

車が揺れる。

 

「……あの子に料理させたら終わるわよ」

「……否定できない」

 

「でも」

フウカが小さく言う。

「毎回、あんたがいるからまだマシ」

 

「……そうか」

 

その日も、いつも通り解放された。

 

放課後。

 

「ちょっと甘いもの食べてくる」

◻️◻️が何気なく言う。

 

「また?」

「すぐ戻る」

 

フウカは小さくため息をつく。

 

「サボらないでね」

「サボらない」

 

短いやり取り。それが、最後だった。

 

――次の日。

 

朝。

 

「……あの、フウカ先輩」

ジュリの声は小さい。

 

フウカは手を動かしたまま答える。

「何?」

 

ジュリはすぐに言葉を続けられない。

 

「……その……」

「昨日の、ことなんですけど……」

 

フウカの手が止まる。

 

嫌な予感だけが、先に来る。

 

「……何があったの」

 

ジュリは俯いたまま、震える声で言う。

 

「街で爆発があって……」

「その……巻き込まれた人の中に……」

 

一瞬、詰まる。

 

それでも、絞り出す。

 

「◻️◻️先輩が……」

 

 

 

「……やめて」

 

 

 

それでも、止まらない。

 

 

 

「亡くなった、って……聞いて……」

 

 

 

 

 

静寂。

 

 

 

 

 

頭の中に浮かぶのは、昨日の光景。

 

 

 

『ちょっと甘いもの食べてくる』

『すぐ戻る』

 

 

 

 

 

フウカは、何も言えない。

 

 

 

 

 

昼。

 

給食部の扉が開く。

 

「こんにちは」

黒館ハルナ。

 

「は、ハルナさん……」

 

フウカが顔を上げる。焦点の合わない目。

 

一歩、踏み出す。

 

「お前のせいで!!」

 

殴りかかる。「――っ」ハルナは反応が遅れる。拳が当たる。

 

「また爆破したんでしょ!!」

 

二発目。

 

「待ってください、状況が――」

 

「なんであいつなのよ!!」

 

やがて腕が止まり、力が抜ける。

 

静寂。

 

「……“あいつ”とは、どなたのことですか」

 

ジュリが泣きながら言う。

「◻️◻️先輩が……昨日……亡くなったんです……」

 

フウカは俯いたまま動かない。

 

『すぐ戻る』

 

その言葉だけが残る。

 

「……亡くなった、のですか」

 

ハルナの声が落ちる。

 

「……そうですか。把握していませんでした」

 

一拍。

 

「結果として、一人の料理人が死んだ……ということになりますね」

 

誰も何も言えない。ジュリの嗚咽だけが響く。

 

フウカの手が震える。

 

「……なんでよ」

 

小さな声。

 

答えはない。

 

残ったのは、あの時の言葉だけだった。

 

『すぐ戻る』

 

――好きだった。

 




ちょっと物足りない

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