昼下がり。
柴関ラーメンのカウンター席。
湯気の立つ丼を前に、静かに麺を啜る。
「……うま」
ぽつりと漏れる。
店内はいつも通りの空気。
他愛のない会話、食器の音。
もう一口――そう思ったとき。
奥の席から、声が響いた。
「友達なんかじゃないわよー!」
そのあと、奥の席では何か言い合うようなやり取りが続いていた。
軽い調子の会話。冗談めいた空気。
どこにでもある、ただのやり取り。
次の瞬間。
視界が、白く弾けた。
遅れてくる轟音。
身体が宙に浮く感覚。
「あ――」
何も考える前に、意識が途切れた。
⸻
部室の扉が勢いよく開く。
「先生!」
アヤネの声は震えていた。
「今、アビドス地区で……爆発が発生しました!」
一瞬の静寂。
アヤネは手元の端末を見て、目を見開く。
「……っ、場所は……」
息が詰まる。
「場所は、柴関ラーメン!?」
空気が凍りつく。
「――は?」
セリカが立ち上がる。椅子が倒れる音が響いた。
「◻️◻️の奴、今日柴関で昼飯食べるって言ってた!」
沈黙は一瞬。
「……なら急がなきゃ」
シロコの声は低く、迷いがなかった。
誰も頷かない。
けれど全員が同時に動く。
⸻
煙。
焦げた匂い。
崩れた店。
その中心に、四人の姿があった。
アル、ムツキ、カヨコ、ハルカ。
誰も動かない。
「……社長」
カヨコが低く言う。
視線の先。瓦礫の下。
「これ……」
そこにあったのは――
人の形をしていたもの。
頭部は潰れ、原型を留めていない。
身体は焼け爛れ、黒く変色している。
「……嘘」
ムツキが呟く。
「……私たち、人を……殺して……」
アルの声はかすれていた。
手が震えている。
「ごめんなさい……ごめんなさい……!」
ハルカはその場に崩れ落ちる。
両手で頭を抱え、震えながら繰り返す。
呼吸は乱れ、涙が止まらない。
「ごめんなさい……!」
かすれた声が、途切れ途切れに漏れる。
⸻
瓦礫を踏み越え、たどり着く。
セリカの目が、その光景を捉える。
「……っ」
一瞬で顔色が変わる。
「どいて!!」
叫びながら、アルたちを押し退ける。
シロコも、その後ろに続く。
そして――
見てしまう。
頭が潰れ、
身体は焼け爛れ、
もはや原型すら残っていない。
それでも。
それでも分かる。
「……あ……」
シロコの足が止まる。
思考が止まる。
「……うそ、でしょ……」
セリカの声が震える。
次の瞬間、
「――ッ」
込み上げてくる吐き気。
膝をつき、その場でえずく。
シロコも、呼吸を乱しながら立ち尽くす。
ノノミは言葉を失い、
アヤネはただ震え、声すら出せない。
後ろでは、まだ小さく響く。
「……ごめんなさい……」
ハルカの声だけが、壊れかけたように残っていた。
先生は、何も言えなかった。
風が吹く。
焼け跡の匂いが、静かに広がる。
誰も動かない。
ただ、理解だけが落ちてくる。
もう戻らない。
あまりにも突然で、
あまりにも残酷な終わりだった。
どうにかして男子生徒をミキサーにかけたい