風で揺れる葉の音しか聞こえない、静かな広場。
本来なら、誰もいないはずの場所だった。
「はぁ……」
小さく息を吐いて、◻️◻️は歩き出す。
視線の先には、広場の隅に置かれた古いゴミ箱。
「ミユ。ゴミ箱の中はやめろ」
呆れたように言いながら、蓋に手をかける。
ゆっくりと持ち上げた。
中で、小さく肩が揺れる。
「な、なんで……わかったんですか……?」
恐る恐る顔を上げたミユが、こちらを見上げる。
「なんでって……お前、何年の付き合いだよ」
差し出した手に、ミユは少し迷ってから触れた。
引き上げると、その体は驚くほど軽い。
支えながら、近くのベンチへ向かう。
二人で並んで腰を下ろした。
「他のやつらは?」
「……っ……」
ミユの肩が、わずかに震える。
「………悪かったな」
「……え……?」
ゆっくりと、ミユがこちらを見る。
「SRTの廃校、防げなかったろ」
視線を落とす。
「防衛室長にも進言したけど……結局、通らなかった」
「……ち、違います……」
か細い声。
それでも、はっきりと届く。
「◻️◻️の……せいじゃ、ないです……」
言葉が止まる。
「いつも……私のこと……見つけてくれます……」
頬をわずかに染めながら、ミユはそっと寄りかかってきた。
「だから……その……」
続かない言葉の代わりに、ぎゅっと服の裾を掴む。
「……そうか」
少しだけ間を置く。
「まぁ……なんだ」
言い淀む。
「お前がどこにいても――見つけてやるよ」
それだけ言って、立ち上がる。
振り返らずに、広場を後にした。
⸻
「……っ、くそ……」
赤く染まった空の下。
狭い路地裏で、◻️◻️は壁に背を預けた。
すぐ隣で、ミユが銃を握っている。
呼吸は浅く、指先がわずかに震えていた。
「ご、ごめんなさい……っ」
かすれた声。
「もっと……ちゃんと……守れたはずなのに……」
「謝るな」
短く遮る。
少しだけ間を置いて、息を吐いた。
「……今は、それどころじゃない」
ミユは唇を噛み、俯く。
敵の気配が、じわじわと近づいてくる。
囲まれている。
ミユは優秀なスナイパーだ。
それでも、この状況では分が悪い。
すでに消耗も激しい。
それでも――
ミユは銃を構え直した。
「……だ、大丈夫です……」
震える声。
「私が……守ります……」
その言葉に、わずかに目を細める。
何かを言いかけて――やめた。
「……無茶すんなよ」
それだけ言う。
⸻
「いたぞ!!」
声が響く。
ミユが反射的に銃を構え、撃つ。
だが――
パァン
乾いた音が、先に響いた。
遅い。
放たれた弾丸が、◻️◻️の脇腹を貫く。
「……っがぁ!!」
体が大きく揺れる。
「◻️◻️!!」
ミユの叫びが響いた。
⸻
ーーー
ミユは、息を呑んだ。
目の前で、◻️◻️の体が崩れる。
血が、溢れている。
「……ぁ……」
声が出ない。
遅かった。
守れなかった。
「……っ、かくれ……ないと……」
震える手で体を支える。
周囲を見る。
その時、目に入ったのは――大きなゴミ箱。
いつも、自分が隠れている場所。
あれなら、二人でも入れる。
考えるより先に、体が動いていた。
◻️◻️を引きずるようにして運ぶ。
そして、その中へ潜り込んだ。
暗い。
何も見えない。
聞こえるのは、呼吸の音だけ。
手を伸ばす。
触れる。
まだ、あたたかい。
大丈夫。
きっと。
そう思った。
けれど。
指先に伝わる温もりは、少しずつ消えていく。
「……やだ……」
ぎゅっと手を握る。
返事はない。
体に触れる。
抱きしめる。
冷たい。
違う。
そんなはずない。
気づかないふりをする。
耳を澄ます。
呼吸の音は――
いつの間にか、ひとつになっていた。
⸻
目を覚ます。
白い天井。
窓の向こうに、青い空。
「……あ……」
「ミユ!起きたのか!」
サキの声。
すぐそばにいる。
「ここは……?」
「病院だ!ゴミ箱の中で意識をだぞ……」
少しだけ、声が震えている。
「みんなを呼んでくる!」
「……ま、待って……」
かすれた声で呼び止める。
「どうした?」
「◻️◻️は……?」
その名前を出した瞬間。
サキの表情が、固まった。
「……◻️◻️は……」
言葉が詰まる。
「見つかった時には……もう……」
「…………ぁ」
思い出す。
暗い中。
冷たい体。
動かない手。
気づいていた。
それでも、認めなかった。
「……ぁ……あ……」
声にならない。
「……やだ……やだぁ……」
涙が溢れる。
止まらない。
「……うゎぁぁあぁぁぁ……」
シーツに染みが広がっていく。
⸻
退院後。
ミユは、姿を消した。
シャーレの先生によって捜索は行われたが、見つかっていない。
もういない彼なら。
それでも――
見つけてくれるだろうか。
以下、怪文書(読み飛ばしてください)
こんな小説を書かせている私ですが、誰一人として死なない「ハッピーエンド」が好きです。
二次創作では本来では死んでいた人が救われる物が好きです。
だって、魅力的なキャラクターが死ぬのって悲しいですから。
でも、自己犠牲、身代わりは何故だか何度も小説を見返してしまう。
それをさせないために、行動するハイライトのないヒロイン!
心が躍ります。
男主人公が曇っても、あんまりそそりません。ヒロインの涙や、悲しみの表情、そういう曇らせが好きです。
だから、死んでも心が痛まない、魅力的とは言えないオリ主に死んでもらって、ブルアカの魅力的なキャラクター達の、欲しい曇らせをAIに書かせています。以上怪文書でした。