あっけなく死ぬ男子生徒の話   作:とーふめんたる

37 / 39
ゴミ箱って汚いよね

 

風で揺れる葉の音しか聞こえない、静かな広場。

本来なら、誰もいないはずの場所だった。

 

「はぁ……」

 

小さく息を吐いて、◻️◻️は歩き出す。

視線の先には、広場の隅に置かれた古いゴミ箱。

 

「ミユ。ゴミ箱の中はやめろ」

 

呆れたように言いながら、蓋に手をかける。

ゆっくりと持ち上げた。

 

中で、小さく肩が揺れる。

 

「な、なんで……わかったんですか……?」

 

恐る恐る顔を上げたミユが、こちらを見上げる。

 

「なんでって……お前、何年の付き合いだよ」

 

差し出した手に、ミユは少し迷ってから触れた。

引き上げると、その体は驚くほど軽い。

 

支えながら、近くのベンチへ向かう。

二人で並んで腰を下ろした。

 

「他のやつらは?」

 

「……っ……」

 

ミユの肩が、わずかに震える。

 

「………悪かったな」

 

「……え……?」

 

ゆっくりと、ミユがこちらを見る。

 

「SRTの廃校、防げなかったろ」

 

視線を落とす。

 

「防衛室長にも進言したけど……結局、通らなかった」

 

「……ち、違います……」

 

か細い声。

それでも、はっきりと届く。

 

「◻️◻️の……せいじゃ、ないです……」

 

言葉が止まる。

 

「いつも……私のこと……見つけてくれます……」

 

頬をわずかに染めながら、ミユはそっと寄りかかってきた。

 

「だから……その……」

 

続かない言葉の代わりに、ぎゅっと服の裾を掴む。

 

「……そうか」

 

少しだけ間を置く。

 

「まぁ……なんだ」

 

言い淀む。

 

「お前がどこにいても――見つけてやるよ」

 

それだけ言って、立ち上がる。

 

振り返らずに、広場を後にした。

 

 

「……っ、くそ……」

 

赤く染まった空の下。

狭い路地裏で、◻️◻️は壁に背を預けた。

 

すぐ隣で、ミユが銃を握っている。

呼吸は浅く、指先がわずかに震えていた。

 

「ご、ごめんなさい……っ」

 

かすれた声。

 

「もっと……ちゃんと……守れたはずなのに……」

 

「謝るな」

 

短く遮る。

 

少しだけ間を置いて、息を吐いた。

 

「……今は、それどころじゃない」

 

ミユは唇を噛み、俯く。

 

敵の気配が、じわじわと近づいてくる。

 

囲まれている。

 

ミユは優秀なスナイパーだ。

それでも、この状況では分が悪い。

すでに消耗も激しい。

 

それでも――

 

ミユは銃を構え直した。

 

「……だ、大丈夫です……」

 

震える声。

 

「私が……守ります……」

 

その言葉に、わずかに目を細める。

 

何かを言いかけて――やめた。

 

「……無茶すんなよ」

 

それだけ言う。

 

 

「いたぞ!!」

 

声が響く。

 

ミユが反射的に銃を構え、撃つ。

 

だが――

 

パァン

 

乾いた音が、先に響いた。

 

遅い。

 

放たれた弾丸が、◻️◻️の脇腹を貫く。

 

「……っがぁ!!」

 

体が大きく揺れる。

 

「◻️◻️!!」

 

ミユの叫びが響いた。

 

 

ーーー

 

ミユは、息を呑んだ。

 

目の前で、◻️◻️の体が崩れる。

 

血が、溢れている。

 

「……ぁ……」

 

声が出ない。

 

遅かった。

 

守れなかった。

 

「……っ、かくれ……ないと……」

 

震える手で体を支える。

 

周囲を見る。

 

その時、目に入ったのは――大きなゴミ箱。

 

いつも、自分が隠れている場所。

 

あれなら、二人でも入れる。

 

考えるより先に、体が動いていた。

 

◻️◻️を引きずるようにして運ぶ。

そして、その中へ潜り込んだ。

 

暗い。

 

何も見えない。

 

聞こえるのは、呼吸の音だけ。

 

手を伸ばす。

触れる。

 

まだ、あたたかい。

 

大丈夫。

きっと。

 

そう思った。

 

けれど。

 

指先に伝わる温もりは、少しずつ消えていく。

 

「……やだ……」

 

ぎゅっと手を握る。

 

返事はない。

 

体に触れる。

抱きしめる。

 

冷たい。

 

違う。

そんなはずない。

 

気づかないふりをする。

 

耳を澄ます。

 

呼吸の音は――

 

いつの間にか、ひとつになっていた。

 

 

目を覚ます。

 

白い天井。

窓の向こうに、青い空。

 

「……あ……」

 

「ミユ!起きたのか!」

 

サキの声。

すぐそばにいる。

 

「ここは……?」

 

「病院だ!ゴミ箱の中で意識をだぞ……」

 

少しだけ、声が震えている。

 

「みんなを呼んでくる!」

 

「……ま、待って……」

 

かすれた声で呼び止める。

 

「どうした?」

 

「◻️◻️は……?」

 

その名前を出した瞬間。

 

サキの表情が、固まった。

 

「……◻️◻️は……」

 

言葉が詰まる。

 

「見つかった時には……もう……」

 

「…………ぁ」

 

思い出す。

 

暗い中。

冷たい体。

動かない手。

 

気づいていた。

 

それでも、認めなかった。

 

「……ぁ……あ……」

 

声にならない。

 

「……やだ……やだぁ……」

 

涙が溢れる。

 

止まらない。

 

「……うゎぁぁあぁぁぁ……」

 

シーツに染みが広がっていく。

 

 

退院後。

 

ミユは、姿を消した。

 

シャーレの先生によって捜索は行われたが、見つかっていない。

 

もういない彼なら。

 

それでも――

 

見つけてくれるだろうか。

 




以下、怪文書(読み飛ばしてください)

こんな小説を書かせている私ですが、誰一人として死なない「ハッピーエンド」が好きです。
二次創作では本来では死んでいた人が救われる物が好きです。
だって、魅力的なキャラクターが死ぬのって悲しいですから。
でも、自己犠牲、身代わりは何故だか何度も小説を見返してしまう。
それをさせないために、行動するハイライトのないヒロイン!
心が躍ります。
男主人公が曇っても、あんまりそそりません。ヒロインの涙や、悲しみの表情、そういう曇らせが好きです。
だから、死んでも心が痛まない、魅力的とは言えないオリ主に死んでもらって、ブルアカの魅力的なキャラクター達の、欲しい曇らせをAIに書かせています。以上怪文書でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。