あっけなく死ぬ男子生徒の話   作:とーふめんたる

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救いってあるべきだよね

 

◻️◻️視点

 

一年の頃は、まだよかった。

 

ホシノ先輩も、砂狼シロコも、みんなで借金を返そうとしていた。

苦しくても、ちゃんと笑えていた。

 

でも――二年になってから、変わった。

 

「サボり」

 

そう呼ばれるようになった。

 

最初は軽口だったはずなのに、何度も言われるうちに、それが事実みたいに扱われるようになっていく。

 

「ちゃんとやってるの?」

「逃げてないよね?」

 

否定しても、意味はなかった。

 

そして――ある日。

 

銃を突きつけられた。

 

「あなたなら、一発で死ねますよね?」

 

軽い声だった。

冗談みたいに。

 

でも、誰も止めない。

 

「サボらないで」

「逃げるな」

 

それが当然みたいに、全員が口にする。

 

おかしいと思う余裕も、もうなかった。

 

それからは、ただ働いた。

 

五日間、寝ていない。

自分で組んだスケジュールで、限界までバイトを詰め込んだ。

 

誰かに強制されたわけじゃない。

それでも、それが正しいと信じていた。

 

でも――

 

限界だった。

 

「……少しだけ……」

 

そう思った瞬間、意識が途切れた。

 

 

ノノミ視点

 

目の前で眠っているのは、◻️◻️さん。

 

「はぁ……」

 

思わずため息が漏れる。

 

怒りはない。

ただ、このままでは困る、という感覚だけ。

 

借金を返さなければいけない。

そのためには、誰かが止まるわけにはいかない。

 

だから、起こす。

 

腕を掴み、そのまま力を込める。

 

ぐしゃり、と嫌な感触が手に伝わる。

 

「――ああああああっ!!」

 

「起きましたか?」

 

自然に、そう声をかけていた。

 

これが普通だと思っていた。

 

「寝ている場合ではありませんよ?」

 

顔を近づけ、小さく囁く。

 

「死にたくなければ……ちゃんとお金を稼いできてくださいね♣︎」

 

「……は、い……」

 

震えた声で返事が返ってくる。

 

それでいい。

 

そうしなければいけないのだから。

 

――このときは、まだそう思っていた。

 

 

◻️◻️視点

 

殺される。

 

そう思った。

 

誰か一人じゃない。

誰も止めないことが、何より怖かった。

 

逃げたい。

でも、逃げるのは間違いだと思い込んでいた。

 

働かなければいけない。

そうしないと、生きられない。

 

そのとき――

 

「お困りのようですね」

 

黒い服の男が、声をかけてきた。

 

「もしよろしければ……少し、お話ししませんか?」

 

穏やかな口調だった。

 

「あなたは、正しく評価されていない」

 

その一言が、強く胸に刺さる。

 

「一年前のように、認められたいとは思いませんか?」

 

思っている。

ずっと。

 

「借金の件も承知しております。九億――その半分、こちらで負担いたしましょう」

 

信じられない話だった。

 

だが――

 

「対価として、ヘイロー付与実験にご協力いただきます」

 

迷う理由はなかった。

 

「……やります」

 

「ありがとうございます。賢明なご判断です」

 

 

目を覚ましたとき、体が軽くなっていた。

 

今までとは違う感覚。

 

だが同時に、どこかが欠けているような違和感もあった。

 

それでも、アビドスへ戻った。

 

 

ノノミ視点

 

◻️◻️さんが帰ってきた。

 

その瞬間、空気が止まった気がした。

 

「……え」

 

一目で分かる違和感。

 

無理をしていた人の顔ではない。

何かを削り取られたまま、立っているような――そんな印象だった。

 

そして、遅れて理解する。

 

五日間眠っていなかったこと。

無理をさせ続けていたこと。

自分たちが口にしていた言葉。

 

「サボり」

「逃げるな」

「死にたくなければ」

 

すべてが繋がる。

 

おかしい。

 

◻️◻️さんは、身を削って、アビドスのために働いていたのに。

 

それを、分かろうともしなかった。

 

「……っ」

 

喉が詰まる。

 

アヤネちゃんも、

セリカちゃんも、

シロコちゃんも、

 

同じ表情をしている。

 

気づいてしまった顔。

 

ホシノ先輩は、静かに目を細めていた。

 

何も言わない。

 

言えない。

 

「……ごめんなさい」

 

自然と声がこぼれる。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

 

止まらない。

 

ノノミだけではない。

 

アヤネちゃんも、セリカちゃんも、シロコちゃんも、

言葉を詰まらせながら謝っている。

 

それでも――

 

「……いいよ」

 

◻️◻️さんは、そう言った。

 

優しく。

 

その優しさが、何よりも胸に刺さった。

 

 

数日後

 

六人で過ごしていた。

 

少しだけ、空気は和らいでいた。

 

だが、完全には戻っていない。

 

戻れないことを、全員が理解していた。

 

そして――

 

◻️◻️さんの動きが止まる。

 

「……え?」

 

違和感。

 

次の瞬間。

 

◻️◻️の頭が内側から弾けた。

 

脳漿が床に散乱する。目玉が壁にぶつかる。

 

理解が追いつかない。

 

現実を受け入れられない。

 

「……嘘、、、」

 

アヤネちゃんの声が、かすれる。

 

「なんでよ……!!」

 

セリカちゃんが叫ぶ。

 

シロコちゃんは、その場から動けない。

 

ノノミは、その場に崩れ落ちる。

 

「……私たちが……」

 

言葉が続かない。

 

ホシノ先輩も、何も言えない。

 

分かっている。

 

遅すぎたことも。

取り返しがつかないことも。

 

そして――

 

絶叫だけが、重なった。




救いがないのは二次創作の特権さ!

救いなど、原作に任せろ!!


この後、ホシノが黒服にガチギレしながら詰めに行くけど、そこまで追い込んだのお前らじゃんw的な一言で撃沈するよ。
ホシノは可愛いね
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