※タグ『一部キャラ強化』を追加しました。
8/31:峰田君の一人称を正しました。
side 針目
個性把握テストの一種目目は50m走……なのだけれど。
「調整調整調整……僕はまだ100か0かしか出来ない、使ったらぶっ壊れるのにここで使って良いのか……いやダメだ、もし調整失敗して動けなくなったら……ああでもそしたら記録が……」
「……」
僕は緑のもじゃもじゃ頭の男子と一緒に走る事になった。番号順だからこうなるみたい。*1焦ってるのか、冷や汗をかきながらブツブツと呟き続けている。隣でずっとこの調子だとこっちも狂わされてしまいそうで困るわ……止めるためにこれに話しかけるのにもちょっと嫌気が差すわね。
そういうわけで隣のブツブツを止められないまま僕らの番が来てしまった。
「どうすれば…………あっ」
僕と目が合ってやっと止まった。
「気づいた?」
「……え、えっと、そのー……」
まあ初対面なんだし気にせず行きましょう。別に考えるのは悪い事じゃないしね。うん。
……気まずいわね。何か話すべきかしら。確か気軽に話せる友達くらい一人は居た方がいいって聞いたし、これも何かの縁ってやつよきっと。
僕はにっと笑顔を作ってもじゃもじゃ頭の子に話しかけた。
「次、僕らの番だよ。行こっか」
「ひいっ!?ごめんなさい!」
……残念ながら怖がられちゃった。僕の笑顔ってそんなに怖いのかしら。にしても怖がりすぎじゃない?
……あ、僕まで脱線するところだった。
『位置ニツイテ……ヨーイ』
スタートラインに立った僕ら二人はクラウチングスタートの構えを取る。
やることはとても簡単。『全力で
たったこの程度の距離だ。
『スタート!』
合図とともに僕は脚に力を込める。
大小、十字の星が二つ光った。
『4秒07!』
「速ッ!?」
「さっきの爆豪より速いのか……すげえな」
「見たところ増強型の個性だろうか……」
「ふう……」
タイムは眼鏡の男子の次くらいには速かった。今の僕じゃこのくらいが限度かな……
でも、さっきまで感じていた心配は杞憂だったかもしれない。個性……ではないけど、この調子なら僕の力でも最下位になることは無いと思う。
『
「ハァッ、ハァッ……」
彼みたいに、個性を使わずに種目をこなす人も結構いるし。
-----------
side 緑谷
僕は個性を使えないまま走り切ることになり、大した記録を出せずに終わってしまった。隣の針目さんが悠々と大記録で帰っていったのを見てしまうと自分が情けなく感じる……
残り七種目、きっとみんな個性を活かして普通じゃない記録を残してくる……そんな中で僕は個性も使えない、使えば壊れてしまう……!いくら
あと七種目の中のどれか一つ、一回だけでも良い……調整さえうまくいけば!
その為には、多分僕のイメージだけじゃ足りない。何かこう、取っ掛りが掴めれば……誰かに聞く?でも増強型の個性は見た所このクラスには……
「……針目さん」
彼女しかいない。
いやでも僕女子とまともに話したことまだないぞ……自分から話しかけた事も殆ど無いし……それにさっきビビりすぎて失礼な態度取っちゃったし―――ブツブツブツブツ
-----------
side 針目
次の種目は握力。これも全力で機械を握るだけ。
『181.5kgw』
他の女子は大体50kgwを超えてこないし、男子を含めても上澄みの結果だと思う。
「おお……やっぱり凄い!」
「?……君誰?」
後ろから声がしたと思えば体操
「私、葉隠透!君の名前は?」
「針目縫。で、やっぱりってどういう意味?」
「入試の時一緒の会場で縫ちゃん見つけてたの!可愛い恰好でバッタバッタと仮想敵倒してて凄かったよ!」
入試……とにかくロボットを倒す事しか考えてなかったから周りの人とか見てなかったわね……
「……君の事は覚えてないわ」
「そりゃそうだよ!私その時
「……は?脱いだの?」
「うん!」
透明人間が、本気?それはつまり
……いや、まさかそんなことは。無いと信じたいけれど……
「…………ねえ、一応聞くんだけど、さ」
「ん?何?」
「
「えっ!?そ、それって―――
え、えっちなやつだよね?……」
「ごめん忘れて頂戴」
「う、うん……」
そうだった。本来そういう意味だったわ。いや違うけど。*2何考えてるのよ私。
そもそもあんな組織どころか
「……次、行きましょう」
「……そうだね!」
-----------
side 相澤
個性把握テストもまだ始まったばかり。続いての種目は立ち幅跳び。各々個性を活用して中々に良い記録を出しているのは素晴らしい。中には個性が活かせない者もいるが、一人例外が居る。
『25.20m』
「こんなものかしら」
針目。こいつだけは個性を使わずに十分に良い記録を出している。その点は今までと変わらないが、無視できない点が一つ。
『ふわり』
こう形容する他無かった。思えば入試でもそのように見えたこともあり、それは高く跳んだ際に見える浮遊感のような、単なる偶然かと思っていた。だがたった今単純な跳躍を見て確信した。
針目はこういった
この立ち幅跳びで針目は何も特別な事をしていない。
ただ屈み、ただ前方向へと跳んだ。
そこからが問題で、跳躍で上昇し切るまでの移動距離よりも、落下して
だがそのような性質はこいつの個性届には無い。
「針目、ちょっと来い」
「何?先生」
「お前の個性、個性届にあった通りの内容で良いのか?今の挙動も個性の副次的効果か?」
「え……うん」
「……そうか。あとお前敬語使え」
「まあ良いじゃないそういうの。さー次行きましょ」
「おい待て……はあ、後にするか」
ひとまずこのまま進める事にした。
反応からして自覚していないわけでは無いだろうが、今問い詰める事ではないだろう。
……しかしこれは個性届への虚偽の記入という範囲になるのか?これを含めて身体能力の強化として拡大解釈していたのなら許容範囲か?
-----------
side 針目
『86回』
次の種目は反復横跳び。俊敏性が求められる競技なら僕が一番を取れると思ってたけど……
「ひゆぅぅぅぅぅ!」
小さいブドウ頭の男子が頭から玉を引きちぎって、ラインの両側に積み上げて、その間で跳ねかえってて……前から思ってたけど個性ってほんとに個性的よね。全世界のほぼ全ての人間が極制服の特殊能力を持ってるって考えたらほんとおかしいわよこの世界。強い弱いは別として。
「ふっ、どうだ。お前の記録、この峰田様が越してやったぜ」
「ああ、そう……」
「興味なしかよクソッ!オイラが唯一テッペン張れる種目なのによ!もうちょっと悔しがれよなあ!」
「いや僕今までトップになった記録無いし……」
-----------
『∞』
「スッゲ!無限が出たぞ!」
「こういうテストで記録が青天井なことあるのね」
次はソフトボール投げ。この種目が個性によって一番差がついていた種目かもしれない。
茶髪のボブヘアの子がなんか無限を出してたわ。
『237.3m』
「うーん……」
「いや良い記録だって……」
「完全に麻痺してるな」
僕の記録はそれらに比べたら遥かに劣る。でも僕より飛ばしていたのは爆豪君とその子の二人くらい。数字の差が無限なだけで大した差じゃないわ。
……大した差じゃないのよ。
そして、次はもじゃもじゃ君……じゃなくて、緑谷君の番。さっきメガネの男子がそう呼んでた。
今まで一度もそれらしい記録を出していないせいか、焦った顔をしながら青ざめている。
「……」
「……縫ちゃん?どうしたのこっち見て」
……正直な話、緑谷君より透ちゃんの方が危機感持った方が良くない?個性使ってないって言っても彼の方が記録上なのよ。見ただけでわかるくらい鍛えてるみたいだし。
「いや、君除籍は大丈夫なの?」
「結構やばい」
でしょうね……
『
「な、今使おうって」
「
緑谷君はまた個性を使わなかった……と言うよりは先生に個性を使えなくされた。先生の個性は見ただけで個性を消せるんだって。
まずいわね。先生が個性使ってる時に僕がいつも通り動いたら
『
気が付けば緑谷君は二投目を終えていた。離れてる僕たちの方にも砂埃が舞うほどのパワー。何でこれ使わなかったの?
「やっとヒーローらしい記録出たよ!」
「指が腫れ上がっているぞ、入試の時といいおかしな個性だ」
ああ、それじゃ使えないわね。指がはれ上がってる……と言うよりは、指が爆発したみたいになってる……そもそも、個性は身体機能の一部なのよね?使うだけで壊れる個性ってそれはもう欠陥じゃない?
この後爆豪君が緑谷君に突っかかってたけど相澤先生に布を巻き付けられて止められていた。
それ便利そうね。私も真似してみようかしら、ちょうどいいの持ってるし。
-----------
「じゃ、パパっと順位出すぞ」
あの後僕は特に何事もなくテストを終えた。
え?また飛ばすなって?
しょうがないじゃない後半三種地味なのよ。*4上体起こしは流石に僕が一番だったけど特別な事してる子いなかったし、長座体前屈は僕出来ることないし……あ、持久走はちょっと波乱だったわね。なんか百ちゃんって子がスクーターで走ってたわ。
で、えーと。僕の順位は……2位。入試に続いてまた2位。上位なのは嬉しいわ。下位になった種目も無いし上場ね。
「ああああ!最下位なっちまったああああ!」
ブドウ頭の男子が頭を抱えて叫んだ。最下位になっちゃったみたいね。名前なんだっけ、名乗ってた気がするけど。
「君さっきは僕に勝ち誇ってたじゃない。なんで最下位取ってんのよ」
「ほかの記録がクソなんだよぉ!見りゃ分かるだろ!
たしかに運動には不利な体型よね、身長も僕の肩より下だし。
まあかわいそうだけどこれでお別れ―――
「ちなみに除籍は嘘な」
「良かったわね」
「よかったああああ!」
-----------
1-A 個性把握テスト 順位
| 1.八百万 百 | 11.麗日 お茶子 |
| 2.針目 縫 | 12.口田 甲司 |
| 3.轟 焦凍 | 13.蛙吹 梅雨 |
| 4.爆豪 勝己 | 14.青山 優雅 |
| 5.飯田天哉 | 15.瀬呂 範太 |
| 6.常闇 踏影 | 16.上鳴 電気 |
| 7.障子 目蔵 | 17.耳郎 響香 |
| 8.尾白 猿夫 | 18.緑谷 出久 |
| 9.切島 鋭児郎 | 19.葉隠 透 |
| 10.芦戸 三奈 | 20.峰田 実 |
強化キャラ1.緑谷出久
強化と言っても微強化だけど、なぜか原作より早く身体を鍛え始めたようだ。なんでやろなあ(すっとぼけ)このためソフトボール投げ含めすべての種目の記録が原作比で少しマシになっている。が、ソフトボール以降はケガでまともに出来なかったので下位なのは変わらない。
読んでいただきありがとうございます。就活が落ち着いてかなり時間が出来たので遅筆の私でも更新できました。まあそのタイミングが
次の更新は予定してませんが9月中旬以降になりそうです。研究の中間発表があるのであしからず……それまでに更新できたらラッキー程度に思ってます。
ところでみなさん中学校の体力テストでソフトボール投げってやりました?私の中学はハンドボール投げだったので肩ぶっ壊れるかと思いました。小学校はソフトボールだったんですけどね……
感想・質問・誤字報告などあれば是非よろしくお願いします。