<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
『さあ、なんやかんやありましたが最終ラウンド!激戦っす!櫓を各々占拠し、かぐやいろPはジャンプ台から櫓へ!』
『待ち受けるのは帝との一騎打ち!』
・・・
「配置はさっきの通りで行こう。雷と乃依は俺に任せろ。」
「本当に、一人で大丈夫?」
「大丈夫だって。それに、帝とやりあう方が多分大丈夫じゃない。」
万羽はちょっと不安そうな表情をする。
自分の意識がない間にあんなことになったら誰だってそうなるだろう。
「...分かった。帝はうちらに任せて。」
「うん、かぐやたちが必ず倒す!」
「ああ。思いっきり兄妹喧嘩してこい!」
・・・
「遅かったな。」
「なんでこっちに?ミドルから天守行けば勝ちだったんじゃね。」
「ブラックオニキスはな、みんなに夢見せなきゃいけねーんだよ。」
そして武器同士がぶつかり合う。私と
櫓を取ったはいいが、乃依と雷vs俺の2対1。分が悪いどころの話じゃない。
相手はプロゲーマー。さっきまでの戦法はさすがに対策されている。
乃依が矢を放ち、近づいてくる俺を雷が魔法でけん制し、フォロー。
プロのコンビネーションはやはり違うな。
でも、こっちにも意地がある。かぐやと彩葉の邪魔はさせない!
相打ちになろうと絶対に倒す!
次の瞬間、俺はブースターを最大出力で点火する。
「あれれ?正面突破する気かな?」
「無謀だな。」
「おらよっ!」カキン!
俺は自分の剣を乃依に向かって思いっきり蹴っ飛ばす。
俺という荷物がない剣はとてつもない速度で乃依の体を貫いた。
「全部初見殺しじゃ~ん、ぴえん。」
「だが、武器もなしにどうやって戦うつもりだ!」
チャンスと言わんばかりに雷は俺に攻撃を仕掛ける。
だが、逆に俺は雷との距離を詰める。
俺の銃剣は一定距離離れると自動で手元に戻ってくるようになっている。
オートな分、速度と精度はお粗末だが、文句など言ってられない。
剣が戻るまでにできるだけ距離を詰めて近距離戦に持ち込む!
そして十分に距離を詰めた時、銃剣がまさに手元に収まろうとした瞬間、
キィィィン...
「っ!地雷!?」
「これで終わりだ。」
近距離戦を想定して仕掛けていたのか!
意識が銃剣に向いていた分、反応が遅れる。<
こうなったら...!
俺は剣を銃モードに切り替える。モードの切り替えは俺の思考を読み取って自動で行われるようになっている。
ブースターをもう一度点火し、銃弾を放つ。それと同時に地雷によって俺のHPはゼロになる。
だが、ブースターの補正が乗った銃弾は音速を超える。一瞬にして雷の脳天を撃ち抜く。
「っ!?」
「せめてもの置き土産だ。」
「...やるな。」
俺と雷は同時に桜となって散っていく。
彩葉、かぐや、あとは任せた...!
雷、乃依、そして万羽が落ちた。
あとは私とかぐやと帝だけ。
一戦目よりかぐやとの連携は取れるようになってきた。
でも、あと一歩攻めきれない。
(上手だなぁ...この人、ずーっとこれやってんだもんなぁ...勝てんわ。)
私は半ば折れかけていた。でも、かぐやは違った。
「ちくしょ~、だが勝つ!」
かぐやは瞳を輝かせて笑った。昔お兄ちゃんとゲームしてたときの私みたいに。
「...もしうちらが勝ったら、そっちもお願い、聞いてくれんだよね?」
「ああ、もちろん。」
私たちはその返答を見届け、二手に分かれる。
私はかぐやのハンマーを、かぐやは私の双剣を握っている。
「武器の入れ替え!はっ!」
私たちは武器を交換しながら帝を攻撃し、足場を崩していく。
かぐやは帝を攻撃しようとして空ぶったハンマーを引き抜こうとしているフリをしている。
(かぐやなら...かぐやとなら...!)
「ゲームセットだ。」
今!
帝がかぐやにとどめを刺そうとした瞬間、ワイヤーを一気に巻き取り、帝を拘束する。
「なっ、ハンマーにワイヤー!?囮はかぐやちゃん!」
「かぐやの考えることくらい、分かってるっつーの!」
私の剣は、帝を一刀両断した。
「やりゃあできんじゃん。」
お兄ちゃんは静かに笑った。急にそんな態度取られたって、どうすればいいのよ。
かぐやが満面の笑みでこちらに走ってくる。
「彩葉~!」
「...ふふっ。」
私とかぐやは
そのまま向かうは天守閣。順調にいけば帝よりも先に落とせるはず。
「彩葉が危なくなったら、かぐやが助ける!」
「かぐやがミスっても私は置いてくー」
「なんでっ!?」
「あははっ」
なんだかおかしくって、つい笑ってしまった。
二人ならどこまでも行ける。そんな気がした。
「いい笑い方するようになったじゃんか。」
俺は自陣から中継で二人の様子を見守っていた。
見事な作戦と連携で帝を撃破。ほぼ勝ち確の状態だ。
もちろん、先に天守にたどり着くかぐや。
「うぇーい、勝ち確ぅー!」キィィィン...
「「「...ゑ?」」」
ドゴーン!
鳴り響いたその音は天守が落ちた音ではなく...
『あー!雷の地雷トラップーー!』
「何やってんだぁぁぁ!」
最後の最後でやらかしよったあのお姫様...
帝はそのまま
彩葉が天守を落とす前にこちらの天守が帝に落とされてしまった...
『逆転ー!決まってしまったー!勝者、ブラックオニキスーーーーっっ!』
そうして、世紀の竹取合戦は帝の勝利で幕を閉じるのだった...
「いと大儀~~☆とーっても楽しいKASSENでした。そしてたった今!ヤチヨカップの優勝者が決まったよ~。」
KASSEN終了後、ほどなくしてヤチヨカップの結果発表の時間が訪れた。
負けてしまったからか、かぐやの機嫌はすこぶる悪そうだ。
「いやー、惜しかったな。俺が生き残ってれば帝を止められたのに...」
「いやいや、ヨロズは雷と乃依二人も倒してくれたじゃん。最後のはかぐやが調子に乗っただけだから。」
「ぶーっ。」
これは、あとでアイスでも買ってやるかな...
「それでは、ヤッチョとコラボる人を発表!」
「お、そろそろか。緊張するな。」
「ヤチヨカップの優勝者は~~~~~?」
期間中に獲得したファン数のグラフが伸びていく。
かぐや・いろPの勢いもすごいが、黒鬼の独走が止まらない。
だがしかし、最後の最後でグラフは一気に逆転した。
<第一位 かぐや・いろP 新規獲得ファン数101万7106人>
「かぐや・いろP~~~~!」
かぐやと彩葉に会場のスポットライトが注がれる。
彼女らは黒鬼を追い越し、栄光を手にした。
「めでたしや~!」
「えっ、負けたのに、えっ、やっ、やったああああああああ!」
「おめでとう!二人ともすごいじゃんか!」
かぐやはジャンプして大喜び。彩葉は何が起こってるのかわからないとばかりに茫然としていた。
「おめでとう、かぐやちゃん、彩葉。」
「帝...」
「げっ、やばっ、結婚!」
思い出したかのようにかぐやは怪訝な顔をする。
「これじゃあ、勝ったとは言えないな。」
「ん?お?あ~...」
「ま、元々無理やり結婚する気なんてねーし。」
「だよな!かぐやも知ってた!」
「「嘘つけ。」」
俺と彩葉が同時にかぐやの言葉を否定する。
「で?彩葉のお願いって何?」
「え、いいの?ん...引越ししたくて、保証人になってもらえないかと...」
「家ごと買わなくていいの?」
帝さん!?その発言は金持ちすぎやしませんかね?
「出たよ成金発言。結構です!」
「...お安い御用。それじゃあ俺はファンのとこ行くから。」
そう言って帝はその場を立ち去る。
周りにいた観客も次々にログアウトしていく
今度ちゃんと帝に謝罪しなきゃな。
「てか彩葉、ほんとに引っ越し?」
「意外だな。頑なに引っ越さないと思ってた。」
「だってかぐやがどんどんもの増やすんだもん。最近万羽の家まで浸食してるし。」
「ねぇねぇ!万羽も一緒に来るでしょ?」
「...そうだな。彩葉がよければだけど、俺はそれでもいいと思ってる。」
「万羽!?」
「え、本当!?」
「かぐやだけだと彩葉が心配なんだよ。またあの日みたいに倒れられたらたまったもんじゃない。うちの両親に話はつけてあるから。」
彩葉が熱中症になったあの日。自分の部屋に戻った後両親と話をした。
友達が心配だから、もし引っ越すことになったら俺も一緒に行きたいと。
仕送りの金額は今まで通りでいいならと了承も得た。
何やら母さんのテンションが異様に高かったが何故だろう...?
「...いいよ。万羽なら信頼できるし、私も安心...できるし///」
「彩葉照れてる~。」
「っ!照れてない!」
そうして引っ越しについて話していた時...
「二人とも~!よ~きかな~☆」
「やるじゃねーか。マグレに頼る天才だな。」
ヤチヨとFUSHIが降りてきた。
やっぱFUSHIはこっちが素なのか?
「ん-。でも、全然だめだったなあ。どうしたらヤチヨみたいに動けるの?」
「こら、FUSHIをリフティングしながら話すのはやめなさい。」
「それはもう、日々の努力の玉藻の前というか~、気まぐれアメンボロードというか~」
「はあ?ヤチヨっていっつもテキトーじゃない?」
「んっんー。ヤチヨは優柔不断で悪い奴なのです~。かぐやは、かぐやだから強いんだなって、ヤチヨは思ったよ。」
「なんにも言ってないなー」
「かぐや、そういうのは思っても言っちゃいけない。」
「さーて、ここからはクライマックスに向けてハードな展開が待っているかも。このお話を、最後まで見届けてね?」
ヤチヨは神秘的な声音でそう告げた。
...と思いきや、
「YO!運命の荒波に揉まれる覚悟はいいかー?」
「おー!」
「お、おおー...」
やはりヤチヨはヤチヨだ。
これはゴールじゃない。この先彼女らはもっともっと大きな存在になっていくだろう。
そんな確信が、俺の中にはあった。
そしてヤチヨは俺の側に来て小さな声で耳打ちした。
「話があるの。一時的にアクセス権をあげるから、あとでヤッチョのプライベートルームに来て。」
「じゃあ、私は戻るね☆さらば~い。」
ヤチヨは町の方へと飛んでいくのだった。
「...俺はちょっとツクヨミで用事があるから、先に戻っててくれ。」
「大丈夫?あんなことがあった後だし、少し休んだ方が...」
「すぐ終わるから、心配ない。二人も早く休めよ。」
そう言って俺は町へと向かう。
ヤチヨが話そうとしているのはきっとあの現象のことだろう。
直感だが、あれはバグじゃないと思っている。
ヤチヨは何か詳しく知っているのだろうか。
誰にも見られないよう人気のない路地裏に入る。
ヤチヨから渡されたアイテム...を模したアクセス権を行使する。
使った瞬間、ある部屋に飛ばされる。
「来たね、ヨロズ。」
「ああ、ヤチヨ。”あの現象”について、何か知ってるのか?」
俺は思っていたことを直球に尋ねる。
「...うん。知ってるよ。あれはね、正確に言えばバグじゃない。バグに近い、正常な動作。」
「どういうことだ?」
「ふじゅーのシステムについては知ってるよね?」
「ああ。装着者の感情の動きを感知しているんだろ?」
「そう。今回のアレは、そのシステムが暴走した結果。ヨロズ、あなたの感情が原因。」
「俺の...感情?」
訳が分からない。どうして俺の感情でそのシステムが暴走する?
「あなたの感情が強すぎたの。帝アキラに対する強い怒りがトリガーとなって、その感情を感知したスマコンが本来起こさない動作を起こしたの。」
「じゃあ、今回の現象は感情が高まればだれでも起こりえるってことか?」
「普通はそんなことにはならないんだけどね。あなたの深層心理にある感情、トラウマが負の感情を増大させている。」
「...知ってるんだな、俺の過去。」
「ヤッチョは色んな情報を盗み見る悪い奴なのです...ともかく、あなたのスマコンに抑制プログラムをインストールしたからそう簡単には起こらないと思うよ。だから安心して☆」
「ありがとう。ヤチヨが止めてくれなかったら俺、どうなってたか...」
もしあのまま暴走してたら、イベントも何もかも滅茶苦茶になっていたかもしれない。
ヤチヨには感謝してもしきれない。
「ヨロズ、あんまり一人で抱え込みすぎないで。信頼できる友達にくらい自分のことを打ち明けてもいいんじゃないかな?8000歳からのアドバイス!」
「そういえばあったなそんな設定...ああ、考えてみるよ。」
ヤチヨの優しい視線を背に俺はツクヨミからログアウトするのだった。
前話のヨロズ暴走について明らかになりましたね。行き当たりばったりで書いてるので「?」ってなるかもしれませんが感想などで指摘していただけると嬉しいです。