<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~   作:白豆男爵

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2話目です。気づいたら結構な量書いてました。ノリと勢いで書いてるので齟齬が発生した場合にはご容赦ください。コメントや感想などで教えて下さるとうれしいです。

3/28 16:30追加:なんか連れてきた時点で育てるの確定みたいになってたんでちょっと変えました


高校生、赤ん坊のお世話をする

「なるほど...」

「全く分からんっ!!」

 

俺、神崎万羽は理解の範疇を超えた説明にオーバーヒートしていた。

酒寄曰く、バイトから帰ってきたら7色に光るゲーミング電柱があり、その中から赤ん坊が出てきたのだという。

そしてその電柱は元に戻り、クーリングオフ制度もびっくりの返却不可の現実を押し付けられたらしい。

そうしてその直後に俺が帰ってきたらしく、話を聞くために彼女の家にお邪魔している。年頃の高校生の男女が同じ部屋に...などというテンプレ思考は緊急時につき捨てることにした。

...前例もあるわけですしね。ていうかなんだゲーミング電柱って...妙に語呂がいいなこれ。

 

「そ、そうだよね。こんな話、信じられるわけ...」

「いや、理解できるかどうかはともかく、俺は酒寄のことを信じる。」

 

警察に相談しようとも一瞬考えたが、こんな話を聞いたところでイタズラ電話だと思われてしまうだろう。

それに下手をしたら誘拐事案みたいになってしまうかもしれない。

この時点でなんとかして育てるということがほぼ確定してしまった。

酒寄も多分同じ考えに至っている。

 

「...ごめん、なんか巻き込んじゃったみたいで。」

「いやいや、ここまで来て見て見ぬふりは出来ないだろ。貯金があるとはいえ酒寄に一人で赤ん坊を世話する余裕はないだろ?俺もできる限り手伝うから。」

「そんな、悪いよ。拾っちゃったのは私の責任だし、また神崎君に迷惑をかけるわけには...」

「迷惑だなんて思ってない。俺は酒寄を助けたい、それじゃあダメなのか?」

 

いくら超人女子高生の酒寄でも今の生活にプラスして子育ても追加されるとなればどれだけ憔悴してしまうか分かりきっている。

だからこそ俺は心から彼女の力になりたいと思った。

 

「...ごめ「あと!」」

「こういうときは謝るんじゃなくて、お礼の言葉を言うべきなんじゃないのか?」

 

酒寄の謝罪の言葉を遮るように、俺は言った。俺が言い出したことだったので、酒寄には責任を感じてほしくなかった。

 

「...ありがとう。」

「ああ、お安い御用さ。」

 

この後、「臭いセリフをいったなぁ...」と突如羞恥心がフルマックスになることはまた別のお話...


「それじゃあ、また明日の朝様子見に来るから。」

「うん、また明日。」

 

今晩はもう遅いということで神崎君は自室に戻っていった。

それにしても本当に信じてくれるとは...

今までの友好関係が勝ち取った信頼なのだろうか...と思いつつ、

 

「...嬉しかったな。」

 

こんな状況でも彼が自分を信じてくれたことに純粋に喜びながら赤ん坊と共に眠りにつくのであった。

 


 

「...なんか、デカくなってないか?」

「やっぱりそう思う?」

 

翌日酒寄の部屋に行くと、昨日より一回りくらい大きくなった赤ん坊がそこに...

昨日が0歳だとしたら1~2歳くらいだろうか?

いやいや、成長が早いってレベルじゃねーぞ!

 

「とりあえずベビー用品一式を買うところからか?」

 

そうして俺と酒寄は子育てお母さんの味方である西竹屋に向かったのだが...

 

「無理無理無理無理!おむつ高っ!」

「こ、これはすごいな...」

 

どうやら味方なのは品ぞろえだけらしい。世の中のお母さんがいかにすごいか思い知らされた。

しかし高いと言いつつも高いほうを選ぶあたりは酒寄の人柄が出ている。

財布に余裕があるわけでもないが...

 

「よし、ここは俺が払おう。」

「えっ!?いやいや、流石にお金払ってもらうのは悪いよ!私が払うって!」

 

予想通り酒寄は断ってきた。予定調和というべきだろうか。

だがこちらも譲るわけにはいかん。

 

「酒寄は自分で学費や生活費を払ってるだろ。それに比べたら俺の財布なんて潤沢さ。」

「いや、そういう問題じゃなくて...」

「俺だってバイトやライバー活動でお金はある。ここは俺の顔を立てると思って...な?」

 

俺はそう言いながら酒寄をまくしたてる。

経験上酒寄彩葉は押しに弱い。なのでこうやって押せ押せで行けば...

 

「...分かった...でも、割り勘だからね!後で絶対に半分払うから!」

「ああ。それでいい。」

 

折れてくれた。やっぱりちょろいな酒寄...それはそれで俺は心配だよ。

なお、もちろんのこと酒寄に半分の額も払わせる気などない。

13,240円の出費など痛くもかゆくもない...うん。痛くないぞー、と俺は自分に言い聞かせるのであった。

やっぱりすげえよ世の中のオカンは...

 


 

そうして一度酒寄の部屋に戻ってきた。

割り勘騒動でひと悶着あったが俺が鋼の意思で払わせなかったことにより、酒寄を折れさせることに成功した。

赤ん坊の世話とは思った以上に大変なものであり、3連休などあっという間に溶けていった。

もうこの3連休で何をしようとしていたかなど忘れてしまった...

 

「さて、明日からまた学校か...あの赤ん坊どうするんだ...?」

 

現在時刻は深夜の2時あたりだろうか。

どうやら人は疲れすぎると逆に眠れないらしい。

ようやく眠った赤ん坊を確認し、自分の部屋に戻ってからそんなことを考えていた。

しかしその直後、3連休の波乱はまだ終わっていなかったことを認識させられることとなった。

 

「うわぁっ!」

「な、なんだ!?」

 

隣の部屋から酒寄の叫び声が聞こえた。

 

「どうしたんだ酒寄!何かあったのか!?」

 

俺は酒寄の家のドアをたたく。緊急事態かも知れないときに近所迷惑など知ったことか。

そうして酒寄がドアを開けた瞬間...

 

「...はっ?」

 

酒寄と、灰色がかった長髪の少女がそこにいるのであった。

 

「お引き取り下さい!」

 

流石は酒寄、判断が早い。

俺が目の前の状況を飲み込む前にベビー用品一式を段ボールに詰めてその少女に差し出した。

 

「てか何ですぐデカくなってんの?こわっ!」

「ん-。まあ、今時は何もかものスピードが速いんですわ。」

 

と、酒寄の質問に対してどこかのインタビューにでものっていそうなセリフを繰り出した。

 

「マジでどうなってんだ?普通の赤ん坊じゃないのは分かってたがここまでとは...」

「なんでこんなことに...」

 

ぐ~。

腹の虫が鳴る音がした。それも2つ。

 

「うっ...」

「お腹空いた~。」

 

一つはその少女から、もう一つは酒寄から鳴ったものであった。

 

「...俺がなんか買ってくるよ。」

 

この連休で冷蔵庫の中身がないことは分かりきっていたので、深夜にコンビニダッシュをするのであった。

 


 

「5食分...ていうか2時だぞ2時。」

 

とりあえず急いでコンビニダッシュして食べ物を買ってきた。

子供が好きそうという偏見でオムライスを買ってきたが大丈夫だったか?

 

「すごい!何これ?超うまい!」

「オムライスだ。」

「オムライス!大好き!」

 

どうやらお気に召したらしい。

 

「神崎君、食h「酒寄。」」

 

俺は目で訴える。

勿論この食費も酒寄に払わせる気はない。

ベビー用品たちの犠牲に比べれば軽いものだ。

 

「うっ、わかったわよ...」

 

若干不満気味でありつつも酒寄は納得してくれた。

 

「それであなた、どこから来たの?」

「ん~?」

 

確かに、出自は気になる。

酒寄がそう質問した直後に少女が指をさしたのは...

 

「...月?マジで言ってるのか?」

 

いや、普通の人間じゃないなとは思っていたけれども...

 

「で?宇宙人は何しに来たの?侵略?」

「うーん、何かあんまりよく覚えてないんだけど~。とにかく、毎日超詰まんなくて~、楽しいところに逃げた~いって、思った気がする。」

「なんか軽いな。そんなんでいいのか宇宙人。」

「逃げんなー。」

 

どうやらなんとなくで月から逃げてきた宇宙人を拾ってしまったようだ。

もう理解するのは諦めた。そういうものとして考えることにしよう。

 

「あのさ、ちなみにだけど、これに心当たりは?」

 

そう言って酒寄がタブレットに表示させたのは...

 

「竹取物語か。」

「たけと...何それ?」

「月からやってきた姫が竹の中から出てきて、翁が育てて、結婚迫られたりとかいろいろあって...まあ、そんな感じのお話。あんたが出てきたのは竹じゃなくて電柱からだったけど。」

「へぇ~。じゃあ、万羽はこのお爺さんなわけ?」

「なわけねえだろ。まだピッチピチの高校生だわ。てかなんで俺の名前...」

「で、お話はどうなるの?」

 

こいつ、無視しやがった。

さすがは宇宙人、もうスルースキルを身に着けているとでもいうのか。

 

「えーと、お迎えが来て、翁たちが引き渡すまいと戦うも空しく、姫は羽衣を着せられて地球のことは忘れる。で、帰る。」

「おー。あれ?続きは?」

「ないな。これで終わり。めでたしめでたしだ。」

「え?月に帰って終わり?なにそれ超バッドエンド!かぐや姫絶対不幸じゃん!しかも何かいい話風に終わってるのが余計許せないよ~!」

「確かに、言われてみれば意外とバッドエンドかもなこれ。」

「これはそういうお話なの。」

「バッドエンドやぁーだぁー!ハッピーなのがいーいー!」

 

 

話を聞き終わった少女は駄々をこねて暴れ始めた。

 

「どうしようもないじゃん。暴れたって、歌ったって、決まってることが変わるわけじゃないし。受け入れて覚悟するしか、ない。」

 

彼女はまるで自分にも言い聞かせるようにそう言葉をこぼす。

酒寄の言う通り、これはそういうお話。結末は決まってしまっている。

そう、このお話は。

 

「嫌なんだったら自分でハッピーエンドにすればいいだろ?」

「ちょっ、神崎君!?」

「そっか...!じゃあ自分でハッピーエンドにする!そんで、ハッピーエンドまで彩葉と万羽も連れてく!一緒に!」

 

その少女は宣言する。自分でハッピーエンドにすると。そして、俺と酒寄も連れて行くと。

そう来たか。ていうか俺と酒寄はセットなのか?でもこいつから見たらそうなるのか...

無論、無責任にこういったわけではない。彼女なら酒寄に根付いた氷を溶かせるような、そんな予感がした。

しかし...

 

「ハッピーエンドいらない。フツーのエンドで結構です。」

 

やはり手厳しい。酒寄の心を融解させるにはまだまだかかりそうだ。

お前が目指す普通は俺たちにとってすごいことなんだぞ、酒寄...

そう思ったが口に出すことができなかった。それは今の彼女を否定してしまうような気がしたから。

ほどなくして俺は自室に戻り眠りについた。

明日からまた学校だしな。

あいつ、酒寄に迷惑かけてないといいが...




万羽の超おせっかいが発動した!イメージは仮面ライダーリバイスの一輝に近いですかね(分かる人いるのかこれ...)
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