<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
かぐやの奪還から一日経ち、俺たちの家で黒鬼、綾紬、諌山も呼んで祝勝会を開催することになったのだが...
「なんで俺が乾杯の音頭を...?」
「そりゃあなんて言ったって今回の作戦の立役者ですから!」
「真実の言う通り。かぐやちゃんが帰ってこれたのは、万羽君のおかげだから。」
「そりゃあ主役が音頭取らねえといけねえよな?」
「ぐっ...」
「万羽、諦めて受け入れたほうがいいと思うよ。」
「見捨てないでくれ彩葉~。」
「さあさあ万羽!この可愛い可愛いかぐやちゃんのお帰りパーティーも兼ねてるんだから、一発頼みますよ~。」
「自分で可愛い言うな...仕方ない。今回のかぐや奪還作戦の成功を祝して、乾杯!」
「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」
俺の音頭に合わせ、みんなが一斉にグラスを交わす。
ちなみにかぐやを月から取り戻した後、現実に戻るとバルコニーに擬態機能のみが搭載された『もと光る竹』が置いてあった。
突然置かれてあってちょっと怖かった。
ヤチヨ曰く、多分月人のささやかな贈り物ということで、かぐやがその『もと光る竹』を使用し、再び実体を得た。
やっぱり月人はちゃんと話せばわかってくれるいいやつらしい。
その擬態機能には寿命が設定されているらしく、人と同じように老け、人とほぼ同じ寿命で終わりを迎えることが出来るらしい。
...月のテクノロジーってすげえ。
ヤチヨがすんなりかぐやに擬態を譲ったことに対し、
「ヤチヨはいいの?」
とさすがのかぐやも少し遠慮していたが、
「ヤッチョは大丈夫!この体にはもう随分となれたからね~。」
といって自らその機会をかぐやに譲った。
「せっかく輪廻を巡らなかった
ヤチヨはかぐやに聞こえない距離で俺と彩葉にだけそう言った。
本当は自分も欲しかったくせに、悠久の時が形成した人格はそう簡単には変わらないらしい。
さて、話を戻そう。
乾杯してからは、バカ騒ぎという単語が相応しいような楽しい時間が過ぎていった。
みんなでおいしいご飯を食べたり、パーティーゲームやバトルゲームなど色んなゲームをして遊んだり。
最近は色んなことがありすぎて、純粋になにかを楽しむ機会はめっぽう減っていた。
久しぶりに充実した時間を過ごせたのだが...
「疲れた...」
俺はその熱量に疲れ、バルコニーに出て夜風を浴びていた。
「本当だよ、みんなテンション上がりすぎ。気持ちはわかるけど。」
同じく夜風を浴びに来た彩葉が隣でそう言う。
「かぐやが来てから、色んなことがあったなぁ。最初は突然の子育てから始まって、かぐやに振り回されながら二人がヤチヨカップで優勝して、月人と正面衝突して、最後の最後でかぐやを取り返しに月にまで行っちゃってさ...」
「そうだね、色々あった。」
「でも、そんな毎日がずっと楽しかったんだ。こんな日々が続いてほしい。みんなで笑い合える日常が、ずっと。」
「...ねえ、万羽ってさ、進路とか決めてるの?」
「なんだ?藪から棒に。決まってないな。正直、自分が何をやりたいのかよくわかってないんだ。彩葉は法学部だっけ?」
「実は、進路を変えようと思って。私、ヤチヨのために現実の体を作ってあげたい。だから、東大の工学部に進学しようと思ってる。」
「そうか、立派な夢だな。工学部か...あれ?」
法学部は文系、工学部はゴリゴリの理系だ、つまり...
「私、理転する。」
「マジか...」
高2で文系から理転だと!?
出来なくはないが、東大の工学部となるとかなり難しいぞ。
中々思い切った決断だ。
これも成績優秀超人の彩葉だから成せる技ということか...
「それでさ、もしよければなんだけど...私のこと手伝ってくれない?」
「...手伝う、というのはつまり、ヤチヨの体を作るのをってことか?」
「う、うん。私と一緒に東大の工学部を目指してくれたらなぁ、なんて...」
「東大かぁ...」
工学の知識を使って電子生命体が意識を宿せるボディを作るのだ。最高峰の大学を目指したほうがそりゃいいのだろう。
正直、理系とはいえ俺の成績はそこまでいいというわけでもない。中の上が関の山だ。
でも...
「彩葉のお願いなら、断れないな。」
「えっ?それって...」
「ああ。俺も一緒に東大受けるよ。彩葉の夢、俺も手伝う。」
「...!ありがとう、万羽。すごく嬉しい///」
「その代わり...っていうのもあれだけどさ、俺のお願いも一つ聞いてくれないか?」
「...?もちろんいいけど...何?」
この言い方はちょっと卑怯かもしれない。
でも、今この気持ちを伝えなきゃ、きっと後悔する。
俺は彩葉の正面に回り、向き合う。
「ど、どうしたの?急に正面に回って...」
「彩葉。俺は彩葉のことが好きだ。これからもずっと、傍で彩葉のことを支えていきたい。
だから、俺と付き合ってください。」
「えっ?」
彩葉は驚いた表情のままフリーズしたと思ったら、急に泣き出した。
「あっ、ご、ごめん!そんなに嫌だったか!?卑怯だよな、後出しのお願いでこんなこと...」
「いやっ、その、これは、違くて...嬉しくて泣いてるの。嬉しくて涙止まんないのっ。そっか、両思いだったんだ。」
えっ?今、両思いって...
「彩葉、それってつまり...」
「はい、私でよければ、ずっとそばに居てください。」
彩葉は涙交じりの笑顔で、そう告げた。
そして俺たちの顔は徐々に距離を縮め、やがて唇を重ねる。
その瞬間、パシャ、という音が聞こえた。
「やべっ、シャッター音切り忘れた。」
「...は?」
俺はしばしの困惑の後、後ろを振り返る。
そこにはスマホをこちらに向けて構えるかぐやの姿が...
「っっっっ!?////」
「かぐやっ!その写真消せ!今すぐっ///」
俺は窓を開け、室内にいるかぐやにそう叫ぶ。
「やだよ!この写真だけは絶対に消せない!」
「あっ、逃げるな卑怯者!待て!」
「よーやっと付き合ったな~。」
「堂々とキスするなんて二人とも大胆だね~。」
「ね~。」
「今のは忘れてぇ///」
そうして俺たちの祝勝会は大騒ぎで幕を閉じた。
EX)2人を見守る一同
「真実さんや、あれは俗に言う『いい雰囲気』というやつではありませんか?」
「ええかぐやさんや、まさにそのとおりでございますよ。」
「面白そうだしこのまま見てようか。」
「おやおや芦花さんや、あなたも悪童ですよの〜」
「なんや、向こうええ感じやん。このまま付き合うんちゃう?」
「眺めるのはいいが邪魔はするなよ。」
「わかってるって〜。」
「お、正面に向き合った。これは!」
「あれ?彩葉泣いてる。」
「あれは嬉し泣きと見たね。」
「あいつ、彩葉を泣かせよって...!」
「落ち着け、そういうのじゃないだろう。」
「帝ざっこ〜、こんなのもわかんないの?」
「おや?これはまさか...」
「「や、やった!」」
「さすが万羽っち!やればできる男!」
「これは世紀のシャッターチャンス!」
パシャ
「「「「「「あ」」」」」」
「やべっ、シャッター音切り忘れた。」
ー2040年某日ー
新型のボディーの電源を入れ、ヤチヨがそこに意識を映す。
「おはよ!」
「うーん。うわっ、重っ。」
「超久しぶりの肉体だからな。そりゃあ重く感じる。」
「うん、ちゃんと適合してるね。」
「早くパンケーキ食べたいなー。」
「味覚はもうちょいお待ちあれ。」
「もー、ヤッチョは一秒だって待てないのにー!」
「ははっ、それだけ元気なら大丈夫そうだな。」
「これで
神崎研究所、その一室で行われたアバターボディの実験。
所長の神崎彩葉と、副所長の神崎万羽、そしてかぐやの立ち会いの下、実験は見事に成功。
月見ヤチヨは現実でも動ける肉体を手に入れた。
その出来事を祝福するように、窓の外で小鳥が一斉に飛び立ち、
これが俺たちで掴んだ結末。輪廻を断ち切った、俺たち四人の
『親友のお隣さん』これにて完結です!
拙い文章や筋書きもあったとは思いますが、ここまで見てくださった皆様、本当にありがとうございます。初投稿作でこんなに見てもらえるのは嬉しい限りです。
『超かぐや姫!』パワーすげぇ…
さて、ここからは番外編として後日談や日常エピソード、あったかもしれないエンディングなどを書いていけたらと思いますので、気が向いたらぜひご覧ください。
改めて、ありがとうございました!