<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
京都弁分からなすぎて変換ツールに頼りっぱなしでした...
ー2031/5/3ー
現在、大型連休...所謂ゴールデンウィークの真っ只中だ。
世の中の人々はこの連休にさぞ胸を躍らせているだろう。
そんな連休を使い、俺たちが向う先、それは...
「ふぅ...緊張するな...」
「今から緊張してどうすんのよ...」
「かぐやは今ワクワクしてる!初めての新幹線!初めての京都!」
『ヤッチョもワクワクー!』
京都である。
かぐやを修学旅行に連れていけなかったというのもあるが、一番の目的は彩葉の母親...酒寄紅葉さんにご挨拶に伺うことだ。
やがて新幹線が到着し、予約した席に窓際からかぐや、彩葉、俺の順番で座る。
どうせ景色を見たいだろうということでかぐやの席は窓際にしておいた。
「うっひょ~!新幹線速ーい!」
「ちょっと、ほかの人もいるから静かにしなさい。」
「興奮するのは分かるけどな。」
「ちぇー...」
そこからあらかじめ購入しておいた駅弁を食べた後、昨日の夜からワクワクで全然眠れていなかったかぐやはすんなりと寝てしまった。
「ったく、着く前からこれじゃあ世話ないな...」
「本当だよ...」
俺たちはその寝顔を見ながら少し呆れる。
でも、楽しそうな表情で眠っているので、なんかどうでもよくなった。
「彩葉のお母さんに、全部話すんだよな。かぐやのことも、ヤチヨのことも、俺たちの夢のことも。」
「うん、覚悟は決めてきた。どんなに反対されても、私は押し通すつもりだから。」
「強くなったな、彩葉。俺はまだ不安だよ。『あんたが彩葉と付き合うのは認めへん!』とか言われたら...」
「心配しすぎだって。でも、もしそう言われたらその...駆け落ちとか...既成事実とか...///」
「一旦その思考を止めようか彩葉さん?」
なんか俺の彼女が危ない方向に舵を切っている気がする。でも思い切りのいい彩葉ならやりかねない。
早めにストップをかけておかねば。
「そ、そう?でも、私もできる限りお母さんのこと説得するから。」
「ありがとう。彩葉が居てくれるだけで心強いよ。」
そんな会話をして、俺たちは長い長い新幹線の旅を楽しむのだった。
「ついに到着か...」
現在時刻14時、俺たちは今まさに酒寄家の門をくぐろうとしていた。
「準備はいい?3人とも。」
「もちろん!」
『いつでもいいよー!』
「ああ。」
その言葉と共に彩葉はインターホンを鳴らす。
やがて目の前のドアが開き、一人の女性が出てくる。
「はい...お帰り、彩葉。それと、いらっしゃい。」
「お、お邪魔します...」
「お邪魔します!」
『お邪魔しまーす!』
俺は少し固まった声で、かぐやとヤチヨはいつも通りの元気な声で返事をする。
この状況でもいつも通りのかぐやとヤチヨがうらやましいと思いつつ、リビングに通され、椅子に座る。
「初めまして、かぐやです!」
『月見ヤチヨでーす!』
「神崎万羽です。えっと、これ、つまらないものですが...」
そう言って俺は手土産を渡す。
「あら、ご丁寧にどうも。話には聞いてたけどヤチヨちゃんは本当にデータの存在なんやね...それで、彩葉。早速やけど、話聞かせてもらおか?」
「うん、お母さん。」
そして彩葉は丁寧に語りだす。
かぐやが月から来た宇宙人であること。
ヤチヨがタイムスリップをして八千年を過ごしたかぐやであること。
ヤチヨとかぐやに人生を変えてもらったこと。
電子生命体のヤチヨのために現実の体を作ってあげたいこと。
そのために東大の工学部を目指すこと。
そして...俺と付き合っていること。俺と共にこの夢を叶えたいこと。
「...ちょっと待って?情報が多すぎるわ。一旦整理させてくれへん?」
「う、うん。ごめん。いっぺんに話してもうて...」
かぐやとヤチヨの話で脳がショートしているらしい。
それもそうだ、中身が濃厚すぎる。これが普通の反応だ。
しばしの静寂を挟み、紅葉さんは再び口を開く。
「...正直信じられへんことばかりやけど、本気やってことは伝わったわ。覚悟決めた人の目をしてる。」
「...!それじゃあ!」
「ええよ。やりたいことやったらええ。ただ、前に言うたけど、責任が付きまとうってことだけは忘れたらあかんよ。」
「うん、ありがとう、お母さん。」
どうやら認めてもらえたようだ。
「さて、あとは万羽君、君に話があるねん。彩葉、ちょっと二人にさせてくれへん?」
「ええよ。ほら、かぐや、行くよ。」
「はーい!かぐや、彩葉の部屋見たい!」
『ヤッチョも見たい!』
「はいはい...」
そして彩葉とかぐやとヤチヨがいなくなり、俺と紅葉さん二人だけになった。
「改めて...彩葉とお付き合いさせていただいてます、神崎万羽です。」
「自己紹介ありがとう。常識はちゃんとありそうでひとまず安心やわ。」
「きょ、恐縮です。」
プ、プレッシャーがすごい!
俺の母もこうだったら、なんて想像したくない。
私生活だけで押しつぶされてしまうだろう。
「私が聞きたいんはたった一つや。万羽君、君はうちの彩葉を、幸せにできるって誓えるか?」
娘に幸せになってほしい。
それは母親としての、純粋な願いだ。
紅葉さんは俺にその覚悟があるのかを問いたいのだろう。
「...すみません、それはお約束できません。」
俺は思ったままのことを口にする。
「ほう?」
「幸せかどうかは彩葉が決めることです。俺にその"幸せ"を定義することはできません。」
「なら、君にはその覚悟がないってことなんか?」
「いいえ、そうじゃありません。俺は彩葉と約束しました。彩葉の夢を叶える手伝いをするって。そのためなら俺は...」
命だってかけられる。そう言おうとして、踏みとどまった。
そうじゃないだろう。自分をないがしろにしてはハッピーエンドに辿り着けない。
「俺は、この人生だって捧げられます。彩葉の隣で、ずっと支えていく覚悟です!」
俺はそう宣言する。興奮しているからか、少し呼吸が荒くなる。
「...分かった。その覚悟、伝わったわ。ええ人見つけたみたいやな、彩葉は。」
「そ、それじゃあ...」
「私は万羽君のこと、認めるわ。付き合うのも、将来結婚するのも好きにしたらええ。」
「あ、ありがとうございます!」
どうやら認めてもらえたようだ。
安堵したからか、強張っていた体がほぐれていく。
「それでもう一個だけ質問なんやけど...」
「はい、なんですか?」
「どこまでしたことあるん?」
「っっ!?///えっと、それは...その...」
い、言いづらい!彩葉から誘ってきたとはいえ、いくところまでいったなんて言えない!
「ああ、ええよ。その反応でなんとなく分かるわ。」
「す、すみません///」
「ふふっ、お盛んなのは別に悪いことやないで。あ、気を付けるもんちゃんと気いつけや?」
「も、もちろんですっ!」
なんでもお見通しってことか。これが二児の母親の貫禄...
「もう遅いから今日は泊っていき。万羽君は朝日の部屋使ってええから。」
「あ、ありがとうございます...お世話になります。」
そう言って俺はお礼をしてから二階へと上がろうとして、踏みとどまる。
「そういえば、俺も紅葉さんに一つだけ言いたいことがあるんでした。」
「別にええよ。何でも言うてみ?」
「正直、彩葉からあなたの話を聞いたときの第一印象は最悪でした。でも、彩葉と電話しているときに聞こえてきた言葉から、そして今回話してみて、あなたが彩葉を大切にしているのはわかります。それでも...」
俺は母親の重圧に苦しめられていた彩葉の姿を思い出し、その言葉を吐き出す。
「言葉にしないと、伝わらないこともあります。」
「...!!そう...やね。その通りや。」
「では、失礼します。」
俺はそう言って二階に足を進めるのだった。
小説のお母さん語録見てるとまじで棘がえぐいんですけど、結局彩葉が心配だからこその大量の着信だったわけで...不器用なだけで根はいい人なんだろうなと思っています。
なので今回はちょっと紅葉さんをマイルドにしてみました。