<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
2030年11月の満月が10日らしいので日にちを明記しておきました。
つまりルナ登場回とかぐや復活配信の間がオタ公インタビューというわけです。
追記:11/11は調べてみたところゴリゴリの月曜日だったので土曜日の16日に修正しました
ー2030/11/16ー
ルナさんとのツクヨミツアーから数日後。
いつも通り起床した俺はリビングに降りてきたのだが...
「どういうことか、説明してくれるよね?万羽?」
「どういうこと、とはどういうことでしょうか...?」
彩葉がめっちゃキレてる。
何故か分からんがめっちゃキレてる。
ジョジョみたいに【ゴゴゴゴゴゴゴ...】という擬音が目に見えそうなくらいには。
「ないの?心当たり。」
(やばいやばいやばい!マジで彩葉を怒らせるようなことをした心当たりがない!思い出せ俺!
最近何をした!なにか彩葉の機嫌を損なうようなこと...)
しかしどれだけ逡巡しても、何一つ思い当たることはなかった。
「...申し訳ありません、彩葉様。私には何一つ心当たりがないんです...なのでなぜそんなに怒っているのか説明していただけないでしょうか...?」
「そっか。じゃあこれは何?」
そう言って彩葉が差し出したスマホの画面には目を疑う記事が書かれてあった。
【ライバーヨロズ、青髪の巫女さんと二人きり!?早くも浮気か!?】
「...はい?」
どこかの知らない記者が書いたのだろうか。
そんな見出しと共に、俺とルナさんが二人で映っている写真が載っていた。
基本的にこの前は3人でいたはずだが、俺とルナさんが右側の隅っこに映っているのを見るところ、恐らくかぐやが映らないように撮影したのだろう。
目撃者の情報という項目では、
『名前も聞いたことない知らない女とKASSENをしていた!』
『圧倒的なコンビネーションでボコボコにされた。あれは絶対に昔からやっている動きだ!』
『めちゃくちゃ仲よさそうに話していた!』
などと書かれていた。
(昨日の厄介ファンとゴシップ記者が結託したのか...)
「この記事について、何か弁明は?」
「待て、彩葉。これは誤解だ!これはゴシップ記事なんだって!」
「本当?」
「大マジだ!かぐやも証人になってくれる!」
そう言って俺はかぐやをたたき起こした後、彩葉にルナさんのことを全て話した。
「ほんっとーにゴメン!早とちりした!」
「いやいや、こんな記事書く方が悪いっしょ!かぐや許せないよ!」
『そうそう、交際発表から元々彩葉のファンの人たちの中で万羽のアンチが増えてるみたいだしねー...』
「まさか俺がマスゴ...ゴシップ記事に取り上げられるとはな...」
俺も有名になったな...良くも悪くも。
まさかこんな形で分からされるとは思わなかったが。
「とりあえず、こんな記事を書いた人には制裁を加えなきゃね?ヤチヨ?」
『うん♪一旦アカウント永久BANと、ありとあらゆる悪行を洗って暴露しちゃおうか...』
『「フフフ」』
「「ヒエッ」」
2人とも、笑ってるけど目が笑ってない。
「かぐや、絶対にあの2人を怒らせたらダメだ...」
「うん、万羽。かぐやもっと気を付けることにするよ...」
俺とかぐやはそのどす黒いオーラを目の当たりにしてそんな会話をするのだった。
「それにしても月人がツクヨミに興味を持つとはね...」
『分身から月人が来たって聞いたときはヤッチョも驚いたよー。』
「まあ月人にとってもいい兆しなんじゃないか?」
『でも文化改革の影響で月人がツクヨミになだれ込んできたらちょっと困るかな~。』
確かに、月人は満月であれば簡単にツクヨミに接続できてしまう。
ツクヨミの文化を取り込んだとはいえ地球人とは認識の齟齬が発生する可能性が高いし、もしかしたらルナさんとは違って正規の手順を踏まない者も出てくるかもしれない。
異文化交流の難易度の高さを思い知らされる。
「ツクヨミのサーバーを強化するとか?」
「でもそれだとヤチヨの負担が...」
そんな折、ピコンと俺のスマホから通知が鳴る。
「ツクヨミのフレンドメッセージ?誰だ...」
『お久しぶりです、万羽さん。ルナです。
といってもそちらではまだ数日しか経っていないと思いますが。
こちらは順調にツクヨミの文化を取り込んでいっているところです。
どうやらこちらからでもツクヨミを通してメッセージを送れるようなので試してみました。
今後とも姫様をよろしくお願いします。』
「...まじか。」
タイミング良すぎだろ...でもこれで連絡手段が手に入った。
「ヤチヨ、なんとかなりそうだ。」
『ひょえ?ってええ!?ツクヨミ通じてやり取りできるの!?』
そんなヤチヨも驚きの事実と共に、ヤチヨとルナさんによる協議がこの後何日にもわたって繰り広げられるのであった...
「彩葉、ちょっといいか?」
「ん?何?」
昼ご飯を食べ終わった後、リビングでくつろいでいる彩葉に話しかける。
「えっと、その...これから出かけないか?2人で。」
「うぇっ!?ど、どうしたの突然。」
「いや、ゴシップ記事とはいえ、彩葉を不安にさせちゃったから...嫌なら別にいいんだけど...」
「...行く///」
「ありがとう。じゃあ準備するか。」
そうして俺と彩葉は2人で出かけた。まあ世間一般的に言えばデートとも言う。
とはいえ即興で組んだプランなのでショッピングモールを回るとかだが...
最初に来たのはアクセサリー店。
正直ファッションにはあまり詳しくないが、まあ女子を連れてくるなら間違いはないだろう。
そう、俺の思考はあまりにも浅はかであった。
「どれも綺麗だな。俺が買うから、好きなの選んでいいぞ。」
「いいの?じゃあせっかくだから万羽が選んでよ。」
「俺が?ファッション方面は疎いぞ?」
「万羽が選んでくれたやつがいーの。ほら、選んで選んで。」
「うーん、彩葉は可愛いからどれも似合いそうなんだけど...」
「///」
「あら、もしかしてお悩みですか?」
アクセサリーとにらめっこしていると店員さんが話しかけてきた。
なにやら表情がウッキウキである。
「あ、はい。彼女にアクセサリーを買おうと思ってるんですけど、どれも似合いそうで悩むんですよね...」
「そうなんですね!でしたらこちらのコーナーはどうでしょう?」
「これって...ペアリングアクセサリーですか?」
「その通りです!カップルの中ではこの類のアクセサリーが大人気なんです!」
「な、なるほど...」
あまりにも鬼気迫る力説に思わずたじろいでしまう。
なんでこんなにテンション高いんだ?
てかカップルってバレてるし。
「えーと、この中から選ぶなら...ん?」
ショーケースを眺めていて目に入ったのは、狐を象ったペアネックレス。
片方は白、もう片方は橙色だ。
なんとなくだが、このアクセサリーから目が離せなかった。
「うん...店員さん、これにします。」
「お買い上げありがとうございます!きっと彼女さんも喜びますよ!」
「あはは、そうだといいのですが...」
そんな終始ウキウキの店員さんとやり取りしながら会計を済ませ、アクセサリー店を出た。
「なんかあの店員さんテンション高かったね。」
「なんでだろうな?カップルってバレたみたいだし。どうする?早速つけるか?」
「うん。あ、そうだ、万羽がつけて?」
「あ、ああ。別にいいけど...」
俺は袋からネックレスを取り出し、彩葉の首後ろに手を回し、ネックレスをつける。
「ど、どう?」
「とっても似合ってるよ。」
「あ、ありがと///じゃあ今度は私がつけるから、ちょっと屈んで?」
「お、おう。」
俺は言われた通りに少し屈み、彩葉に目線を合わせる。
先ほどと同様に彩葉は俺の首後ろに手を回す。
なんか変に緊張するなこれ。
「はい、終わり。万羽も似合ってる。」
「そ、そうか。ありがとう。そろそろ次の場所行くか。」
そうして俺たちは次の目的地へと向かう。
たどり着いたのは服屋。彩葉の好みの服を買ってあげようと思ったのだが...
「万羽、次はこれ着てみて!」
「はいはい...」
気付けば俺が着せ替え人形にされていた。
普段からファッションに無頓着な俺の色んな服装を見るのが楽しいらしい。
ストリートスタイルやらカジュアルスタイルやら色々着せられた。
(まあ彩葉が喜んでるなら、いっか。)
着せ替えられながら俺はそんな事を思うのであった。
やがて時刻は15時を回り、私たちは今話題のスイーツ店に足を運んでいた。
万羽はパフェを、私はクレープを注文し、今しがたスイーツたちが到着した。
「うん、うまい!」
「おいしい!来て正解だったね。」
私たちはそれぞれ頼んだスイーツを堪能していた。
「俺は今幸せをかみしめている...」
「そんなにおいしいの?」
「おう!食べてみるか?ほら。」
そう言って万羽はスプーンを私の方に差し出す。
「あ、えっと...」
これって、その...か、間接...
「どうした?食べないのか?」
「い、いただきますっ!」
私は腹を括り、スプーンに乗ったパフェを食べる。
「...お、おいしい。」
「だろ?」
うっ、これじゃあ私だけ恥ずかしいじゃん!
こうなったら...
「こっちもおいしいよ?食べてみる?」
「いいのか?それじゃあ遠慮な...く...」
万羽もようやく気づいたのか、顔が少し赤く染まっていく。
「ほ、ほら。あ~ん...」
「っ!?///い、いただきます...」
万羽も覚悟を決めたのか、私が差し出したクレープをひと齧り。
「う、美味い...」
「「...」」
き、気まずい...
2人して赤面しながら黙々とスイーツを食べ進めている。
(て、店員さんの視線が...)
さっきのを見られていたのか、一部の店員さんから熱い視線を向けられている。
「い、行こっか。」
「お、おう。」
スイーツを食べ終わり、私たちは逃げるように店を出るのだった。
俺たちは現在帰路についている。
夜も近く、夕焼けが世界を赤く染めていた。
「なあ彩葉。今日は楽しかったか?」
「うん、すっごく楽しかった。」
「そりゃあよかった。」
ご機嫌取りというわけじゃないが、上手くいったようだ。
「彩葉。確かに俺は、ルナさんは好きだ。かぐやもヤチヨも、諫山や綾紬、朝日さんたちだって。みんな俺の大切な人たちだ。」
「万羽...」
「でも、俺の中で一番大切なのは彩葉なんだ。それはこの先も変わることは絶対にない。」
「わ、私も、万羽のことが一番好きだから。だから...いなくなったりしないでよ?」
「当たり前だろ?約束したからな。」
俺たちは2人だけの時間を噛み締めるように、ゆっくりと歩いていくのだった。
万羽と彩葉のデート回でした。
女性経験?あるわけないだろ全部妄想だよ(泣)
ゴシップ記者と厄介ファンたちはヤチヨにこってり絞られました。