<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
週末が明け、月曜日を迎えた。
昨日はアルコール入りのチョコを食べて雑談配信が大変なことになっていたらしいが、まったく記憶がなかった。
彩葉曰く、
「アーカイブ見れば全部わかるよ...」
と言うので非公開になっているアーカイブを見てみたが、確かにあれはヤバかった。
何回も同じ話をしたり、あまつさえ止めようとした彩葉にもいろいろやったりと、見るに堪えなかった。
しかし時は残酷で、翌日にはいつも通りの学校が待っていた。
彩葉と一緒に登校し、無事学校に着いたのだが...
「なんか、いつもより騒がしくないか?」
「うん、なんか視線を感じる気がする...」
一体何かあったのだろうか?
そんなことを思っていると向こうから諭志がやってきたので話しかける。
「おはよう、諭志。なんかざわついてるけど何か知ってるか?」
「おはよう、万羽...君たち、付き合ってることは内緒なんだよね?」
「ああ、そうだけど...」
俺と彩葉が付き合ってるのは学校では内緒だ。
彩葉は『別に良くない?』と言っていたが、何が起こるか分からないので念のためだ。
「だったら、なんでペアネックレスなんてつけて登校してしまったんだい?別に校則でアクセサリーは禁止されていないけれども...」
「え?あっ...」
しまった。普通につけてきてしまった。
こんなのカップルですってアピールしているようなものじゃないか。
「酒寄さんと神崎君のネックレス、あれってペアアクセだよね!」
「うん!やっぱり付き合ってるのかな、あの二人!」
「神崎...この裏切り者め...」
女子は甲高い声で盛り上がり、男子からは嫉妬の視線を感じる。
なんだここは。地獄か?
「やっちゃったね、万羽...」
「完全に失念していた...」
「ふっ、万羽。君も僕の行動を見習い始めたということだね?彼女を自分のものだとアピールするその意思!実に見事だ。」
「一回黙ってくんねえかなぁ。」
こうなってしまっては何をどう言っても言い逃れできないだろう。
俺はその噂を否定する気力もなく、教室に向かうのであった...
「二人とも~、急に恋人アピールし始めるじゃ~ん。」
「やっぱり二人ともどこか大胆なところあるよね~。」
「うぅ...///」
「本当に忘れてただけなんだって...」
時間が過ぎ昼休み、現在進行形で綾紬と諌山にいじられている。
そして教室中から視線が集まっている。
彩葉と一緒に登校するようになってからちょくちょく疑いの目をかけられていたが、今回のやらかしでその疑いを確信に変えてしまった。
「まあ男避けになると思えばいっか...」
もう俺は諦めてポジティブに考えることにした。
彩葉は人気者だし、男子の中でも狙っている者は少なくない。
彩葉が俺と付き合ってると知れば告白とかしてくるような奴も減る...だろう。きっと。
「にしても俺はこれからこの視線の中生活しないといけないのか...」
「女子は物珍しさからだからどうせすぐに止むと思うよ?」
「まぁ男子の嫉妬はどうしようもないけどね~。」
「ふっ、あのような嫉妬にまみれた視線など気にする必要はないぞ。本当に大事なのは祝福してくれる者たちなのだから。」
「お前、たまにはいいこと言うな。」
「たまにはとはなんだ!僕の言う事は常にいいことばかりだろう!」
「はいはい、ソウデスネー。」
そんな会話をして昼休みも終わり、いたたまれない視線の中今日の学校生活を乗り切った。
今日は早めに退散しようと思ってささっと帰宅の準備をしていたのだが...
「ねえ酒寄さん、神崎君と付き合ってるって本当?」
女子数人が彩葉の方にやってきて、その中の一人がそんな質問を投げかける。
「う、うん、本当だよ。」
「やっぱり!どうして付き合ったの!?」
「そもそもいつから付き合ってたの!?」
「ちゃんと説明して!」
「え、えっと...」
さすが女子、ものすごい剣幕...
この関係の経緯を話すにはどうしてもかぐやの存在が必要不可欠だ。
さすがに話せる内容でもない。
どう助け舟を出そうか考えていると、男子がこちらにやってきた。
「神崎!どうやって酒寄さんと仲良くなったんだ!」
「お前いつからそんな親密に!」
「もともと仲が良さそうとは思っていたが...!」
「お、おう...」
こっちもこっちで有無を言わせぬ勢いだ。
早く帰りたいのに、こいつらと来たら物珍しさにあれよこれよと...
「だーもう!お互いに好きで付き合ってるんだからそれでいいだろ!」
「えっ...?」
「万羽!?///」
「だいたい女子も、彩葉が困ってるだろ。」
「ご、ごめん、神崎君...」
「ほら、行くぞ彩葉。」
「う、うん...///」
俺は赤面している彩葉の腕を引っ張って半ば強引に教室を出るのだった。
万羽君は彩葉の腕を引っ張ると駆け足気味で教室を出て行った。
「あんな酒寄さん見たことない!」
「恋する乙女って感じ!」
女子はその様子を見てまた盛り上がっている。
一方男子は彩葉と万羽君の距離感がカップルのそれであることと、彩葉の今までに見せたことのない表情に脳を破壊されている。
『あれには勝てない...』
そんな思考が脳内を埋め尽くしていることだろう。
万羽君、彩葉のためならどんな大胆な行動も取れるからな〜。
「愛だね~。」
「愛ですな~。」
「愛だな。」
残された私たちは3人そろってそんなことを呟くのであった。
「はぁ~、やってしまった...」
俺は帰り道のアスファルトの上を歩きながらそう言葉を吐き出す。
ちょっと血が登ったとはいえ大声であんな事言って...
「教室の奴らからまたイジられる。恥ずか死してしまう...」
「で、でも、あのときの万羽かっこよかったよ?」
「ホント...?」
「ホントホント!困ってる私を見てああ言ってくれたんでしょ?嬉しかったよ。」
「彩葉の役に立てたなら...なんでもいいか...」
もうなんかどうでもよくなったので、さっきのことを忘れ、彩葉と他愛もない話をしながら帰宅するのだった...
万羽と彩葉の恋人バレ回でした。
モブたちのセリフ考えるの割と大変でした。
学校でのアクセサリーは原作でも彩葉が腕輪つけてたし、芦花もピアス付けてたし、まあ大丈夫じゃね?と思っています。