<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
時はRANSENNのオープンテストプレイ開催より少し前に遡り、ツクヨミ内の屋外ミーティングルームにて...
「...というわけで、月人のルナさんです。」
「ルナです。以後お見知りおきを。」
「いやどういうわけやねん!?」
帝さんは思わずなのか、京都弁でツッコミをかます。
ほかの面々もまだ理解が追いつかないといった感じだ。
「なんか俺、こういう場を設けられるたびにツッコんでる気すんねんけど...」
「気のせいじゃないですか?」
まあ急に言われても簡単には理解できないだろう。
月人が地球の文化を知りたいからツクヨミにログインしてます、なんて。
そんな俺たちをよそにルナさんはなにか考え込んでいる。
「...」
「ん?どうしたの、ルナ。なにか悩んでる?」
「いえ、この場には姫様が2人おりますゆえ、どう呼んだものかと考えていたのです。」
確かに、かぐやはヤチヨで、ヤチヨはかぐやだ。
ルナさんにとってはどちらも『姫様』と呼ぶべき人物なのだろう。
「じゃあさじゃあさ、かぐやのこと、『姫様』じゃなくて、『かぐや』って、名前で呼んでよ!」
「...よろしいのですか?」
「いいのっ!かぐやはそっちのほうが嬉しい!」
「ヤッチョのことも、ヤチヨって呼んでくれていいよ?このままどっちも『姫様』じゃ不便でしょ?」
「かしこまりました。では、かぐや様、ヤチヨ様、よろしくお願いします。」
あっちはなんか解決したみたいだ。
さて、問題は帝さんたちの方なんだけど...
「とりあえず、目的はツクヨミの文化を知ることで、侵略やかぐやちゃんが目的じゃないってことでいいのか?」
「えっと、まあそんな感じです。」
「ていうかこの前の記事に載ってた巫女さんって月人だったんだね~。美人さんだ~。」
「ねー。写真見た時にも思ったけどめっちゃ顔整ってるよね。月人ってみんなこうなの?」
「いえ、それは擬態次第だと思いますが...」
「文化を知りたいなら俺たちにも頼るといい。できる限り手助けしよう。」
「俺は文化とか詳しくないからパス~。でもそのビジュの秘訣とかは教えてほしいかな~。」
どうなるかちょっと不安だったが、各々順応しているようでよかった。
「にしても月人を案内してる時にゴシップ記者に狙われるとは、ツイてないな、万羽。」
「ホント、その通りですよ...」
「でも帝、あの記事見た時本気の殺意放ってたよ?」
「ばっ...!言うな乃依!」
「ああ、あの時のリーダーのオーラはすさまじいものだった。ヤチヨがすぐにゴシップを暴かなければ万羽のことを殴り込みに行っていたかもしれない。」
「すみません、あんな記事見たらそうなりますよね。俺があんな写真撮られたばっかりに...」
「いや、万羽が反省する所じゃないでしょ...」
「ま、まあすでに終わったことだ!別に謝る必要もねえよ。本当に浮気なんてしようものなら覚悟してもらうがな...」
「ヒエッ」
浮気するつもりなんて毛頭ないが、したら本気で殺されるな、これは...
「ルナは満月じゃなくても自由に来れるようにしておいたから、いつでも来ていいからね~♪」
「便宜を図っていただき、ありがとうございます、ヤチヨ様。」
そしてこの間のヤチヨとルナさんの話し合いの結果、ルナさんがツクヨミに来るにあたって3つの条件が設けられた。
1.ルナさんは満月以外の日でも自由にツクヨミに出入りできる
2.他の月人はアクセスを禁止する
3.ツクヨミのシステムは自由に流用していい
他の月人のアクセスについてはヤチヨのサーバー強化とルナさんのアクセスルート規制によって厳重にロックするとのことだ。
月での文化発展に伴って月人がツクヨミになだれ込んでくるのを見越した規制であり、まあ妥当な判断だろう。
「そう言えば雷、お前RANSENNのペア決まってなかったよな?せっかくだしルナと組んでみたらいいんじゃねえか?」
突然帝さんはそんな提案をする。
「...本気か?リーダー。」
「本気も本気だ。ルナはKASSENでもちゃんと動けるんだろ、万羽。」
「はい、少なくとも普通のプレイヤー以上には動けますよ。俺が保証します。」
「だったら話が早い。文化を知るためにいろんなものに触れたいルナ。RANSENNのテストプレイに出るためにペアを探してる雷。ちょうどいいじゃねえか。」
「私は構いませんが、よろしいのですか?」
「うむ、確かにリーダーの言うとおりだ。俺も異論はない。」
「なら決まりだな。」
「ありがとうございます。みなさんも、これからよろしくお願いします。」
こうしてルナさんと雷さんがペアを組むことが決まり、ルナさんの紹介も終わったところでこの場は解散となった。
ピピピ...
俺は携帯のアラームで目を覚ます。
現在俺...駒沢雷はとある旅館に来ている。
昨日の夜のルナの紹介も、この旅館でツクヨミにログインして聞いていた。
「おはようございます、雷さん。」
「ああ、おはよ...ん?」
思わず返事をしそうになったが、何かおかしい。
俺が取った部屋は一人部屋のはずだ。
そう、誰かの声が聞こえるなどおかしい。
「すみません、雷さん。こちらです。」
俺はその声の方向に振り向く。
そしてその先には俺のスマホがあり、画面には昨日紹介された月人...ルナが映っていた。
「...なぜ俺のスマホに映っているんだ?」
「そこは月のテクノロジーで...雷さんは現在旅行中と帝さんから聞きまして、親交を深めるのも兼ねて、旅行を観察することで知見を深められたらと思ったのです。ですのでよろしければ同行させていただきたいのです。」
...なるほど。理にはかなっている。
「ご迷惑でしたらお断りしていただいて構いませんが...」
「いや、一向に構わない。話し相手がいたほうが楽しくなるしな。せっかくだから一緒に楽しもう。」
「...!ありがとうございます。」
こうしてスマホ越しの月人との奇妙な二人旅が始まった。
(今度、首から下げるスマホ入れを買っておくか...)
ルナさんご挨拶回でした。
月人周りの設定が難しいのでその辺りはご容赦ください、この作品はノリと勢いでできているのです...