<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
ー2031/9月ー
高校3年生の夏休みも終わりに差し掛かり、2学期が始まろうとしているこの時期。
夏休み明けの高校には一大イベントが待ち受けている。
「諌山、飾り付けこんなもんでいいか?」
「うん、バッチリだよ、万羽っち!」
そう、文化祭だ。
現在はクラスの出し物の準備の真っ最中。
俺は看板などの飾りつけをしている。
「真実~、着替え終わったよ~。」
「うう...やっぱり今からでも調理に...」
「何言ってんの。彩葉が主戦力なんだから、接客側で出てもらわなきゃ。」
そう言って出てきた綾紬と彩葉は着物をその身にまとっている。
うちのクラスの出し物は和装メイドカフェ。
まあコンセプトカフェに近いものだ。
「二人とも似合ってるよ~。ね、万羽っち?」
「ああ。よく似合ってる。」
「う、うん///」
「彩葉顔真っ赤だよ~?この前の京都でも着物着てたじゃん。」
「ひ、人に見せるために着るのは話が違うの!」
「こういうのは恥ずかしがる方が恥ずかしいんだよ~?」
「と、とりあえず試着終わったしもう着替えるからっ///」
彩葉はそう言うと逃げるようにカーテンで仕切られた更衣室へと戻っていく。
「ありゃ、戻っちゃった。」
「本当に似合ってたのにな...」
「まあ当日に嫌でも着ることになるんだし、慣れてもらうだけだけどね~。そういえば万羽っち、あの件は順調?」
「ああ、あれか。まあ順調といえば順調だけど...本当にやるのか?」
「うん、きっと売り上げ1位間違いなしだよ~?」
そんな会話と共に準備を再開し、やがて文化祭当日を迎えるのだった...
文化祭1日目、今日は校内生徒と職員のみでの開催だ。
すでに大賑わいの校内だが、明日にはもっと活気に満ち溢れていることだろう。
女子の着物接客が受けられるということで、うちのクラスは大盛況。
もちろん一番人気は彩葉だ。
「お、おかえりなさいませ。ご主人様...」
恥じらいながらも着物姿で接客をこなす彩葉は男女問わず大人気。
綾紬や諌山も負けてはいないが、彩葉の接客は多くの人を呼び込んでいる。
だがしかし、この出し物の目玉は別にある。
「挑戦券入りましたー!こちらの列にお並びくださーい!」
【メイドとの写真撮影挑戦券】
他メニューとの抱き合わせでしか注文できない上800円と少々値段は張るが、十分にその価値があると判断されたのか、大人数...主に男子が次々に並んでいく。
まあ大半は彩葉狙いだろう。
提案者は諌山。RANSENN本実装に伴って追加実装された別モード、RANSENN-SOLO-でカーテンの向こう側にいる店側のプレイヤーをキルすることが出来れば好きなメイドと写真を撮ることが出来る。
RANSENN-SOLO-は本来よりも小さいマップで10人のソロプレイヤーがバトルロワイヤルをするモードだ。
チームを組めない人でもRANSENNを楽しめるようにと実装されたモードであり、こちらもかなりの人気を博している。
普段とは違い校内でもスマコンの使用が可能であるためできる芸当だ。
そしてその門番を務めるのが...
「いっぱい並んでるね~。さあ万羽っち、じゃんじゃん捌いちゃって!」
「そんな魚捌くみたいに...」
俺である。このためにわざわざ『ミリオネ』という名の別アカウントを用意させられた。
ヨロズであることは学校では内緒なため、やむを得ない措置ではあるのだが。
武器もいつも握っている銃剣『
新しく手触りのいい武器を作るのにはまあまあ時間がかかった。
刀身に七色の輝きを灯すその武器の名前は『
名前が露骨すぎるって?いいだろ別に、彩葉の門番(違います)としての武器の名前にふさわしいと思わんかね。
コホン、話を戻して...勝利条件は1位をとることではなく俺をキルすることなので、大体の奴らは結託して多対一で襲い掛ってくるか、我先にと俺をキルするために他の奴らに攻撃を仕掛ける。
一応スキルや追加武装なしの日本刀一本という縛り付きではあるが、今のところ負けなしだ。
「くそっ!負けたー!」
「こいつ強すぎるだろ!」
「いつもRANSENN-SOLO-をしている俺が負けるなんて...!」
「う、嘘だぁっ!」
「酒寄さんとのツーショットチャンスが...」
「星野ガードをくぐり抜けて諌山さんと写真を撮れると思ったのに...!」
敗北者たちの悲鳴が教室に響き渡る。かれこれ45人は捌いただろうか。
まあどこの馬の骨とも知らん奴に彩葉との写真なんて撮らせる気など毛頭ない。
今の俺なら負ける気がしない。
それに諭志にも脅されてるしな...
・・・
「いいかい、すべては君にかかってるんだ。もし万羽が負けて真実が誰かと写真を撮るなんてことになろうものなら、分かってるよね...?」
「お、おう。凄い気迫だな...」
「だったら酒寄さんが誰かとツーショットを撮ってもいいと言うのかい?」
「いいわけねえだろ全員捻りつぶしてやるわ。」
「ふっ、話が早くて助かるよ。」
「「YEAAAH!ピシガシグッグッ」」*1
俺たちは某奇妙な冒険のように腕同士をぶつけ合った。
・・・
この挑戦券は指定時間出現制であり、このシフトの残りも30分となった。
「ふう、もうそろそろ時間だな。」
「うーん、列が途絶えてきたね~...そうだ!」
諌山は何か思いついたようで、次の瞬間声を張る。
「ここで追加情報!残り30分で最初にミリオネを倒せた人にはなんと!
「なっ!諌山!?」
その瞬間、男たちの目つきが変わる。
まるで餌に喰いつく猛獣のごとく、次から次へと長蛇の列が形成されていく。
「これも売り上げのためだよ。ほらほら、彩葉を守りたいならビシバシやっちゃって~!」
「く、くそっ!こうなったらやってやらあ!」
俺はほぼやけくそになりつつも挑戦者たちを斬り伏せていくのであった。
「あ˝あ˝ー、疲れた...」
「お疲れ様、万羽。」
無事シフトを終えた俺たちは2人で校内を回っていた。
次のシフトまでの安らぎの時間である。
「あっ、あれ面白そう。」
「ん?どれどれ...っ!?」
俺は思わず硬直する。その視界に映ったのはそう、お化け屋敷だ。
「どうしたの?もしかして、お化け屋敷苦t「そ、そんなわけないだろ」」
「...」
瞬間、彩葉の目つきが変わる。
こ、これはまずいかもしれない。
「じゃあ、行こっか?」
「えっと...」
「行こっか?」
「ハイ...」
安らぎの時間を得られると思っていた時期が俺にもありました。
無慈悲にもお化け屋敷に連行された俺は、その教室の中で情けない悲鳴を鳴らすこととなった。
「ゼェゼェ...酷い目に遭った...」
「まさかあそこまでビビるなんて思わなかった...万羽ってお化けとか駄目なんだね。」
「ホラー系はマジで無理なんだよ...お化けが駄目なんて情けないところ、彩葉には知られたくなかった...」
「私は新しい一面が見れてよかったなーって思ったけど。ほら、次行こ。」
そう言って彩葉は俺の手を引く。
俺たちは次のシフトまでの間、文化祭を満喫するのだった...
ミリオネは百万の英訳のミリオンをもじっただけです。
さりげなく銃剣に名前を付けてみたり...武器の名前ってロマンがありますからね。