<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~ 作:白豆男爵
ヤチヨと叶の真実が判明してから翌日、ツクヨミのミーティングルームにて、叶の招集のもと、私、かぐや、ヤチヨが集まっていた。
「それでは第一回、ツクヨミ女子会を開催しまーす!」
「「イェーイ!」」
「何これ?」
ノリノリの三人に対し、私だけ置いていかれている。
そもそも、女子会というなら芦花と真実も呼ぶべきではないのだろうか?
「芦花と真実も呼ぶべきではないかと思ったそこの彩葉さん!」
「思考読むなっ!?怖っ!?」
「この女子会はこの面子でなければならないのです。なぜなら...今日の議題はこれだからね!」
そう言って叶がウィンドウを操作すると、空中に無駄に凝ったポップと共にその文字が表示される。
【万羽のどんなところが好き?】
「ブッ!?」
「おお〜、叶攻めるねぇ〜」
「やっぱ女子会といえば恋バナでしょ〜!というわけで、早速話したい人!」
「はいはい!かぐやが一番!」
驚いている私をよそに女子会がどんどん進行していく。
待って、これいずれ私の番が来て滅茶苦茶恥ずかしくなるパターンじゃない?
「はい、かぐやちゃんどうぞ!」
「かぐやがゲームばっかしてても怒らないし、わがままいっぱい聞いてくれる!」
「そこ?」
「あとね!」
そこで、かぐやは満面の笑みを浮かべた。
「家族になってくれた!」
「...!」
「いつもかぐやたちのことを真っ先に考えて行動してくれて、それで、愛されてるんだな〜って感じられるから」
思ったよりも真面目なかぐやの回答に少し固まってしまった。
かぐや、そんなふうに思ってたんだ。
「じゃあ次はヤッチョの番!」
「おお、言っちゃえ言っちゃえ〜!」
「8000年の旅の中はさ、出会いとか、別れとか、楽しかったものと同時に、辛いこともたくさんあったんだ」
「ヤチヨ...」
「でも、彩葉と万羽を思い浮かべたら、自然と生きる力が湧いてきた。ただ会いたいって、そのために生きるんだって思えたんだ」
ヤチヨはそう言ってから一拍を置いて...
「万羽はそのうちの一人だから。だから私も万羽が好き」
そっか、ヤチヨは...かぐやは8000年間ずっと、私たちに会うために生きてきたんだもんね...
その空気にしんみりとしていると、叶は私に狙いを定めてきた。
「じゃあ次彩葉ね」
「嫌だよ!?」
「残念ながら、この女子会で拒否権はないのです!」
「理不尽!?」
「ほら彩葉〜」
「観念しなよ〜」
かぐやとヤチヨまでも叶に賛同している。
もう私に逃げ場などなかった。
私はその流れに勝てず、口を開く。
「万羽は私の恩人で、どんな時も隣にいてくれた。頑張ってるときは褒めてくれて、バイトばっかりのときは心配してくれて...」
過労で倒れたところを介抱してもらってから、ずっと隣にいてくれた。
「だから、万羽のことは...」
お隣さんだからってのもあるけど、それ以上に...私も、彼の隣にいたいと思ったから。
「...信頼してる///」
「ヘタレ」
「彩葉のヘタレ〜」
「そこまで言ったなら言っちゃえばいいのに」
「う、うるさいわね!///」
あーもう!自分で言っててなんだけど、恥ずかしいったらありゃしない。
「そ、そういう叶は?」
「私?私はね」
叶は少し真面目な顔になって話し始める。
「昔は自分が消えればいいって、勝手に思ってた。そうすれば、救われない私を救おうとしている万羽は自由になれるって。私という枷を背負わなくてもよくなるって」
叶の言葉に、その場が沈黙する。
「でも、違った。ヤチヨに助けられてから気付いたんだ。私、万羽にもずっと救われてたんだって。じゃなかったら、もっと早くにこの世を去ってしまっていたと思うから」
「叶...」
そういった後、叶は笑った。
「だからね、私も彩葉と同じ。万羽はずっと隣にいた存在だった。ずっと私を支えてくれた万羽が、私は大好き」
「よよよ〜!彩葉も叶も、二人とも良い子すぎて涙が出てきてしまうのです〜!」
「叶〜!かぐやもずっとそばにい゙る゙がら゙ね゙〜!」
ヤチヨとかぐやはそう言って叶に泣きながら抱きついた。
そっか、ここにいるみんな、万羽に救われてるんだな...
「まあつまり、ここにいる全員が万羽のことが好きなわけじゃん?」
「?そうだね」
「でも、私たちで万羽を取り合うのは万羽自身も望んでないと思うわけよ」
「ほうほう?」
「そこで天っ才叶ちゃんは閃いたのです!私たち全員が彼女でよくない?って」
「ん゙ん゙?」
「だって万羽は一人しかいないし」
「それはそうだけども...」
「じゃあみんなで共有すれば解決じゃん!」
「物みたいに言うな!」
なんだろう、日本の恋愛観においてとんでもないことを口にしている気がする。
そんな中、ヤチヨがふと呟いた。
「...でもさ、恋愛とか、彼氏彼女とか、家族とか、形なんて何でも良いんじゃないかな?大事なのは、大切な人と一緒にいることでしょ?少なくとも私は、みんなで一緒に居たいなって、そう思う」
「ヤチヨ...」
「かぐやも!みんなで家族がいい!」
「そう...だね」
私は何を弱気になっていたのだろう。
世間の目とか、日本の恋愛観とか、そんなもの関係ないじゃないか。
だって私たちみんな、万羽のことが好きなのだから。
「私も、それがいいと思う」
「じゃあ、決まり!私たちみんなで万羽と家族になって、めでたししちゃお〜!」
「「オー!」」
「オ、オー...」
そして結論が出たところで、女子会はお開きとなった。
その後、女子会で出た結論を万羽に伝えたところ、頭を抱えていた。
私たち全員と家族になることに対して...よりも、私や叶、万羽自身の両親にどう説明したものかと。
まるで、私たちの案を受け入れる前提のような悩みっぷりに、要らぬ心配をしていた事を知った私たちは思わずみんなで吹き出してしまった。
それから私たちは、もと光る竹の修復のために動き出した。
私、叶、万羽の三人は東京大学の工学部を進路に据え、修復のプランを計画。
叶曰く、擬態するためのプログラムが故障しているらしく、破損したコードを修復さえできればヤチヨは元通り現実の肉体を得られるという。
私たちはお互いに勉強を教え合ったりして無事に東大に合格し、本格的に修復計画を進めることになった。
一方で、かぐやはライバーとして復帰。
超新星ライバーの復活は再び注目を集めることとなった。
一応資金集め目的もあったが、それ以上に、かぐやがもう一度やりたいと言ったので、やらせてあげることにした。
もと光る竹の修復は困難を極め、その過程で何度も何度も実験と失敗を繰り返した。
「どうだ?」
「ダメだ...またコードが破損してる。やり直し...」
「っっ...!」
挫折しそうな時もあった。
でも、私たちはめげずにトライアンドエラーを繰り返した。
そんな私たちを見かねてか、ヤチヨが弱音を吐くこともあった。
「もう、大丈夫だよ...みんなに会えただけで、私は十分幸せだから...」
「ヤチヨ」
その言葉を聞いて、叶は真剣な声音で告げた。
「確かにこの道は険しい道かもしれない。でも、それでも私たちはやりたいから、ヤチヨを救いたいから、自分たちでこの道を選んだの」
「叶...」
「ヤチヨは私の命を救ってくれた。打算とかじゃなくて、善意で。だから今度は、私がヤチヨを救う番なの」
「そうだよヤチヨ、勝手に一人で諦めるなんて言わないで」
「ああ、俺たちは家族、だろ?」
「彩葉、万羽...」
「ここまで言われといてまだ諦めろなんて言えないっしょ〜?ヤチヨ」
「かぐや...うん、うん...そうだね...!」
そこからさらに研究を続け、かぐやとヤチヨの月人としての知恵もお借りして、8年後、ついにその時が来た。
「それじゃあ行くよ。準備はいい?」
「ああ、もちろん」
「いつでもいいよ」
その返事を聞き、叶がキーボードのエンターキーを押すと、コードを読み込み、もと光る竹が光り始める。
そしてその中から体が形成されていき、その体は月見ヤチヨの肉体そのものとなった...のだが、
「!?」
「わーっ!?服、服!」
「万羽!あっち向いてて!」
「も、もう向いてる...!」
せっかく成功したのに、スッポンポンのヤチヨに私たちはパニックになる。
「ヤッチョは万羽になら見られてもいいのに...」
「「そういう問題じゃないからっ!」」
やがて服を着せ終わり、私たちは再びヤチヨに向き合う。
本当に、そこにヤチヨの肉体がある。
その事実に思わず涙が出そうだった。
「遂に...成功だね!」
「うん...!」
「ヤチヨーー!!」
「わっ!?ちょっ、もう、叶ったら...」
「かぐやもー!」
感極まってか、叶に続いてかぐやがヤチヨに抱き着く。
「あったかい...感じるよ、みんなのあたたかさを...頬に当たる風も、匂いも...私、本当に...!」
「うん、よかったね、ヤチヨ...!」
8000年間感じられなかった五感を、その身で感じられることにヤチヨは感動していた。
私と万羽も、その様子を見て静かに後ろから抱きしめた。
遂に、遂に、私たちのハッピーエンドに辿り着いたのだ。
と、いうわけでどうだったかな?
この天っ才叶ちゃんが思い描いた未来はこんな感じかな〜。
この後すぐに万羽の取り合いになって喧嘩しちゃったりして...
ま、私の想像でのお話なんだけど。
これが私の思い描く完全無欠のハッピーエンド〜!ってやつなのかな?
もちろん、私がいないほうも十分ハッピーエンドだと思うよ?
神崎夫婦はまさに純愛だよね~。
それでね...え、もう時間?もう少しいいじゃん!ホントに後ちょっとだから!へへっ、ありがとね〜...彩葉に似てチョロいね〜、作者くんは。
まあともかく、こんな形の物語もあったかもしれないねってこと!
タイトル?そうだな〜、タイトルは〜!
万羽のハーレム、万羽ーレム(????)の完成です。
ハーレムルート書こうとしたら叶がこちらに顔出してきたのでこうなりました。
なので私ではなく叶が悪いです。
叶「ちょっと!?」
まあとにかく、if√編、これにて完結です。
追記:最後のタイトルコールを修正しました。