<本編完結>親友のお隣さん~万の羽が彩るハッピーエンド~   作:白豆男爵

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で、でけた…


かぐやの誕生日

ー2040/7/12ー

 

無事ヤチヨのアバターボディは完成したわけだが、もちろんそれで研究がすべて終わったわけではない。

研究所として他にも研究しているものはたくさんあるし、ヤチヨのボディだって調整しなくちゃならない。

つまりやることが山積みなのだ。休んでいる暇などない。

そう思い彩葉と共にいつものように出勤したのも束の間…

 

「何でかぐやちゃんの誕生日なのに出勤してんだバカ夫婦(クソボケ共)!」

「記念日くらい有給とれって何度も言ってますよねバカ夫婦(クソボケ共)!」

「何日有給残ってると思ってんですかさっさと帰ってかぐやちゃんの誕生日祝えバカ夫婦(クソボケ共)!」

「「ええ…?」」

 

着いた瞬間これである。

研究所を立ち上げて早数年、スタッフが増えてからというもの、何かしらの記念日の時はいつもこんな調子だ。

 

「てかクソボケって何だクソボケって。新手の悪口か?」

「だって事実クソボケですし。副所長は特に」

「それは同感」

「彩葉さん?」

 

思わぬところから援護射撃が飛んできた。

もしかして俺、いつも裏でクソボケって言われてる?

まあそれはいいとして…

 

「朝かぐやの誕生日を祝って、昼は仕事して、帰りにケーキ買って、夜もう一回祝う。完璧じゃないか」

「どこがですか。もっとリソースを割くべき所があるでしょ」

「もしかして、午前休を取って朝にもっと時間を使うべきだった?」

「多分論点が違うと思います、所長」

「そもそも仕事に来るなって言ってるんですよ」

「一日くらい所長たちがいなくても回せますからさっさと帰ってください」

「辛辣だなぁ…」

 

ここまではっきり言われるとちょっと傷つくな…

だがまあ、こうなっては帰らないと話が進まなそうだ。

 

「ケーキ買って帰るか、彩葉…」

「うん、そうしよっか…」

 

スタッフたちの圧に押され、俺たちはケーキを買って帰るのでありました…

 


 

「あれ、万羽に彩葉。お仕事は?」

 

少し予定が狂ったが、ケーキを買って彩葉と共に帰宅した。

出迎えたのはかぐや…ではなくボディを得たヤチヨである。

かぐやは現在誕生日記念配信の最中だ。

 

「実はスタッフたちに追い返されちゃて…」

「だから有給取ったら?って言ったのに…去年のみんなの熱演聞いてたでしょ?」

「いや、だから今日は仕事を早めに切り上げようと…」

「はいはい、それよりもせっかく早く帰ってきたんだから。かぐやのこと驚かしちゃお?」

「「…?」」

 

そんなヤチヨの小悪魔的な笑みに、俺と彩葉は顔を見合わせた。

 


 

「じゃあ今日の配信は終わり!来てくれてありがと~!」

 

そう言って私は配信を終える。

今日は私の誕生日…というより、初めて地球に来た日。

朝仕事に行く前に万羽と彩葉が祝ってくれたけど、やっぱりそれだけじゃ足りなくて、いっぱい祝ってほしいと思ってしまう。

でも、仕事の邪魔をするわけにはいかないし、夜には帰ってきてちゃんとお祝いするって約束してくれたから、我慢我慢。

 

「配信も終わったし、ヤチヨと時間でも潰すかー…」

 

私がそう呟きながら部屋を出てリビングに向かった直後…

 

──パンパン!

 

「「「誕生日おめでとう!」」」

「…へっ?」

 

盛大なクラッカーの音とともに、聞き覚えのある声が私を迎え入れる。

見れば、ろうそくの灯ったケーキと共に、ヤチヨ…そして万羽と彩葉がクラッカーを構えていた。

 

「……え?え?何で!?仕事じゃなかったの!?」

「いやー、職場に入ったんだけど帰れって怒られちゃって…」

「ヤチヨの提案でせっかくならサプライズでもしようと思ってな」

 

私は聞きながらずっと口をあんぐり開けていた。

すっごく嬉しいけど、それ以上に予想だにしていなかったから、未だに驚きが勝ってしまっている。

 

「ほら、いつまでも驚いてないで、ケーキ食べよ」

「あ、う、うん!」

 


 

4人全員で席に着き、おなじみのバースデーソングを歌った後、かぐやがケーキに突き刺さったろうそくの火を吹き消す。

 

「にしても、かぐやが来てから10年か…随分と経ったな」

 

最初は電柱から赤ん坊が…って大騒ぎしてたっけな。

 

「本当にね。それに…」

 

そう言いながら彩葉はヤチヨの方を一瞥する。

 

「これからの記念日は、ヤチヨも一緒に現実で祝える」

「…ああ。そうだな」

 

こうしてみると、なんだか感慨深いものを感じるな。

そう思っていると、かぐやが目を輝かせる。

 

「そうだ、プレゼントは!?」

「ああ、もちろんあるぞ」

「どうせ待ちきれないんでしょ?欲深怪獣かぐやめ」

「えへへっ、それほどでも~…」

 

そんな照れるかぐやをよそに、俺たちは部屋からプレゼントを持ってくる。

かぐやが包装されたプレゼントを開けると、その中には綺麗なネックレスが入っていた。

 

「うわー!綺麗!」

「芦花と真実とも一緒に選んだの。どう?」

「めーっちゃ嬉しい!ありがとう!」

 

ネックレスを眺めながら喜びの表情を見せるかぐや。

どうやら気に入ってくれたようで何よりだ。

 

「あ、かぐや、もう一つ欲しいものあるな~?」

 

にしし、と文字に起こせそうな笑いを浮かべたかぐやは次の瞬間、俺と彩葉に向かって突撃し、抱きしめる。

 

「おわっ!?」

「ちょっ!」

「これからも、ずーっと一緒にいること!」

「…もちろん」

「当たり前でしょ」

 

そんなかぐやのお願いに、俺たちは迷うことなく肯定する。

だって俺たちは、家族なのだから。

 

「かぐやだけずるいー!ヤッチョも混ざるのです~!」

「待て、YC型ボディがのしかかるのはヤバ…ぎゃーっ!?」

 

…今日も神崎家は騒がしい。




唐突ですが、本シリーズの更新はこの話を持って停止しようと思います。
理由は単純にネタ切れと他作品の執筆です。キリもいいですしね。
もしかしたら誰かの誕生日記念とかでにょきっと生えてくるかもしれませんが…

拙作であるこの作品を見てくださった皆様、ありがとうございました!
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