青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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途中まで、前々話&前話の「読者の原作知識を物凄く要求する仕様」と似た感じになっています。しかも長い(そこだけで1万字越え)です。
今回もページ内検索用に「エンディング」の文字列を仕込んでありますが、後書きに超簡単なまとめを3行で用意しました。


A’s編45話 未来と今の物語

「もう一度話を戻すけれど、並行世界、といったかしら。そこからの影響が強いというのは、そんなに問題なのかしら?

 状況や得た知識を考えると、既にこの未来にはなり得ない事はほぼ確実なのだけれど」

 

 リンディ・ハラオウンの疑問は尤も。

 確かに、普通ならそれほど問題は無い、はずだけど。

 

「大きく離れてなお、強い影響を受けているようなんだ。以前の状況は知らないから、弱まっている可能性は否定出来ないんだが……それでも、今のままだと“原作”相当の流れに無理に引き戻される可能性がある。

 もちろん、内容に何の問題も無ければいいんだが……」

 

『小さい頃のあたしは……』

 

 というわけで始める3期目、StrikerS。強力な治癒魔法で疲れを誤魔化してるから、このまま最後まで突っ走る。

 年号や場所まで明記されてるし、未来だというのは理解出来るはず。

 

「これってなのはよね?

 えーと、10年後なんだから……その年で魔法少女って無理がない?」

 

「し、知らないよーー!」

 

「空港壊してエース・オブ・エースって、魔法少女のわりに随分と物騒に出世しちゃってるし。

 とりあえず砲撃撃って済ませる、ってのはダメなんじゃないの?」

 

「にゃーーー!?」

 

 早速、高町なのはがアリサ・バニングスに遊ばれ始めたり。

 

「スバル? それに、あのデバイスは、まさか……って、ナカジマ? ほ、ほんとにクイントさんの……?」

 

 早速知ってる名前が出てきて、マリエル・アテンザが動揺したり。

 

「リインフォース? ちっこいリインフォースなんか!?」

 

「落ち着けはやて、あれはリインフォースを模して造られた融合騎、生い立ちや由来はともかく、技術的にはアギトに近い存在だ」

 

「そうなんか……生まれ変わるゆーとったけど、ほんまに生まれ変わるわけやないんやね?」

 

「ある意味では生まれ変わりではあるがな。

 技術的に可能かどうかはともかく、本当に夜天の魔道書を復活させるのは問題も大きいはずだ。建前としては後継あたりが限度だろう」

 

「そっか……リインフォース、アルフさんみたいに、ちっこくなる気は無いか?」

 

「わ、我が主……幻影で誤魔化す事は可能ですが、その、あまりそのような……し、しかし主が望むのであれば……」

 

「そんな思いつめんでええよ。冗談や冗談……って、私が立っとる!!」

 

 大騒ぎする八神はやての言葉を真に受けるリインフォースがいたり。

 

「エヴァさん、フェイトさんの名前のTは、やっぱり?」

 

「そうだな、テスタロッサだ。

 養子になっても、その名は捨てられなかったようだぞ」

 

「ああ、フェイト……」

 

「……また、こうなるのか」

 

 リンディ・ハラオウンがフェイト・T・ハラオウンという名前に反応するも、プレシア・テスタロッサは壊れたままだったり。

 

「リインフォースちっさ!

 アギトちゃんの同系ってのは、ほんまなんやね」

 

「わ、我が主、その……」

 

「気にせんでええって。リインフォースはリインフォースでいてくれれば充分や」

 

 未だにリインフォースが思い詰めてたり。

 

「ゲンヤさん!? こ、こんな人まで……ギンガちゃんも……」

 

 再びマリエル・アテンザがびっくりしてたり。

 

「……こんな形で、時空管理局の問題を指摘されるなんてね……」

 

「だが、迂闊な判断が出来ない上層部の事情があるとしても、現場から見れば否定出来ない事実でもある。

 この話のはやて君の様に、高ランク魔導師であり使命感の強い指揮官でもあるなら、もどかしく感じても不思議ではないだろう」

 

 行動が遅すぎる、あちこち呼ばれるだけだと前に進めている気がしない、等の言葉にレティ・ロウランとギル・グレアムがショックを受けてたり。

 もちろん肌色を隠蔽したお姉様は、何か言いそうだった変態(ロリコン)を殴り飛ばしてる。

 

「だけど、随分と奇妙な部隊ね。

 本局に所属しながら、ミッドチルダ地上に配置するなんて……」

 

「まだ始まったばかりだからな。その辺は追々、それなりに説明があるぞ」

 

 リンディ・ハラオウンの疑問は、お姉様に置いておかれたり。

 

「こんな子供が……」

 

「魔導師は就業年齢が低い事が多いのは確かだが、流石にこれは……

 だが、これもあり得る未来だという事か……」

 

 胸を揉んでいる……じゃない、エリオ・モンディアルとキャロ・ル・ルシエの登場に高町恭也の表情が硬くなり、ギル・グレアムもため息をついてたり。

 

「グリフィスまで……? いったい、どれ程の人が……」

 

 まさかの息子登場に、レティ・ロウランが驚いたり。

 

「ふむ、ここでレリックか。私の出番も近いという事だね?」

 

「そうだな。

 レリックの正体は掴めているのか?」

 

「現状では、人体との親和性が高いという事ぐらいか。

 最高評議会の老人達は随分と気にしている様だが、君は知っているのだろう?」

 

「いや、知らんぞ。無限書庫もその方面は調べていないしな。

 現物があれば正確に解析出来るかもしれんが、それも可能性止まりだ」

 

「ふむ、そうなのかね?

 おや、AMFもあと10年以内に機械化に成功する、か。まあいい、未知のものが残るのは良い事だ。未来を楽しみにしておこう」

 

 ジェイル・スカリエッティが、妙に楽しそうだったり。

 

「私が、最大の後ろ盾……?

 リンディ提督やレティ提督を差し置いて……」

 

「だけど、クロノも10年以内、設立の準備期間を考えると5年もすれば提督、か……

 頑張らないとね?」

 

 部隊の説明で、カリム・グラシアが驚いたり、クロノ・ハラオウンが温かい視線に晒されたり。

 

「命日……? クイントさんに、何が……」

 

「何があるかという事は、見ていれば解る」

 

「そう、ですか……」

 

 知り合いの死亡情報に、マリエル・アテンザの表情が暗くなったり。

 

「この時点からの8年前、つまり今から2年後に知り合うはずだった……

 だけど、お姉ちゃん、か……それに、この執務室は、父の……」

 

 自身の扱いや評価が色々で、カリム・グラシアが戸惑ってたり。

 その隣でシャッハ・ヌエラが、登場した自身を思案顔で見てたり。

 

「SSにS+……才能が同じなら、物凄いわね」

 

「レティ。エヴァさんがいる以上、無理に引き込めるとは思わない方がいいわ」

 

「大丈夫よリンディ、無理強いをする気は無いわ」

 

 提督2人が、言明されたランクでこそこそ話をしてたり。

 

「フェイトちゃんのマントが白くなったのは、ひょっとしてこれの……?」

 

「でも、パレオっぽい部分は今も白いよ?」

 

「これって、マントの中身は制服とかっぽいから……」

 

「いや、闇の書事件の広報用再現映画も存在する様だから、もしかすると、それで使われたデバイスとバリアジャケットが影響している可能性もあるぞ」

 

 セットアップしたフェイト・T・ハラオウンの姿に議論が集まったり。

 もちろん、肌色の変身シーンはカットしてる。

 

「ふむ……周囲を見た感じでは、研究所か収容所といったところか。

 言動といい、小さな子供に対するものではないが」

 

「この様な施設はいくつもあるのだよ、ギル・グレアム。

 才能を持つがゆえに手に負えなくなった子供、表立って存在出来ない子供を集め、教育という名の洗脳を行う。そんな場所なのだ、染まれなかった、役に立つと証明出来なかった子供の行く末などゴミ同然だよ」

 

「これも、管理局が抱える闇の一端なのか。

 子供達の社会復帰を促すという建前としても……内容があまりに酷すぎる」

 

 キャロ・ル・ルシエの扱いが有り得る事をジェイル・スカリエッティに肯定され、ギル・グレアムが頭を抱えたり。

 

「ふむ、ここで私かね。プロジェクトFとは実に懐かしい」

 

「……渡さないわ。絶対に」

 

「おお、怖い怖い。

 だが、安心したまえ。生命操作への興味はあるが、エヴァンジュと敵対する気は無いのでね。

 彼女を姉と呼び、その庇護を受ける子だ。現実が見えない馬鹿でもないかぎり、手を出せばどうなるか簡単に想像出来るというものだよ」

 

 プレシア・テスタロッサが、今度はジェイル・スカリエッティを凄い目で睨んだり。

 

「ゼスト……? まさか、ゼスト・グランガイツ三等陸佐がここで?

 だけど、レジアス中将の盟友のはず。それに、エヴァさんの話では白だと……」

 

「この辺は色々あってな。見ていれば解る」

 

 白いのは現時点だし、原作でもある意味では白だし。

 だけど、この辺はリンディ・ハラオウンにもまだ説明せず。

 

「さっきから気になってんだけど、アタシや周囲の連中は、何でにゃのはをすげー気遣ってんだ?

 何も知らねぇガキじゃなくなってんのによ」

 

「にゃー! だからなのはだってばー!!」

 

「その辺もそのうち話が出るから、もう少し待ってくれ」

 

 不思議そうな八神ヴィータにも、やっぱりまだ説明せず。

 

「おー、これくらいになると、ドレス姿も様になっとるなぁ。

 けど、なんか私が妙に小さく見えるんやけど……」

 

「ん? 確かに、3人の中では一番背が低かったはずだが」

 

「ちゃうちゃう、そこやなくてな。

 こう、母性的な部分が、こんな感じで……って、人様のばっかり大きくして、自分のを忘れてたんか!?」

 

「そっちの話か。設定上は……馬場、知っているか?」

 

「確か順位は……って、デリカシーのねぇ質問だなオイ!」

 

「私は一応女だからいいんだよ」

 

「いや、人に言わせるのはあかんやろ」

 

 スタイルの話で一部が盛り上がったり。

 

「あれ? 今の……ユーノくん?」

 

「え、あれって僕なの?」

 

「たぶん……」

 

「背が伸びても男っぽくなってない感じだし、そうなんじゃない?」

 

「ちょ、僕ってどれだけ女々しいのさ」

 

「女装させたら似合いそうなくらい?」

 

 高町なのはに気付かれたユーノ・スクライアが、アリサ・バニングスに遊ばれたり。

 

「アギト……?

 なあシグナム、まさか、アタシもいるのか?」

 

「私に聞かれても、内容を知らされていないから答えられん。

 知っていそうなのは……」

 

「いる。同じ名前になった時は、エヴァもある意味納得してたけど、驚いてもいた」

 

「まさか、アタシを助けたのは……」

 

「知っていたことが影響したのは否定しない。

 だけど、あくまでも切っ掛けの一つ。実験体として捕らえられているという情報を見付けたから動いていた」

 

「そ、そっか……」

 

 アギトの疑問に八神シグナムは答えられなかったけど、主があっさりとばらしたり。

 

「ヴェロッサ……そう、査察官となっているのですか」

 

 軟派な弟がちゃんとした立場になっていても不真面目だと言われてるからか、カリム・グラシアが微妙な顔をしてたり。

 

「司書長……なーんか、長って威厳は無いわね」

 

「話には聞いてたけど、20歳程度の僕が何で司書長なんてやってるのさ!?」

 

「にゃ? ちゃんと認められてるなら、いい事なんじゃ?」

 

「そ、そりゃあそうだけど……」

 

 相変わらず弄られてるけど、高町なのはのフォローに弱いユーノ・スクライアがいたり。

 

「大きな組織では、心無いからという理由では無暗に排除も出来ないが……」

 

「問題となったと言っている以上、許容したわけでも無いのでしょう。

 それでも、家族への影響は……」

 

 ティアナ・ランスターの過去話に、提督達は思うところがある様子だったり。

 

「なのは、アンタ……」

 

「これは、やり過ぎなんじゃ……」

 

「私じゃない! 私じゃないよーー!!」

 

 ティアナ・ランスター撃墜シーンで、高町なのはが引かれたり。

 

「体への負荷とその結果が、これか……それも、未来の話だ。

 必要な要素の多くが揃っている以上、あり得ないと否定も出来ない。なるほど、禁止されるわけだ」

 

「そっか……こんな風になっちゃうんだ……」

 

 高町なのは撃墜シーンで、高町兄妹が集束魔法を禁止された本当の理由を理解したり。

 

「レジアス中将、か。

 武闘派として実績も多いが、それだけに闇に飲まれる可能性も高かったという事か……」

 

「地上の平和を守るという意味では、かなりの貢献があります。

 様々な団体との関係が強く、強硬だったからこそ通った改善案もある。扱いの難しい人物と言えるでしょう」

 

「だからこそ、状況を変えるには壁を破る必要があるわ。

 そのための切り札が欲しいのだけれど……」

 

 演説で登場したレジアス・ゲイズの評価が、提督や執務官の間で微妙。

 リンディ・ハラオウンに視線を向けられてるけど、お姉様はまだ無視して。

 

「子供に甘くて過保護なあたりは、やっぱり親子、かしらね」

 

「……ふふっ。でも、子供なんて……」

 

「か、母さん、私は、まだ……」

 

 リンディ・ハラオウンの呟きに喜んでるのか怒ってるのか、プレシア・テスタロッサが相変わらず壊れてたり。

 

「ノーヴェ、か。確か、クイントとかいう魔導師の遺伝子を使用したものだったか」

 

「えっ!? そ、それって……」

 

「ふむ、君はオリジナルと直接の面識がある様子だ。

 だが、同様の存在を既に2人ほど知っているはずだがね」

 

「それは……」

 

 ジェイル・スカリエッティのネタばらしに、マリエル・アテンザが動揺してたり。

 

「あら。クロノもこの頃には結婚? 相手は……」

 

「ネタバレは……さて、どうするかな」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

 母とお姉様に遊ばれかけるのを、クロノ・ハラオウンが必死で止めようとしたり。

 

「ここでクアットロですかぁ。確かに、管理局の機械を騙すなんてカンタンですけどぉ?」

 

「能力は知っているし、敵対する必要もない。

 無暗に煽るな」

 

「はぁい、エヴァンジュお嬢様ぁ。でもぉ、自分達の力の限界を知る事も大事ですよぉ?」

 

「私が使った力だけで、理解出来ているだろうさ」

 

「それもそぉですねぇ」

 

 自身の登場に何故か嬉しそうなクアットロがいたり。

 

「あ……アタシっぽいけど……」

 

 映像としてのアギト登場に、本人は恥ずかしそうだったり。

 露出の多い衣装や背景の花火は、どうもお気に召さなかった様子。

 

「英雄気取りの青二才、ね。年長者からは若者が未熟者に見えて、だけど大切な未来の担い手なのだけれど。

 普段は表に出さず人をまとめ上げているのは、演技力やカリスマの賜物かしら……?」

 

「犯罪者、か。面と向かって言われたわけではないが、こう直接的に表現されるとやはり心は痛むな」

 

「はやてさんを犯罪者扱いするという話は、この事なのね。

 想像出来ないわけじゃないけれど、ここまで言い切っているとは思わなかったわ」

 

 提督3人の中で、レジアス・ゲイズの評価が下がっていったり。

 

「あらぁ、セインちゃんにディエチちゃん、トーレ姉様もですかぁ」

 

 起動してる姉妹の登場に、やっぱりクアットロが嬉しそうだったり。

 

「……これ、完璧にアタシだ……」

 

「だが、既に我等と共にある。もはやこの様な未来は無い」

 

「そう、だな……」

 

 過去の暴露で落ち込んでるアギトを、八神シグナムが慰めたり。

 

「ヴィヴィオ……なるほど。この子が、私という存在の有り得た可能性ですか」

 

「ヴィヴィオさん、聞いていたのですか?」

 

「はい、概要だけでしたけれど。

 この先に、エヴァさんが私に見せたい何かがあるという事ですね」

 

 ようやく出た幼女の名前で、ヴィヴィオが意図を理解したり。

 

「私の能力が、物語の根幹に関わるのですね。

 予言の内容を考えれば、確かに理解は出来るのですが……」

 

「時空管理局システムの崩壊、ね。

 確かにそう読むことは出来る内容に思えるし、私達が知ったような不祥事が何の対策も無いまま広まっても、そうなる可能性はあるけれど……」

 

「ふむ、最初の節がレリックと私を指し、後半が管理局崩壊を指すのは、恐らく正しいと判断出来る。その上で気になるのは、死せる王、それに彼の翼といったところか。

 心当たりはあるが、それはまだ秘密かねエヴァンジュ?」

 

「そうだな。ここで言ってしまうのは簡単だが、話を見てもらうか」

 

 元凶側の当事者であるジェイル・スカリエッティには、聖王のゆりかごを指すであろう“翼”に簡単に行き着いたらしい。

 でも、これもまだ秘密。もうしばらくしたら解るし。

 

「うーん、生き急ぐいうんは、多分私は回避させてもろたはずや。

 けど、力を持って孤独になるいうんは、エヴァさんが一番気を付けなあかんか?」

 

「少なくとも、私とセツナは共にいる。

 はやても、一緒にいてくれる?」

 

「もちろん。私も人様とは違う力を持ったわけやし、ずっと一緒や」

 

 八神はやてに対する評価を、本人がお姉様に振り向けたり。

 

「……なんという事だ。これが本当に、最高評議会の発言だと言うのか。

 確認しておきたいのだが、直接依頼を受けた事や、何らかの会話をする機会はあったかね?」

 

「もちろん。その上、彼らの日常会話も一部は記録しているよ。

 言い方の程度に違いはあれど、3人の老提督を見限る発言は度々行われている。10年後でも消えていないところを見ると、まだ使える可能性がある石だと見ているか、最早何の力も無いと放置されているのだろう」

 

「最高意思決定機関であっても、通常はその力を振るわず、表に出る事も無い。

 その裏で、こんな事が……」

 

「腐れ脳味噌、ね。姿はまだ見えないけれど、これがエヴァさんの評価の根底かしらね」

 

「腐れ脳味噌とは、言い得て妙だ。

 あの姿も、この先で見られるのかね?」

 

「そうだな」

 

 3提督に関する暴言を吐く最高評議会に、3人の提督が不信感を持ったり。

 もちろん、ジェイル・スカリエッティの証言も後押ししてるけど。

 

「我ながら、何かが足りないと思える笑い方だ。

 君達の世界の言葉で言うなら、頭のネジ、もしくは理性あたりかな?」

 

「知性も足りないように思うが、どうだ?」

 

「なるほど、無限の欲望のままの私であるならば、その名の通り欲望に忠実だ。

 知性が足らないのも仕方ないだろう」

 

 ジェイル・スカリエッティの馬鹿笑いを、本人とお姉様が酷評したり。

 

「ああ、フェイト……あんな状態で、私だけでなくアリシアまで……」

 

「クロノのお嫁さんって、エイミィ?

 それに、この時点で子供が2人も……」

 

「……エヴァンジュ、これは捏造、じゃないのか?」

 

「まさか。これは私の記憶から再現したものだし、そもそもお前が誰とくっつこうが知った事ではないが。

 つまり、この世界のクロノ・ハラオウンはエイミィが嫌いなのか。狙いはなのはか? それとも妹にならないフェイトか?」

 

「そ、そうじゃないが……」

 

 母である2人がそれぞれの子に絡んだり、お姉様を疑ったクロノ・ハラオウンが反撃されたり。

 

「あらぁ? チンクちゃん、眼帯なんてしちゃって。

 ファッション、ではなさそうですねぇ」

 

 何事だ、と言いたげなクアットロを、お姉様はあっさりと無視したり。

 

「未知のスキルによる奇襲に、多数の機械を使った強力なAMF……

 確かに、どちらも対応が難しい戦術ね」

 

「無知は恐れを生み、無力に通じる。古き時代から変わらぬ真理だよ。

 その上、管理局は質量兵器を嫌い魔法に頼っている。魔法を無力化されたら脆いのは明白だ」

 

 リンディ・ハラオウンのため息に、ジェイル・スカリエッティが追撃したり。

 

「うぉ、なんか一瞬白いヴィータがおった!?

 エヴァさん、今んとこもう1回!」

 

「そのうち出てくるから、そこまで待ってくれ」

 

 ユニゾンしたヴィータを見て、八神はやてが騒いだり。

 

「言動や真意は置いておくとして、やはり私の未来か。対外的な発言には概ね同意出来る様だ。

 どうだねエヴァンジュ。稀代の技術者でもある君は、私の可能性をどう見る?」

 

「物語としては判りやすい敵役。人としては理解し難い狂人。それでも技術者としては高水準で、後で語られる本当に求めているとされたものも理解は出来る。

 管理局の過去に興味は無いが……表にいる正義馬鹿や裏の腐れ連中と友好的な関係を築けるとは思えんし、それは私も同じなのだろうな。もっとも、他人を言い訳に使うのは感心出来んが」

 

 圧迫され罪に問われた技術者達の恨みや、根底にあるはずの目的の話に2人の技術者がちょっと賛同気味で、それが聞こえてた提督3人がお姉様の方を凄い勢いで見たり。

 

「ふむ、戦闘機人について、なかなかに調査されているようじゃないか。

 レジアスの目に留まらないレベル、片手間で調べていたにしては上出来だ」

 

「その言い方だと、内容は概ね正しいという事かね?」

 

「うむ。人造魔導師を作る為に最大の障害となるのは、リンカーコアの生成でね。これが実に不安定で、あれこれ試すうちリンカーコア以外に関しては比較的良好な成果を得られたのだよ。

 使える手段を得たならば、これを利用しない手は無いだろう?

 その構想を後押ししたのが最高評議会、それにレジアスだよ。それにしても、レジアスの計画はやはり愚直すぎる。物語となっているとはいえ、これ程簡単に見破られるようでは」

 

「事実、だと言うのか……」

 

「タイプゼロと呼ばれていた2人もその計画の一環、恐らく技術検証用の試作なのだろう。

 私は直接関わっていないが、出来もなかなかに良いようだ」

 

「……人の命を何だと思っているのだ?」

 

「戦闘機人というアイデアや基礎技術を生み出したのは、私ではないのだがね。だが、私が改良した技術で生み出された者も、言ってみれば私の子供の様なものだ。

 子の出来不出来に一喜一憂する親、子に関心を持てない親、子に嫌悪感を抱く親。どれが悪人と呼ばれるべきかね?」

 

「そうではない。そうではないが……」

 

 ギル・グレアムが、ジェイル・スカリエッティに口で負けてたり。

 

「あれ? この人、どこかで……」

 

「メガーヌの事か?」

 

「あ、そっか。メガーヌさんに……って、メガーヌさん!?

 という事はあの女の子ってこの前生まれたはずのメガーヌさんの子供!?」

 

 再び、マリエル・アテンザが知り合い登場で叫んだり。

 

「い、いい話だったのに……

 どうして10年たっても料理がうまくなってないんですか!?」

 

 八神シャマルが、料理が下手というヴィータのセリフに落ち込んだり。

 

「最高評議会、それに時空管理局が……」

 

「言っただろう? 私が生み出したアイデアや技術ではない、と。

 表に出そうとした時に倫理的問題を克服出来なかったのが、当時の技術者の不幸であり、戦闘機人の不幸の始まりだ」

 

「未来の話だが、語られる過去についてはかなり正しい情報が得られる……

 そうだな、戦闘機人の事件は既に始まっていて、2人の少女も保護されているのだったな」

 

 マリエル・アテンザが動揺してたのを思い出し、ギル・グレアムが戦闘機人に関する現状を正しく理解したり。

 

「聖王の器、聖王のゆりかご……

 あるのですね? ゆりかごが」

 

「私よりも、当事者に聞くべきだろう。

 どうなんだ、スカリエッティ」

 

「ミッドチルダの山中に埋められているよ。

 最高評議会の主導で隠蔽され、いつか切り札にしようと期待されている様だ。私が聖遺物の回収を指示されたのも、ゆりかごを起動する鍵を求めての事なのだよ」

 

「つまり、ロストロギアを管理する時空管理局、その最上位に位置するはずの最高評議会が、危険なロストロギアを隠し持っている。

 そういう事ですね?」

 

「そうだ。ゆりかごの起動は私の夢だが、最高評議会の希望でもあるのだよ。

 これを見せたという事は、示威の為に使いたい。そういう意図なのだろう?」

 

「さて、な。

 私は、ヴィヴィオが願う事を、可能な範囲で叶えたいと思っているだけだ」

 

「そうですか、ありがとうございます。

 願いは急ぎますか?」

 

「話が終わってからで充分だ。末路も気になるだろう?」

 

 聖王のゆりかごというキーワードの登場で、ヴィヴィオがお姉様の期待を理解したり。

 

「聖遺物の盗難が、こんな形で……」

 

「傲慢な矛盾か……私も、同じ罠にはまっていたのだな……」

 

「脳……これが、エヴァさん達が脳と言っていた、最高評議会の姿……」

 

「この顔は、まさか!?」

 

「気付いたようだね、聖王教会のお嬢さん。

 最高評議会の隠れ家にも、私の娘を送っているのだよ。勿論、あの脳味噌達には気付かれていない。会話を記録出来ているのは、その成果だ」

 

「そう……なの、ですか……」

 

 作中とこちらのジェイル・スカリエッティの説明に、偉い人達が揃ってショックを受けてたり。

 

「アルハザードの遺児、だと……?」

 

 ギル・グレアムがドゥーエの言葉を拾って。

 

「そういえば、ここでそんな話も出ていたか。

 これは迂闊だったな」

 

「その割には、全く慌てていなように見えるが。

 気遣いは不要だったかね?」

 

「まあ、ここの連中以外に知られていれば、騒動も大きかっただろうからな。

 その意味では、助かった……のか?」

 

 お姉様とジェイル・スカリエッティが、実質的に認める様な会話をして。

 

「スカリエッティがアルハザードの遺児、つまり、その遺伝子親でもあるプレシア君もまた……」

 

「ええ、どうもそうらしいわ。

 私としては、かつて目指した場所が遺伝子的な故郷だった、というだけだけれど」

 

 正しく真実を認識したギル・グレアムを、ようやく復活したプレシア・テスタロッサが肯定し。

 

「聖王のゆりかごが、アルハザードからの流出物……?」

 

「私が知る限りでは、アレそのものが存在していたわけではないがな。

 ただ、アルハザードの技術や次元航行船が元になっている可能性はかなり高い。虚数空間に落ちたアルハザードは母星だけで、支配する別の世界にいた技術者や兵器はそのまま存在していたからな。

 それらが流出するのは確実、アルハザード式の魔法がほとんど残っていない事の方が不思議だ」

 

「エヴァさん……何だか自棄になっていないかしら?

 軽々しく言っていい事ではないと思うのだけれど」

 

「ここまで見せているんだ、お前達にはもういいさ」

 

 心配するリンディ・ハラオウンをよそに、お姉様までアルハザードの知識がある事を肯定したり。

 

「人体実験、か。

 人の命を弄ぶと表現されているが、その辺はどう考えているのかね?」

 

「技術の進歩には必要な事でもあるのだがね。

 人は古の時代から、体内を知るために死体を切り刻み、薬を求めて研究と実験を繰り返してきたのだよ。そうやって得た技術でどれ程の人が救われたか、考えた事はあるかね?

 結果を享受する事に疑問を持たないまま、必要な過程を非難するのが一般人だ。殺す事を嫌悪しながら肉を食べる矛盾に気付かないようにね。

 私は、汚れ役をやっているにすぎんよ」

 

 全く悪びれた様子のないジェイル・スカリエッティに、ギル・グレアムがため息をついたり。

 

「生命操作技術の完成を望み、そのための空間を欲する。

 なるほど、実に私らしい」

 

「今でも、それを望むのかね?」

 

「1つの完成形が目の前にいるじゃないか。人としての意識があり、極めて高い能力を持ち、長い時を生き、人類の夢である不老不死を与えることが出来る。そんな存在がね。

 その技術は、未知なるものへの欲求という意味で魅力的だが、追い越すのはなかなかに難しそうだ。しかも、必要なコストは膨大ときている。

 少なくとも、かなり大きな権力組織が残りつつ人権という概念が失われない限り、同じものを作るのは不可能だろう」

 

「私の作り方を知っているのか?」

 

「アルハザードの人工リンカーコア技術は、人工と言いながら多数のリンカーコアを製錬し合成したものだと知っているだけだよ。

 つまり、主要な材料は生物であり、そのリンカーコアだ。しかも、人が最も効率が良い。

 人のリンカーコアをコピーし、出来上がった粗悪品を集め宝石を作り出す。コピーした際の損傷を治療しながら何度も繰り返すのだから、人を家畜のように扱うという事だ」

 

「正解だ。それを知りながら、人造魔導師や戦闘機人に使っているようには見えんが……」

 

「魔導師10人を使い潰して1つ製造するより、人造魔導師を10人作って魔導師適性がある素体が1人生まれる可能性に期待する方が、圧倒的に安いのだよ。

 しかも、製造したコアに適合するよう作られた魔導具の君達と違い、人に使う場合は相性や適性も問題になる。もちろん外部供給に限定するなら問題は起きにくいが、それならばリンカーコアである必要も無い。

 人を使い捨てにし、得た物を適切に使用するためにも大きな組織が必要となるアルハザードの人工リンカーコア技術は、少々使い辛かったのだよ」

 

 話が盛大に脱線してるけど、ジェイル・スカリエッティに原作ほどの執着は無いように見えたり。

 

「ゼスト三等陸佐を、レジアス中将が殺させた……?

 いえ、これは……」

 

「本局に多くの魔導師が所属している以上、耳が痛い話でもあるけれど。

 それでも……いえ、本局に所属する側が何を言っても、言い訳にしかならないわね。

 それに、エヴァさんがこれを見せている理由は、きっと……」

 

「さて、な。深読みするのは勝手だが、肯定も否定もせんぞ」

 

 お姉様は、何か言いたそうな2人の女性提督の視線を無視したり。

 

「そういえば、クローンは埋め込み済みなのか?」

 

「そのための準備はしていたのだが、実行には至っていなかったのだよ。

 これほど大掛かりな行動に出る予定は、まだ無かったのでね」

 

「そうか」

 

 クアットロとウーノの体内には無かったけど、他の戦闘機人の中にも無い事が確認出来たり。

 

「あらまぁ。未来の私って、こーんなにドジっ子なんですかぁ?

 随分とお間抜けですねぇ」

 

「過剰な自信や自尊心の結果だろうな。自分達以外の価値を認めていなかっただろう?」

 

「そうですねぇ、ドクターや私達をどうにかできる人がいるとは、思えませんでしたしぃ。

 でもぉ、エヴァンジュお嬢様から見たら、私達でもゴミみたいなものですよねぇ」

 

「別に、私は全てを超越したなどと言う気は無いぞ」

 

 壁抜きで撃ち抜かれる自分の姿を見て、クアットロ自身が色々酷評してたり。

 

「うわぁ……なんだか、ますます物凄い事に……」

 

「流石にあの様な攻撃には、晒されたくありませんね」

 

「私じゃない! 私じゃないよっ!!」

 

 派手なスターライトブレイカーex-fbに、アリサ・バニングスだけでなくヴィヴィオにもひかれて焦る高町なのはがいたり。

 

「私と娘達は全員捕縛又は死亡、ゆりかごも破壊される、か。なるほど、見事なまでの敗北だ。

 なかなかに薄氷だが、流石は物語といったところか。最高評議会やレジアスが処断された様子が無いあたりも、実に管理局らしい」

 

 エンディングの模擬戦開始まで見終わったところで、上映終了。

 敗北する悪役のはずのジェイル・スカリエッティが一番ショックを受けてないあたり、らしいというかなんというか。

 

「さて、以上が私達の知る原作だ」

 

「話を進める前に、幾つか確認させてほしい。

 これで語られた内容は、実際に現在進行形のものも多い。そう受け取ってよいのだね?」

 

 ギル・グレアムの疑問は尤も。

 だけどこれは、お姉様の話に直結する質問。

 

「そうだな。少なくとも、春までは明確な差異が無かったと思っていいはずだ。

 最高評議会、レジアス、スカリエッティの行動に大きな違いは無く、ギンガとスバルの2人はナカジマ家にいる。最高評議会の近くに戦闘機人がいて、聖王のゆりかごも発見済みだ」

 

「だが、ここには関係者の多くがいる。こうなるという知識を得た以上、歴史は変わるはずだ。

 それに、並行世界という概念から判断すると、成功した未来と失敗した未来の両方があるという事なのだろう?」

 

「さっきも伝えたが、この世界は、この話の様な歴史を辿る並行世界の影響を、今でも大きく受けている。それは結果的に、これに近付くような何かが起こる可能性が高いという事だ。

 そして、この並行世界への影響は、事件や出来事の結果を再現するという力が強いようだ。逆に言えば、参加者の増減や、同じ役目が出来る人物への入れ替わりも許容される可能性が高い。

 今のままであれば、はやて達は恐らく使命感の強い魔導師に。スカリエッティは手駒を失う最高評議会やレジアスが用意する誰かに。それぞれ変化した事件が発生する可能性が高い。

 それと、分岐した並行世界がどう残るかは、存在する力の強さで決まる。最高評議会とレジアスが死ぬ並行世界の影響が強い以上、そうなった未来が残る可能性が高いと考えている」

 

 原作相当の並行世界から分岐した、機動6課及び時空管理局が敗北した並行世界等も存在するはずだけど、ここへの影響が強い並行世界には見付けられなかったし。この世界から分岐した並行世界の発見も出来てないけど。

 情報を確認するにも、並行世界からの情報取得は時間軸がかなり滅茶苦茶で、安定した接続はジュエルシードの情報を使っても難しそうだし。最も影響が強い原作相当の並行世界を見た時は、1度目がVivid開始後と思える状況、2度目は時空管理局設立前に見えた。

 

「影響を無くす事は、出来ないのかね?」

 

「複数の並行世界に跨る改変だ、幾ら何でも手に余る。それに、その規模の改変だと副作用がどうなるか予想出来ん。

 頑張って切り離した結果、世界が存在出来なくなりました、では洒落にならん」

 

「なるほど。ならば、事件や出来後の発生する時間については、変えることが出来るのかね?」

 

「多少の前後は許容されるようだ。それに、先に結果を作ってしまえば、そうなるような誘導も発生し辛い。

 あくまでも可能性だが、意図的に行ったなのはとフェイトのデバイス強化が、2作目での撃墜を回避出来た要因になったかもしれない、という事だ」

 

「そうか。では、別の質問だ。

 アルハザードについて詳しいようだが、その理由を聞いていいかね?」

 

 やっぱり来たー。

 リンディ・ハラオウンは秘密にしてくれてたけど、あれだけ言っちゃえばばれるのは明白。

 

「プレシアやスカリエッティの事も含め、秘密という事にしておいてくれよ?

 私はアルハザード出身だ。ベルカについては資料でしか知らんし、行ったことも無い」

 

「エヴァさん、本当にいいのかしら?」

 

「私としても、そろそろ区切りを付けないといけないからな。

 私を生み出した当時、アルハザードは確かに高度な技術を持っていた。だがその実態は、確認されていた次元世界の半分を武力で支配し、既に国としての限界が見え始めた軍事国家だった。

 私がいたのはその中枢、国としてのアルハザードも当然含まれるが、世界、そして星としてアルハザードと呼ばれた場所だ。

 リーナ……プレシアのクローン元だが、あいつが私を作ったのは、アルハザードという国が崩壊した後も魔法の可能性を追い、魔法の限界を知る為。情報収集を担当するのが夜天と宵天、集まった情報を管理するのが私、曙天。今世で目覚め、リーナを主とした時点で、上層部には秘密だとしながらそう説明されたよ。

 変態(ロリコン)、お前はどの程度説明されていたんだ?」

 

「今の話は概ね全て、でしょうか。アルハザードが最終的に崩壊するとリーナに伝え、エヴァちゃんを作るよう勧めたのは私ですからね。

 時期は読めませんでしたが、エヴァちゃんが間に合ってよかったですよ」

 

「そうか。まあ、その後私は情報の取りまとめをしながら、与えられた任務をこなしていた。

 最大の役目は、アルハザードの資料庫……言ってみれば今の無限書庫の様な、何でも放り込んで全く管理されていない情報の墓場を整理し管理する事。全ての魔法に精通するとかいう話の元は恐らくこれで、アルハザードで公式に存在が認められた全ての魔法の情報を見る事が可能な立場にいたという意味では、全くの見当違いでもない。

 それと、私は兵器でもあるし、実際に多くの戦場で数え切れないほどの命を奪ってきた。世界を滅ぼした事もある。

 夜天は魔法の情報を集めるためにリンカーコアを蒐集する能力があるが、加減する事で殺さずに済み、場合によっては強化される場合もある事は知っての通りだ。だが、兵器として私に与えられた能力はリンカーコアや魂の剥奪。相手を殺して奪う力だ。

 私は文字通り、命を奪ってきたんだよ」

 

「アルハザードの最終兵器、その実態かね。実に興味深い」

 

「そう面白くも無い話だ。

 この能力で出来るのは範囲の調整程度、それ以外の加減や選別が出来ん。奪える相手が効果範囲内に居れば問答無用で殺して奪い去ろうとする力をホイホイ使えるものか。

 切り札ですらないんだ。察しろ」

 

「なるほど。通常の運用には適さない能力、というわけだね」

 

「そんな感じで、20年程経った頃だ。阿呆な貴族が魔法の実験を行い、そこで発生したテロでアルハザードが虚数空間に落ちた。

 当然私も巻き込まれたわけだが、虚数空間で私はリーナに依頼され、アルハザードの全てを灰に変え、リーナも殺した」

 

「待ちなさい。アルハザードの地が灰になっている、ですって?」

 

 復活してたプレシア・テスタロッサが、やっぱり乱入してきた。

 命懸けで目指していた時の記憶があるだけに、無視は出来なかったらしい。

 

「飢えや乾きで獣に堕ちる友人を見るのは忍びない、と言われたよ。どんな形であれアルハザード中枢の資料が残る事も防ぎたかったようだが。

 太陽も魔法も無くなった以上、滅亡は確定だ。だが、星ごと落ちたから大気があり、しばらくは生き長らえてしまう。だからこそ、爆弾やらの魔法を使わない兵器を使い、徹底的にな」

 

「そう。アルハザードに辿り着いたとしても、結局は何も出来なかったのね。

 だけど、本当に行くことは出来ないのかしら?」

 

「虚数空間は座標も魔法も滅茶苦茶になるから、無理だ。

 発動可能なはずのランダム転移魔法はあるが、これも運頼みだ。私が脱出を試みた時も、結局これでは虚数空間から出る事も出来なかったし、風景も変わらんから本当に転移していたのかも不明だ。結局は消耗し切って機能停止、普通の人間なら死亡して終了だ。

 次元世界、その広い宇宙空間に出る事すら困難なんだ。たかが惑星1個の、転送可能な範囲に行き着く可能性など無いと言っていい。私がここにいるのは、転生機能が何とかしたからだろうとしか言えん」

 

「貴女程の力があっても、そうなのね。

 本当に精神の改変は恐ろしいわ。虚数空間の恐ろしさに気付きもしないのだから」

 

「その後の私は、ずっと眠っていた。時折夢を見ていた覚えはあるが、それだけだ。

 気付いた時には目の前にアコノがいて、私の主になった後だったよ。眠ったのが2500年前だと知ったのも、ユーノと会ってからだ。

 これが私の過去、私の正体だ」




原作キャラに原作を見せよう、の回。そのさん。
未来を見せるように見せかけて、実は現在進行形の問題が浮き彫りになる「StrikerS(3期)」編。
原作を見せながらの話はこれで終わり、次からは通常営業(又は完結に向けたラストスパート)に戻ります。


この話のまとめ
・StrikerSをみんなに見せて、特にお偉方がショックを受けた
・並行世界に関する設定を更に垂れ流した
・エヴァがみんなに過去をばらした
以上。3行で表現するとこんなもんです。
というか、一番疲れたのはStrikerS全26話の確認。かなり端折ってもなお分量は多いですが、分割する価値は無いですよねぇ。


なお、「ルーテシア」は既に産まれています。STSで10歳→現在0歳。
マリーがルーテシアの名前を知らなかったのは、メガーヌ産休中にマリー地球行き、ついでにクイント(戦闘機人関係)経由での知り合いだから私的な交流は少ない、的な感じで。


2014/06/19 以下を修正・変更
 改修→回収
 またか→また、こうなるのか
2014/06/20 アリサの台詞を調整
2016/04/08 並行世界どう残るか→並行世界がどう残るか に修正
2017/02/06 星ごと落ちて大気が→星ごと落ちたから大気が に修正
2017/05/03 以下を修正
 最も→尤も
 アルハザードにも当然含まれる→アルハザードも当然含まれる
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