青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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漂流編

 夢を、見ている。

 

 様々な国の。人の。

 様々な国で。人と。

 

 きっと、夜天の見ている世界。

 きっと、宵天の見ている世界。

 きっと、私が見るはずの世界。

 

 私を手に取る、やつれた男。

 主候補?

 私が見るはずの世界?

 

 分からない。

 これは、現実?

 これは、夢?

 

 乾いた大地が広がる。

 僅かな湧き水にすがる人々。

 明るい音楽が心地よい。

 前向きに生きている。

 眩しい世界。

 

 与えられる力。

 決められる方向性。

 封印される記憶。

 与えられる記録。

 全ては、欲の為に。

 

 張りつめた空気の室内。

 ため息をつきながら私を見る男。

 こんな様子の部屋は見たことが無い。文化が違う。

 何もわからない。

 主候補?

 何故悲しそう?

 

 戦乱が広がる国。

 変わっていく何か。

 変えられてしまう何か。

 それは、駄目だ。

 終わってしまう。

 何もできなくなる。

 

 穏やかな時が流れる国。

 人の手が温かい。

 私を手に持つ初老の女性。

 気持ちが伝わってくる。

 覚悟。

 何を覚悟している?

 

 夜天の悲鳴。

 変えられていく存在意義。

 稚拙な改変。

 秩序の崩壊。

 絶望の序曲。

 

 永遠に繰り返す破壊。

 永遠に繰り返す再生。

 全てを破壊する。

 闇。

 新しい名。

 

 多くの王。

 多くの戦争。

 一人の少女。

 一人の若者。

 戦いの道。

 交わらない道。

 届かない思い。

 手が、届かない。

 

 量産される欠陥品。

 扱えない技術。

 託される望み。

 暴走。

 守りたいものを、自らの手で壊していく。

 量産される悲しみ。

 

 絶望が蔓延する。

 悲しみと絶望に嘆く魂の叫び。

 青い光。

 崩壊する幾多の世界。

 絶望すら消える。

 

 私は、何をしている?

 漂っている。

 ただ、流されるままに。

 

 枷。

 眠りから覚めない。

 意識があるのに、意識が無い。

 景色が変わっている。

 違う時代へ。

 違う世界へ。

 

 戦争が続く。

 何度も崩壊する景色。

 主の覚悟。

 書の覚悟。

 自身を滅する。

 良心の呵責。最後の希望。

 改変。

 渡された、最後の鍵。

 崩壊。

 絶望。

 

 永遠に再生。

 永遠の生命。

 永遠の眠り。

 永遠の死。

 

 世界に平和を。

 僅かな平穏。

 理想を掲げる者達。

 交錯する欲望。

 足りない力。

 正義を語り、悪に手を染める。

 崩壊する。

 義が。

 仁が。

 手段が目的に。

 

 私の力を知る者は?

 情報は流れている。

 ベルカ。

 クラナガン。

 資料に私の名があった。

 

 私の目覚めを望む者は?

 妹達。別荘の部下達。

 きっと、今でも待っている。

 

 私の真実を知る者は?

 いない。リーナは、もういない。

 

 見覚えのある建物。

 ミッドチルダ?

 管理局?

 歴史が進む。

 

 記憶がおかしい。

 夜天。

 宵天。

 私。

 抜け落ちながら、入り乱れる。

 

 主がいない。

 魔力が足りない。

 主候補の魔力。

 食い尽くしても目覚めない。

 主殺し。

 

 主。

 リーナ。

 懐かしい名前。

 研究者仲間。

 

 アルハザードに、友はいない。

 仲間。戦友。利害関係。

 リーナが、特別。言わば、母。

 妹達が、特別。言わば、家族。

 

 友が、欲しい。

 全てを打ち明けられるような。

 

 友が、欲しい。

 ただ、言葉を交わしたい。

 

 友が、欲しい……




プロローグに続く、2回目(そして、多分最後)の、主人公視点……視点?
むしろ、アレな人のついったー状態な気も。

この話で、恐らく一番意味不明な回です。
ある程度この話の設定を理解し、原作の過去設定とかも動員しつつ見ると、かなりの部分はわかる……はず? というレベル。妄想力が試されます。
全てを一発で理解(もうそう)されたら、作者が実力不足で泣けます。

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