青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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番外:小話ズ その7

 ◇◆◇ 終わりが見えるならば(漂流編) ◇◆◇

 

 

 これは、主を殺す書。

 昔はゆっくりと命を奪っていくだけだったらしい。けれど、今では魔力も使えなくなる、魔導師として致命的なもの。

 魔導師として殺してしまう書。命を蝕み、ゆっくりと殺していく書。

 ……こうして目の前に現れると、怪談の一種だと思っていた話が、本当だと思い知らされる。

 

 しばらく前までは、私は国でも上位の魔導師だった。

 それが今では、最底辺。魔力が感知出来ないほどに低下し、魔法も当然使えない。

 

 同時に、夢を見るようになった。

 

 どうせ、仕事などありはしない。元々戦争の最前線で戦う事しか知らなかったのだから、力を無くせば役に立つ事など出来はしない。

 未来に希望など無く、戦友達も手の平を返した。なまじ実績を持つだけに、交渉の生け贄くらいにしか使えない。それも無理なら、死ぬだけだ。

 戦争が続くこの国に、役立たずを養う余裕はない。私が上司でも、そう判断する。

 

 だけど、眠る時だけは、夢を見る。

 不思議な、夢を。

 

「オー、今度ノ主候補ハスゲーナ。精神りんくヲ使エル程度ニ起動出来タノハ、久シブリダゼ。

 シカモ、オレタチノ事ヲ知ッテルミテーダナ?」

 

 出会ったのは、いまいち言葉を聞き取りにくい、少女のようなナニカ。

 体の小ささから融合騎かとも思ったけれど、どうも違うらしい。

 

「ワリーケド、ゴ主人ノ魔力消費ガフエチマッテンダ。

 オレタチモ好キデ魔力ヲ馬鹿食イシテルワケジャネーンダガ、ドーニモナラネー。

 解析ハサレタクネーシ、愚痴ヤ苦情ヲ聞ククレーシカ出来ネーケド、勘弁シテクレヤ」

 

 詳しく聞いてみると、この“ご主人”とかいう人物が融合騎らしい。

 私が書の主ではないのか? と聞いてみると、どうも微妙にややこしい。

 

「オレノ役目ハ、書ノ主トゴ主人ヲ守ル事ダ。ゴ主人ハ書ノ管理人ミテーナ感ジデ、ゴ主人ノ主ガ書ノ主、ミテーナ感ジダ。

 書ノ主ハ空席ダシ、ゴ主人ハゴ主人ダ。アンタハ主ノ候補デハアルケド、主ジャネーンダ、解ッタカ?」

 

 よく解らない。

 だけど、候補から魔力を奪うのはおかしいと抗議はしてみた。

 

「魔力ガ溜マッテゴ主人ガ目覚メネート、書ノ主ニ出来ネーンダヨ。

 違ウ方法ダト、今ントコ死亡例シカネーシ。ヤッテランネーゼ」

 

 そこのところも詳しく聞いてみたけど、書の主になる方法は2つあるらしい。

 1つ、書の管理者による承認と登録。安全だけど、管理者が目覚めないと不可能なのに、以前の主が死んでから目覚めたことが無いらしい。

 もう1つ、このよく解らない存在による登録。感情の暴走で死に至る。

 普通に考えれば、ゆっくり死ぬか、急いで死ぬかの2択。

 

「オレガ言ウベキジャネーンダガ、止メタ方ガイイゼ?

 感情封印モ試シタケド、試シタバーサンハ死ンジマッタ。オレカラ見テモ、術式ハ完璧ダッタノニダ。アンタハ魔法ヲ使エネーカラ、オレカ他ノ協力者ガ封印スル事ニナルンダガ、正直アレヲ超エル封印ハ出来ネート思ウゼ」

 

 だけど、私には時間が無い。殺されるか、死ぬかが選択肢。

 生きる可能性は、候補ではなく、主となる事。

 

「生キルタメニ命ヲ捨テルカ。イイネイイネ!

 ソンナヤツハ嫌イジャネーンダ。協力シテヤンヨ」

 

 成功例の無い、危険な賭けでも。

 それしか未来に続く道が見えないなら、私は……

 

 

 ◇◆◇ magician's operation(A’s編41.5話) ◇◆◇

 

 

「エヴァンジュ、この魔力はいったい……?」

 

 リインフォースが転移してきたけど、顔が引きつってる。

 惑星破壊が可能なレベルの集束を維持してるから、そりゃあ膨大な魔力があるけど。

 

『気にするな、ナハトヴァールが活動を再開した時の備えだ。

 さてと、念のため確認だが、ナハトヴァールは停止しているな?』

 

「ああ、問題ない。しばらくは再生する事も出来ないだろう」

 

『管理者権限でも止めてるし、何日かは大丈夫な筈や』

 

『そうか。ならば、まずナハトヴァールを切り離して初期化するぞ。

 その上で、はやてとナハトヴァールが繋がってるパスを、リインフォースに切り替える。

 この時に守護騎士も切り離されるが、1時間程度は大丈夫という判断に影響する何かはあったか?』

 

「元々1日以上の余裕があったのだ、それくらいは問題無い。それに、今は時間の進みが遅い場所にいるから消耗もしていないはずだ。再接続の作業を終えるまで存在や記憶を維持する事に障害は無いだろう。

 パスが切れるならば私はしばらく眠る事になるだろうが、主が目覚めておられる。転生の発動も抑える事は可能だ」

 

『そうか。はやて、支援はあった方がいいか?』

 

『一人で全部やる自信は無いし、お願いや』

 

『よし、手順は先に説明していた通りで行けるはずだが、何があるか判らんからな。慎重に進めるぞ。

 まずは準備からだ。管制通信開始……接続は問題無さそうだな』

 

『何か声が二重に聞こえるから、変な感じやね』

 

『2系統での同時通信になるから、どうしてもな』

 

「そうだ、今のうちに強制介入キーを更新しておこう。

 受け取ってくれエヴァンジュ」

 

『それと、管制通信でも内部に手を入れれるよう許可しとかんと』

 

 新しい強制介入キーを受領。

 それと、管制通信に権限が付与された模様?

 

『要らない……とは、言い切れんか。予想外の事も多かったし、有難く受け取っておこう。

 次は、ナハトヴァールだ。リンク部分を一度閉じるから、同時に守護騎士とも切り離されるはずだ。

 余裕はあるはずだが、ここからは基本的に事前に必要と判断した確認と修正に止め、なるべく短時間で終わらせよう。心の準備はいいな?』

 

『あとちょっとや。リインフォース、気張っていこな』

 

「はい、我が主」

 

『よし。なら、ナハトヴァールの切断だ』

 

『よっしゃ、やるよ!』

 

 八神はやてが元気に宣言した直後、リインフォースの魔力が急減?

 これはちょっと予想外だけど、守護騎士システム及び防衛プログラムの分離を確認。

 

『やはり、一筋縄ではいかんか』

 

「だが、致命的ではない。我が主、ナハトヴァールの初期化を」

 

『手順は大丈夫や、急いでやるよ!』

 

 八神はやて主導での、ナハトヴァール初期化手順開始。

 不要魔力の解放を開始。過去の主の魂及びリンカーコアが順次消滅。

 記憶のログを受信……ちょっとえげつない内容が多そうだけど、一応記録。

 権限の降格に成功した模様、接続パスの小規模化も確認。

 休止状態のままだから確認し辛いけど、思考パターンも正常化出来てるはず。

 

『次、一時的にリインフォースを切断、接続部分を変更した上でナハトヴァールが使用していたパスに切り替える。

 再接続が完了するまでははやて1人の作業になる予定だから、慎重にな』

 

「我が主、お願いします」

 

『うう、やっぱ緊張するわ。

 けど、これを乗り越えな平穏は掴めへん。リインフォース、切だ……』

 

 八神はやての意識が飛んだ!?

 大変、転生の予備動作が始まってる。

 

『チッ、管制特権発動、強制介入!

 私は転生を抑え込む。キーを使っていい、早急に改変を!』

 

 了解、リインフォースの改変を開始。

 接続部分を拡張、魔力のパスを旧ナハトヴァールの水準まで高める。

 損傷が色々ありそうだけど、あまり構ってられない。致命的そうなの以外は情報記録のみで。

 転生先の選定機能が走って、主の保護機能が機能低下。

 

「はやては私が守る。みんなは、作業を優先で」

 

 主の保護魔法?

 宇宙だから必要だけど、正直有り難い。

 リインフォース内に、怪しげかつ強力な封印を確認。魔力関係じゃなさそうな部分、記憶に関するもの? ひょっとすると砕け得ぬ闇かもしれない?

 

『記憶なら後で返せばいい、切り離して保護!』

 

 了解、封印ごと切り離して確保へ。

 魔力制御機構に致命的損傷を確認、これは回復しないとまずそう。

 ナハトヴァールの制御機構も破損がある。なるべく回復へ。

 

『リインフォースは大丈夫だと言っていたんだが……どれだけ弄られてるんだ、まったく。

 リンカーコア関連は?』

 

 出力の劣化を確認、伝達部分に余計な追加や破損にしか見えない改変を多数確認。

 ある程度は除去や修復を試みるけど、時間が足りない。

 

『再接続と起動に必要な分を最優先、他は後回しだ。はやての命に関わらないなら記録だけして放置していい。

 転生の抑制もあまり持ちそうにない。急いでくれ』

 

 魔力回路自体は、もうすぐ接続可能。

 魔力制御機構も応急処置は何とか。

 再接続……開始、魔力結合を確認。

 

『転生は止まったか……はやてとリインフォースは無事か?』

 

 状態は安定、意識は戻ってない。

 無限再生は……現在再生機能が停止。一気に改編したから状態の確認中かも。

 

「このままだと守護騎士が外れる?」

 

『それもまずいな、守護騎士の再接続もこっちでやるしかないか。

 食糧保存庫から出せ。騒ぐかもしれんが、力尽くでもいいから黙らせろ』

 

 了解、守護騎士を食糧保存庫から転送。

 状況を纏めて転送、確認してる間に接続処理開始。

 

『ちょっと待て、はやては無事なんだろうな!?』

 

『うるさい! 無事にするためにこっちも必死なんだ手を取らせるな!!』

 

 ……騒いで怒鳴られた八神ヴィータがちょっと不憫。

 でも、黙ったのは確か。リインフォース経由での接続を完了。

 魔力供給、そっちは問題無さそう。

 

『リインフォースが繋がっていたパスからの魔力漏れが止められなくなった。ナハトヴァールで塞ぐぞ』

 

 安全を確認してからやりたかったけど、まだ八神はやてもリインフォースも目覚めてないし。

 ナハトヴァールの初期化は一応完了済み。接続部分も一応繋げそうな水準。

 再接続開始……浸食の反応を確認。

 ああもう、次から次へと。

 

『もっと基盤の部分に……人工リンカーコア自体が問題なのか!?

 やむを得ん、ナハトヴァールは私が何とか抑える。今のを封印して予備に差し替えろ!』

 

 あのレベルのは滅多に出来ないのにー。

 でも、確かにこのままだとかなりまずい。

 ナハトヴァールのコアの座標特定、封印っ!

 無限再生が反応、封印が侵食されてる。

 

『このっ……無限再生機構に介入、はやてを真の主として取り込ませて負荷をかける。

 リインフォース側のパスの維持を!』

 

 真の主になるかどうかは、選択の余地があるはずだったのに。

 お姉様も主も望んではいたし、そうなるよう仕組んでもいたけど。

 

『責任は私が持つ、早くしろ!』

 

 はーい。

 八神はやてとリインフォース間のパス、補強及び監視強化。

 リンクの強化を確認、無限再生機構及び転生機構、反応……接続を確認。

 封印の侵食が停止、ナハトヴァールのコアの切り替えに成功。八神はやてとの再接続を開始。

 

『……やばい。はやてとリインフォースのパスが太くなりすぎた。

 しかも、リインフォースの人工リンカーコアが、普通に稼働出来る状態になっているよな?』

 

 えーと……融合事故率、ほぼ100%?

 ユニゾンよりも、取り込みに近い感じになりそう。

 リインフォースからの魔力供給は、多すぎて八神はやてがやばい。

 その制御に神経を使うより、リインフォースが取り込んで無双した方が確実。

 ユニゾンデバイスとして色々間違ってる。

 

『ま、まあ、私が怒られるだけで済めば問題ない。

 ……詫びも兼ねて、なにか考えるか』

 

「それより、はやては?」

 

 ナハトヴァールは再接続完了、浸食等は見られず。

 現在は無限再生機構が状態の確認中。そのうち回復が始まるはず。

 八神はやてとリインフォース、意識レベル上昇を確認。

 もうすぐ気が付く。

 

『ふぅ……何とかなった、と言っていいのか……?』

 

「言っていた結果にはなってる。大丈夫」

 

『だといいんだがな』

 

 

 ◇◆◇ 一発ネタIF(もしも告白されたら) ◇◆◇

 

 

誰か   僕と付き合ってください!

シグナム 弱い男に興味は無い。どうしてもと言うなら、実力を見せてみろ。

     (竹刀か木刀を突き付けながら)

 

 

誰か   君の味噌汁が飲みたい!

シャマル いいんです。どうせ私は料理下手なんです。何かやって馬鹿にされるんです……

 

 

野火乃(のびの)  結婚を目標にお付き合いしてください!

ヴィータ 断る! 青い狸に依存してるメガネみたいな名前に誰がなるか!!

 

 

誰か   好きです!

はやて  うーん、エヴァさんより男らしい人やないと、なんかこう、ぐっときいへんな。

 

 

誰か   君が欲しい!

アコノ  私はエヴァの。他の誰のものにもならない。

 

 

誰か   君が欲しい!

セツナ  ええと、エヴァさんが持ってますけど。

 

 

誰か   好きです!

エヴァ  それは、私が性同一性障害だという事を認識した上での発言か?

     まずは私のどこが好きなのか、次にお前が私にとってどんな存在か。

     更に、最高評議会の議長である私に関係した際に発生する懸念事項を説明してみろ。

 

 

 ◇◆◇ 一発ネタ(食事) ◇◆◇

 

 

エヴァ  ……これは、オムライスでいいんだな?

早苗   そうだよ。可愛いでしょ?

エヴァ  卵を布団に見立てているのは、問題ない。

     そこから顔を出すチキンライスがクマになってるのも、可愛いと認めよう。

     だが、ケチャップと旗のせいで殺害現場になっているのは、何とかならんのか?

 

 

エヴァ  ……チュロス、なのか?

シャマル ええと、目標はそうだったんですけど……

エヴァ  味は、まあ、それなりか。だが……

シャマル そ、その、目を瞑って食べてもらえると助かるんですけど……

エヴァ  見た目が劣化したかりんとうになってるのは、なんだ。

     実に食欲をそそらないというか、何と言うか。まあ、頑張れ?

 

 

エヴァ  とりあえず、言い訳を聞こうか。

シャマル ええと……パスタは好きですよね?

エヴァ  そうだな。割と好きだ。

シャマル ショートケーキとか、クリームを使ったケーキも好きですよね?

エヴァ  そうだな。

シャマル アンパンとか、羊羹みたいな和菓子も好きですよね?

エヴァ  そうだな。

シャマル 和菓子を食べてる時って、お茶を飲むことが多いですよね?

エヴァ  そうだな。

シャマル だから、全部の要素を合わせるとすごく喜んでもらえるんじゃないかと……

エヴァ  何でも混ぜればよいというものじゃないぞ。

     まずは自分で一皿食べてみろ。最後まで遭難せずに食べ切ったら、私も食べてやる。

シャマル うう……遭難なんて酷いです……

エヴァ  どこの山の甘口抹茶小倉スパゲティだ、全く……

 

 

 ◇◆◇ 一発ネタ(その他) ◇◆◇

 

 

鹿乃   えーと、俺達も訓練に誘われたんだが……

エヴァ  昼からの訓練か?

     テスタロッサ、高町、月村、親衛隊、近衛騎士団の大半が参加予定だと聞いているが。

     千晴や亜美も来ていたし、転生者の多くにも声をかけていたのか。

鹿乃   マジか!?

エヴァ  半裸ボディービル(そんな)装備で、大丈夫か?

鹿乃   ……いや、かなりやばい。羞恥心も実力も。

エヴァ  死ぬでないぞ。

鹿乃   止めてくれ、縁起でもねぇ!

 

 

はやて  寿司も握れるって、どんだけ万能なん?

早苗   見様見真似だし、そんなに上手とは言えないよ?

アコノ  普通に食べるには充分以上。これの味付けは好みかもしれない。

すずか  あっ、私のお稲荷さん……

アコノ  ごめん、気付かなかった。

はやて  えーと、アウト……やね?

エヴァ  どうだろうな。

 

 

エヴァ  漫画か?

アコノ  テニス玉の様子、だって。王子様とは随分違う。

エヴァ  ……名前が似てるだけ、なのか?

 

 

ちくわぶ ゲームで御座いますか。

カイゼ  やりたいのかい? だけど、このゲームは3人用なんだ。

ちくわぶ おお、その台詞を生で聞けるとは。

セツナ  本当に3人用ですけど。

はやて  3人用のリバーシやね。

ちくわぶ マスが6角のもので御座いますな、確かに3人用で御座います。

     いやはや、脛夫はこの様なものを集めていたという事で御座いましょうか?

カイゼ  さあね。

 

 

アリサ  ねえ、魔王みたいな事をする気は無いの?

エヴァ  無いな。

     というか、ゲームやらでありがちな、世界征服やらを企むタイプの魔王の話か?

アリサ  眷属やら従者やらって、色々な意味で人と違うじゃない。

     人と魔族みたいに対立すると、その頂点だから、魔王。違う?

エヴァ  まあ、そう表現する事は出来るだろうな。

     そうならないよう、色々手を打っているわけだが……

アリサ  それで、退治しようと勇者がやってくるわけよ。

エヴァ  魔王は確定なのか。

     そうなると……そうだな、とりあえず対立を解消するための交渉でもしてみるか。

アリサ  世界の半分を、とかって話?

     何かのゲームであった気がするけど。

エヴァ  そうだな。どこぞの魔王が勇者を勧誘する際のネタで使っていた、有名な話だ。

     勇者と魔王それぞれが支配する地の対立に変わるだけだ、とかでな。

アリサ  駄目駄目じゃない。

エヴァ  まあ、一時的であれば、やり方次第では悪い方法でもないぞ。

     話を聞かない人の王や、力や恐怖で支配する魔王が上にいるより、という程度だがな。

     交渉出来て国民が希望を持てる分マシだ、とは言えるだろう?

アリサ  それって、マシって言っていいの?

エヴァ  大勢の命に直接関わる争いが無いだけ、マシだろう。

     大航海時代と、第2次世界大戦と、冷戦。

     世界的に見てどれが平和に近いか、と考えると近いか?

アリサ  大航海時代って、植民地とか奴隷とかでしょ。大戦はあれだし。

     だけど、冷戦時代にも戦争はいっぱいあったわよ?

エヴァ  巨大な兵力の直接対決や、多数の奴隷を生み出す事が持て囃されるよりは少しマシだ。

     それに、仮に世界が1国の下に統一されたとしても、争いは無くならん。

     例えば資本主義社会は、経済戦争という名の戦いに明け暮れる運命を持つ仕組みだ。

     貧困層という奴隷の上に成り立ち、常に多くの敗者を生み出している。

アリサ  うーん……解決策って、無いわけ?

エヴァ  究極的には、無いな。統治や経済の仕組みが変わっても、別の問題が出てくるだけだ。

     結局はその時代に適しているのはどんなものか、という話になる。

アリサ  一番いいもの、ってのは無いわけ?

エヴァ  無いだろうな。

     地球や管理社会は、基本的に貨幣経済だ。だが、別荘には貨幣が存在していない。

     日本から貨幣制度を無くしたら、恐らく社会が成り立たない。

     今の別荘に貨幣制度を持ち込めば、維持もままならなくなる可能性がある。

     この時点で、一番が決められないじゃないか。

アリサ  ……別荘でお金って気にしてなかったけど、無かったの?

エヴァ  無いぞ。みんなで協力する、自分に出来る事をする、というのが基本スタンスだ。

     空間の維持といった、やらなければ致命的なものもあるしな。

アリサ  それでも、全員が同じ考えってありえるの?

     信者って感じだし、同じだって言われても納得しそうだけど。

エヴァ  それは無いな。

     そもそも、2人いれば、大なり小なり衝突はあるものだ。3人いれば派閥が出来る。

     あいつらは、意見の相違は徹底した話し合いで解決する方針らしいが。

     但しその根底に、私ならどうするか、という神聖視すらされる基準があるらしい。

     ……正直、迷惑な話だ。

アリサ  結局、神様やってるじゃないの。

エヴァ  本当に、どうしてこうなったんだろうな。

     いや、私の役に立とうとする服従属性のせいなのは理解出来るんだが……




漂流編の「3人の曙天の主候補」は、チャチャゼロの話の中にちらっとそれらしい人物の話が混じる程度になりました。
というか、この3人は「話」として成立させられる程膨らませられませんでした。


magician's operationについては、ぶっちゃけ曲ありきです。相変わらずボカロですので、ニコニコあたりでどうぞ。CD等での販売もあるそうです。
本文書いてた時の想定よりもエヴァと妹達がえらい苦労する羽目になった上に、ずいぶんくどくなってしまいました。どうしてこうなった(曲の影響をもろに受けたせいなのは確定的に明らか)。


シャマルのポイズンクッキング。
でも、こんなスパゲティを出す喫茶店が、名古屋に存在するらしいです。残念(?)ながら、体験した事はありませんが。


アリサとエヴァの会話は、アレです。
そういえばまおゆう(書籍版)の5巻を買ったまま読んでないなー、と気付いたらこんなん出来てました。うちのエヴァ、駄肉さんとは逆方向を向いてるなぁ……


次回(8/28)は設定資料、次々回(9/4)は解説その他です。
「蛇足=話の続き」はその次(9/11)からとなります。

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