話は駆け足でサクサク進む予定ですが、設定垂れ流しタグに相応しい感じでいきます。そして最後は俺達の戦いはこれからだ的な。
注意点:
妹達は相変わらず「原則としてフルネームを使用」しますが、「実質的なエヴァの家族」に関しては名前呼びを行うルールを追加します(本文の冒頭でもちょっと触れています)。
これは、テスタロッサ家入りで名前が長くなる(例:はやて・八神・テスタロッサ)為で、要するに「[・ミドルネーム]・テスタロッサ」と「八神」と「・チェブルー」が省略対象となります。
但し、「お姉様」「主」「
また、成瀬カイゼは居候扱いなので(妹達の判断的には)家族に含みません。
◇◆◇ 2005年(新暦66年)01月A ◇◆◇
お姉様達が“新テスタロッサ家、第1弾”に合意し、私達がお姉様の家族を原則名前呼びとすることを決めたちょっと後。
書と主の計6人が、新生最高評議会として正式に就任する事になった。
クリスマス前まで宵天の主扱いだったユーノ・スクライアは、無限書庫の司書長に。急ぎ過ぎだと思うけど、無限書庫正常化に関わり、検索機能を使用出来て、時間に余裕がある唯一の人物。無限書庫長を兼任するお姉様の補佐官として、他に選択の余地は無かったらしい。
ついでに、お姉様は元帥、他の2書と主3人は大将扱いになり、海の表現では提督と呼ばれる階級に。特進どころの騒ぎじゃないけど、立ち位置からいくと必要らしい。緊急時に指揮権を持つためとかいう建前で。
お姉様は就任の式典で挨拶をさせられた時に、意思決定機関としての権限破棄を宣言。
同時に挨拶をさせられた主、リインフォース、はやて、プレシア、
同時にプレシアと
曰く。
「管理局は家族経営ではない。頂点に立つ者達が1つの家族に限定されるのは問題ではないか?」
「こんな子供に任せられるのか?」
これに答えたお姉様曰く。
「嫌なら、早く代表評議会を成立させて不信任案を可決しろ。そうすれば、私達は速やかに最高評議会という立場を手放すと言っているし、そもそも頂点に立つ気が無いからこそ権限も破棄した。
この騒動の片棒を担いだ以上、組織が安定するまでは監視者として見守る気でいるが、それ以降はお前達管理世界の住人が主役を担うべきだ。その区切りが、代表評議会の成立だと考えている。
何を言いたいかというと、こんなところでグダグダ文句を言っているくらいなら、管理局の安定に貢献して、早く私達が持つ肩書を持っていけという事だ」
お姉様に立場に固執する気が無いから、言える言葉。
時空管理局は未だ組織改編の最中。それに早く目途を付けて、その時点で嫌なら追い出せと言ってる。挨拶の時に騒ぐ程度の人にそれが可能とは思えないけど。
根性が腐ってる連中がどれくらい組織改編に協力するか、楽しみ楽しみ。
◇◆◇ 2005年(新暦66年)01月B ◇◆◇
お姉様達が最高評議会に就任したという事は。
「というわけで、よろしくね」
リンディ・ハラオウンを隊長とする親衛隊が正式に赴任してくるという事であり。
「私もこちらに来ることになったよ。
いやぁ、楽しみだ」
ジェイル・スカリエッティが親衛隊技術部長に就任する事が明らかになり。
「只今戻りました、マスター」
ウーノ達の眷属化した戦闘機人が、親衛隊所属扱いで戻ってくるという事であり。
「これからも、お世話になります」
カリム・グラシアを団長とする近衛騎士団が派遣されてくるという事でもある。
もちろん、シャッハ・ヌエラとシルフィ・カルマンも団員として来てるし、今回は期間も長いから
ついでに、親衛隊技術部員としてマリエル・アテンザにも辞令が出てる。月の半分くらいは本局やミッドチルダにいる事になるらしく、今日は来てないけど。
おまけを言えば、地球在住の協力的な魔導師は原則として、親衛隊か近衛騎士団に所属するという事で落ち着いた。分け方は使用する魔法の方式も少し考慮するけど、本人の希望が最優先。
但し、守護騎士や防衛プログラムは別枠。最高評議会の個人戦力で、直轄部隊扱い。
セツナ、つまり眷属もお姉様の個人戦力だけど、貸し出しに近い外部協力と言う形で、親衛隊や近衛騎士団に協力する事になった。
「ある意味では今までと大差ない顔ぶれだが、まあ、よろしく頼む。
だが、クロノやヴェロッサは忙しいか」
「時空管理局は、まだ落ち着いていないもの。
もうしばらくかかりそうよ」
とはいえ、部隊としては活動する必要がある。
当面の体制として、現地拠点をハラオウン家に置き、アースラを親衛隊と近衛騎士団の合同本部として扱う事になったらしい。アースラの役目はこれに加え、地球と管理世界の間の窓口と、近隣次元世界の治安維持に協力する事があるらしいけど。
武装隊や騎士団を日本に常駐させるわけにもいかないし、魔法を使えてお姉様の手助け無しで使える拠点が必要だし、それなりの戦力を遊ばせる余裕も無いから、仕方ない。
おかげで、アースラにも私達が常駐する事に。
めんどい。
「聖王教会としても、地上部隊との協力体制を今後どうするのかで少々揉めていますから。
今まであまり交流してこなかった事もあってか、お互いが主導権を持つために牽制しあっていると聞いています」
「なんて解りやすい。だがまあ、私達が横から口を出す問題でもないが、あまりに長引いて治安が悪化したりするようなら、双方の責任問題にしてもいいぞ?」
「共にそうなる可能性を理解した上での駆け引きの様です。
むしろ、どちらがどこまで請け負い、どの様な責任を持つべきか、という線引きが最大の論点と聞いています。
それも双方の状況を見ながら数年毎に改定する方向ですので、制度の硬直も防ぐことは可能でしょう。ただ……どちらも、少々強気らしくて」
「舐められたくない、か。
気持ちは解るし、現場に無理がかからないならいいんだが……だからと言って、私が口を出す話でもないだろうな。
リンディ、この辺の話を雑談程度で伝えられるか?」
「ええ。本局と地上本部の風通りも少しは良くなっているから、問題ないわ。
だけど、効果は限定的よ?」
「無暗に権力を振り回すよりもよほどマシだから、これでいいんだよ。
そもそも、現場を知らない人間に妙な口を出される事も、確執の原因じゃないのか?」
「そうね。確かにお互いの状況を知らな過ぎた、とは言えるでしょうね」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)01月C ◇◆◇
「ちょっと待て、確かに本人が望んだ場合という事にはなっていたが、そんなに慌てて決める必要は無いんだ。もっとゆっくり考えた方がいいんじゃないか?
それに、お前の人生はお前のものだ。無理に私達に合わせる必要は無いんだぞ」
とある土曜日、八神家に遊びに来たフェイト達。
だけど、お姉様が予想していなかった事態にハッテン。
「そんなに考える時間なんてないよ。
それに、母さんやお姉ちゃん達の立場を考えると、私が弱点だと思われて狙われるかもしれないんだ。少しでも、弱点を減らさないと」
「いやまあ、言っている事は間違いじゃないんだが、どうして結論が私の眷属なんだ。
少なくとも
「母さんとは遺伝子検査でちゃんと親子だって証明出来たけど、お姉ちゃんとは法的なものしかないから」
そりゃそうだ。
実子のアリシアのクローンであるフェイトが、遺伝子的に無関係と判断される確率は恐ろしく低いし。
お姉様とフェイトは、プレシアを母とする義姉妹という形。
外見的には実母のプレシアより、金髪繋がりのお姉様の方が似てる気もする。
赤目繋がりのリインフォースでも可。
元々他人だったわけで、普通ならこれでも充分以上の様な。
「ええと、それは、ありがとうと言っておくべきところか?
とりあえず、私の眷属になった場合の問題点をいくつか挙げておくぞ。
人でなくなる。私以外の理由で死ねなくなる……というか、本質的には一度死ぬ事になる。その後私の眷属として作り変えられるわけだが、不死者らしく成長も止まり、子も産めなくなる。
それに、友人達に置いていかれるのは、辛いぞ? 不死の根拠が別だと、私と
「家族の殆どが普通の人じゃないんだから、今更だよ。私ももうすぐ10歳になっちゃうし、これ以上背が伸びたら、お姉ちゃんをお姉ちゃんって呼べなくなりそうなのが心配なんだ。
この世界にいる時はまだ大丈夫だけど、管理世界向けは元の姿だよね?」
これ以上って、お姉様は既に身長で負けてるけど。
現時点で、差が付きすぎるのを防ぐ程度の効果しかない。
「私の体格は昔基準のようだし、個人差が大きい部分だ。見た目の年齢などあてにならん。
そもそも、生まれという意味ではリインフォースが最年長で、本来なら私の姉なんだ。呼び方など記号や愛称のようなものだから、気にしなくていいぞ」
「みんな気にしなさすぎだよ。私は、私に出来る限りで、普通の家族に近付けたいんだ。
お姉ちゃんが、家族って言ったんだよ」
普通って何だ。
当たり前のように見受けるって事さ。
テスタロッサ家の普通って何だ。
不老不死って事さ?
つまり、テスタロッサ家は普通じゃない。
その中で、今はまだ普通の範疇に見える“姉妹の関係”を維持したがるフェイトがいじらしい。
「……またか。またブーメランなのか。
とりあえず、あれだ。少なくとも、プレシアの許可が取れたらだからな?」
「うん、解った」
「それと、もう1つ条件を付けてみるか。
普通の家族を目指すなら、普段からそれくらい言えた方がいいんじゃないか? 家族に何か頼む時にも真剣に集中してないと赤くなるのは、普通と言えないと思うが」
「え……そ、そうかな……」
どう見ても、集中が切れた。
というか、もう赤くなってる。
お姉様のブーメラン返しは成功したけど、何この赤くてもじもじしてる可愛い生き物。
◇◆◇ 2005年(新暦66年)02月A ◇◆◇
「親衛隊を増員だって?」
リンディ・ハラオウンを経由した、レティ・ロウランからの連絡。
ミッドチルダの地上本部からも、連絡役を兼ねて人を送りたいと強く要望されているらしい。
主要任務は、違法な渡航者や密輸に関する連絡と可能な範囲での対策、となってる。
ここが管理外世界だからこそ、何らかの人員が必要だろうという建前。今後戦力を持つなら、侵入後に地上で捕縛する部隊になるだろうけど。
「陸の連中としても、私達の顔色を伺うパイプが欲しいという事か?
連絡役に限定するなら問題ないだろうが、こっちの国の反応が問題になるかもしれん。忍達にも確認して、問題が無ければ許可する方向でいいか」
という会話から、1週間。
地球に常駐する時空管理局への窓口という扱いで、割と簡単に各国の裏側に存在を認められた。
ついでに、近衛騎士団は聖王教会への窓口扱いに。
共に、今までは連絡する手段が無い地球側の組織がほとんどで、手段があっても色々と面倒だった事、時空管理局の権力構造で最上位に近いお姉様達が地球寄りの立ち位置になり、その護衛ついでに違法魔導師の対策に動ける戦力が貸し借りにならずに常駐するという事で、意外なほどの歓迎ムード。
諸手を挙げて、親衛隊と近衛騎士団の戦力常駐が認められるほどに。
今までどれだけ迷惑をかけていたんだと、お姉様が思わず突っ込みを入れたほどに。
日本に窓口として機能する会社の設立を要求され、その準備に支援を受けられるほどに。
ちなみに支援を渋ったのは、グレアムという窓口を持つだろうイギリスや、その他数か国。経済的または人的に苦しそうな小規模の組織は、仕方ない。
私達としては、結果的に使い魔達の無難な就職先(という名目の増員理由)も確保出来るし、問題ない。人や資金は何とかなっても、法的な面は色々面倒だから、その方面での支援は有難い。
ついでに主とはやての治療に関して、石田医師へも裏から手を回してもらえることに。既に薬品の組み合わせの情報は渡してるけど、それとは別口での説明やらが行われる模様。
そういった話の結果として、お姉様達の前に現れたのは。
「ミッドチルダ陸上警備隊第108部隊所属、ゲンヤ・ナカジマ二等陸尉であります」
戦闘機人の父親で日系人、来たー。
予想はしてたけど。
StrikerSよりは若く見えるけど。
20歳を超えたくらいの筈のクイント・ナカジマと比べると……。
年下趣味と弄るべき?
「やっぱりお前か……とりあえず、礼儀は気にせんというか面倒だから普通に喋れ。
知っていると思うが、私が最高評議会の議長なんぞをやっているエヴァンジュだ」
「最高評議会評議員、リインフォースだ。
厄介な立場になってしまったようだが、必要以上に気を張る必要は無い」
「いえ、公私の区別はけじめとして必要です。
私的な場でない以上、気を抜くわけにはまいりません」
「やれやれ、私は公の部分を投げ捨てたいんだがな。
ところで、選ばれた理由に心当たりはあるか?」
「祖先が当地の出身者であることから、家族を残して単身赴任するというカバーストーリーを用意しやすかったため、と聞いております」
「ふむ……まあ、建前としては充分か。
スバルとギンガの件も影響していると思うがな」
「娘2人が、ですか?」
「今の戦闘機人を技術的に完成させたのは、ジェイル・スカリエッティだからな。
前の最高評議会に反旗を翻し、管理局の闇を暴いた元犯罪者だが……今はこの世界にいるぞ。というか、親衛隊の技術部長だ。
こいつの支援をする為に動いていたのがレジアスだから、良い環境を提供して罪悪感を紛らわせるとか、痛い腹を抉られるのを避けるという意図もありそうだな」
「そ、それは……」
「エヴァンジュ、そこまで言って良いのか?」
「知らなかっただけで、現実を見れば関係者だからな。真実を知る権利はあるだろう。
とはいえ、経緯はどうあれ、2人の調整が高いレベルで可能な環境がここにあるのは確かだ。今までメンテナンスに関わっていたマリーも親衛隊に所属していて、こっちに来ている事も多いか、慣れた相手がいる安心感もあるか。
それに、他の戦闘機人もいる。孤独を感じさせない効果も期待出来そうだな。
他にも思惑はあるだろうが、お前が選ばれた理由はそんなところだろうから、機会があったら連れて来ていいぞ。ご先祖様の出身地だ、全く興味が無いわけでもないだろう?」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)02月B ◇◆◇
話というか方針は確定していた、陸士訓練校への留学について。
フェイトが1か月、アルフとザフィーラが3か月の予定で、最終決定。
トーレが親衛隊に所属した事や、近衛騎士団に数名の若手騎士が加わった事も、必要な戦力はあると見なす根拠になったらしい。
それでも、相当無理がある超短期育成コース。
就任間もない最高評議会の家族。厳戒態勢で護る事になるけど、それを維持出来るギリギリの期間らしい。
「本格的に、犬の手も借りたいらしいな」
「人員として数えられておらず、確かに手が空いているように見えるのだ。仕方あるまい」
「だね。まあ、ちょちょいと行って、さっさと帰ってくるよ」
「駄目だよアルフ。ちゃんと学んでこないと」
お姉様と留学組は、必要な書類の準備をするために集まってる。
ついでに。
「エヴァンジュお嬢様ぁ、こっちの学校への説明と手続を完了しましたぁ。
随分と聞き分けがいい相手でしたねぇ」
私立聖祥大学付属小学校への説明から帰ったクアットロが、終了報告。
もちろん、主役はプレシア・テスタロッサ。クアットロは補佐というか、説明要員。
「若干だが裏側関係に理解があるらしいし、外国人設定だからな。故郷での資格取得で必要になったという建前は通しやすかったんだろう。
半分以上は春休みを使う事になったが、済まないな。せっかくの休みを勉強で潰した上に、学校にも影響が出てしまった」
「ううん、ちゃんと、みんなの役に立てる事だから」
「気負いすぎるなよ?」
「それを言うなら、お姉ちゃんは過保護だからね?」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)02月C ◇◆◇
「一度ミッドチルダに戻る?」
「はい。着任早々なのですが、予言が可能な時期が迫っていますから。
その際に、ヴィヴィオさんも聖王教会の方へ来て頂こうかと考えています。解読に協力して頂けると非常に助かりますし、運よく時間が取れた人達と話す機会があってもいいのではないでしょうか」
カリム・グラシアの予言能力、その行使条件。
月の魔力が云々という話だけど、丁度いい調査機会?
というか、何だか黒い。流石StrikerSで機動六課の後ろ盾になれるだけはある。
運よくの後に、話を聞いてとかの言葉が隠されてる可能性しか思い付かない。
「運とは、お前との仲の良さか?」
「否定はしません。私が気持ちよく付き合える相手であれば、私が身近な人と話す声が耳に入る機会があったり、私の言葉の裏の意味も理解しやすかったりするだけですから。
エヴァさんのやり方も、割と近いですよね?」
お姉様の方針的には、確かに似てなくはない。
カリム・グラシアも何だか染まってきてるような、本性が出てきたような。
「否定はしない、と真似して言っておくか。
予言は確か、年に1回程度だったな。ついでだ、私も同行するか? せっかくだから、予言の魔法を見てみたい」
「そうですね……簡単に再現出来るとは思えませんし、悪用する必要があるとも思えませんから、見て頂く事は問題ありません。
ですが、最高評議会議長がお忍びで聖王教会に、という件が広まるのは、あまり好ましくない事態になりそうです」
「心配するな、その程度は弁えている。元の姿しか広められていないようだから、こっちの大人モードなら気付く連中はそういないだろう。
私も行くなら、直接ミッドに送ってやってもいいが。その方がヴィヴィオを隠しやすいぞ?」
「それなら大丈夫でしょうか。
ですが、移動は正規の方法で行います。そうでなければ、運よく気付く事も出来ませんから。
異世界渡航に関する手続きはこちらで行っておきますが、観光などで滞在したい場合は日程を調整する必要がありますから、早めに仰って下さいね」
というわけで、お姉様達はミッドチルダ入り。もちろん、大人モード。
魔法関係を知るヴィヴィオの友人として、観光に来たという扱い。
おかげで大騒ぎにはなってない。けど。
「……何故、こうなったんだ」
「あら。お気に召しませんでしたか?」
「私の精神は男性を基本としている、と言ってなかったか?」
「ですが、あれを見てしまえば、やはりこれしか思い浮かばなかったのです」
「だからと言って、どうして名前がキティ・マクダウェルなんだ!
くそっ、こうなるならネギまを見せるんじゃなかった!!」
人目に付かない場所、具体的には空港のVIP用休憩室に着いてから、お姉様が大騒ぎ。
理由はカリム・グラシアが用意した、お姉様大人モード用の渡航査証。
「ですが、エヴァンジェリンでは名前から疑問を持たれる可能性があります。エヴァさんと呼びかけてしまえば、必要以上に周囲の関心を引いてしまうでしょう」
「キティとは、猫や子猫の意味でしたね。
可愛いと思いますよ」
目元を除く表情だけは大真面目なカリム・グラシアと、ニコニコしてるヴィヴィオ。
結局、2人とも笑ってる。
「アタナシアかエカテリーナでいいだろうが!」
「色々秘密にされた意趣返しですから。ですが、アタナシアはともかく、エカテリーナは何処から出たのでしょうか?
見せて頂いた作品には無かったと思いますが」
「……キティの部分は、本来この名前だった、はずだ」
お姉様の目が泳いでる。
漫画じゃない派生商品に付属した仮契約カードが根拠……ではなく、ネギ入り闇の魔法の巻物にも書いてあるから、間違いなく原作設定。
お姉様達は気付いてないみたいだけど。
「その辺は、また追々という事に。
そろそろ時間ですので、行きましょうキティさん」
「だからその呼び方は止めろ!」
何だか長身マッチョになった白い子猫を想像しそうになりながら、一行は聖王教会へ。
突然現れた聖王に、大騒ぎ……になる事も無く、裏口からカリム・グラシアの執務室へ。別に顔とかは隠してないけど、人との接触を避けられるよう、色々調整してあった模様。
「さて、ここからはどうするんだ?
ヴィヴィオは運のいい連中とのお話だろうが」
「ふふ、そろそろ時間なんです。
始めてしまいますよ?」
「……予言か。
私はいつでもいいが、よくここまでギリギリのスケジュールで動いたな」
「いえ、もう少し余裕がある予定だったのですが、予定より遅れてしまいました。
ヴィヴィオ様も宜しいでしょうか?」
「はい。私は見ているだけですから、いつでも」
というわけで、予言開始。
と言っても見た目的には、紙が舞い、その表面に文字が現れるだけの、地味なもの。
過剰な演出は、無かった。ちょっとがっかり。
「ええと、この様な感じなのですが……」
それでも、何が必要で何をやってたのか、その一部は判明。と言うか、ジュエルシードが妙な反応をしてたのが鬱陶しかった勢い。
前提として、発動には大量の魔力が必要。加工された魔力はあまり効果的でないようで、人為的に魔力を振りまいても難しそうな感じ。
月の魔力がいい感じに満ちた状態になる事で、必要な条件を満たせると判断。
魔法の内容は恐らく3系統。細かい補助魔法も多数含まれる模様。
その内1つに、お姉様の未来を見る魔法との類似点がある。内容は恐らく、未来に見える並行世界の情報を何度も観察する事。ジュエルシードに反応があったのもこの部分。細かい情報を多数集める事を主眼に置いてるらしく、広く浅く、参照先を追い切れない程に手を伸ばしてる。
情報収集がもう1つ。これは無限書庫に特殊な接続をしてる。管理システムではなく、蒐集システムに寄生する事前解析処理の結果を取得する模様。
最後は、これらの情報を詩文形式に纏める処理。お姉様のコンピュータシステムに割と近い実装も含まれてる模様。
どれも、かなり大きな魔力を使用するし、特に並行世界の観察時は繊細さも要求される。
かなり特殊な適性と、それを引き出すデバイスがあるからこそ行使可能な魔法だと確認出来た。
「……意外な結果が出たな。
まさか、限定的とはいえ並行世界の参照を実現しているとは……」
「そうなのですか?」
「ああ。未来を見ているつもりなのだろうが、参照先は間違いなく並行世界だ。
そのペンダントが専用のデバイスのようだが……それは知っていたか?」
「はい。適性があるからと、私が継承したものです。
グラシア家に、稀に現れる資質だと聞いています」
「だろうな。かなり特殊で、闇雲に探しても資質持ちを見付けるのは難しいだろう。
ヴィヴィオ、そろそろ読めたか?」
お姉様は、魔法が終了した後で現れた詩文を読んでたヴィヴィオの方を見た。
今回出たのは、3枚。
「日時や場所の特定は難しいですが、何が起こるかは概ね読めましたよ。
1つは気象災害による被害の発生を、1つは何らかの組織が暴走する事を示すようですね」
「管理局や聖王教会としては、無視出来ない情報か。もう1つは?」
「それが、どう解釈すべきか難しいのです」
ヴィヴィオが出してきた1枚は、文字数は割と少ない。
でも。
『隔たれた地を渡り、消えゆく絆が受け継がれる時
旅人は新たなる命を得る
親愛なる者達が自らを導き、闇の船を砕く光の剣と成す事で
未来は鎖から解き放たれ、新たな時を刻み始める』
……
予言の際に数個しか追えなかったから、どんな並行世界を参照したのかは不明。少なくとも、追えた並行世界の情報にそれらしいものは拾えなかった。
時系列的に、次はStrikerSだけどブレイク完了済み。闇の船に相当しそうな最高評議会は既に裁きを待つ身だし。
Vividはヴィヴィオがオリヴィエで既に成人間近だし。
お姉様があまり知らないForce? フッケバインの艦?
中途半端に知った分、やけにもどかしい。
「私達に関係するかも不明なんだ、世界を占った結果とでも思っておけばいいさ。
カリム、これからの予定は?」
「この予言を持って、グラシア家と関係者が集まる会議に出席します。
ヴィヴィオ様には来て頂きたいのですが、キティさんはどうしますか?」
「その名前は止めろ、しつこいと戦闘機人風の姿を作ってキディとか名乗るぞ?
とりあえず身分を隠している以上、会議に立ち入るわけにはいかんだろう。教会がどんなものなのか、観光がてら見させてもらうさ」
「そうですか。それでしたら、案内にシスターを付けましょう。
お一人で動かれて、しつこい男性に絡まれても大変ですから」
ヴィヴィオの関係者だと証明して、変な手を出させない壁役も兼ねると思うけど。
でも、一番の本音は、お姉様の監視役だと思う。
「……そうだな」
親子が遺伝子調査で「確実に無関係である」と判断されるのは、あり得ない事例ではないらしいです。なので「母子が無関係と判断される事が無い」とは、妹達としては言えないのですよ。
具体的には、二卵性の双子が胎内で融合しキメラになっていた、つまり卵巣と調査で取得したサンプルが別の遺伝子となる母とその子の事例があるそうです。知らない間に姉妹(遺伝子的な意味で)の子を産んでいて裁判沙汰になった事もあるとか何それ怖い。Widipediaの「キメラ」でも、「真のヒトキメラ」という言葉にちょっと触れていますね。
キディは、フェニルって姓の人で。これも相当に古い漫画ですねー。
解説の後書きにも書きましたが、ネタと仕事の都合により、当面は隔週での投稿を予定しています。
2015/01/04 起動6課→機動6課 に修正