◇◆◇ 2005年(新暦66年)09月 ◇◆◇
ゼスト隊やナカジマ家の人(ゲンヤ・ナカジマを除く)が帰り、入れ替わるように陸や海の尉官や下士官が派遣されて来た頃。
お姉様はアルフとザフィーラに指導を任せて、別荘に引き籠る気が満々。
実技指導にはセツナ達に加え、小学校に通わされて不機嫌なヴィータも一人前扱いを目的に大人モードで参加するみたいだから、特に問題は無いと予想。
最高評議会としての仕事も、私達が調べた結果の資料だけで充分回せるから問題なし。
「これでようやく、本格的に能力の解析を始められるな」
ここまで研究開始が遅れたのは、対ナハトヴァール戦でアルカンシェルを地表近くに打ち込んだ第108無人世界ルスターを、お姉様の実験場として使う許可が出るのを待ってたから。
別荘や地球、その他人の住む世界でやるには色々ヤバい可能性がありそうだったし、最高評議会なんて肩書が付いたせいで、好き勝手に使用するのも問題だと自重してた。
ルスターは元々人が住める環境ではなかったけど、マントル層まで抉れた関係で酷い状態になってる。近くに有人の世界も無いため、お姉様の“人が活動出来なくてもいいから、何かあっても被害が小さくて済む次元世界で自分の状態を確認したい”というオネガイに応えて差し出された形。
「理由は何でもいいさ。
世界の魔力的なナニカ、並行世界、世界の書き換え。どうやったら何が出来てしまうのか、何が起こってしまうのか。知っておかないと怖すぎるからな。
この世界の利用は実質無期限だ。慎重にやるぞ」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)10月 ◇◆◇
「いや、地球の米も作っていたのは知っていたが……」
お姉様は、別荘で収穫されたばかりの米を前に、困ってる。
「こんだけあると、試食だけでも大変や」
「インディカ種まであるのは予想外だよ。
パエリアやピラフとかに合うはずだけど、あんまり使った事は無いんだよね」
はやてと黒羽早苗は、嬉しそうに色々を準備していて。
「種類ばかり多くても、迷うだけよ。
来年からは、せめて数種類にしてもらえると嬉しいのだけれど」
「初回なのですから、こちらの風土に適合するものを選別する必要もあります。
風味の変化もあり得ますから、調査データとしては有効でしょう」
プレシアとウーノは半ば呆れながら、それでも準備に参加していて。
「まあ、美味しそうだからいいんだけど」
夜月ツバサも連行されていて。
「美味しいからと食べ過ぎてしまうと、後が怖いわね」
「少なすぎると、味を判断し辛いですよ。悩ましいところです」
リンディ・ハラオウンとヴィヴィオも手伝いという形で参加して。
「どうして私達はお皿の準備だけなんですかっ!
私だって、最近はお料理出来るんですよっ!?」
「私はポイズンクッキングとか言われちゃってるから、しょうがないけど……」
「私も役に立てないどころか、お皿の準備を手伝う事しか出来ないのですよ。
任される事柄がきちんとあるのですし、レシピ通りなら上達していると言われていたでしょう?」
「うう……材料から料理を考える時は昔の癖が抜けてないから駄目って、酷いです……」
シャマルと高町美由希が半泣きで皿を出してるのを、カリム・グラシアが慰めながら手伝って。
「はっきり言って、なのはやフェイトより下手なんだから。
ああ言われても仕方ないじゃない」
「アリサ、はっきり言っちゃ駄目だよ」
「アリサちゃんだって、そこまで上手くないよっ!?」
「なのはちゃん、余計にショックを受けてる人がいるから……」
「みんな、がんばってー」
月村すずか改め、すずか・月村・テスタロッサは本来招待する側だけど、今も月村家在住。仲間と一緒的な意味でこのグループに。
住処は未だに、目処が立ってない。正確には、土地絡みでクリアすべき問題が残ってるらしい。
「しかし、これだけ生産出来るとなりゃあ、あれだな。
親衛隊や近衛騎士団に卸すだけじゃなく、ミッドとかにも輸出出来るんじゃねぇか?
この世界の食い物の人気が上がったせいで密輸しようって馬鹿が増えてるらしいんだが、供給が増えりゃあ少しは減るだろ」
「だが、土地はあっても人手が少ない。しかも、限られた人物しか住む事を許されない地だ。
すぐに増産する事は難しいのではないかね?」
ゲンヤ・ナカジマが仕事の顔で考えてるけど、別荘の人手はそこまで多くない。ジェイル・スカリエッティの考察は間違ってない。
機械やら自動人形やらを増やせばどうとでもなるけど。
「訓練やらで使うのはまあいいとしても、移民やらを受け入れる気はないからな。そもそも、価値観やらが違い過ぎる。
だが……管理世界と無関係のままと言うわけにもいかんだろうし、交流の一環としてはアリか。
農業用の自動人形を増やすべきか?」
お姉様の呟きに、お茶の準備をしていたノエル・K・エーアリヒカイトと馬場止平の動きが止まった。
心配そうに、月村忍と馬場鹿乃を見てる。
「大丈夫よ。勝手に改造する人じゃないわ」
「そ、そう、だよ……な?」
「技術面は一部参考にするかもしれんが、改造だろうが製造だろうが、こっちだけで完結する。
役目を持つ者を奪ってまでやることは無いぞ」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)11月A ◇◆◇
「とりあえず、要望通りに組み上げたつもりだが、どうだ?」
「うん、デザインは要望した通りだし、大きさもぴったりかな」
現在、別荘の訓練場にいるのは、お姉様とすずかの2人だけ。
要するに、完成した専用デバイスの説明なう。
StrikerSのキャロやルーテシアのデバイスに近い、手の甲に紫色の丸い宝石がある白いグローブがメインユニット。
曙天の指令書に似た、魔道書型の大容量カートリッジユニットをサブユニットとして使用。
待機状態はレイジングハートを紫色にしたようなペンダント。
色々サポートする為に、人格搭載型。魔力不足でお姉様の入門用デバイスも使えないし。
これらを使用可能とするため、低出力の人工リンカーコアを用意して、人格や格納領域の維持と起動魔力の確保、ついでに緊急時の保護を兼ねたカートリッジ無しでの簡単な魔法の使用可能とする。
実は従者にも強引に魔力を供給する事が可能だと判明してるけど、適性やらお姉様の手間やらを考えて、原則として行わない事になってるし、単独運用の為にも魔力の確保が必要。
この辺までが、以前相談しながら決めた内容。
ここからは、お姉様に任された仕様。
世間に色々ばらしたこともあって、アルハザード式を基本に、ミッドチルダ式も組み込んだハイブリッド構成に。アルハザード式に含まれる真正古代ベルカ式も行使可能で、熟練したら古代ベルカ式として使った方が、効率が良くなる。
魔道書型カートリッジユニットはもちろん紋章式で、333頁×4冊構成。
なんて贅沢な仕様なんだー(棒読み)。
非魔導師を魔導師化するフルカスタムデバイスの代表例になりそうだけど、後々変な影響が出る可能性は気にしちゃいない。
どうせこんな高コストの特殊機、量産されるなんてありえない。
「魔力が無い分カートリッジは多くしたが、同時使用数に制限を付けてあるからな。
あと、氷結の変換資質に近い特性が確認出来たし、それに合わせた変換や増幅機能も何とかなった。冷気や氷は物理的な力を持つから、扱いは注意しろよ」
「うん、解った。
えっと、この子の名前は?」
「そういえば決めていないな。
今から私が付けるのもあれだ。好きに付けていいぞ」
「それなら……えっと、氷の力を持つ白いデバイスと、曙天に似た書だから……スノーホワイトと
レイジングハートと曙天の指令書にあやかってる感じ?
お姉様の、ネギまと軍艦と酒に塗れた名付けよりは、絆を感じるかもしれない。
こうして並べると、
(やかましい!)
「うん、いいんじゃないか?
人格が維持出来る程度の魔力はデバイス自身に持たせてあるし、起動もそれを使っていつでも可能だ。
今までみたいに、魔力を使い切ったら起動も出来ない、みたいな制限は無くしているし、先生役としての情報も色々持たせた。
一緒に住めるようになるのは、まだだいぶ先になりそうだしな。別荘や道場に来ない日は、これで練習するといい」
「うん。よろしくね、スノーホワイト」
『お任せ下さいまし、マスター』
◇◆◇ 2005年(新暦66年)11月B ◇◆◇
「進路か……自由に決めていい、と言いたいところなんだがな」
「割と近い内に、引っ越す事になるからね。
それに、裏に通じたところの方が色々と楽なはずだよ」
「あと、ある程度近い場所に集まった方が、都合がいいですよね?」
というわけで、八神家のリビングに集まって、相談しているのは進学について。
来年度に、セツナが高校に、成瀬カイゼが中学に進学する。
成績やお金に問題は無い。論点は、何処に行くか。
普通は問題にならない点が、問題として絡んでくる。
「それで、聖祥大の付属が第1候補か……確かに少しは裏に通じていたし、フェイト達も近くにいる。私立だから、中学生で少しくらい遠距離でも浮くことは無い、と。
確かに、その意味では候補として間違っていないんだが」
「問題が無いなら、ええと思うよ。
それに、新しい家の予定地って、リンディさんとかなのはちゃんの家の近くって話や。
ここの近くの学校にすると、引っ越した後が面倒になってまうし。転校するにも微妙な距離や」
はやては、私立聖祥大学の付属校に賛成の方向らしい。
反対する理由も特にない、とは言える。
「だがまあ、中学はともかく、高校は進学が主目的の普通科だ。
カイゼはともかく、セツナは将来どうしたいかも考えた方がいいぞ?」
「将来、ですか……日本で過ごす時の表の顔、みたいな感じですか?」
「裏とは切っても切れない立場ではあるが、無理に裏を中心に考えなくてもいい。
士郎だって、今の本職は喫茶店のマスターだ。御神流の剣士としての実績や実力は消えていないが、その活動は恭也や私達への指導程度しかしていないぞ。
魔法の練習も、趣味の範疇だしな」
「それはそうですけど、ええと……」
「すぐに思いつかないなら、大学を目指すのもいいんじゃないか?
その頃までに、何をしたいか考えておくといい。最低限、理系か文系か、くらいは決めておく必要はあると思うが」
「そうですね……もう少し、考えてみます」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)12月A ◇◆◇
旧最高評議会の逮捕から1年が経過した頃。
日本では、ゆっくりまったりと状況が変わってる。
主とはやても自分の足でそこそこ歩けるようになって車椅子からの脱却に成功してるし、新テスタロッサ家第2弾として、守護騎士3人がテスタロッサ姓に変わってる。
当然の様に、ミドルネームは八神。
守護騎士で1人戸籍の無いザフィーラの背中が煤けてた気がしたり、立場が近いせいか慰めてるアルフとの距離が妙に近い気がしたりするけど、とりあえず細事という事にして。
何より、ようやく住居についての目途が立ったというか、建築に向けた作業にこぎ着けたのが大きい。というか、古い社宅かアパートを潰すという方針は早々に決まっていたものの、候補が複数あった上に、住人の立ち退き交渉や新居の手配に時間がかかってたらしい。
実際は、恩を売りたい組織同士の駆け引きが長かったようだけど。
とにかく、使う土地が確定。新テスタロッサ家の住居に加えて関係者向けの住居も含む、思ったより大きな建物、具体的には5階建てのマンションに似た構造になる事になった。
加えて、様々な国や組織から要請された、連絡用の事務所が入るビルも割と近くに準備。
要請に併せて土地やら資金やら裏世界を知る業者やらが提供されたりして、現在設計なう。
そこそこ広くて、アースラ現地拠点や高町家に近い場所なのはいいんだけど。
管理人が住み込みで常駐する構造なのもいいんだけど。
断熱やら遮音やらに凝った上で、ヒートパネルやらを色々使った集中冷暖房になるのもいいんだけど。
冷暖房の設備に魔法を使うのもいいんだけど。
光熱費関係の偽装を兼ねて、屋上に太陽光パネルを配置するのもいいんだけど。
通信関係がやたら贅沢なのもいいんだけど。
戦闘機人12人+変態博士を想定した部屋があるのも、放置は怖いからいいんだけど。
テスタロッサ家だけで2階分使うのは予想してなかった。吹抜けや屋上の部分があるらしいから、上の階を丸々使うわけじゃないけど。
図面の草案を見たら、1階に5家族程度が入れる大きさなのに。
LDKだけで1家族が過ごせるくらいの広さがあるのは、はやての希望だからいいとして。
浴室だけで30帖くらいに見えるってどういう事?
脱衣場も合わせると、管理人の住居部分に近い面積だよねこれ。
全部が廊下に面してるわけじゃないけど、30くらいの部屋数ってどうなんだろう。
気合い入れ過ぎ。そんなんだから2年くらいかかる見込みとか言う羽目になるんだよっ!
お姉様やはやて、プレシアまでノリノリだったから、何も言えないけど。
「ドクター、只今戻りました」
そんな中、チンク、セイン、ディエチの保護施設に入っていた戦闘機人3人とギル・ガーメスがアースラにやってきた。
更生プログラムを滞りなく終え、態度にも問題が無かったという事で、戦闘機人はジェイル・スカリエッティの下に、ギル・ガーメスは故郷に帰る手続きが通ったらしい。
もっとも、ギル・ガーメスについては、今後どうするか相談するだけらしいけど。日本では殺人の容疑で指名手配されてるし。
「お帰り。管理局の生活はどうだったかね?」
迎えに来たのは、もちろんジェイル・スカリエッティ。
近くにはオペレーションや受付業務担当の局員がいる程度で、他に誰かが来てるわけじゃない。
「特に何も。
程々に勉強し、程々の自由がありました。もう少し体を動かしたいとは思いましたが、それだけです」
代表で答えてるのは、チンク。
姉としての矜持か、先頭で堂々としてる。
「そうか。
さて、今後どうするか決めたのかね、ギル・ガーメス?」
「正直、色々信じられない情報ばっかりで、混乱してるんだが……
今の最高評議会の誰かと、話せないか?
少し、話を聞いてみたい」
「そうですか。では、私など如何ですか?」
「……は?」
ギル・ガーメスが喋ってる間に、背後に
怪しい、さすが
「おや、私も最高評議会の一員なのですが。
ちなみに、原作知識持ちの転生者ですからね。話は通じますよ」
「そ、そうか。アルとかクウネルとか呼んだ方がいいのか?」
「いえ、公開している情報通り、クーネですよ。
姓が変わってしまったので、面白味が減ってしまったのがちょっとだけ残念です」
「へぇ……ええと、知ってるみたいだけど、俺はギル・ガーメス。見ての通り、ギルガメッシュの偽者みたいな感じだ。
あんたはアルビレオっぽい見た目だし、クウネル・サンダースに似た名前になったのか」
「いえいえ、自分で名付けたのですよ。
その時の名はクーネ・ルアソーブです。いい名前でしょう?」
「いい……あー、うん。イイナマエデスネー」
「見事な棒読み、流石です。
さて、聞きたい事があるようですが、何でしょう?」
「……原作って、どう思ってる?
俺は最初、特典使って将来有望な美少女ハーレムでウハウハだと思ってたけど……現実は甘くないよな?」
「そうですね、望ましいなら手繰り寄せ、望ましくないなら避けるための情報を得られるかもしれない参考資料、といった所でしょうか。
原作関係者との関係を求めた時点で、求めなくとも関係を持ってしまえば否応なく、改変に手を付けるという事ですからね。何も変化しない事を期待してはいけませんよ」
「だけど、プレシアやリインフォースが生きてるって事は、誰かがそうなるように手を出したんだろ?」
「ええ、その2つに関しては、エヴァちゃん……今の最高評議会の議長が頑張ってくれました。
公開されている写真を見たなら解ると思いますが、エヴァンジェリンに似た転生者ですよ」
「そりゃまあ、解りやすかったけど。
何かすげーチート臭い実力じゃないか?」
「10年くらいは寝食娯楽を完全に投げ捨てて、研究と鍛錬に没頭していましたからね。
その後も食事はとるようになったそうですが、睡眠は投げ捨て続けていたようですし。普通の人が真似をしたら、数日で病院に連行されるレベルだったようですよ。
そこまでして自分のものにした力ですが……欲しいですか?」
「いや……無理だろそれ。
だけど、結果的には人生勝ち組みだろ?」
「それを本人に言ったら、是非替わってくれと言われますよ。
エヴァちゃんは必要に迫られて力をつけただけですし、原作介入も姉であるリインちゃんを助けたかっただけですからね。地位なんて飾りか足枷としか思っていません。
防衛プログラムが予想外だったため実現出来なかったのですが、エヴァちゃんは表に出ないまま隠居するつもりでしたからね」
「うわ、なんて勝ち組の思考回路。
聞きたいんだけど、嫉妬とかしなかったのか?」
「私がですか? あり得ませんね。
可愛いは正義です。必死な姿を美しいとは感じますが、嫉妬するなど侮辱の極みですよ」
「駄目だコイツ、腐ってやがる」
「早すぎましたね。時代が追い付いてないようです」
「晩婚化に逆行しそうな性癖が何言ってんだか」
「いえいえ、Yesロリータ、Noタッチが信条ですので。
まあ、私は私です。資料の海で溺れたかっただけの私が、何の因果かこんな力を持ってしまいましたからね。
力を求めなければ、嫉妬する必要などありません。守りたいものも色々増えましたが、守れるだけの力は持っているつもりですし。
様々な世界の文化に触れるのも楽しいですし、私は満足していますよ」
「へー……自分は自分、か……」
「そうそう、転生特典が不要なら、エヴァちゃんに相談してみるといいですよ。
特典の破壊方法も判明していますし、縛られたくないならそういう手段もあります」
「……ま、まあ、それはいいや。
というか、本当に神だな……」
「本人は心底迷惑そうでしたが、能力的にはそう言っても良さそうではありますね。
それで、答は得ましたか?」
「うーん……日本に戻ったら犯罪者だしなぁ。
そういや、俺が殺しちまったクルトっぽいやつって、どんなのだったんだ?」
「どんなの、とは?」
「いや、真っ当なやつだったのか、昔の俺みたいなやつなのかで、気分的にちょっとな……」
「聞いた話ですが、部活では割と中心的な人物だったそうですよ。
ジュエルシードを狙ったあたりは、オリ主様的な思想もあったようですが」
「……悪人じゃない、って事か?」
「世の中には悪意しかない悪人や、どこを見ても腐っている人間など、そういないものです。
お手軽な善悪の区別など、現実的ではありませんよ」
「まあ、そんなもん、なんだろうな。
とりあえず、何となく理解出来たような気もする。うん、もう少し相談してみるわ」
◇◆◇ 2005年(新暦66年)12月B ◇◆◇
ギル・ガーメスと
「初めまして、エヴァンジュ最高評議会議長様。
ナンバーズ5番、チンクと申します」
「ナンバーズ6番、セインです」
「ナンバーズ10番、ディエチです」
チンク達はお姉様に挨拶しに来てた。
お姉様はこれを見越してアースラに来てたし、今はアースラの応接室を使用してる。
日本に行くには魔法文化の無い世界に関する知識等が必要だし、親衛隊としての教育も必要だろうという事で、3人はしばらくアースラに滞在する事になってる。
「私は見た通りの姿なんだ、あまり畏まらなくていい。
目上の人物云々という教育もあっただろうが、私は別に上司というわけでもないしな」
「いえ、所属する組織の上層部の人物です。
敬意は持つべきです」
お姉様の言葉に、セインとディエチは少しほっとしてるみたいだけど、チンクは硬いまま。
意地でも態度を崩すものか、という意気込みが見える。
「まあ、無理に崩せとまでは言わんが、私は堅苦しい雰囲気は好きじゃない。
当面の扱いだが、親衛隊に所属する事になっているのは聞いているな? この管理外世界に関する知識を学び、自分で出身地を選択して戸籍などの確保が出来るまでの期間は、原則としてアースラに滞在する事になる。
その後は、最終的にスカリエッティの家族扱いで日本に住むよう調整するらしいが……希望や問題点、質問などはあるか?」
「希望を聞くという事は、選択肢があるという事ですか?」
「明確な選択肢は用意していないが、望んだ内容に問題が無ければなるべく通すと聞いている。
当然、今すぐ思い付くとも思っていないが、戸籍の準備に入る頃が期限になるだろう」
「その希望に、教育内容を含む事は許されますか?」
「内容にもよるし、教えられる人員がいるかも不明だが、門前払いは無いぞ」
「そうですか。それでは、どうしたら体格で劣る姉が威厳を持てるか、エヴァンジュ最高評議会議長様に指導して頂ければと考えます」
お姉様が、豆鉄砲を喰らった鳩みたいになってる。
チンクが出した要求が、予想の斜め上過ぎる。
「……一応言っておくが、狙って偉ぶっているつもりは無いぞ?」
「こちらの世界向けの設定では、長女となっていると聞いています。
ですが、リインフォース評議員より明らかに年下の外見とお見受けします」
まあ、設定上はそうだけど、重要な情報が色々抜けてる。
というわけで、お姉様は大人モードに。
「私の日本での活動はこっちの姿を使っているから、見た目は問題にならん。
それと、本来はリインの方が姉だ。体格や経験も影響するのだろうが、最終的には本人同士がどんな関係でいるかが重要じゃないか?
姉だから威厳があるのではなく、威厳があるから姉と呼びたくなる、の方が自然だろう。
作られてから2500年の私が、ミッドの戸籍では60歳のプレシアを母と呼んでいるんだ。実際の年齢など細事でしかないぞ」
言い終えてから、お姉様は
姿が変わっても、言動は一緒。
「なるほど、態度と行動で姉であることを示す、というわけですね」
「姉である事に誇りと責任を感じるのは自由だし、悪い事ではない。だが、立場や外見に縛られ過ぎるな。
相手の事を考えた上で、やりたい事をやり、嫌な事は嫌と言えばいい。
たまに喧嘩もしながら、最終的に納得出来る結果を得られてこそ、家族だろう?」
「ですが、各々が好き勝手を行えば、家族は崩壊します」
「少なくとも、お前が自分の我儘だけを通すとは思えないがな。
まあ、今までのスカリエッティが親として適正かと聞かれると否定するしかないし、トーレやクアットロが母や姉役として微妙なのも解る。
そんな中でお前が姉として気を張っていた事は理解してやれるが、あいつらも少しは改善しているはずだ。お前だけが責任を負う必要は無いし、そもそも、お前は妹でもある。
誰かを頼るのも、必要らしいからな。もっと“自分の姉”に理解させてやれ」
何でそこだけ伝聞なんだー。
プレシアに、頼れってはっきりと言われてるのに。
主にも、1人で抱え込むなと言われてるのに。
「なるほど、参考になります。
これを踏まえて、もう1つ希望を言ってよいでしょうか?」
「ふむ。なんだ?」
「師と呼ばせて下さい」
「……は?」
「幼い姿でありながら人の上に立ち、それでいながら家族とのよい関係をご存知と見えます。
是非、参考にさせて下さい」
チンクが懐いた……?
より高みに見えるところに痺れて憧れた?
「……私は、口で言っている程うまく出来ているわけじゃないんだがな」
お姉様は、ちょっと困ってる。
嫌われるよりは良い気がするから、問題なし。
むしろ、視線で「どうすればいいのかな?」「とりあえず黙っていよう」って相談してる、放置状態のセインとディエチの方が問題だと思う。
以前も書きましたが。
古ベルカ:専用部品で特化型
アルハ :専用部品を基本に、汎用部品で制御を補助
ミッド :汎用部品で色々がんばる
近ベルカ:汎用部品で専用部品をエミュレート、部分的に専用部品
なので、アルハ式で構造等を工夫してやれば、「専用部品のみ」「汎用部品のみ」といった古代ベルカ式やミッド式に近い挙動が可能となります。また、補助が不要であれば古代ベルカ式が最も「少ない魔力での魔法行使」に向くよう調整出来ます。
今回は魔力のないすずか向けなので、実際の実装は「古代ベルカやアルハ式がベースの高効率部品」を中心にして「ミッド式高機能部品」を必要時だけ稼働するよう別途組み込む、コストを度外視して魔法の効率を重視した仕様となっています。
非魔導師用には向きませんが、魔力に余裕があれば「アルハ式の汎用部品はミッド式の高性能部品でエミュレート、必要に応じてミッド式へ最適化」という近代ベルカ式に近い構成も可能です。
紋章式カートリッジを1頁に1発搭載、全333頁×4冊。
奇数なのは、残数等の管理用(要は目次みたいなの)に1頁使用しているから。
決して闇の書の半分とかエンジェルナンバーを意識したわけじゃない。ないったらない。
ロード出来るのは開いた頁にある紋章のみ。つまり、最大同時ロード数は2頁×4冊=8発。
自動頁送り+ロードで1秒。
結果的に、8発/秒の速度で166秒+4発(最後の1秒)が連続ロードの上限。
リロードは格納領域内で行うが、最大167秒かかる。
4発/秒以下であればリロードが間に合う為、体力と在庫が続く限り行使可能。
但し、書を出し入れする時間は必要。残数管理も気を付けないといけない。
格納領域内の在庫は、原則としてエヴァやチャチャから供給される必要がある。
自動回復は超低速(人工リンカーコアの余剰魔力を使用する為)。
調べてみると、30㎡/人くらいが快適な目安、らしいのです。日本の持ち家の平均広さだと40㎡/人くらいあるようですが(イギリス、フランス、ドイツあたりの1人当たり平均床面積もこれくらいらしいです。日本の借家平均だと23㎡/人で圧倒的狭さになるようですが)。
この前提で、3人家族(100㎡くらい)×4+6人家族 (180㎡くらい)=18人(2階部分の想定構造)。
※1階はwith管理事務所の管理人住居があり、3階は13人想定のスカ部屋等があるため、例として不適切。
ああっ、20人分に到達しないっ! じゃあ2階分(4階と5階を)使おう、応接とか共同で使う部屋もいるよねというノリと勢いで28LDK(広い物置やらを含まなくて)。そしてLDKで100㎡越えという大型サイズ、その4割が台所という料理人仕様。
LD部分は吹抜けだったり、一部は屋上だったりして、5階全てを住居用に使うわけじゃないですが。でも、LD部分はA’sのハラオウン家もこんな感じじゃないです?
全館冷暖房は、快適性は高いらしいのですが、色々と問題もあるようですね。
ここでは、テスタロッサ家部分限定+最初からそれを前提とした設計+魔法ぱわぁ+資金ぱわぁ+必要に応じて個別冷暖房やシーリングファンを配置、という力技で問題を回避……回避? 解決?
ついでに、一般的なマンションの天井は250cmくらいだそうで。一応馬場(212cm)も普通に歩けそうではありますが、照明やらもありますし、圧迫感はあるでしょう。となると、スラブ30cm二重床二重天井やらを考えると……天井2.8m、階高3.5mくらいが現実的?
おまけ:10月31日
アコノ うん、やっぱりイメージ通り。
エヴァ ボロボロのローブという事は、エヴァンジェリンのイメージか?
良く準備出来たな。
アコノ イベントで使いたいと言ったら、別荘の従者達が嬉々としてやってくれた。
間に合ってよかった。
エヴァ あー……ハロウィンか。
つまり、Trick or Treat、とか言えばいいのか?
アコノ そう。でも、私はお菓子を持ってない。
だから、悪戯をされる。
エヴァ 服を脱ぐな! 顔を赤くするなぁ!!
2014/11/21 尉官や士官→尉官や下士官 に修正
2017/04/15 お皿を手伝う→お皿の準備を手伝う に修正