「んー、まあ、何をやりたいかは理解したと思う。
けど、現状では証拠があらへんし、はいそうですかと簡単に納得出来る内容でもない。
それは理解してもらってええか?」
【八神はやて】は、やっぱり安易な判断を避けた。
これは予想通りの流れ。
「当然だ。最初から全て信じられるような内容ではない事は自覚がある。
だが、レリックを追う事と並行して最高評議会の調査をするのは大変だろう。だから、戦力も提供しよう」
「えーと、副隊長陣の影武者、って理解でええの?」
「それだけじゃないぞ。
とりあえず、2人だな」
次にお姉様が呼ぶのは。
「ちっちゃい、私……?」
「まさか、プロジェクトF.A.T.E……」
フェイトと、高町なのは。
外見的には、10歳と11歳。高町なのはがちょっとだけ成長してる。
「私達の世界のお前達で、間違いなく本人だぞ。
さて、外見のイメージは見ての通りだ。調整をしてしまうといい」
「うん、お姉ちゃん。バルディッシュ」
『Yes, sir. Optimization start.』
「う、うん。レイジングハート、お願いっ」
『All right, my master.』
お姉様に言われて、素直に強化魔法の最終調整を開始するフェイトと高町なのは。
でも、フェイトの言葉に、【フェイト・T・ハラオウン】が違和感を持ったらしい。
「お姉ちゃん……?」
「うん、お姉ちゃんなんだ。戸籍上は、だけど」
「そっか、そうなんだ。という事は、アコノも家族なのかな。
今の名前を言わなかったのは、ハラオウンの名前を出したくなかったから?」
「前半はあってるけど、後半は……違う」
何というか、2人の“フェイト”がギリギリなラインで会話してる。
別に秘密にする必要も無いし、見せちゃう? 見せちゃう?
「フェイトは、今でもフェイト・テスタロッサだ。
ちなみに、家族にはこんな連中もいるぞ」
追加召喚、ある意味で本来のテスタロッサ家の人達。
具体的には、プレシア、アリシア、アルフ、リニスの4人。
「母、さん……それに、リニスと……」
「アリシアだよっ!
おねえちゃんとよべ~!!」
「お姉ちゃん、は無理があると思うよ。
今は小学2年生なんだから」
「そうじゃないでしょう。私達が死んだ世界のフェイトなのだから」
「うー、どっちのフェイトよりも、わたしの方が年上なのにー」
「駄目だよアリシア、死んでる間の26年まで足しちゃ」
「それなら、わたしの5年を足しちゃだめー! だからフェイトは6さい!」
唖然としてる【フェイト・T・ハラオウン】達の前で繰り広げられる、コメディ的なやり取り。
会話が噛み合ってるのか、噛み合ってないのかすら微妙な感じで。
「えっと……アリ、シア……?」
「おねえちゃん!」
その上、おずおずと声を掛けた【フェイト・T・ハラオウン】に、アリシアが力強く要求してるし。
びし、って指までさして。
「えっと、じゃあ……お姉ちゃん。
昔の事って、どれくらい知ってるのかな?」
「んー、たぶん、ぜんぶ?
えっと、わたしがしんでたこととか、フェイトがわたしのクローンだとか、だよね。
わたしを生きかえらせてくれたのって、エヴァおねえちゃんなんだよっ!」
「私の病気を治し、若返らせたのもエヴァンジュよ」
「消滅寸前の私を助けてくれたのも、そうですよ。
私はこの平行世界の出身ですが、次元空間に身を投げた直後に回収され、今ではアリシアの使い魔です」
「加えて言えば、私の闇を消し去ってくれたのもエヴァンジュだ。
私達がこうしていられるのは、全てエヴァンジュのおかげだと言っていい」
「そう、なんだ……」
アリシアに加え、プレシア、リニス、リインフォースの援護。
この並行世界ではいなくなった人物の証言は、確実にお姉様をヨイショしてる。
「まあ、そういうわけだ。
さてと、そろそろ準備が出来たか?」
「うん。レイジングハート!」
『All right. Imitation mode standby ready.』
「バルディッシュ、お願い」
『Yes, sir. Boost start』
「ルーナ、やるよ!」
「はいです、はやてちゃん!」
3人が大人モードで、StrikerS版相当に。
デバイスやバリアジャケットも、一応それっぽい感じに調整済み。
後は微調整で何とかなる、といいな。
「な、なのは、ちっちゃい私がおっきい私で、昔のなのはが今のなのはで」
「フェイトちゃん、落ち着いて」
「隊長陣まで影武者を使える、ちゅう事やね……」
この世界の3人娘は、いい感じに混乱……してない。
パニックになってるのは、【フェイト・T・ハラオウン】だけ。ちびだぬきと不屈は、精神的になかなか強靭らしい。
「当然リミッターなんぞ無いから、上手く誤魔化せるなら、お前達のリミッターを解除せずにフルドライブ相当の魔法を使う事も可能だろう。
もちろん経験が浅い分、実力的に未熟な部分もあるだろうから、リミッターは誤魔化す為のいい材料なんだが」
「はぁ……こんな情報と戦力が揃うんやったら、機動6課を立ち上げた意味がのうなってまうなぁ」
お姉様はドヤ顔だけど、【八神はやて】は頭を押さえてる。
未だにあわあわしてる【フェイト・T・ハラオウン】を落ち着かせようとしてる【高町なのは】を放置してるし、実は現実逃避に忙しいらしい。
「私達が表に出るわけにはいかんから、隠れ蓑として必要だぞ」
「理屈は解るけど、納得は出来へん!
けど、お互い様ではあるみたいやし、理解した以上は利用するよ。全面的な信用はまだ難しいけどな。
最初にすべきは、何や?」
「ゼスト、ルーテシア、アギトの保護。
次に、ゼストを連れてレジアスの説得だな」
「当てはあるんか?」
「近いうちに、ホテル警備の任務がある。その時に、少なくともゼストとルーテシアは近くに来るから、そこで接触出来るだろう。
但し、お前達がモニターするのはいいが、捕らえるなら私達がやる方がいい。管理局として捕らえてしまうと、レジアスに会わせるのが難しくなるからな。
隊長陣はホテルの中で足止めされるから、現場管制はシャマルが担当する事になる。そのついでと言ってはなんだが、情報の確認もしてくれ」
「ホテルが襲われる、ちゅう事やね?」
「大量のガジェットが挨拶に来る。
そうそう、放置すると自分を凡人と卑下しているティアナが無茶をして、ミスショットで落ち込む事になる。先に手を打つなり、ケアを考えておくなりしておいた方がいい」
「そっか……うん、手順としては問題無さそうや。
信用されん事を見越した方法を考えてたんやね?」
「いくらこっちの3人がいると言っても、いきなり全面的な信用を得られると思っていないからな。
あと、状況を理解してからでいいから、聖王教会への繋ぎも頼みたい。理由は、これだ」
追加召喚、カリム・グラシア。
だいぶ若いと言うか幼さも残ってるけど、本人だと理解出来る外見。
「このタイミングで呼ばれるのでしたら、強化は出来なくとも、外見年齢を変える練習くらいはしておいた方が良かったかもしれませんね」
「必要以上に年上だと思われたいなら構わんが。
さて、現時点でカリムの能力は……フェイトやなのはは知らないんだったか?」
「そうやね、裏側もまだ話してへんし。
やけど、その口ぶりから考えると、その内容やらも把握しとるわけやね?」
「そうだな。このメンバーなら問題ないだろうし、私達なりの解釈を伝えてしまうか?
この辺のわだかまりも解消してしまった方が、何をすべきか判断しやすいだろう。情報の齟齬があるかも確認出来るだろうしな」
「……そうやね、近いうちに話すつもりはあったし、お願いや」
「よし。カリムが行使できる魔法に、未来の情報を詩文形式で記述するものがある。要はレアスキルと呼ばれる代物だな。
はやても聞いているだろう、一番問題となる予言がこれだ。
旧い結晶と無限の欲望が交わる地
死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る
死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち
それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる」
「それって、まさか……」
「多分、なのはちゃんの思った通りや。
私達はこれを、ロストロギアの事件を発端とした管理局崩壊と解釈してる。これもあって、伝説の3提督も非公式ながら機動6課への協力を約束してくれてるんよ」
「これに私達が持つ情報を加えるとだ。
ロストロギアであるレリックを、無限の欲望のコードネームを持つスカリエッティが手にし。
聖遺物の血痕から作られたオリヴィエのクローンを利用して、聖王のゆりかごが起動する。
戦闘機人やガジェット・ドローンの襲撃で、地上本部は壊滅しレジアスも殺されて。
最高評議会を闇に葬られ、ミッドチルダを人質に取られた管理局は役目を全う出来なくなる。
……となるわけだ」
「ありえん、とは言えへんな……」
「これがどの程度の真実を元にしているかだが……
まあ、見てもらった方が早いな」
更に召喚、ヴィヴィオとジェイル・スカリエッティ。
唯でさえ動揺してた【フェイト・T・ハラオウン】が、完全に止まった。
「こちらの世界の方々とは、始めてですね。
私はヴィヴィオ・テスタロッサ。オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの遺伝子と記憶を元に作られたクローンです」
「私についての説明は、不要なようだね。
おっと、いきなり逮捕は止めたまえ。私は協力者としてここにいるのだよ」
「……衝撃的過ぎや。
聖王様と犯罪者が並んで登場って、どういう事や?」
こっちの【八神はやて】は、聖王教会やベルカ関連の情報に触れる事が多かったはず。
そこで祀られてる人物と、犯罪者として追うべき人物。一緒に登場するとは、普通は考えない。
「オリヴィエとしての遺伝子と記憶は持っていますが、聖王という地位は持っていませんよ」
「冤罪は止めてくれたまえ。今の私は管理局の局員であり、新しくなった最高評議会の直轄で研究や開発を行う立場なのだよ」
こっちの2人としては、そんなの関係ないと言わんばかりだけど。
崇められてるわけでも、追われてるわけでもないから。
「こっちのスカリエッティは、旧最高評議会の断罪に関して色々協力してくれたからな。
アレの下で犯罪に手を染めていたわけだから、多くの証拠を握っていた。それを使って管理局の闇を掃ったし、今は違法な研究も進めていない。首輪は付いているが、実質無罪になったわけだ」
「新しい最高評議会の指示で、楽しい研究が出来るのだよ。
その為の身分と繋がりを首輪と呼ぶのは、いささか口が悪いのではないかね?」
「それが無ければ無罪にならなかった程度には、世間では首輪と認識されているらしいぞ?」
「ちょい待ち。
そろそろ、エヴァンジュさん達の身分を、ちゃんと聞いとかなあかん気がしてきたんやけど?」
ようやく気付かれた。
お姉様や主の身分は、結構重要な要素だし。
「そうか、まだ言っていなかったな。
今は私が最高評議会の議長をやっている。議員にアコノ、はやて、プレシア、リインフォースがいて、もう1冊存在している残念な頭の書が書記だ。
ついでに、ヴィヴィオやはやて、守護騎士も家族で、テスタロッサ姓を名乗っている。
最高評議会と聖王の護衛兼側近として、管理局からリンディやスカリエッティが、聖王教会からカリム達が私達の近くに派遣された状態で、それぞれ親衛隊や近衛騎士団という部隊名だな。
本来は私達が表立って動く事は無いが、並行世界に関しては公表していない。それに絡む問題を大事にしないまま解決するために、渋々ながら出張ってきたというわけだ」
「あかん、色々突っ込みどころが満載や……
けど、ちっちゃいなのはちゃんも来てるのは、何でや? 家族とか最高評議会の関係者とかには含まれてへんよね?」
「管理局的に言えば、民間協力者といったところだが……まあ、友人枠だな。
なのはが、友人や“もう一人の自分”を助けようとしない思考回路だと思うか?」
「うん、動くやろうね。少なくとも、私やフェイトちゃんと友達になっとるのは一緒みたいやし」
【八神はやて】は、ちらっと大人モードで並んでる3人を見て、何かを納得したらしい。
やっぱり、ここで更に爆弾投下?
「ちなみに、こういった人物も連れてきているぞ」
追加召喚、月村すずか、高町恭也、高町美由希。
「え、お兄ちゃんと、すずかちゃんと……」
「なのはってば、お姉ちゃんは呼んでくれないんだ……そりゃあ、今の状態だと年齢で負けてるから、姉って呼び方は微妙だけどさ」
「そ、そうじゃなくて、魔導師でもないのにどうして!?」
「確かに、俺達はリンカーコアを持っていない。
だが、技術に関してはエヴァンジュがいるおかげでかなり違いがあるらしい」
「だからね、こんな事も出来るんだよ。
スノーホワイト、お願い」
『お任せ下さいまし』
宝石付きグローブを展開、加えて防護パーツも装着。
これだけでも、魔導師風に見せるには充分な効果がある。
「えーーーーーー!?」
「はは……あかん、すずかちゃんが魔導師って、何て冗談や」
「ううん、純粋な魔導師じゃないよ。
私には魔法を使える程のリンカーコアが無いから」
「……シャマル?」
「はやてちゃん……本当に、さっきからすずかちゃん自身の魔力は検出出来てないの。
デバイスが魔力を生み出してる様にしか……」
「うむ、正解だ。自分で魔力を生み出せなくとも、魔力を扱う才能があれば魔法を使えるという技術の開発に成功してな。
簡単に説明すると、デバイスに超小型の駆動炉のような魔力生成機能と、カートリッジを装備している。後は集束魔法を使う感じで魔法を行使すれば、魔導師もどきの完成だ。
もちろん適性の問題はあるが……すずかと高町兄妹、他にも適性を持つ者がそれなりにいる事は確認済みだ。集束や魔力運用に関係する技術でもあるから魔導師にとっても有用だし、AMF対策という点でも意味がある技術だ」
「……それも教えてくれるなら、随分と大盤振る舞いやね」
「言ったはずだ。私達の目的は、最高評議会の罪を暴く事だとな。
その為に有用だと思える手札を用意する事が、そんなに不思議か?」
「有難い話ではあるんよ。
けど、色々と扱いが難しい話でもあるから、どう扱うかは相談してからでもええか?」
「構わんぞ。
そうだな、ホテル……じゃない、海鳴に行く頃に、また来よう」
「海鳴市に? 戻る予定は無いんやけど」
【八神はやて】は、不思議そうにしてる。
というか、サウンドステージで語られるイベント。
あまり一般的じゃないせいか、お姉様すら忘れかけてるし。
「発見されたロストロギアの調査だ。レリックの疑いがあり、遺失物管理部の捜査課や機動課の手が足らんとかいう話らしい。
というわけで、本局が元で聖王教会経由の、緊急調査依頼がある。
ある意味偶然のはずだが、結果的に里帰りのいい機会になるぞ。レリックとは無関係だしな」
「ネタバレもええとこや……まあ、随分と詳細な未来情報が本当か、確認する最初の機会やね」
「そうだな。
ああそうそう、エリオが銭湯の女湯に連れ込まれるようだから、エロオとか呼ばれるようになる前に、何とかした方がいいかもしれんぞ?
唯でさえ出会った直後、キャロの名前を確認する前に胸を揉んだ前科持ちだ。まあ、キャロは気にしてない上に、女湯に連れ込もうとする主犯になるんだが」
「……あの子達は、何をしとるんや」
◇◆◇ ◇◆◇
その夜は、プレシア、アリシア、リニスの“ここでは実質的に死亡扱いの3人(内1人は本人)”とフェイト&アルフが【フェイト・T・ハラオウン】と。高町一家とすずかが【高町なのは】と。夜天関係者が、【八神一家】と。夜通し語り合ったりしてた。
具体的には。
「お姉ちゃんは、私の事をどう思ってるのかな?
えっと、その……」
「クローンのこととか?
へーこーせかいってのはよくわかんないけど、フェイトはフェイトで、私のいもうとだよね。おそく生まれたふた子のいもうとみたいなものだって、エヴァおねえちゃんもいってたし。
リニスだって、なんかい目かのクローンだよね?」
「ええ、そう聞いています。
アリシアが目覚めた時に飼い猫だった私が居なければ悲しむから、という理由らしいと聞いていますが……本当なのですか?」
「……その情報は、何処からかしら?」
「想像の通りではないでしょうか。もしかすると、他の方も知っているのかもしれませんが」
「全く……あまり知られたくない話だったのだけれど」
「えー? ネコって、なんじゅう年も生きてられないんだよねー?」
「母さん、私も大丈夫だよ。
姉さんを本当に大切にしてたからだ、って。だからこそ、利き腕や性格といった違いを受け入れられなかったんだよ、って」
「ああああぁぁぁぁ……!!」
何故か精神にクリティカルヒットしてるプレシアがいたり。
こっそりネタばらししてたお姉様が悪い気がしないでもないけど、ちゃんと話をしてない
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもすずかちゃんも、本当に魔導師じゃないんだよね?」
「うん、大きいなのはちゃん。
この中でリンカーコアがあるのは、なのはちゃんだけだよ」
「魔力を扱う才能は、リンカーコアとは別だそうだ。
カートリッジシステム等で魔力を補う事が出来れば、それを利用して魔法を発動させる事が出来る才能を持つ人物はそれなりにいるらしい。自前の魔力が無い分、最初の敷居は高いが」
「だけど、危ないよ?
魔法が使えて、手伝ってくれるのは嬉しいけど」
「うちの男連中に負けないくらい無茶して、同じくらい大変な目に遭っちゃったりするなのはに言われたくないかな?」
「同感だ。それにエヴァンジュが言うには、俺と美由希は対AMFで強力な切り札に成り得るらしい。
そうだな、これは見せた方が早いか」
「え?」
「俺達はこの様な、魔法ではない技術を持っている。
この世界の俺達が同じ技術を持っていると仮定して、なのはがこの世界の俺達を頼ってくれていたら、エヴァンジュがいなくてもこことは違う道があったように思うが」
「え? え?」
高町恭也の“神速”が理解出来ない【高町なのは】がいたり。
「なあ、小学生をやってるって、本当なのか……?」
「すっげー不本意だけど、真っ当な戸籍まで作られちまったから、義務教育ってのを受けなきゃなんねーんだ。
じゃなきゃ、世話になってる人達に迷惑がかかっちまう。具体的にはエヴァンジュとかプレシアとか」
「マジか……って、エヴァンジュって見た目はあたしと大して変わらねーよな?
義務教育ってのは、教育を受けさせる義務で、保護者がどーとかって話を聞いたよーな?」
「あいつ、戸籍は大人だぞ。
はやて達がでっかくなってただろ? アレだアレ」
「うわ、マジか……」
何だか鬱るんですな感じの“ヴィータ”がいたり。
「私にはルーナという立派な名前があるです!
「
馬鹿にするななのです!」
「だからといって番号は無いのです!」
「番号じゃないのです! 昔の偉い人だって1世や2世を名乗っているです!
だいたいルーナの方が意味わからないのです!」
「私は夜を照らす月なのです!
意味も役目もばっちりあるのです!」
名前で喧嘩してる、リインフォース(小)がいたり。
「お前が、あの防衛プログラムなのか……」
「初期化後、再構築。同一か、不明」
「私達が夜天の魔道書に追加される前、正しく夜天の魔道書だった頃はこうだったらしい。
尤も、2つの世界には色々と細かな差異もある。エヴァンジュが存在しているかどうかもそうだが、私達のバリアジャケットも微妙に異なっている。
対応する存在であっても、リインフォースの武装でもあるナハトヴァールが同一の存在と言えるか、確証は無いそうだ」
「私、はやて、リインフォース、守る。
存在理由、同一。多分」
「……そうか。元がそうだったからこそ、改造されてああなってしまったのか。
だが、その姿は人に見せられんな……」
「こちらでも、普段は隠れている。
見た目の奇異さはあるが、威圧と言う目的では人の部分がこれだからな……護衛として表に出すのも、まだ難しいと判断されていた」
ナハトヴァールを挟んで会話する“シグナム”達は、やっぱり真面目だったり。
「あの頃はおっきく見えとったけど、意外にそれほどでもなかったんやね。
こっちのなのはちゃんと同じくらいか? それでも、私よりはおっきいんやけど」
「そうですね。見たところ、こちらのなのはとはほぼ同じでしょう。
日本の成人女性の平均身長くらいだと、エヴァンジュが言っていましたが」
「うーん、やっぱ態度が硬いなぁ。私は主やないから、そんな畏まらんでもええよ?
この辺は柔らかそうでおっきいんやけどなぁ……」
「揉まれますか?
体形は変化しませんから、豊胸という目的にはなり得ませんが」
「いやいやいや、いつでもそんなこと考えてるわけやないからな!?」
「つまり、今では豊胸とは別におっぱいを考えてるわけやね。
流石私や!」
「ちょい待ち、流石って何や!?」
「自分も含めた成長せん人の多さと、すずかちゃんの本気で、私は悟ったんや。
ちっぱいもおっぱいも共に素晴らしく、そこにある愛に触れる事こそ至高であると!」
「な、なんやってー!?」
何かおかしなことになってる“はやて”達がいたり。
“シャマル”が仲良くお茶を淹れながら料理の腕をぼやいたり、相変わらずザフィーラは隅の方で静かに見守ってたりしてるけど。
うん、一部を除いてだいぶカオスだけど、険悪な空気は無いし。
これ以上は見てなくてもいいかな。
おわかりいただけるだろうか? アリシアが小1で学ぶ漢字に制限されている事を。
信じられるか? 小3(相当)設定で全く気にせず漢字にしてたんだぜ、フェイト達。
つまり、1年後の話でアリシアの口調をどうすればいいんだうわぁぁぁん(錯乱)
何? 夏休みなんだから2年生だった期間が3か月以上あるだろうって? 夏休み時点での進捗なんてわかんねっす。
それに、今はともかく、どんどん使える漢字も増えていくから、どれがOKかチェックが大変に。もう、ゴール(気にせずに漢字を使用)してもいいかな……?
あと。
この話の前半を書いた後で某日記「その173」の後書きを見かけて、誰かに言わせようかと思ってしまった私は、きっと寝惚けています。
「強制的に進行したんだ。第三期の年齢まで――!」
2015/01/30 助けるようと→助けようと に修正
2017/04/15 意味がのなってまう→意味がのうなってまう に修正
2022/08/26 使者→死者 に修正