お姉様が3人とオハナシしている頃、地下水路ではなかなか激しい戦闘なう。
フォワードの4人は協力して戦闘してて、とりあえず劣勢にはなってない。
問題は、まだ合流出来てない【ギンガ・ナカジマ】。
それと、その前にいる【チンク】達。
「私達は、確かめたい事があるだけだ。
邪魔するなら排除する」
「私は管理局員よ。
こんな事をしてる人を見て、はいそうですかって引き下がれないのよ」
うん、一触即発の気配。
【ノーヴェ】もやる気だし、【ウェンディ】はやる気はともかく戦闘態勢ではある。
仕方ないから、先生、お願いします。
「止めんか!
こんなところで争っている場合ではない!」
というわけで、ぴっちりスーツ着用のトーレを投入。
当然のように通信は妨害中。
「あれー? トーレ姉もこっちだっけ?」
【ウェンディ】が不思議そうにしてるけど、ここは勢いで押し切るべき。
「ここしばらくドクターやウーノを見かけないと思っていたが、今回の件はクアットロの暴走らしい。
ドクターはガジェット・ドローンを動かす指示をしていないそうだ」
「だが、あたし達の王様は見ておきたい」
不満そうな【ノーヴェ】が、原作でもあった気がする要求を言ってるけど、これに関してはぶっちゃけ期待するだけ無駄なレベル。
「ドクターが得た情報だと、聖王のクローンである事は確実だが、記憶も能力もマトモに発現していない、世間知らずで臆病な子供らしい。
道具としての価値はともかく、現時点で王の資質が見えるとは思えん」
「……わかった」
うん、【ノーヴェ】の興味が急速に薄れた。
これで突撃は防げたかな。
「もう一度言うが、今回の件はクアットロが原因らしい。
あれが何を企んでいるか解らん以上、ドクターとの合流を優先しろ」
「了解した」「わかった」「あいよー」
「逃がしません」
ああもう、3人の誘導が成功したのに、【ギンガ・ナカジマ】が真面目過ぎて困る。
トーレを含めた4人を相手にしたら、勝てるわけないのに。
「生憎だが、ここで戦う気は無い。
だが、どうしてもやると言うなら相手になろう」
とりあえず時間稼ぎというか、3人を引き離すのが先決。
話は……連れてきたウーノの方が早いか。
妨害を迂回して通信オープン、っと。
『チンク、ノーヴェ、ウェンディ。
経路を指示するから、3人はその場を離れなさい』
「タイプゼロは?」
『今は必要ないわ』
「了解した。トーレ、この場を頼む」
「任されよう。早く行け」
よし、これでお話の準備が……うん、整えられる。
【チンク】達が移動していった方に防音結界を張って、と。
「……? 何を考えているのです?」
突然構えを解いたトーレを見て、【ギンガ・ナカジマ】が怪訝な顔をしてる。
「戦う気は無いと言ったはずだ。
説明は私ではなく、信用出来る筋から受けろ」
『そんで、援護に向かってもらえば、って、なんやチャチャちゃん……
え、もう聞こえてるんか?』
「え? 八神部隊長ですか?」
『あー、こほん。突然やけど、その人は協力して……もうちょい言ってええか? うん、裏側から協力してくれてる人や。
近いうちにちゃんと説明するから、今はうちのフォワードの援護に回ってもらってええか?
あと、ちょーっと訳ありで情報を出せへんから、さっきの3人も反応を追おうとしたけどガジェット・ドローンの妨害があって接触出来へんかった、反応がロストしたからうちの援護に回ったって事にしてもらえると有り難いんやけど』
「ええと……よく解りませんが、事情があるのでしょうか?」
『色々と抱えてるんよ。
とにかく、ガジェット・ドローンが多くてスバル達も苦戦してるようやし、詳しい話は後回しや。早いとこ援護お願いな?』
「解りました」
◇◆◇ ◇◆◇
その後は、ほぼ予定通りの展開に。
砲撃は【八神シャマル】と【八神ザフィーラ】に加えて、海に行かなかった【高町なのは】がきっちりと防御。その後は【ディエチ】は応援に来た【シャッハ・ヌエラ】が、【トーレ】と【セイン】は【高町なのは】が捕らえた事になった。実際はアレだけど。本気のリインフォースとヴィヴィオおっかないです。
海上のガジェット・ドローンは、リミッターを解除した【フェイト・T・ハラオウン】と【八神ヴィータ】に凄いペースで落とされつつ、一部が暴走(誰のせいかはナイショ)して研究所っぽい施設やらに被害を出した。もちろん、その後で出動してきた局員とも激しい戦闘をしてて、徐々に数を減らしてる。
地下のガジェット・ドローンは現場の5人の活躍と、ひっそり行われた高町兄妹の腕試しで無事排除され。
捕まえた6人の戦闘機人は、ジェイル・スカリエッティとウーノと【ウーノ】に現状の表向き情報と一部の真実を説明されて、とりあえず大人しくすることを決めた。この際に【トーレ】は抵抗しようとしたけど、トーレに拳で黙らされてた。
武力鎮圧で思ったより余裕があったから、改造しすぎたかなと、ちょっと反省。
起動してない3人の戦闘機人も生体ポッドごと確保済みだから、現時点で既に、残るは【クアットロ】と【ドゥーエ】の2人だけという有様。
そして、お姉様達はと言うと。
「邪魔するぞ」
「久しいな、レジアス」
部屋に1人でいる、【レジアス・ゲイズ】を襲撃中。
お供は【ゼスト・グランガイツ】、【ルーテシア・アルピーノ】、【アギト】の3人。
勿論、移動の道中で色々とお話なんかをしてある。
「何者! ……だ……」
最初は怒鳴ろうとしてた【レジアス・ゲイズ】の声が、急速に萎んでく。
ものすごい顔になってる。
「聞きたい事は、1つだけだ。
8年前、俺と俺の部下達を殺させたのは、お前の指示で間違いないか」
静かに語ってる【ゼスト・グランガイツ】。その表情に、感情はあまり見えない。
向かい合う【レジアス・ゲイズ】の顔は、蒼白だけど。
「俺はいい。お前の正義の為になら、殉じる覚悟があった。
だが、俺の部下達は、何の為に死んでいった。その娘は、何故実験体になっている。
共に語り合った、俺とお前の正義は。今はどうなっている」
「……力が、必要だった」
観念したらしい【レジアス・ゲイズ】が、ぽつぽつと語り始めた。
「地上には金も人も足りん。人を育てても本局に持って行かれる。
だから儂は、戦闘機人の研究に手を貸した」
「違法と知りつつも、最高評議会の誘いに乗ってか」
「そうだ。
地上の平和を守るには、本局に持って行かれない戦力が、どうしても必要だった」
「正義は、消えたわけではないのだな」
「……ふう、そんな事だろうと思った」
そろそろ頃合いと見て、お姉様が介入開始。
とりあえず、ため息から。
「色々言いたい事はあるが、とりあえずこれだけは言わせろ。
お前、阿呆だろう」
「小娘に何が解る」
「見かけに騙されるから阿呆だと言っている。
犯罪に手を貸す前に、犯罪者を身内に抱える事で管理局の対処能力が数割落ちている事に気付くべきだったな。下手をすれば半減しているぞ?
管理局は本来、もっと力がある組織のはずだ。今の人員であってもな」
「知った様な事を抜かすな!」
「犯罪行為や犯罪者を隠蔽する労力。真実に気付いた局員の処分。これらが管理局の力を削る事くらい解るだろう?
戦闘機人に関して隠蔽されていなければ、ゼスト達も死ぬ必要は無かったはずだ。
優秀だが最高評議会に反抗的だという理由で左遷されたと思われる者もいる。
地上と本局の間に溝がある事で協力体制が作れず、調査が進んでいない事件もある。
何より、真実に気付いた、気付きかけた者が“処理”されているのが問題だ。そんな不穏な空気を感じ取った優秀な卵達が自衛に入るか表の事件に忙殺され、お題目に踊らされる正義馬鹿が暴走するようでは、組織の実力など出せるわけがないだろう。
何も知らないと言いたそうだから、そろそろこれを渡しておく。簡単に調べてみた、ここ最近の殉職及び死亡退職に含まれる“消された可能性が高い人物”の情報だ。
詳しく調べた人数は少ないが、無視出来ない割合で該当したぞ?」
お姉様が投げたのは、紙の束。内容は“明らかに消されたと断定出来た”殉職者及び死亡退職者に関する調査結果、6人分。
ミッドチルダに限定、かつ、簡易調査で怪しそうな人30人弱に絞ってからだけど、詳細調査で黒と言えたのが2割以上。グレーはリストに入れてないし、決して嘘は言ってない。
ちなみに調査は【ユーノ・スクライア】大先生と
ある程度の情報を見る権限は大事だし。
ここの無限書庫はお姉様の技術が入ってないから、調査が面倒だし。
「黙れ」
「さて、それは何の為に必要だった?
体制の維持か? 権力の維持か? それとも、最高評議会のご機嫌取りか?
そもそも、お前の目標は何だ。その為に使った手段で、何を犠牲にした。
今、海の方を荒らしているのはスカリエッティが作った兵器だが、スカリエッティを支援しているのはお前達だ。平和や正義を願いつつ、自らそれを犠牲にする矛盾に、いつ気付けるのだろうな」
「黙れ!」
「私は、犯罪者を利用するなとは言っていない。利を得るために汚い手段を使う事も、大を助けるために小を犠牲にする事も、必要な場合があると知っている。大きな国や組織ならそれを正義の為だと言い張るだろうし、仮に小の側に真の正義があったとしても、敗者になった時点で悪に塗り替えられる。歴史など勝者が語る物であり、真実など闇に葬られるのが常だ。
それでも、あえて聞くぞ。
今の手段に納得し、望んだ結果を得られているか?」
「何も知らない小娘が、理想論を語るな!!」
「私は、今は無い国で兵器として作られた存在だ。この手で殺した人数など億の単位でしか数えられんし、下らない理由で始まった戦争が正義の為だのと公表されるのも散々見てきた。
国が他国で犯罪者を利用する事など常識、自国の国民から搾取するのも常識、敗戦国が全てを失うのも常識。戦争の現場に正義は無く、残されるのは凄惨な破壊の痕だけ。そんな時代であっても、その国が滅ぶ切っ掛けになったのは怨念だ。
私には、今の管理局が同じ道を歩みつつあるように見えるぞ」
「レジアス。エヴァンジュを……この者を見かけで判断するな。
俺達よりも人の裏側を見ているはずだ。
それに、実験体や研究材料になる身の辛さは、想像を超える。目的が無ければ生きる事に絶望し、全て滅べばよいと考えても不思議ではない程にな。
同じ倫理観があれば、人としての意識を持つ戦闘機人が同じように思っても不思議ではない」
血管が切れそうな【レジアス・ゲイズ】を、【ゼスト・グランガイツ】がちょっとクールダウン。
実験体云々は……自覚の有無はともかく、ここに連れて来た3人全員が経験あり。
経験者が語る。
「……戦闘機人は、戦力にならんという事か」
「管理局が率先して開発していたと知れば、反抗心や怒りが管理局に向く可能性があると言っている。そうなれば、戦力どころか敵を増やす結果に繋がる事も有り得るだろう。
逆に倫理に疎いなら、治安を任せる事など出来ん」
「……ならばどうすればいいと言うのだ!
人が足らん、金も足らん、戦力も増やせんでは、平和は守れんのだ!」
「エヴァンジュが言っていたはずだ、管理局の実力はこんなものではないと。
機動6課の八神はやて部隊長が、地上部隊は承認ばかりで動きが遅すぎる、そこに風穴を開けるために部隊を持ちたかったと言っていた。
拙速が良いとは言わん。だが、隠蔽の為の無駄な手続きが横行しているのなら、俺は八神はやてを支持する」
「ゼスト……儂は……」
「今からでも遅くないはずだ。
管理局が、最高評議会が本来の役目を果たせなくなっているなら、それを正すのが俺達の正義ではないのか」
お姉様のお話、つまり現状の正確な情報と今後の予定、それと、親友だからこそ道を間違えた友を正しい道に連れ戻して見せろという発破は、予想以上に【ゼスト・グランガイツ】を動かしてる。
これ以上は、お姉様が悪役になる必要も無さそう。後は暑苦しい友情に任せるよろし。
◇◆◇ ◇◆◇
一方その頃、とある場所では。
「ジェイル、何をしに来た!?」
「何故ここまで」
「どうやって来たのだ」
「お別れを言いに来たのだよ」
3個の脳味噌と【ジェイル・スカリエッティ】が面会中。
まあ、一方的に押しかけただけなんだけど。
「ここに来たのは簡単だ。協力者がいるのだよ」
そう言う【ジェイル・スカリエッティ】の隣に歩いてきたのは、メンテナンスしてる時の姿になったドゥーエ。
ちなみに【ドゥーエ】はカイゼが捕縛済み。転送後5秒の早業だった。
暗殺(?)スキルぱねぇ。
「何故お前が!?」
「馬鹿な!」
「最初から、この時の為に来ていたからですよ。
身に余る力では、望む物を得られない。
手綱も握れない暴れ馬が、勝手に動き出すのは当然の事。
これは、成るべくして成った結果です」
にこやかに語ってるドゥーエだけど、様子を覗いてるお姉様が複雑な表情をしてる。
目の前で【ゼスト・グランガイツ】と【レジアス・ゲイズ】の話が続いてるのに。
内容が【ルーテシア・アルピーノ】や【アギト】について、それも死んだ部下の娘だとか、違法研究の対象になってたとか、かなり深い部分に関わってるから、逃避したくなってるのは解る。けど、逃避先が悪かった。
「さて、今後についてだが……殺すのは止めにしたよ」
「ジェイル、何を……」
「本来であれば、退場して頂こうと思っていたのだがね。
だが、より興味深い事が見付かってしまったのだよ。そして、それを追うには今までの経歴が邪魔になる。
聡明な最高評議会なのだ、意味は理解出来るだろう?」
「夢物語だ」
「闇に生きた者は、陽の当たる場所には立てん」
「ククク、今の陽は、時空管理局という寛容な組織の威光だよ。
恩赦や司法取引といった、犯罪者を救う制度がしばしば用いられているのだ。その実態を知る私が、それを使えないとでも思っているのかね?」
「ジェイル。お前を恨む者は多い。
簡単には許されぬ」
「罪の重さは、理解しているよ。
だが、ここにそれを背負ってくれる人物が3人もいるのでね」
「それぐらいにしたらどうだ」
「やれやれ、これはとんだ大物だ」
ようやく到着したのは、【八神シグナム】と【ヴェロッサ・アコース】。
逮捕と査察の実行役。英雄という名の生け贄とも言う。
「ジェイル。まさか、本気で……」
「さあ、始めようじゃないか。腐った組織の大手術だ!」
◇◆◇ ◇◆◇
最高評議会に対する
某所のアジトでは、【クアットロ】が必死でキーを叩いてた。
「何で何で何で!?
ドクターの夢が……! 世界が、楽園が……!!」
鬼気迫る表情だけど。
留守の間にシステムを制圧してありますから。残念っ!
しばらくダミーデータと戯れるがよいわ、ふははははー(棒読み)。
とりあえず、逮捕可能な誰かが到着するまで。
具体的には【フェイト・T・ハラオウン】が着くまでだけど、途中のガジェット・ドローンが多すぎて、ちょっと時間がかかってる。
移動する先に紫やら金やらの雷がどっかんどっかん落ちてるのは、想定の範囲内。時間の短縮になるし、やり過ぎなければいいや。【フェイト・T・ハラオウン】も誰がやってるかに気付いてて、ちょっと嬉しそうだし。
「私は、ここにいてもいいの?」
「ややこしい話は、立場のある大人に任せればいい。
それに、誰だって家族の心配はするさ」
そして、お姉様と【ルーテシア・アルピーノ】は、別荘の治療施設へ。
【メガーヌ・アルピーノ】は現在、ここで治療中。3人の未起動戦闘機人も、今のところはここで預かってる。
「違う。この場所、この世界は、おかしい。
ミッドチルダから転移出来るはずなのに、座標が解らない」
「そっちの話か。どうも特殊な場所らしく、私の様な特殊能力持ち以外は転移出来ん場所らしいぞ。管理局にも見つかっていない隠れ里のようなものだな。
誰かに言っても信じられんだろうから、おかしな人や密航者と言われたければ言いふらせばいい。そうでなければ、事情を知る者に限っておくことだな」
「誰なら大丈夫?」
「今のところ、機動6課の課長隊長副隊長、スカリエッティとウーノ、聖王教会のカリム、本局のクロノとリンディとユーノ。
多少漏れはあるし、今後増えるだろうが、この辺なら問題ないだろう」
漏れてるのは、
多少ってレベルじゃない気もする。
まあ、特に【アギト】はアギトとのご対面(転移直後、説明前)で目を回してたから、大丈夫と言っていいか微妙だけど。
「わかった。母さんは?」
「1か月以内には目覚めるだろうが、事態が落ち着いたら機動6課か聖王教会で保護する事になるんじゃないか?
存在を隠し過ぎると普通の生活に戻れなくなるからな。恐らくは、お前の教育やらと一緒に検査やら療養やらをする事になるだろう。体力が落ちているから、トレーニングも必要だ。
最悪でも、一緒に暮らせるようにはする。それに、相談には乗るぞ」
「うん」
クアットロは雲の上で海上のガジェット・ドローンを増量した後、ディエチと一緒に狙撃場所にいるんですよねぇ。はやフェイから逃げてる時はまあまあ晴れてますし、いったいどこにいて、どう動いたのやら。
どっちかが幻影とも思えないですし、そこまで速いわけじゃなさそうなんですけどねー。
エヴァ眷属の戦闘機人4人は、エヴァからの魔力供給が可能ですし、チャチャや従者達も協力して改良に勤しんでもいました。結果、性能は約8年後相当のStrikerSを超えています。
但し実戦経験は別で、公開しても(倫理面、難易度面、出自面で)問題ない技術のみを使うようにしているため、魔改造には至っていません。また、チンク達は改良が進んでいないため、例えばセイン対【セイン】なら【セイン】が勝つ可能性が高いです(そもそも連れてきてないけど。あと、チンクは片目分の戦力低下が未知数なので比較対象外とします)。
2015/04/10 切欠→切っ掛け に修正
2015/10/10 不穏な空気にを感じ取った→不穏な空気を感じ取った に修正
2019/09/23 以下を修正・変更
情報を上げれん→情報を出せへん
判断出来た→断定出来た
人数など数え切れん→人数など億の単位でしか数えられん