青の悪意と曙の意思   作:deckstick

152 / 162
蛇足:或いはこんな未来も/StrikerSだった何か2007年04月~

 ◇◆◇ 2007年(新暦68年)04月A ◇◆◇

 

 

 今年も来ました、お姉様と主の誕生日に合わせたお祝いの日の、よく晴れた昼下がり。

 今年は主の私立聖祥大学付属中学校入学に加えて、ルーナとアギトのテスタロッサ家加入及び私立聖祥大学付属小学校入学もある。

 おまけとして、来年の今頃には新テスタロッサ宅に住んでる予定だから、その前祝い的な物まで含んでるらしい。

 今年の会場は月村家だから、月村忍や馬場鹿乃達もいる。

 広さに余裕があるからという事で色々と声をかけた結果、アリサ・バニングス、高町なのは、夜月ツバサ、真鶴亜美、黒羽早苗もいる。

 長宗我部千晴と上羽天牙は、馬場鹿乃と併せて大学進学祝いを名目に本人も招集済み。

 ついでにリンディ・ハラオウン、カリム・グラシア、シャッハ・ヌエラもいたりする。

 スカリエッティな一家は残りの戦闘機人の調整で手が離せない作業があるらしく、不参加。マリエル・アテンザやシルフィ・カルマンも、本局や聖王教会に行ってて同様。

 

「去年はセツナさんが遠慮しすぎたせいでちょっと地味やったけど、今年は派手にやるよ!」

 

「結局、数か月に1回は何らかの形でやってるんだがな……」

 

 高らかに宣言するはやてと、苦笑するお姉様。

 それでも、誰かの誕生日がある度とかじゃなくなってるだけ、お姉様の意図は伝わってる。

 そんな感じで始まったパーティー、大人数。それでも関係者限定のイベントだから、お姉様を含めた外見年齢を詐称してる人も最初から本来の姿で参加。

 人が多いから、ある程度の人数のグループがいくつか出来て、人が入れ替わっていく感じになってる。

 

「来年になったら、聖祥大の付属中学校に行くんでしょ?

 受験、失敗しないでよね」

 

「アリサちゃん、はやてちゃんが来れなかったら寂しいって言っていいんだよ?」

 

「すずかー!」

 

 小学6年生になった原作娘達は、今はまだ別の学校に通うはやてに絡み。

 

「ま、あたしはもう1年あっけどよ。

 アンタは、はやてと一緒に聖祥大付属って選択はしねーんだよな?」

 

「当たり前でしょ、うちは普通のサラリーマン家庭なの。

 散々迷惑かけたんだから、これ以上は負担を増やしたくないわよ」

 

 5年生になったヴィータは、はやて達と同じ6年生の夜月ツバサの進路を確認し。

 

「そうか、ドイツへは行かないのか」

 

「そうよ。鹿乃の話だと、原作では海外行きのはずだったのでしょう?

 実際そういう話もあったけれど、裏の役目もあるから月村家として誰も居なくなるわけにはいかないのよ。

 すずかも月村の名を残しているけど、家名としては別のものを名乗っているわけだから」

 

「そういえば、海鳴の近辺はお前達が管轄しているんだったな。

 馬場はどうするんだ?」

 

「警備の契約は、大学に通っている間は継続する事になっているわ。

 だから、あと4年近くは今の状態よ」

 

「そうか……役に立っているのか?

 正直に言えば、能力はアレだろう?」

 

「管理局との繋がりがある魔導師がいるという、抑止効果と宣伝効果で元を取れるわ。小者くらいならあの外見に威圧されてくれるし。

 それに、管理局に事務的な連絡をする時も、親衛隊管轄の魔導師という肩書は色々と便利よ」

 

「……理解した。能力はまるで関係ないな」

 

 お姉様と月村忍が、今後についてちょっと話をして。

 

「人形焼き、お待たせー!」

 

「なんの、こっちはシナモントーストが焼けたよ!」

 

「ですから、野菜を放置しないでください!」

 

 黒羽早苗とはやてが争うように料理を作り、その横でリニスが文句を言いながら野菜スティックとディップの準備をして。

 

「何だか、以前に見たような光景ね」

 

「うん。その時は母さんと一緒にコロッケを揚げたんだよ」

 

 ほのぼのとした雰囲気で、プレシアとフェイトがポテトを投入した油の管理をしてる。

 チャチャマルやノエル達もクレープやワッフルを作ってたりしてるし、今回はなんと高町なのはが自作シュークリームを持ち込んだりもしてる。

 凄いよね、最後までおやつたっぷりだもん。持ち寄られたお菓子やら用意されてる材料やらの量を見る限り。

 お姉様やすずかが料理を手伝ってないからまだ大丈夫みたいだけど、アリサ・バニングスがちょっと動揺してた。

 

「さてと、今年はアコノに渡す物がある」

 

 ある程度の量が出来上がり、まったりおやつモードになった頃。

 お姉様が主の方へ歩いてく。

 

「何やエヴァさん、また支給品って名前のプレゼントなんか?」

 

「中学生になって髪型を変えるにしても、デバイスってそんなにホイホイ渡していいものなの?」

 

 近くにいたはやてやアリサ・バニングス達が不思議そうな顔をしてる。

 一昨年、髪ゴム型のデバイスを数人に支給したのは記憶にあるらしい。

 最近、時々フェイトが髪を後ろで束ねるだけにしてる事も、髪型変更を連想させる理由かもしれない。

 

「確かにかなり気合を入れて作ったデバイスでもあるが、それはまあオマケだ。

 少々時間がかかってしまったが……アコノ、受け取ってもらえるか」

 

 そう言いながらお姉様は白く小さい箱を出し、主に向かって開けた。

 主はそこにあるものを一目見て。

 

「喜んで」

 

 即答すると自分の名の書かれた方を取り、迷わず左手の薬指へ。

 しばらく、その銀色でシンプルな指輪を嬉しそうと判る表情で見詰めると、大事そうに右手で包み込んだ。

 

「ここに、エヴァがいる……これで、ずっと一緒に居られる。

 もう、絶対に外さない」

 

「渡した私が言うのも何だが、まだ中学生だからな?」

 

 そう言いながらも、お姉様はもう一つの指輪を自分の左手薬指に。

 誰がどう見ても、結婚指輪。婚約指輪ですらない。

 

「な、な、何やってんのよアンタ達はーーーー!!」

 

 そして、予想通りにアリサ・バニングスが叫んでる。

 

「婚姻の真似事だな。

 残念ながら神を信じているわけでも無く、法的に夫婦になることも出来んから、こんな形になってしまったが」

 

「何でそうなんのよ!

 アコノも嬉しそうにしてないで何か言いなさいよ!!」

 

「私は2年前に結婚を申し込んでいたから、希望が叶った。

 それに、これをこの場で渡されたという事は、秘密にしなくてもいいという事。

 雰囲気の事とかを言いたいのかもしれないけれど、私は、隠さなくていい事の方が嬉しい」

 

「それ以前に女同士でしょ!! 冗談じゃなかったの!?」

 

「エヴァの前世は男性で、私はエヴァの心に惹かれている。

 子供を産める体でもないから、私は私の心のまま、エヴァを愛する。

 何が問題?」

 

「私の見た目だろうな。

 そういえば、あの力を得てから外見変化の調査はしていなかったな……まあ、幻影で良ければ簡単に出来るか。

 アコノ、私はどんな姿がいいと思う?」

 

「希望は特に無いし、エヴァはエヴァのままいてほしい。

 それに、変に外見を変えると、頭のおかしい転生者を思い出しそう」

 

「そうか。それなら変えるのは止めておくか」

 

「なんて会話してんのよこのバカップル!」

 

「よし、アリサの言質は取ったな」

 

「カップルと認めてくれて、ありがとう」

 

「ちっがーう!!」

 

 お姉様と主が夫婦初めての共同作業的に仲良くアリサ・バニングスで遊んでると、ちょっと様子をうかがいながらセツナが近付いてきた。

 

「ひょっとして以前言っていた、分身入りですか?」

 

「そうだな。アコノは身に着ける形のものを欲しがったし、ちょうどいいと思ったんだが。

 欲しくなったか?」

 

「私はエヴァさんかアコノさんからそこまで遠く離れることは無いと思いますし、別にいらないと思います。

 確かに身に着ける物ですけど、意味合い的に思い切ったなと」

 

「今はともかく、大人になってからなら常時身に着けても問題無いものだろう?」

 

 そんな感じで、セツナは納得。そして、周囲の反応は様々。

 ルーナとアリシアといった単純かつ派手に祝福してくれるお子様達や、めでたい事という事でとりあえず騒いでるはやてもいる。ついでにアギトはあまり意味が解ってなさそうだけど、釣られた上に巻き込まれてる。

 素で頭を押さえてる長宗我部千晴や、悪戯する気じゃないって事は本気なんだとか言って頭を抱える夜月ツバサもいる。

 ぽかーんとしてるのは、男共……訂正、馬場鹿乃と上羽天牙の2人だけ。

 他は、まあいいんじゃないとかやっぱり的な反応や、あらあらお目出度いわね的な消極的祝福。

 概ね予想通り。

 少し羨ましそうにしてるリインフォースや、何故か少し寂しそうなフェイトとすずかがいたりするけど、今までと大きく変わるわけじゃない。

 最終的に、アリサ・バニングス以外の積極的反対やツッコミは無かった。私達としてはお姉様や主が他の男性とくっつく姿が想像出来ないから、誰ならいいのかアリサ・バニングスを小一時間問い詰めてみたい。

 

 その後も大騒ぎして、日が落ちる時間。

 風もちょっと冷たくなってきてる。

 この後は、明日は普通に学校だから夜更かし禁止&このままだと栄養が不足しすぎだというリニスの主張により、軽く夕食を食べてから終了という事になってる。

 だから。

 

「そろそろ、いい時間だな。

 話を……してあったか? 伝わってないかもしれんが、今日のメインイベントだ。

 参加者は集まってくれ」

 

 大人モードになったお姉様が、行動開始。

 現テスタロッサの面々には予め話してあったし、それ以外の大人組や転生者組にも念話で何をやるのか通達。

 その結果、殆どの人……既に夕食の準備を開始してる黒羽早苗とチャチャマルとノエル、落ち込んでる馬場鹿乃、気まずそうに遠慮した上羽天牙の3人以外が集まった。

 

「見事に料理人と男が減ったな。

 というか、カリムとシャッハもいけるのか?」

 

「これでも、騎士ですよ」

 

「得意とは言えませんが、予定されている内容であれば問題ありません」

 

 この会話で、更に馬場鹿乃が落ち込んだり。

 実は必要な物を持ってきてないだけだった、上羽天牙の気まずさかレベルアップしたり。

 

「では、先ずは……そうだな。

 アリサ、ちょっと来てくれ」

 

「何よ。私は何も聞いてないんだから、説明くらいしなさいよ」

 

「心配するな、大人しく見ていればすぐに解る。

 では、ちょっと失礼するぞ」

 

「きゃっ!? な、何すんのよ!!」

 

 お姉様、アリサ・バニングスをお姫様抱っこ。

 防護フィールド問題無し。

 光学迷彩準備完了。

 他の人も、バリアジャケットを展開中。

 

「さあ、行くぞ」

 

 準備が出来た時点で、魔法陣を展開。

 転移、いっきまーす。

 

「~~~~~~~~………」

 

 転移が終わったけど、アリサ・バニングスは必死に目を閉じて、お姉様に力いっぱいしがみついてる。声も出ない様子。

 転移自体は別荘で慣れてるはずなのに。

 突然なんだから仕方ない?

 だけど、これはサプライズイベント。先に伝えたんじゃ面白くない。

 というわけで、予定地点の能登半島付近、上空2キロメートルに到達。

 

「さあ、目を開けて見てみるといい」

 

「……う、そ……」

 

 目を開けると、そこには。

 東側に、赤く染まった海と空が。

 西側に、同じく赤く染まる山々が。

 魔法陣の消えた足の下には、港や漁村らしい町も見えてる。

 

「夕焼けの日本海を見るのは初めてか?

 悪かったな、今までずるずると先延ばしにしていて」

 

「……な、何がよ?」

 

 呆然としてたのか、景色に見とれてたのか。

 アリサ・バニングスの反応が鈍い。

 

「私達の中で唯一魔法が使えず、最も一般人に近いのがアリサだ。

 だからこれは私達のちょっとしたお節介、これが、私達が見る事の出来る光景だ」

 

「……何よ、自慢なの?」

 

 ぷい、って横を向くような感じで、夕日に目を向けるアリサ・バニングス。

 その表情は、怒ってない。やっぱり見とれてる感じ。

 

「魔法関係では、随分と仲間外れにしてしまっているからな。せっかくファンタジーな世界に触れているんだから、転移以外にも少しくらい役得があっていいだろう?

 地球の技術でこんな景色を見るには飛行機やらを使うしか無いが、それでは手間もかかるしゆっくりと話をしながら楽しむのも難しい。自慢になるが」

 

「本当に自慢なの!?

 なのはとすずかも笑ってないで何か言いなさいよ!」

 

「手にした時は、自分だけの力だと思ってちょっと嬉しかったから」

 

「私は、エヴァさんの技術が無いと飛べないんだよ?

 管理局の技術ですらないから、自慢しても仕方ないんじゃないかな」

 

「そもそも今いる面子の内、何人が私の指導やらを受けたと思っている。

 それに、だ。

 ここにいる全員が、自慢の仲間だろう?」

 

「……けど、私は……」

 

「知らない間に貢献している部分も多いんだが……それは置いておこう。

 油断するとすぐ訓練漬けや研究漬けになる、私を含む馬鹿共を現実に引き戻してくれるのは、他の誰よりも軋轢を生まないという点で有難いんだぞ。節度も守ってくれているしな」

 

 バニングス家という範囲まで見れば、表社会との繋がりも大きな恩恵だし。

 表に出して問題無い取引まで、裏側関係者で揃える必要は無いわけで。

 特に、今建ててる家に付随する諸々なんかで、色々と世話になってたりもする。

 アリサ・バニングス自身も、社会勉強と称してバニングス関係企業の打ち合わせに呼ばれたりもしてるけど、実際はお姉様達の考えを推測する為だったりするから、バニングス家の裏方的な意味で不可欠な存在になってる。

 

「馬鹿って自覚してるんなら、自分で何とかしなさいよ」

 

「簡単には何ともならんから、馬鹿だと言っているんだ。

 だからまあ、今回は馬鹿が馬鹿な事をしたらちょっといい事があった、程度に思っておけばいい。

 それに、夕焼けが綺麗な時間は短いぞ?」

 

「だったら、話しかけずにゆっくり見せてよ」

 

「ああ、それは悪かったな」

 

 

 ◇◆◇ 2007年(新暦68年)04月B ◇◆◇

 

 

 その夜。

 少なくとも、各自が現住所に帰る予定の時間を大きく過ぎた時刻。

 月村家の一室で、本来自室にいるはずの少女が数人集まっている。

 

「それでは、結婚の件についての質問(じんもん)を開始しますね。

 結婚する事を決めたのは、いつですか?」

 

 口火を切ったのは、ヴィヴィオ。

 この部屋にいる中で、最もお姉様に強くものを言える立場。

 質問に妙なルビが付いてた気がするけど、口ぶりは普通。今の所は。

 

「……去年の夏だ」

 

「つまり、半年以上前という事ですね。

 それでは、結婚の決め手となった行動又は言葉は、どちらのものだったのですか?

 最終的にエヴァさんからだという事は予想出来ますから、それに踏み切った切っ掛けはどちらにあったのかという意味で、ですよ」

 

「……その言い方なら、答えは予想出来ているだろうに。

 それに、アコノは何もしていないと言っても納得しないだろう?」

 

「それでも、そうだと確定する事に意味があります。

 アコノさんの言葉が切っ掛けだった、という事で良いのですね?」

 

「……そうだな」

 

「その内容を、家族である私達に教えてくれますか?」

 

「それは……どんな羞恥プレイだ。

 私は言いたくないし、アコノの許可なしに言っていい事ではないだろう」

 

「なるほど、確かにそうですね。

 では、その言葉の何が理由で、結婚に踏み切ったのか。それくらいは教えてもらえますか?」

 

「……アコノを甘く見ていた事を自覚させられたから、だ。

 これ以上は勘弁してくれ」

 

「なるほど、そうでしたか。

 覚悟なり想いなりが、予想以上のものであった、という事らしいですよ?」

 

 ここでようやく、ヴィヴィオがお姉様から目を離した。

 正確には、部屋にいたフェイトとすずかの方に目を向けた。

 

「お姉ちゃん……私だって、覚悟して眷属になったんだ。

 だから……」

 

「私も、元々人じゃないからといっても、何も思わないわけじゃないんだよ?

 だから……」

 

 2人はここで一度止めて。

 そして。

 

「「アコノさんだけ、ずるい!」」

 

 声を揃えて、叫んだ。

 

「ちょ、ちょっと待て、お前達の認識だと私は女寄りじゃないのか!?

 アコノは私を男と見なしているんだぞ!?」

 

「お姉ちゃんは、女っぽくないから」

 

「忍お姉ちゃんより恭也さんの方が、イメージが近いかな」

 

(\(^o^)/)

 

 お姉様、それは発音出来ない。

 せめて、オワタとか追加しておかないと。

 取りあえず、ここにキマシタワーを増築しよう。

 

「それでは、私はこの辺で。

 家族としてちゃんと話をして下さいね」

 

「なんという無茶振り……」

 

「自業自得、ですよ?」

 

 ウインクを飛ばして、ヴィヴィオ退室。

 部屋に残ったのは、お姉様を含めて3人。

 

「えーと……」

 

「怒ってるわけじゃないんだけど……」

 

「やっぱり、何も知らされなかったのは、寂しいんだ」

 

「だから」

 

「「添い寝を要求します!」」

 

「あ、ああ……解っ、た」

 

 それで納得してくれるなら平和なもの。

 ここにきてなんという百合ハーレム(外見的な意味で)。

 けど、やってる事はStrikerSの初期で、なのフェイはやてが一緒のベッドで寝てたのと大して変わらないような?

 何だ、普通の事じゃまいか。

 

(いや……普通か……?)

 

 普通普通。

 少なくとも、行為だけで見れば。

 18禁な展開になるわけじゃないんだし。

 

 

 ◇◆◇ 2007年(新暦68年)08月 ◇◆◇

 

 

 あれ以来、自宅ではお姉様の左手薬指に指輪が常備されて、同衾&睡眠の頻度が上がったりもしたけど。

 それ以外には特に大きな変化は無い。

 主も、学校では指輪を自重してるし。

 アリサ・バニングスも、飛ぶことを要求することは無いし。

 かといって、遊びに連れ出さないわけでも、訓練してる時に顔を出さないわけでもない。

 

 そんな夏休みの、某モンディアル家が所有する別荘から帰ってきた、とある日。

 訓練場受付としておなじみになってる高町家の道場に、難しい顔の長宗我部千晴が現れた。

 

「あー、やっぱりここにいたか」

 

「ん? 何か用でもあったか?」

 

 という訳で、珍しくお姉様が居るタイミング。

 魔力感知的な意味で、知ってて来てるはずだし。

 

「いや、な。

 こんなページを見付けちまったんだけど……何か知らねーか?」

 

 そう言いながら出してきたのは、“ちうとゆかいななかまたち”というブログを印刷した物。

 内容を一言で言えば、コスプレ。

 

「いや、私はこのページは知らないが……ネタ的に、アレだな?」

 

「間違いなくあれで、あの人だよな?」

 

 問題は、そのキャラクター。

 本来、この世界には無い物語の人物が写ってる。

 具体的には超鈴音、お祭りでの戦闘服姿。

 別荘の設備維持の仕事が減って暇な時間が増えたとかいう話を最近聞いた気がしますが、どう見てもリーシェンです。本当に撮影協力ありがとうございました。

 その他に、魔物を狩るモノたちの甲冑姿や、終末の幻想の装備を着てる写真もいくつかある。

 

「どう見てもあれで、あいつだな。何をやっているんだか……」

(お前達は何か知っているな?)

 

 知ってる前提の質問なのは何故?

 確かに知ってるけど。

 日本や地球との交易手段の1つとして、販売を計画中。

 出来のいいコスプレ衣装や甲冑が出回れば、バリアジャケットを誤魔化しやすくなる。

 魔導具系小物も、それっぽいデザインのアクセサリーとして売れそうだし。

 現在は知名度を上げるための公告期間的な?

 コスプレ趣味の無い長宗我部千晴に見付かるくらいの効果を確認。

 

「……無意味にやったわけではないのか。

 だが、何故“ちう”の名前を使った?」

 

 別荘の関係者で名前を決めた時に賛同者が多くて、合意が楽だった。

 この世界も魔法先生ネギま!の影響を受けるなら、ブログの女王という結果が引っ張ってくれるかもしれない。

 一番嫌な顔をしそうな長宗我部千晴に関しても千雨という名ではないし、迷惑がかかることは無いと判断した。

 

「あー、確かに私がやってるわけじゃねーし、私に似た顔も出てねーからいいんだけどよ。

 何も聞いてねーのにこんなのを見付けた時に、心臓が止まるかと思っただけで」

 

 確かに何も言わなかったのは悪かったかもしれない。

 要するに、事実上の結婚についてお姉様から何も言われてなかった、フェイトやすずかの心境と同じらしい。

 

「……そこで私に飛び火するのか」

 

「ま、まあ、怒ってるわけじゃねーから。

 ただ、知ってるなら先に言っといてくれよって思っただけで……」

 

 お姉様がorzになったから、怒られる問題は回避した。

 拒否される問題も回避したから、この路線は継続。

 計画通り。




アコノに渡された結婚指輪には、要するに「エヴァの分身的なもの」が入っています。これにより、アコノの活動範囲制限がほぼ取り払われました。
が、元々離れる気が無いアコノにとっては、共に在るという点のみが重要です。ずっと一緒はその意味。感想返しで「特別な効果を付ける予定が無い」と言っていましたが、ありゃ(ある意味では本当だけどカタログスペック的に)嘘だ。


2017/01/18 お待たせ―→お待たせー に修正
2020/01/29 帰っる→帰る に修正
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。